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門司城攻防戦
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門司城攻防戦 14
門司城攻防戦 結果
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門司城攻防戦 結果
泡姫はいかにして銭を集めたか? その一
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泡姫はいかにして銭を集めたか? その二
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泡姫はいかにして銭を集めたか? 20
泡姫はいかにして銭を集めたか? 21
泡姫はいかにして銭を集めたか? 22
幕間 安芸国 吉田郡山城にて
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守護大名 大友義鎮という父
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守護大名 大友義鎮という父 6
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守護大名 大友義鎮という父 11
守護大名 大友義鎮という父 12
秋月騒乱
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彦山川合戦
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彦山川合戦 13
彦山川合戦 結果
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彦山川合戦 合戦状況
彦山川合戦 結果
彦山川合戦 あとしまつ
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彦山川合戦 あとしまつ 6
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歪んだ父母娘のふれあい
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あとがき
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門司城攻防戦 2

 別府の湯治場で交わって、私を身篭って生んだ後に父上に押し付けたとか。

 母上も母上だけど、それで育ててくれた父上も父上だ。

 しかも、時期的に両親が私を作っていた時って、露骨に大友二階崩れとかぶるのですが。

 ちなみに、養母であり父上の正室でもある奈多夫人には、私自身が寺社作法を学んた事もありかわいがわれていました。

 誰の子か知らぬ(神の子なんて信じないだろうし) 私を、

「母上と呼ぶが良い」

と言って、私の宇佐八幡宮行きに反対したのが奈多夫人だったり。

 とはいえ、戦国の世にそんな愛情に政治が勝つのは当然なわけで。

 宇佐八幡宮を掌握すれば、豊前南部の国人衆を大友側に引き込め、それを後押しした奈多夫人の父上である奈多鑑基(なだ あきもと)の影響力が増すから。

 だから、私が奈多夫人の手を振り払って、宇佐八幡宮に行く事に賛成した本当の理由を言えません。

 私がまだ嫁に行きたくないからの窮余の一手だった事を。

 私の前世が巫女服萌えだった事を。

 とりあえず、私に与えられた神力は二つ。

 一つ目は身体的な事だけど、美貌と容姿、おまけに健康。

 元男だけど女に生まれた以上、これは素直に感謝。

 二つ目は豊饒の神力。

 何処の賢狼かと突っ込みたいが、ゆっくりと地力を溜めて豊かな大地にできます。

 前世知識で開発始めた方が豊かになりかねんと気づいて、悶絶した程度の力です。

 何?このびみょースキル?

 まぁ、母上自身が二十一世紀では幻想郷に行きかねないほど忘れられた神様なので、仕方ないのですが。

 一応宇佐八幡宮の主神ですよ。主神。

 いや、本当に一度宇佐八幡宮に来てもらうと分かるから。祭られている場所の位置で。

 八幡神が主神と勘違いしている人ばっかりだし。

 大友にも毛利にも「八幡大菩薩」の旗が。

 だから、こんな場所に引っ張られてきたのですが。

 まだ初潮もきていない花の十歳児なのですよ。にぱー。

 前世の記憶を総動員して三歳にして言葉と文字を覚え、五歳にして算術と和歌・茶道を嗜み、八歳で「神童」と家臣達に持ち上げられながら宇佐八幡宮の巫女に納まりましたよ。ええ。

 体の良い人質とも言いますが。


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門司城攻防戦 3

 少し真面目な話をしますが、宇佐八幡宮のある豊前の国は九州の玄関口で、本州との境目にある事もあって、常に騒乱の舞台になっていました。

 近年は大友と大内が死闘を繰り広げ、大内が滅んだ後にこうして毛利と激しく争う事に。

 そんな土地柄だから、地元豪族は完全に大友に臣従しておらず、こちらが弱くなれば即座に寝返る始末。

 で、私が人質として宇佐八幡宮に送り込まれたのです。

 何しろ子供ですから、侍女やその護衛を堂々と宇佐に駐屯できます。

 私が戦場にいるのも、それが理由。

 迷信はびこる戦国時代で、「神童」である大友の娘が宇佐八幡宮の巫女になるというのは、神仏の力が強いこの時代において大きな影響力を持っているからなのです。

 何しろ、因縁の相手である毛利との戦で、使える駒なら猫の手でも欲しい状況。

 私の志願は父である大友義鎮を喜ばせて、こうして私は初陣を飾る事に。

 まぁ、戦場に出ないのだから初陣というは語弊がある気もしないではないけど。

「傷を見るわ。湯は沸かしている?」

「はい。既に冷ましたのはこちらに」

 大友軍の陣屋にて、私は負傷兵達の手当てをしている。

 私についている侍女にお湯を沸かせて、冷ました水で傷口を綺麗にするのだ。

 この侍女は私が女だからと宇佐衆からではなく、大友家からの紹介で来ていたりする。

「林左京亮(はやし さきょうのすけ)の娘で麟と申します。

 姫様。これからどうぞよろしくお願い致します」

 いや、貴方誰よ?

 自己紹介の時に心の中で突っ込んだのだけど、こうして私のわがままに近い足軽達の治療にもこうして付き合ってくれるいいお姉さんで、私は彼女の事を麟姉と呼んでなついている。

 ちなみに、護衛も兼ねているので、寝るときも一緒である。

 だから、麟姉に抱きついて長い黒髪にもふもふしてみたり、しなやかな肢体をさわりさわりしたり、たわわな胸に埋まったりしても問題がなかったりする。

 朝、それでよく叱られたりするのだが。

「ありがてぇ……いっ……」

「男なら我慢する!」

 前世知識から戦場に立ってびっくりしたのが、戦場での衛生環境の悪さ。

 死体は戦が終わるまで放置だし、怪我人の治療も足軽クラスは基本放置で、迷信が入り込んで塩水を傷につけるとかあったぐらい。

 私が宇佐八幡宮の巫女やっている事を利用して、

「八幡神のお告げよっ!」

と、適当な事を言って傷口を綺麗に洗う事を始めたのだけど、これが大当たり。


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門司城攻防戦 4

 明らかに化膿する足軽が減って、回復する足軽が増えたのだから。

 その分、私に見てもらいたい足軽が増えて、私は死ぬほど忙しくなったけど。

「姫様。こちらにおられましたか」

 足軽の傷口を洗っている時に声がかかり、私はその方向を振り向くと鎧武者が供を連れて立っていた。

「爺、元気だった?」  

 私が爺と呼んだこの鎧武者は、私が世話になっている宇佐八幡宮近隣の武士達を束ねる宇佐衆筆頭の佐田隆居。

 私は彼にあてられた人質であり、私の才をいち早く見抜いて私を学ばせたり叱るので、私は爺と呼んで懐いている。

 当然、褒める時は甘いものをくれるからなのだが。

 しかし、女の体になってみると、甘いものが麻薬のように欲しくなるのは何故だろう?

 今回の戦において大友側の豊前国人衆は、総動員をかけられている。

 まぁ、私がこんな事をしている事もあって、豊前国人衆の士気は高い。

 なお、こんな場所に私一人で出張ると、エロゲ的陵辱イベントに遭うのは分かっているので、私の周囲には常に護衛がついている。

 その護衛が佐田隆居の息子である佐田鎮綱なのだが、真面目で文武両立していて公私の一線はきちんと守る。まさに執事。

「お館様がお呼びです」

 その佐田隆居の声に、私の顔が巫女から姫に変わる。

 今までの軽く気安い声から、凛とした声で私は爺に尋ねる。

「父上が?

 で、どちらに?」

 その私の問いに答えたのが、爺の後ろに控えていた佐田鎮綱だった。

「松山城にて。

 そこが本陣でございますゆえ」

 淡々と必要なことだけ語ると佐田鎮綱も口を閉ざす。

 私は少し迷ってから、思ったことを爺に尋ねてみた。

「爺、あの城落ちると思う?」

 多くの足軽を治療して思ったのだ。

 矢弾傷ならまだしも、城攻めの割には突き傷や切り傷が多すぎると。

 私が門司城を指して爺に尋ねると、爺はあっさりとその答えを言った。

「厳しいですな。

 後詰を抑え切れませぬ」


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門司城攻防戦 5

 それを父上に伝えろという事か。

 事実、この門司城攻防戦では大友軍が万の兵で押しているのに、背後の馬関(関門) 海峡が封鎖できないから、毛利水軍の後詰が背後から襲ってきて大友軍は甚大な損害を蒙っていた。

 おまけに、前世知識でこの戦が大友の敗戦で終わるのは知っている。

 というか、戦国が終わる時に大友という大名家が存在しないのも知っている。

 第二の人生とは言え、父や養母が守ろうとした豊後大友家という家にそれなりに愛着もある。

 何より、私を生んだ母上の為にも、歴史をひっくり返さねばならない。

 大友軍による宇佐八幡宮焼き討ち。

 その時、私が巫女をしていたのならば、きっとそのまま殺されてしまう。

 天下が欲しいとは思わない。

 けど、歴史通り滅ぶつもりは毛頭ない。

 その決意を胸に、私は歴史改変の本格的第一歩を踏み出す。

 その先は私にも分からない。

「わかったわ。

 父上に取り次いで頂戴」

 馬を走らせて松山城に急ぐ。

 距離にして約三里、十二キロという所なのだけど、馬でも向こうの城に一泊確定である。

 しかも、最近は毛利水軍の船が大友軍の背後に上陸して襲ってくるから、警護の者まで馬上で三十騎ばかりの集団になっている。

 巫女服姿で馬に乗る私は派手に目立つらしく、多くの足軽や鎧武者達が私を見て手を振っていたりする。

「姫さーん!

 何処に行くの~」

「父上の所~

 今日は帰らないからよろしく~」

 私に声をかけてきたのは、仕事前にのんびりしていた遊女や白拍子達。

 あでやかな着物の前は大きくはだけて、その自慢の胸やしなやかな肢体を足軽達が遠巻きに見て興奮していたり。

 万の兵士がいる、しかも全員男とくればそりゃ欲求もたまる訳で。

 そんな男達を餌にするおねーさん達も集ってくるのですよ。

 けど、遊女達の社会的地位なんて当然高くない訳で。

 彼女達に宇佐八幡宮の名前を貸して保護したのです。

 実は、遊女と巫女の繋がりはかなり深く、元々日本の巫女さんってのは実は娼婦兼業だったりする。


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門司城攻防戦 6

 神の言葉を聞く為にトランス状態を性行為で求めるのは、世界各地の古代宗教に残っていたりする。

 日本では芸能行為が神に捧げられた事から、彼女達のことを歩き巫女や白拍子と呼んでいる。

 そんな流れの遊女達に宇佐八幡宮の名前を貸した事で、彼女達は社会保障を受けられるという訳。

 もちろん、私にもメリットが。

 彼女達から名貸し料が入るし、それ以上に彼女達から情報が入手できるのが大きい。

 寝物語に出てくる男たちの愚痴や不満、戦場に流れる噂などを拾ってくれるのだ。

 そんな遊女達は麟姉さんに束ねてもらったり。

 私(姫) が率いる巫女なので『姫巫女衆』と命名。

 戦が終わって私の所に残る遊女達には巫女服を支給しようなんて考えていると、一人の遊女がこっちに近づいてきて、馬から降りた麟姉さんの耳元にごにょごにょと。

「姫様。

 お耳に入れたき事が……」

 麟姉さんが遊女から聞いたごにょごにょがそのまま私の耳に。

 うん。

 父上へのいいお土産になりそうだ。この話。

 幸い、途中何事も無く松山城に到着。

 ここが大友軍の本陣だけあって、最前線と同じぐらい守りが固められている。

 この松山城は眼前に海が広がる小山の上に築かれた事もあって、大友水軍も守りについていたり。

 もっとも、毛利水軍の数に押されて守るだけで精一杯なのだが。

 城内に入り、戦評定をしている広間に通される。

「久しいな。大きくなった」

 父上たる大友義鎮は三十一歳。

 男として将として脂がのりだした時期で、才気も溢れている。

「父上もお元気そうでなにより」

 父と娘の会話は居並ぶ重臣達の視線の中、こうして始まった。

「宇佐の姫巫女の噂は耳にしている。

 父として嬉しい限りだ」

 正面に父を見据えて、さっと父の周りにいる重臣達を見渡す。

 今回、大友軍は豊後・豊前・筑前から集めた一万五千の兵をこの戦に投入している。

 もちろん、父上自身が門司城まで出向く訳が無く、この松山城を本陣として五千の兵と共に予備として待機しているのだ。



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