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まえがき

 これまでにウェブの基礎技術に関する本を何十冊か書いてきたが、その中にはすでに絶版になっているものもある。そして、その絶版となった本の中には、うれしいことに現在でもさまざまな場面で活用されつづけているものがあるようだ(実際、今年になってからも絶版になった書籍に関する問い合わせが来ている)。

 そんなわけで、時間があるときに絶版になった書籍の何冊かを電子書籍にしてみようと考えていたところ、出張がつづいていた10月の下旬以降にスケジュールに少し余裕があることが判明。さっそく作業にとりかかった。

 この電子書籍は、現在ブクログのパブーで販売中の『XHTML+CSSで書く ホームページ構造デザインガイド』と『プチリファレンスHTML』の制作過程を著者本人が紹介するものである。

2010年11月 大藤 幹


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出版社との契約内容の確認

 10年くらい前までは、本を書いても契約書を交わすことはほとんどなかっと記憶している。しかし、2000年をすぎた頃から、本を書いたら出版契約書にサインをして割り印を押すのが当たり前になってきた。絶版本を自分で電子書籍にするにあたり、出版社との契約に違反するわけにはいかないので、はじめにその内容を再確認した。

 まずは、すでに絶版となっていたはずの『XHTML+CSSで書く ホームページ構造デザインガイド』と『プチリファレンスHTML』の絶版報告書を探す。それらはすぐに見つかり、間違いなく絶版となっていることが確認できた。あとは出版契約書の内容がどうなっているかだ。

 『XHTML+CSSで書く ホームページ構造デザインガイド』の出版契約書が先に見つかったので中身を確認しようと思ったのだが、その表紙になんとなく違和感がある。よく見ると「書名:XHTML+CSS 文書構造化ガイド」と書かれているではないか。契約書の書名が間違っているのだ。ということはこの契約書はそもそも無効ではないのか、そんなことを一瞬考えたが、とりあえず肝心な契約の有効期間の部分を探して読んでみることにする。そこには次のように書かれていた。

第21条(契約の有効期間)
この契約の有効期間は、契約の日から初版第一刷発行後満5年まで、あるいは絶版までとする。尚、絶版は乙の裁量とする。

 この条文によると、出版社によって絶版とされた時点で契約は無効ということになる。『プチリファレンスHTML』の契約内容もほぼこれと同様だったので、これらの2冊については自分で電子書籍化しても契約には違反しないことが確認できた。


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なぜパブーを選んだのか?

 現時点において個人が電子書籍を制作し販売するのであればブクログのパブーがベストだ、と言うつもりはまったくない(笑)。そもそも、どこのサービスが一番良いかということをゆっくりと調べている時間がなかったのだ。

 しかし、パブーなら難しい手続きやら作業やらを必要とすることなく、手軽に電子書籍を作成・販売できそうだし、著者の印税が70%という点も気にいった。たとえば『XHTML+CSSで書く ホームページ構造デザインガイド』の紙の書籍は2,415円(税込)で発売されていたが、パブーの電子書籍なら販売価格を330円(税込)にしても紙の書籍の印税よりも多くなるのだ(紙の書籍の場合、印税は税抜き2,300円の10%で1冊230円だったのに対し、パブーなら330円の70%で1冊231円となる)。

 ほかに、パブーで作成した電子書籍がEPUB形式で出力される点も見逃せないポイントだ。EPUBならiTunes経由でiBooksで閲覧できる。iBooksで閲覧できるということは、もちろんiPadやiPhoneで閲覧できるということも意味するし、アップル純正の電子書籍リーダーを使って読めるということも意味する。もっと率直な言い方をすれば、それはきちんとした使い心地のよい閲覧環境が保障されているということにもなるだろう。実は先日、知人から「某電子書籍を購入しようと思ったが専用ビューアーの出来が悪過ぎて……」という話を聞いた。たとえその電子書籍が欲しいと思っても、最初からあたりまえのものとして用意されているビューアーよりも明らかに劣る環境で読むことを強いられるのであれば、ユーザーは購入をやめる可能性もあるのだ。

 EPUBにする利点はほかにもある。絶版となった本をEPUB形式の電子書籍にするということは、その原稿を事実上の標準とも言えるフォーマットに変換することでもあるからだ。EPUB形式にしておけば、そのままでも多くの異なる閲覧環境やサービスで利用できるだろうし、将来的にもさまざまな方法で利用し続けられる可能性が高い(パブーで作成される電子書籍はすべてDRMフリーとなっている)。

 一方で、パブーで電子書籍を作成するにあたって不安な面もなかったわけではない。それは、パブーがブログの管理画面のようなユーザー・インターフェイスで電子書籍を作成する方式をとっていた点だ(「ブログ感覚で簡単に作れる」というのがパブーのセールスポイントのひとつになっていたはずだ)。ということは、300ページほどある書籍の原稿を電子書籍化する場合にも、おそらくはブログの管理画面のようなページで1ページずつこつこつと作業せざるを得ないことになる。

 そのあたりが本当のところはどうなのかを確かめるには、実際に作ってみるのが一番だ。そんなわけで、とりあえず実験として簡単な電子書籍を作ってみて、それで大きな問題がなければパブーで絶版本を電子書籍化することにした。


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