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割増賃金試算と経営管理の有用性

臨検後、2ヶ月ほどすると是正勧告書がくる。
本来、『是正勧告』を受領する前に弁護士と相談の上、対応することが最善
の策となる。
人事責任者の限界を知ることが重要な仕事である。
『是正勧告』受領後の場合、反証活動が必要になり、その上企業側に相当
な順法意識と順法活動の積み上げという実態が必要となる。
企業側に適法性を有する実態があるにもかかわらず臨検後、直ちに弁護士を
入れることを勧める。
この問題は、法律問題となるからである。
法律問題になると、法令の解釈の問題へ転化される。
こうなると、行政権限とともに監督官のほうが専門性であきらかにうえに立つ。
 
未払いと思われる賃金試算の前に時間外割増賃金の発生要件を確認してみ
よう。
(1)使用者が従業員に実際に時間外労働を指示した事実がある
(2)従業員がこれに応じて実際に時間外労働をおこなう
(3)しかるべき法定の計算根拠による金額が算出さる
(4)従業員が使用者に対してその支払請求をすること
以上の要件が必要となる。
 
判例も使用者が時間外割増賃金の支払義務が発生するのは、『管理職が
時間外労働を命じた場合か、黙示的にその命令があったものとみなされる
場合で、かつ管理者の指揮命令下においてその命じたとおり時間外労働
がなされたとき』と判示している。
(東京地裁昭和63年5月27日労判519号)
さらに、最高裁は、単純な時間的拘束を目安にするのではなく、仕事や業務の
内容を本旨とする『業務命令』ないし『指揮命令』の存否を目安としている。
人事責任者は、このような観点から自社の時間管理の具体的内容を判断しな
ければならない。
 
労働行政における時間管理の指針は、平成13年3月31日基発280号、改正・
平成15年4月1日基発0401008号に基づき是正勧告がおこなわれていると思
われる。
主旨は、時間管理の徹底、自己申告制の不適正運用等による。
労働基準監督官とのやりとりで大きく食い違う点が、まさに前記労働時間把握
における『黙示の業務命令の有無』になる。
 
監督官は、企業実態等は考慮せず、強行に『黙示の業務命令』を形式主義で
指摘してくる。
是正勧告書の内容確認では、監督官は未払い時間外手当があるのであれば、
その金額を支払わなければならないと指摘しただけで、臨検監督は、あくまで
行政指導だと主張する。
一方、労働時間の把握の仕方については、行政解釈を基礎にしているという。
この『行政解釈』とは、前記厚生労働省労働基準局によるに各種の行政通達を
さしている。
『あくまで使用者の指揮監督下におかれた状態で労働に従事すれば、労働時間
であり、部下が仕事をしているのを上司が黙認して妨げない場合も労働時間』
だと主張される。
さらに部下の目の前に上司がいて、その上司が黙認していれば労働時間と言え
る、と主張された。
私などは、部下より先に帰ってしまうが、その場合はどうなのか、と確認をすると、
このような質問でも会社性悪説に立っているかのように、従業員個人の自主的
判断業務を認めない対応をとる。
帰社しないのは、黙示の業務命令のため時間外労働になる旨、主張され、当方と
は並行線の議論になる。
簡単に言えば、タイムカードの打刻時間が終業時刻からある程度乖離してい
れば、時間外労働という主張だ。
 
真摯な経営陣や真面目な従業員を有する企業においては、常に多くの課題と
格闘しながらコンプライアンスに基づく企業経営を推進している。
また、経済環境の大幅で急激な変化に対応すべく、日常活動から企業活動の
変革の可能性を模索しているのが、現実ではないだろうか。
企業活動は、各企業が相当な努力を日々行いながら延々と積み重ねてきた
有形、無形の継続的な価値構築作業である。
この点を狭義の時間管理の観点から判断されると、企業には到底容認できな
い実態が存在する。
我々企業実務を担当する者としては、この強行で形式主義的主張に対して、
企業活動の実態から具体的かつ詳細な反論をおこなうべきだと考える。
 
私が、『未払いと思われる賃金』と定義しているのは、もともと未払い賃金など
ないと考えているからだ。
この点、人事担当者は、過去から未来に向けた企業活動の方向性を明確に
認識し、的確に主張ができるよう、日常業務を適切に実施することが求めら
れる。
単なる点の業務ではなく、線から面、さらに企業活動を立体的に把握すること、
および自分の業務に誇りをもって自責に基づく人事業務を遂行していくことが
必要である。
どんなに優秀で立派な弁護士を同席させても、最後は、人事責任者の自分の
信念に基づく確信ある姿勢と態度、発言にかかってくることを忘れてはいけな
い。
 
労働基準監督署の是正勧告に基づく未払い賃金と思われる部分を試算して
みることが必要になる。
勤怠管理システムを利用して時間管理に対応している企業では、非常に
簡単にデータの抽出ができる。
タイムレコーダーから勤怠システムへ連携し、入室時刻と退出時刻のデータ
が一括して取り込まれているからだ。
このデータから必要な期間を指定して出退勤データのダウンロードをするだけ
でいい。
一方、勤怠管理をマニュアル処理している企業では、この作業は膨大な時間
を必要となる。
しかし真の実態を把握するため丁寧にやることだ。
 
データを加工する場合、先ず終業時刻から退出時刻までの時間を厳密に計算
する。
所定終業時刻から退出時刻まで、すべてを残業時間とみなして計算をおこなう。
理由は、恣意性を排除して、最大金額を確定しておくことが重要だからである。
このデータをベースに企業特有の業務実態に合わせた修正をおこなう。
退室時刻からユニフォームを着替える時間、あるいは業務の終了後、退出
するまでに個人が自由に費やす時間を精算することになる。
この点は、業種、職種、雇用形態等によりかなり大きな違いが発生するので
注意が必要である。
契約社員や嘱託社員は、ほぼ定時退社をするし、一般事務職では、明確な
残業命令をおこなう等、企業によって運用形態が結構異なると思われる。
企業活動の実態に対応した合理的な精算方法を定義することが重要だ。
 
計算方法は、給与規則(賃金規則)に基づき時間外労働計算根拠により
おこなう。
ここでは、確実に賃金規則等に対応した計算をおこなうことだ。
未払い賃金と思われる総額を計算をする場合に限って、実態と合わない
計算をやってはいけない。
担当者は、総額を小さくするために恣意的に計算根拠を変更して未払い
賃金額を計算したがるものである。
これは絶対に避けたい。
なぜか。
理由は、簡単だ。
送検された場合の対抗手段を担保しておくためである。
 
企業活動を賃金ベースで考える場合、従業員が時間外労働の申請をしていな
いにもかかわらず、自らの判断で業務を遂行している時間を金額ベースで
把握することが可能となる。
企業内の労働生産性、従業員別労働生産性、部門別労働生産性、時間外
労働に対応した水道光熱費額等の把握が可能となる。
無理な対応をしている部門があれば、早晩従業員個人、部門ともに破綻をきた
すことが予想される。
日常業務の実態を賃金サイドから把握することができる。
この点、労働基準監督署の是正勧告等をもらったことの恩恵と言える。
このような面倒な計算をすることは、前記の事情がない限りほとんどないと思
われる。
私が経験した企業では、事務系(事務職、総合職)70名程度の完全試算で、
2年間で3億円ほどになった。
月額約18万円程度になる。
 
このような試算内容を経営者へ報告すると、大変驚ろかれる。
この情報だけで従業員が一所懸命働いていることが判明する。
真面目な経営者であれば、退社時間の徹底、時間外労働の適切な申請、
賞与評価の改善など人事責任者に指示するものだ。
当たり前だと思う。
案外、経営者は真面目に真剣に考えている。
私を含めて、このような客観的データを提示していない人事責任者に問題が
ある。
労働基準監督官ばかりに目がいくが、実は、企業活動の実態を正確に
把握することができるチャンスなのである。
かといって、未払い残業と思われる賃金があると、人事責任者が認めるわけ
ではない。
この点は、理論的に反論する。
二律背反だ。
だからこそ企業実務を遂行するための本当の実力がつく。
 

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最終更新日 : 2014-10-07 10:14:15

黙示の残業命令

1.黙示の残業命令
 
労働基準監督官は『上司は、部下が仕事をしているのを黙認していれば
労働時間』だと主張する。
実際、ホワイトカラーの業務では、しばしば上司が時間外労働の命令をし
ていないにもかかわらず従業員が自主的に会社に残って仕事をおこなっ
ているケースが散見される。
 
では、そのすべては、『黙示の残業命令』に該当するのだろうか。
 
労基法は、行政取締法規であり罰則つき刑事法規なので、労基法違反
を構成する場合、明白な違反事実の立証が可能な使用者による行為が
要件となる。
労基法第32条は、『使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間につい
て40時間を超えて。労働させてはならい。2 使用者は、1週間の各日に
ついては、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働
させてはならない』と規定している。
この条文は、使用者が『労働させてはならない』という作為義務に対す
る違反行為が明示されている。
 
『黙示の意思表示』とは、言語や文字によらない命令となり、その事実を
確認することが容易でないことは、誰でも想像できるだろう。
この点、労働基準監督官の主張は、いたって簡単な表現だが、個々の
企業活動には相当大きな違いがあると、私は信念をもって主張してき
た。
 
弁護士の安西愈氏は、『表示行為といえるためには、外界へ向けての
表白、表示がなければならい』ところ『明示と黙示との差異は、表示価値
の大小という相対的なものであって』言語以外の『個々の具体的事実を
総合して推認される意思表示』である、としている。
時間外命令を言語や文書でおこなうことが普通だが、時間外労働の認
定は言語や文字のあるなしではなく、個々の企業活動という個別、客観
的具体的な事実に基づき判断することが必要となると、私は考えている。
事実、特にマネジメントによる業務における判断格差は、人事実務をお
こなっていると、必ずみられることである。
会社が指示する時間外労働の判断基準と相違する判断で、マネージャー
が独自に判断でしているケースだ。
また、会社が指示をだして全社で画一的かつ一律に『黙示の意思表示』を
おこなっているケースは、客観的事実としては重大な法律違反に該当する。
まさに摘発されても致し方ないケースだろう。
 
安西弁護士は、さらに単に労働者が居残って残業をおこなっているとい
う事実のみでなく、客観的に残業が必要であった状況が認められなけれ
ばならないし、『労働させた』と推認できる諸事情が加わらなければなら
ない。
そこで、残業の自主申告制の場合において本人が申告しなかったもの
の上司が時間外労働を知りながら放置したという事実から黙示の時間外
労働の指示と認められるというものではなく、『時間外労働をせざるを得
ない』客観的事情があるか否かであり、残業をしなければならないやむを
得ない事情がある場合には、使用者が中止を命じなかったのは、その
労働を容認し、労働の結果を必要としたものと認められるので、特段の
事情がない限り黙示の時間外労働の業務命令があった、と解されると
している。
 
私が経験した範囲では、上記客観的事実の立証責任を企業へ転嫁す
ることが行政指導の目的になっており、企業側はこの点を明白にして
争うべきで、場合によっては訴訟を前提に対応すべき重要な論点だ。
人事責任者は、この点をしっかりと理解した上で、労働基準監督官の
主張に真正面から堂々と反論すべきだと考える。
 
2.必ずある黙示残業の例
 
臨検を受けた際、各部門別に勤務実態の把握をおこなうが、実際
は500名程度の規模であれば、人事は日常的に各部門の勤務実態
の把握ができている。
この規模でできていない場合は、人事に問題があると思われる。
企業規模が従業員1000名を超えるようになると、人事部門は勤怠
データから推測していかなくてはならないので実態把握はむずかしく
なってくる。
この場合の時間管理の責任は、部門責任者のマネジメント能力、
すなわち部下の業務実態把握と同時に時間管理を適切におこなって
いくことができる現業部門の管理能力に移管していくことになる。
あるいは現業部門における管理機能へ移管する。
 
多くは、ここで問題を発生させる。
なぜか。
 
日本企業の大きな特徴だと思われるが、先ず営業優先であり、時間
管理などどこ吹く風といった部門責任者が非常に多いことだ。
大手企業では、管理職研修などをおこなっているが、時間管理の在り
方について適切な指導をおこなっている企業は少数か、おこなってい
ても、常に本音と建前を使いわけている。
大部分は、日本企業特有の集団主義的企業運営の中で、適法性が
風化している。
この点では、上場企業では内部統制制度の観点から談合同様に経営
責任がとわれることになるので改善が進んでいくと思われる。
また、公益通報者保護法の施行により、極端な場合は、内部告発され
る場合も想定される。
経営者、管理者は従前からの意識で対応すると問題が社会化し、
企業業績をも左右することになりかねなない。
心しておいて欲しい。
 
私が在籍していた某企業では、上司は部下より早く帰社するか、上司
(管理職)自らが夜遅くまで業務を推進していた。
部下は、残業をおこなえば必ず全額残業代が支払われる。
勿論、36協定に基づく範囲を可能な限り厳守する。
このように適法に労働時間管理ができている企業は、その後転職したが
皆無である。
 
大体、経営者が残業をネガティブに考えている。
『能力がない者ほど賃金が高くなる』といい。
経営者は、そのため一定の賃金で長時間労働させることで生産性をあげ
ている、という錯覚をしている。
 
なぜ、錯覚か。
 
従業員は、経営者のこの姿勢を見透かして長時間労働にあわせた業務
量の調整をおこなっているからだ。
私から見ると、滑稽そのものであった。
日本のホワイトカラーの生産性が低い実態は、私は、経営者と従業員の
仕事に対する意識の低さがその大きな原因だと考えてる。
 
中小企業の多くは、このようなケースが多いと思われる。
一方、大企業における残業のケースは、残業時間だけ付加価値を創出
している。
このことが理解できるかどうかは、非常に重要な要素だ。
残業を忌避するよりは、営業活動の繁閑を従業員の労働時間で調整
するほうが、はるかに生産性があがる。
中小企業では、従業員の残業時間を増加させないために、さらに従業
員を雇用するといったちょっと馬鹿げたことをやる経営者がいる。
異常なほど残業を嫌う。
日本の雇用を考える場合はこの方がよいかもわからない。
一種のワークシェアリングである。
 
黙示の残業命令は、ひとつは経営者の意識そのものだ。
もうひとつは、管理職による時間管理の意識の低さにほかならない。
経営者が時間管理について理解している場合、朝の出社が早く、夜は
早く帰社しているように思う。
反対に、黙示の残業命令になっている企業では、社長が夜遅くまで
仕事をしている振りをする。
理由は、単純に従業員の長時間労働を監視しているのだろうと思える。
これにあわせて管理職は、社長の視線を意識して、本人は長時間労働
が嫌であっても経営者の長時間労働に付き合っている。
このタイプは、間違いなく『経営者主導型黙示残業命令』だ。
 
他方、経営者は時間管理についてそれなりの意識があり、帰社時間
が早くなるように努力しているのだが、部長や課長の一部が長時間
労働こそが会社のための忠誠心、だと考えているタイプがいる。
いわゆる『管理職型黙示残業命令』である。
このタイプは、結論から言えば管理能力がない人材が大半だ。
いわゆる管理職として能力がない、と言ってよいと思う。
近年は、少数派になってきているようだが、人事部門からけん制を
しておかないと、残業だけではなく、退職者が増加し会社成長の
足を引っ張りかねない。
その上、労務問題を発生させるのもこのタイプが多い。
実際の企業事情においては、『経営者主導型黙示残業命令』が
多数派だと思われるが、官職タイプの一部には、能力がある者が
いるので、巧妙に時間管理をすり抜けたりする。
また、人事サイドから相当なプレッシャーをかけても簡単に引きさ
がらないし、絶対的な自信をみせる場合すらある。
人事からすると、一番やっかいなタイプだ。
最後の手段として経営者から直接指示をさせることになる。
もっとも人事として自分の能力のなさをもっとも感じる瞬間である。
自分のマネジメント能力において反省すべき瞬間だ。
時間管理の対応については、企業は常に真摯な態度で明確な改善
をおこなっておかなければならない。
平成22年の労基法改正においてもその中心は「時間管理」だ。
 
黙示の残業命令こそ、企業にとって具体的で個別的な内容になるの
で各企業は、実態がどのようなタイプかを明確に判断して人事は日常
業務おいて対応しておかなければならない。
 

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最終更新日 : 2014-10-07 10:15:54

時間外労働手当と労働慣行(1)

大多数の企業では、各種手当を設定しているのではないではないだ

ろうか

各種手当について明確な定義をしている企業は、大手企業では当り

まえだろうが、大部分の中小企業では明確な手当定義をおこなっ

ていなのではないかと考えている

 

各種手当の中で、営業における営業手当は、時間外労働分として

固定的に支払われているケースが多いのではないだろうか

また、役職手当は、定義されないまま支払われているケースが

多く、ただ漠然と支払われている手当のひとつ

これは手当導入時、時間外労働分休日出勤分として支払っ

ているようだが、実態は当初の定義が不明瞭になり明確な内容を

伴わない月例給(毎月定額で支払う給与)として支払われているケース

が多いと思われる

さらに就業規則において役職別の手当額は明示されていているが

手当の定義は明確になされていないことが多い

 

みなさんの会社でもこのような手当が、案外あるのではないだろうか。

 

もっとも支給される手当の内容が明確に定義されているものがあ

資格手当や扶養手当、住宅手当、通勤手当といった手当は、支給

の定義が明確で属人的な支払基準を有してい

 

方、総合手当、業務手当、能力手当、勤務手当、勤続手当、職能

手当、職務手当などといった支給に対して、明確な定義がない手当

存在している。

このような手当については、大体口頭で「時間外労働分になっていま

す」といった、その会社の慣習で支給されているケースが、特に中小

業では多いように思

このような手当について、各社ごとに支給実態と内容を明確にして

くことが重要だ。

それぞれの手当の名称は同じでも各企業における運用実態は、かなり

大きな差があるからである

 

このような手当が、「時間外労働」として支給されているような実態が

あるのであれば、「労働慣行」として法的拘束力を有する場合があ

この点を企業運営の実態に即して対応することにな

また、労働慣行による法的効果の部分は、人事責任者が判断すると

同時に労働弁護士と十分な協議が必要になる

先ず自社の手当内容と運用実態の把握をおこなっておくことが大事だ

 


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最終更新日 : 2014-10-07 10:16:55

時間外労働手当と労働慣行(2)

前章で各種手当における残業見合分とされる労働慣行について書いたが

実態を確認するとともにもうひとつ注意すべき点があ

 

給与として支給される各種手当が残業分として明確になっている場合、

支給総額からこれら残業見合分の手当を差し引いた金額が基本給、

あるいは時間外労働における基準賃金とな

むろん時間外労働算出における基準となる各種手当は、限定

列挙されていますので、各種資料で確認しておい欲しい

 

各種手当(残業見合分とされる)額を差し引いた賃金を所定労働時間で

割り返して「時間給」が算出され

ここで重要なことは、この「時間給」が最低賃金をクリアしていること

必要だ

当然が、最低賃金を下回るような時間給は違法になる

多くの企業では、先ずもって最低賃金をクリアしており大丈夫だと思われ

が、必ずチェックしておくこと

このような手順を自社の時間外対象の全社員について実施しておく

 

これまでの賃金管理では、大体このよう明確な算出をおこなっておらず、

大半が賃金平均や時間外労働時間の平均で算出されていると思われ

で、原則に戻って社員の個別実績に基づき確認しておくことだ

 

さらに各種手当額(残業見合分とされる)に対応する時間外労働時間の

チェックが必要にな

自社の社員の勤務実態を確認して、時間外労働に該当すると思われる

就業時間を把握する

各社員別に月間の時間外労働時間を確認し、月間の時間外手当を算出

する

ここで算出した各社員別の時間外手当の金額と各種手当額(残業見合分と

される)を比較することになる

各種手当額以内で各社員の時間外手当が収まっていれば、未払時間外手当

は発生しない

一方、時間外手当が各種手当を超えた場合、未払時間外手当があることに

すべての社員ごとに、前述の差異の実態調査をおこな

これらの再計算が完了すれば、自社における時間外手当支給における実態

把握ができたことにな

その上で、未払時間外手当がなければ、次の対策をおこなう。

 

勿論、未払時間外手当が発生していれば、社員別の実態に応じて未払分を

支給することにな

 

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最終更新日 : 2014-10-07 10:18:11

時間外労働手当と労働慣行(3)

これまでの経過を踏まえて自社における時間外労働の実態を説明

しても、労働基準監督官は、「黙示の業務命令」に固執するだろう。

この点、今般の行政指導の大きな問題だと考えられる

実態は、結論ありきの指導・勧告になっていることだ

人事責任者は、責任を負った時点で自社の労務管理体制について

信念をもって対応していくことだ

企業における時間管理は、これまで以上に複雑になっていくだろうが、

人事責任者は、このような複雑さの中に埋没することなく、大局的

視点に立ち、企業内の労務管理に敢然と立ち向かっていく姿勢が、

これまで以上に要求されることを忘れないで欲しい。

さて、労働慣行だが、このままでは監督官納得するわけがない

そこで明文化を検討することにな

つまり諸手当をどのようにして明文化するか、ということが、

それには、前章でいたように諸手当の実質的な内容、すなわち

実態(慣行)の有無が重要にな

また、この労働慣行の実態は、企業別に大きな相違があるところ

から十分慎重に検討してもらいたい

間違っても思い込みや他企業のまねだけでは、監督官から手厳しい

判断をくだされてしまい、担当者として窮地に追い込まれることにな

あくまで個別企業における実態(慣行)の把握と労務管理上、時間外

労働を運用するシステムの精度等、個別具体的な事実の積上げが

必要

また、労働弁護士と上記実態(慣行)における事実関係につい徹底的

に議論をおこなって欲しい

時間外労働と労働慣行の事実認識の共有と法的根拠に基づき、就業

規則を修正することにな

修正内容は、「諸手当を時間外労働とみなす」という条文の追記だけに

なる

非常に簡単なものが、事実関係を明確にしていない企業がこのような

条文の追記をおこなうと、再臨検時に摘発されることになので、事実

の積上げと時間外労働の管理システム、労働弁護士による追認があっ

はじめて修正可能となるもの

さらに就業規則の変更には、当然だが労働者代表の意見書の提出が

必要にな



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最終更新日 : 2010-11-26 23:31:29

この本の内容は以上です。


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