目次
賢者様の仲人事情【第一部】
賢者様の仲人事情【第一部】
序章
序章~不幸は突然訪れる~
第一章 姫君の危機
第一章 姫君の危機【1】
第一章 姫君の危機【2】
第一章 姫君の危機【3】
第一章 姫君の危機【4】
第一章 姫君の危機【5】
第一章 姫君の危機【6】
第一章 姫君の危機【7】
第一章 姫君の危機~霊界通信~
第二章 傍らにいつも
第二章 傍らにいつも【1】
第二章 傍らにいつも【2】
第二章 傍らにいつも【3】
第二章 傍らにいつも【4】
第二章 傍らにいつも【5】
第二章 傍らにいつも【6】
第二章 傍らにいつも【7】
第二章 傍らにいつも【8】
第二章 傍らにいつも【9】
第三章 月の雫
第三章 月の雫【1】
第三章 月の雫【2】
第三章 月の雫【3】
第三章 月の雫【4】
第三章 月の雫【5】
第三章 月の雫【6】
第三章 月の雫【7】
第三章 月の雫【8】
第四章 姫君と近衛隊
第四章 姫君と近衛隊【1】
第四章 姫君と近衛隊【2】
第四章 姫君と近衛隊【3】~丘陵のエヴァンス~
第四章 姫君と近衛隊【4】
第四章 姫君と近衛隊【5】
第四章 姫君と近衛隊【6】
第四章 姫君と近衛隊【7】
第四章 姫君と近衛隊【8】
第五章 届かない声
第五章 死者達の晩餐
第五章 心を喪失した姫君
第六章 皇太子失踪
第六章 皇太子失踪【1】
第六章 皇太子失踪【2】
第六章 皇太子失踪【3】
第六章 皇太子失踪【4】
第六章 皇太子失踪【5】
第六章 皇太子失踪【6】
第六章 皇太子失踪【7】
第六章 皇太子失踪【8】
第六章 久遠に貴方を想う
終章
終章~最後のサクリファイス~

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第一章 姫君の危機~霊界通信~

「セデス様、レオンと可愛い姫の危機です! 今こそ、私たちの出番です……!」
 レオン皇子のやりように、真っ青なセデスお父様。
 お隣で、己が使命に燃えて、握りこぶしのカトレアお母様。
「何か、いい考えがあるのかい? カトレア」
「はい、聞いて下さいっ。今こそ、カトレアのまとめノートが活躍する時なんです! ですから、セデス様もぜひ、ノートを倒すの、手伝って下さいね」
 二人は早速ノートに取り付き、懸命に引き倒そうと試みました。霊魂の身には重労働です。

 えい おー えい おー

 カタン ……

「きゃー、セデス様やりましたっ! 倒れました!!」
「そ、そうだね……っ」
 肩で息をするセデスお父様。

“ 今、何か音がしなかったか? 気のせいか? ”
“ あっちの方からじゃない? ・・・ レオン、見て、すごいこのノート!! まるで、レオンのお母様がオレ達のために遺してくれたみたいだよ! レオンのお母様、すごく賢くて優しい人だったんだ。生きててくれたらどんなに…… ”

 感動の展開を期待して、胸を高鳴らせるカトレアお母様。
 しかし、

「ティリス!?」
 二人が見たのは、心臓が止まるかと思うような光景でした。あわや、窓から飛び降りそうになった姫を、レオン皇子がすんでのところで止めています。
「放せよ! おまえ、オレなんかいらないんだ! もう、もうこんなのやだ!」

「……き……聞こえなかったみたいだよ……」
 息を切らせてセデスお父様。
「そんな! あんまりですわ、レオン。お母様がせっかく頑張りましたのに! しかも、姫をあんなに泣かせてしまって……!」
「……カトレア、やっぱり、レオンを止めるのが先だ。こんなでは、姫を幸せになんて、」
 レオン皇子の所業があまり悲しくて、つらいお父様がおっしゃいます。
「まあ、セデス様。レオンはとても優しくて、とても賢い子ですのに。姫にも、ちゃんとわかっていますわ。姫は、レオンが好きだから、つらいんですもの。挫けず助けてあげなくては、頑張りましょうね、セデス様」
「え……」
 そうかなと。
 やや疑問に思いながらも、カトレアお母様が言うならそうなのかなと、セデスお父様、再配置です。まずは、倒したノートを懸命に起こし、また、倒しにかかります。
「今度こそ、気付いてもらいます! さっきより強くいきましょうね! せーっ!」

 えい おー えい おー

 カタン ……

「倒れました!」
 目を輝かせてカトレアお母様。今度こそと、振り向かれました。

「……最後までなんて、言わなくていいだろ? ――奴隷にすればいいんだ! ここにいる、おまえに従う、だから、もう……!」
 身を震わせる姫の肩を、レオン皇子が心配そうに抱き寄せています。
「……言わなくていいと言えば、泣かないか?」

「……取り込み中みたいだね……」
 言いながら、カトレアお母様が諦めるはずもないので、セデスお父様はすぐ、元の位置に再々配置です。ノートを戻しにかかります。
「レオン……レオン、あんまりですっ……どうして、お母様に気付いて下さいませんの!? ああっ」
「仕方がないよ。頑張ろう、カトレア」
 それよりも、お父様には気になることがあるのです。
「レオンは、どうして誓えないんだろう。あの子が一言、姫だけを愛することを誓えば、あの姫は誰よりレオンを思ってくれる姫なんだ。許せるはずのない、残酷に過ぎたレオンの仕打ちさえ、許してくれるだろうに……。あの子には、無理に抱いたことで、姫をどれだけ傷つけたか、わかっていないのかもしれない。あの子は本当に、他の姫を妃にするつもりなんだろうか。あんなにレオンを思ってくれる、愛らしい姫を打ちのめして……」
「まあ、セデス様。レオンはちゃんと、姫だけを愛していますわ。ただ、レオンにとって、言葉や肩書きは価値あるものではありませんから……――あっ、セデス様、ごらんになって下さい。レオン、傷ついた姫を、あんなに心配そうに抱き締めて……! 待っていて、レオン! お母様がすぐ、助けてあげます!!」

 えい おー えい … 

 おもむろに回転を始めたお母様、すごい勢いで、ノートを蹴飛ばされました。俗に回し蹴り(?)というやつです。初めてでしたが、愛の力 で決めました。

 カタン ……

「……何……?」
 姫が問い、レオン皇子がスっと、様子を見に立ちました。姫も気になる様子で、ついてきます。

「きゃあ! あなた見て! レオンが気付きました、気付きましたわ!」
「うん、かっこよかったよ、カトレア。だけど、女性はおしとやかにね」
「はい、今日だけ特別ですっ。レオンへの愛ですもの。それより、見て! 姫のあの驚きよう! きっと、私のノートの素晴らしさに夢中なんですっ! 貪るようにお読みになって!」
 少し興味を持ったセデスお父様、ノートをのぞきに行って、なぜか、沈痛な表情で戻っていらっしゃいました。
「……うん、驚いたと思うよ……」


 ――こうして、お母様はついに 愛の力 で勝利を収めたのでした。めでたしめでたし。

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