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第一章

【まえがき】

 はじめまして&おひさしぶりです。この度は「北海道へ行こう!」を手に取っていただき、ありがとうございました。

 さてさて。北海道へ行くのも今回で六回目となりました。一回目から勘定してみると、だいたい(七日間+二十日間+四十日間+十四日間+十四日間)。それに今回の三日間を加え、計九十八日間。なんと約三ヶ月間はトータルで北海道に滞在している計算になります。これはけっこうな数字なのではないでしょうか?

 また、季節では(冬・秋・秋・春・秋)に今回の冬。夏以外はおおよそ訪れたことのある感じです。秋が多いのは、「食べ物が美味しい季節」であるということと、「車中泊がしやすい季候」というのが大きいです。長期間滞在するときの基本はやっぱり車中泊。貧乏人の味方です(笑)。もちろん冬場はちゃんと宿に泊まりますよ。

 ところで今回の旅はといいますと、私にとって北海道で初の「団体ツアー」なのでした。まぁ、北海道に限らず、あまりツアー経験自体ないので(過去一度のみ)かなり緊張したスタートになりました。

 ツアーにした理由はずばり「雪道を運転したくなかったから!」。そもそも「ガリンコ号Ⅱ」に乗って流氷堪能が今回のメインテーマ。個人旅行では少々交通に不安を感じたので、安全確実に「ガリンコ号Ⅱ」に乗船することのできるツアーにしたというわけです。

 少々記録的な記述の多い前書きになってしまいましたが、初の旅行記電子書籍本なので、ここらで滞在記録をまとめておきたかったというのが本音でした。では、本編へどうぞ!


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第二章

[飛行機の窓から外を眺めて]


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第三章

[オホーツク紋別空港]


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第四章

【あぁ、勘違い】

 その日は朝から雨だった。正確にいえば前日から雨だった。「流氷」を見に行こうという我々にとって、天気は最重要事項である。まぁ、埼玉と北海道ではあまりに距離があるので、この時点で心配する必要はまったくない。

 不慣れな電車を乗り継ぎ、それでもネットで検索して下調べをしておいた成果が出たのか、集合時刻の十五分前に羽田空港第二旅客ターミナルに到着。ふと朝から何も食していないことに気付く。本当は憧れの(近所にないため)フレッシュネスバーガーなどへ入ってみたかったが、さすがにそこまでの時間はない。店先でどんどやきを購入し、壁によりかかっての朝食。どこの高校生だ、我々は。

 集合場所へ行ってみると、添乗員らしき人物が一名。
「ぬわぁぁ~っ!」
「ど、どうした? 何があった!」
「添乗員がおなごじゃない……」
 相方が突如奇声をあげるので、何ごとかと思ってみればそんなことか。だが三日間旅を共にする者として、添乗員が女子であるということは、男にとって非常に大事なコトであるらしい。難儀なものだ。

 添乗員に一通りの説明を受け、搭乗開始予定時刻まで各自時間を潰す。いまだ「添乗員はおなごに限る……」とボヤき続ける相方をなだめる私。そんなに不満か。

 しばらくすると予定時刻になったので、手荷物検査ゲートへ。あらかじめ大荷物は預けてある。ここでは金属探知機に気を配り、音が鳴らないように気をつければいい。以前、うっかり筆箱の中にカッターナイフを入れたまま手荷物検査を受けたことがあり、いろいろ問い詰められて以来私はこの手荷物検査が苦手だ。必要以上に緊張する。

 今回は特にお咎めもなく無事通過。ほっと一息ついたところで、大変な事実に気がついた。私は「保安検査場(手荷物検査ゲート)」に「搭乗口」がつながっているものと思っていたのだが(空港初心者)、そうではなかったのだ。

 しかも搭乗口が遠い。めちゃくちゃ遠い。我々の搭乗口は「六十六」。一番近い搭乗口が「五十九」。出発時刻が迫る。出発時刻五分前と迫る。

 動く歩道を走る! 走る! 走る!

 搭乗口遠い。まだまだ遠い。目の前に見える「六十五」の搭乗口。「六十六」は……曲がり角の向こうか! 息を切らし角を曲がると、ぐうっ、なんであんなに遠いのだ! だが負けられぬ。我々はアレに乗らなければならないのだ。

 出発時刻ちょうど。ギリギリセーフ。搭乗完了。

「……ぜひっ、ぜひぜひっ……」
 座席にてまるでゾナハ病患者のような咳をする私。そう、実はこの旅行の三週間ほど前から体調を崩し、病院通いをしていたのだった。当然完治しておらず、激しい運動は身体に障る。それでも私は行くのだ。「流氷」を拝みに。

 そうして我々は空の人となり、やがて雪で白く染まった北海道の大地へ降り立つのだった。寒さの苦手な相方は、心底嫌そうな顔で吹雪く銀世界を見つめていた。


 この作品は多少の誇張表現は存在するものの、事実を元に構成した、おおむねノン・フィクション作品です。

 

【流氷さえ見られれば】

 バスに乗りオホーツク紋別空港を後にした我々は、この旅の最大の目的である「流氷」を見るため、一路紋別港へと向かった。

 ガイドが言うには、昨日までの悪天候のおかげで流氷帯がかなり近づいてきているという。これは期待できそうだ。隣に目をやると、ガイドが道産娘という事実にいたく満足した相方がにやにやしていた。

 紋別港までは車でそう遠くない。すぐに到着し海を眺める。「ガリンコ号Ⅱ」の勇姿が見えた。ちょうど我々の一つ前の便が出発しようというところだった。

 前便が帰ってくるまでの間は、「オホーツクタワー」の見学時間になる。このタワーは地上高く伸びる建造物ではなく、海中深く潜っていく形のものだ。もちろん展望台も付いているのだが、それはオマケにすぎない。最大のウリは「海底階からは流氷を見上げられます」、これだ。

 私は過去二度ほどこのタワーを訪れている。二度とも秋であったため、流氷の姿はどこにもない。いつか冬にここへ来て、海底階のあの広い窓から流氷を見上げるのが夢だった。そうだ、ついにその時が来たのだ。

「濁っているせいか、何も見えないぞ」
「……そうか、何も見えないか」
 相方の言葉を信じられず、自らの目でしっかりと確認したが、やはり何も見えなかった。ただ深緑の、海水ばかりが窓の外には存在していた。夢とは儚いものである。

 落胆した私をなぐさめるように、ガリンコ号Ⅱの出発時刻がやってきた。周囲を見渡せば、彼らの旧正月にあたるためか、中国語とも韓国語とも取れる言語が飛び交っている。日本人の方が少ないくらいかもしれない。

 そもそも北海道で流氷砕氷船といえば、「網走のおーろら」か「紋別のガリンコ号Ⅱ」の二択なのだが、ツアーでは圧倒的におーろらが多かった。日本人にはガリンコ号Ⅱは人気がないのだろうか。少し心配になった。

 近年、流氷が近づくことが少なく、今年も昨日の悪天候でやや接近するまでは、なかなか流氷が見られなかったという。今日ですらも流氷帯までは、かなりの時間航行しなければならないようだ。

 二十分ほど進んだ頃だろうか。水平線の辺りに白いラインが見え始めた。私は確信した。あれが流氷であると。ラインは次第に幅広くなり、辺り一面を真っ白な流氷が埋め尽くしていく。

 ガリンコ号Ⅱは、一般的な船体の重さで砕氷していくタイプとは異なり、「アルキメディアンスクリュー」というドリルのようなものを使って砕氷する。これがまた豪快で、見ていて爽快なのだ。

 私は流氷帯を行く間、ずっと甲板に出て流氷を眺めていた。何というか、言葉もなくただ眺めていた。今回の旅はこれを見るためだけに来たといっても過言ではない。例え相方がサケトバ片手にサッポロクラシックを飲みつつ、船内で温まっていても文句は言うまい。

 流氷を背に紋別港へ戻る。「流氷体験証明書」も買った。もう何も思い残すことはない。私の横で相方が呟いた。
「あぁ……ガリンコ号ⅡのチョロQ買い忘れた」

 

【初の雪見露天】

 ところで。私は「まえがき」にも述べた通り、過去五回は北海道を訪れている。だがしかし。いわゆる宿泊施設というものに泊まったことは、ほとんどない。基本的に全日程のほぼすべてが車中泊だからだ。おかげで車を買うときは「寝やすいかどうか」が第一チェックポイントになってしまった。ドライバーとして、なにかがおかしい。

 本日宿泊するこの「サロマ湖鶴雅リゾート」という施設も、目の前を通りかかったことはあっても、まさか自分が泊まることになるとは思ってもいなかった。リゾートと付くだけあって、内装も洒落ているし、木彫りの像もあれば専属のクラリネット奏者までいる。

 落ち着かない。最初ロビーに足を踏み入れたときの感想だ。雰囲気が悪いわけではない。慣れていないだけなのだ。けれども部屋へ案内されてみると、そこは違う空間だった。決して広いわけではない、むしろやや狭いともいえるその部屋は、小さく、そして使い勝手がよさそうにまとまって
いた。机には茶菓子、窓際にはフィールドスコープがあり、室内から野鳥の観察ができるようになっている。北海道の方言で言えば「あづましい(居心地がいい)」部屋だった。

 団体ツアーといえども、意外に自由時間は多い。特に宿泊施設では、基本的にすべての時間が自由行動だった。宿に到着した時間は夕食にはまだ早く、我々には暇ともいえる時間があった。私としてはテレビでローカル番組など楽しみたいところである。しかし相方が「先に風呂へ行った方が酒がウマイ」というので出かけることにした。

 温泉と食事。旅の楽しみとしてこれは外せない。特に今回は、普段ならば縁のない「ホテルの露天風呂」に入ることができる。そういえば、この旅の目的の一つに「雪を見ながら露天風呂に入る」というのがあった。私は温泉好きであるのだが、未だかつて雪の降っている最中に露天風呂に入ったことがない。このシチュエーションにはロマンがあった。今まさに、また一つ夢が叶おうとしている。

 かくして、願いは成就された。

 昼間のオホーツクタワーのように、期待したところで裏切られたらどうしようかと思ったが、露天風呂は私の望み通りにそこにあった。一部に屋根がかかっている半露天風呂の形式であったのが、やや気になったくらいで、巨岩に積もる雪と、ちらほらと空より降り注ぐ雪はまさに幻想的で、私独りでその空間を占有できたのがまた幸いだった。

 夕食はバイキング形式だ。本当はフレンチレストランでの食事も、別料金で選択することが可能だった。だが、相方は「フレンチ」が嫌いだ。いや、正確にいえば「フォークとナイフが複数並んでいる」のが嫌いなのだ。以前あるレストランで、真ん中のフォークを先に使用してしまい、すべてのフォークを新しいものへと取り替えられてしまったことがあった。それからずっと嫌いなのだ。

 ブッフェは想像していた以上に素晴らしかった。地元特産の魚介類、オホーツクや道東の新鮮な山海の幸、オープンキッチンにて目の前で調理されるステーキ。北海道というとどうしても海産物に目を奪われがちなのだが、このステーキが一番うまかった。かといって他がいまいちなわけではなく、どれもこれも絶品。土地柄、特にホタテと牡蠣は料理の種類も多く味もいい。バイキング形式の食事で、これだけ満足したのは初めてだった。


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