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とても綺麗な空。
雲ひとつない空。
部屋の入り口に立って窓の向こうの空を、私はちょうど三十秒、見ていた。そこには何もなくて青い空だけが広がっている。その景色を何度も何度も眺めたな、と私は思った。そしてこんなに青くてすがすがしい空は一年に一度もないかもしれない、と気づいた。
だから神様は今日することを祝福してくれているんだ、と自分に言い聞かせて、昨日書いておいたあの人宛のメールを送信し、部屋のドアを閉め、かばんをつかんで iPod をポケットに入れ、靴を履き、イヤホンを耳に入れた。
もう一週間も前から、今日は兄が誕生日のプレゼントにくれた DJ Krush の “漸” をシャッフルしないで流すことに決めていた。
毎日歩いていたはずの道がなぜか新鮮で、不思議、と私は声に出さずに呟いた。こんなときになって初めてこの街が、いつもよりもずっとすがすがしく見えるなんて。空も街も、それに空気までも、こんなに澄んでいるなんて。
今日は他のいろんなことも真新しく思えた。
例えば、玄関のドアを閉めたときの音、あんなに大きな音を立てて閉まっていたなんて今まで気づかなかった。そしてエレベーターが降りていくときの 音。すごく静かだけど、抑揚のない、面白みのない、でも安定した音。その音も一度も意識してなかった。そんな音がいつも私を見送っていたなんて知らなかっ た。毎日毎日、もう何年もそのエレベーターで十四階から一階まで降り、マンションを出ていたはずなのに。
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奥付
旅立つものよ、あなたは永遠に若い
2007/9/26 脱稿
表紙写真・デザイン: じのん
発行所 : ブクログのパブー(http://p.booklog.jp/)
運営会社:株式会社paperboy&co.
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じのん