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4.4 クリーニング(完璧なインスペクションを終えてから) 
フィルムの汚れやカビは、毛羽立たない綿布に専用クリーナーを含ませて丁寧に拭きとります。ただしパーフォレーション壊れがある場合、布は使わないでください。クリーナーを布に染みこませ、折った布の間にフィルムを挟んで巻き取ってください。このときフィルムを指でしっかり押さえ、リールに巻き取るまでの間にフィルムクリーナーが乾く程度のゆっくりした速度で巻き取ってください。エマルジョンが剥がれる恐れがあるので、水などの液体は一切使用しないでください。フィルムクリーナーは肌に悪いので、ゴム手袋(ラテックス素材や医療用のパウダーのかかったものではなく、食器洗いに使うようなタイプ)を使用します。クリーニングは換気の良い部屋でおこなってください。フィルムを傷つけることがないよう綿布は柔らかいものを使用し、汚れがひどくなったら、すぐに新しい布に取り替えてください。 

フィルムはローラー式の埃取りできれいにすることもできます。ポリウレタンのローラーが、35mm映写機などの機器とセット、あるいは別売品として販売されています。フィルム表面の大きめの埃や髪の毛がローラーの表面にくっついてとれ、ローラーは水洗いもできます。ただし高価なので小規模なコレクションには向かないでしょう。 

5.映写 
 
映写機なしでは役に立たないのがフィルムですから、その長期保存を考えるとき、映写機の不調を見逃すわけにはいきません。そもそもフィルムを雑に扱うなどというのは許されざるべき行為です。巻き取りリールや軸棒の反り、破損などはエッジを傷める原因となり、フィルム全体をも台無しにしてしまいます。映写機部品用のオイルはフィルム表面に堆積することがあります。フィルムがゲートに詰まると高熱に晒されてあぶく状に膨れ、フレーム焼けを起こすことがあります。映写中に起こるダメージの代表格で、もっとも腹立たしいのは、ひっかき傷とすり傷でしょう。

毎回、使用前にリーダー(黒味)をループにして家庭用映写機にかけ、数分まわしてから傷がついているかどうか調べてください。傷がつくようなら映写はできません!ベース面の傷はディフューズをかけるか、またはウエットゲートを使用するなどして複製すれば消すこともできます。しかし、乳剤面の傷はその部分の画像情報を永遠に消し去ってしまいます。いずれにしても、フィルムそのものに一度ついた傷は永遠に消すことができません。機材はかならず清潔に保ってください!! 
 
※ディフューズをかける
フィルターを使用してフィルムを焼き付けることを指し、最近ではほとんど使われることがない。

映写前には必ずインスペクション作業を行ってください。映写機にかけてもフィルムが傷むことがなく、上映にかなう状態であることが確証できないときは上映しないでください。縮みがひどく、スプロケットをスムーズに通らないフィルムは上映できません。フィルムに汚れがなく、スプライス箇所が上映中に剥がれたりしないことも条件です。 

6.複製 
 
6.1 テレシネ 
テレシネ(DVDなどへのメディア変換)の利点は、オリジナル素材を傷めることなく容易に作品にアクセスできることです。しかしDVDで鑑賞するだけというのはおすすめしません。フィルムを上映するのは保存するのと同じくらい重要なことですし、テレシネを「保存」ととらえるべきではありません。古くて縮んでいるフィルムは注意が必要です。すべてのテレシネ取扱店がそのようなフィルムを扱う設備を整えているとは限りません。スプロケットのないドライブを使用するテレシネであれば、費用はかかりますが、縮んだフィルムでも比較的ダメージを与えることなく処置できるでしょう。フィルムを専門業者に送るときは、希望する仕上りを事前に詳しく説明しましょう。

6.2 フィルム → フィルムへの複製 
適切に保管されたフィルムは、ビデオテープやDVDより長持ちします。その理由は、いかにデジタル技術やそのフォーマットが頻繁に変化するかを考えればわかるはずです。フィルムアーカイブは伝統的に「映画保存」という言葉を複製(ネガとポジを焼くこと)と同義で使用してきました。フィルムからフィルムへの複製は高価ですが、大切な作品ならば検討に値するでしょう。近年では16mmや8mmでも、長期保存用(アーカイバル)プリントを焼けるだけの設備を整えた現像所が(欧米においては)増えつつあります。 

7.収蔵準備

収蔵準備とはつまり、フィルムを保護するためにフィルムアーカイブ仕様のケースに入れ、外部の環境から構造上フィルムを守るということです。フィルムアーカイブ仕様の缶やコアは、フィルム素材との間で化学変化を起こさない不活性プラスティックでできています。フィルムアーカイブ仕様の金属缶は、錆防止剤に加えて不活性剤でもコーティングされています。
7.1 コア 
16mmと35mmは、リールよりもコア巻きの状態で保管するほうがおすすめです。リールは錆びる可能性もありますし、湾曲したり壊れたりしてフィルムにダメージを与えるかねません。コアは直径2インチのものより3インチのものが保存に適しています。3インチであれば、コアに近い部分の巻きがきつくなり過ぎないので、カーリングなどの現象も防ぐことができます。巻き取りの際は最後まで同じテンションを維持してください。きつすぎず、緩すぎず、均等に、そして表面が平らになるようにしてください。表面がガタガタでエッジがはみ出すようなことがあると、それが原因でフィルムが傷んでしまいます。フィルムがコア上にきちんと巻かれ、固い円板状になる程度のテンションで巻いてください。誤ってフィルムからコアを抜いてしまわないよう注意してください。フィルムが螺旋状にぱらぱらと落ちて収拾がつかなくなります。フィルムは、できれば素手で扱わないほうが良いでしょう。その代わり、缶(または缶の蓋)やスプリットリールの片側をお皿のようにして、フィルムを乗せるようにすれば比較的安全に扱うことができます。大切なフィルムですから、事前にジャンクフィルムを使って何度も練習してください。後になって、もっと練習しておけば良かった、などということにならないようにしましょう。

しかし、頻繁に使用するフィルムであればリールに巻いた状態のままのほうが便利です。その場合も、ロールの状態が均一かつ水平であることを確認し、エッジが折れたり曲がったりしないよう注意してください。リールが曲がっていないか、錆びていないか、壊れていないかどうかを事前に確かめてください。

7.2 スーパー8 
化学的にも物質的にも、レギュラー8やスーパー8と、そのほかのフォーマットのフィルムに何ら違いはありません。ただし、サイズが小さいことから保管上の問題が生じます。フィルムアーカイブの中には、35mm用コアを糸ノコで削り、オリジナル8mmコアを作っているところもあります。とはいえ、8mmは取扱いがとても難しいので、プラスチックのリールに巻いたままのほうがむしろ便利かもしれません。50フィート・リールの状態で所持している場合は、保存のためにはもっと大きなリールに繋ぐべきでしょう。リールのサイズには何種類かありますが、中でも200フィートまたは400フィート用をおすすめします。保存用リールのハブ(中心)が小さければ小さいほど、フィルムはカールしやすくなります。もし何本かを繋げるのであれば、オリジナルのケースを捨てずに取っておくか、あるいはケースに記されている情報をすべて写し取ってください。そしてその情報は、新しいリールとともに保管してください。また、繋げるときはそれぞれの作品の最初にリーダーを挿入し、タイトルを書き込むことをおすすめします。音声のオープンリールは合成樹脂ゴムを使用しているものが多く、長期保存には適しませんし、映写機にもかけられないことがほとんどなので、兼用は避けてください。 

7.3 缶と箱

フィルムはフィルムアーカイブ仕様のプラスチック缶、または金属缶に入れましょう。あるいは新品の中性紙箱を用意してください。缶や箱は密封すべきではありません。冷凍する場合を除いて、テープ留めも避けてください。缶に蓋をすることは問題ないのですが、密封は良くありません。化学的に安定させるには冷蔵するのが最適な保存方法ですが、これについては「8.家庭での収蔵」で詳しく解説します。フィルムはエンド、つまり作品のおわりが外側にきている状態で保管してください。そうすれば、上映前に一度は必ず巻き取る必要が出てきますし、巻き取る際に上映前の点検ができます。
 
缶は水平に保管し、重いものを上に乗せないようにしてください。縁が歪み、缶の中の通気が悪くなります。缶は積み重ねても構いませんが、ナイトレートの場合は最大でも2缶までにしてください。

7.4  リーダー 
汚れや傷みのあるリーダーは外し、新しく付け替えてください。プラスチックのリーダーはアセテートのリーダーに比べて縮み方がまばらになることがあるので、コダック社製の(あるいは富士フイルム社製の)アセテートかポリエステルのリーダーを購入しましょう。トップリーダーもエンドリーダーも、フィルムを何重か巻けるだけの十分な長さがあることを確認してください。上映時のダメージは往々にしてリールのはじめとおわりに起こるものです。リーダーを付けることで、映写時だけでなく、保管している間にもフィルムを守ることができます。

7.5  ラベル貼り 
フィルムにラベルを貼るというのは、忘れてはならない作業です。各巻の各フィルムに、「タイトル、巻数、ネガ/ポジ/オリジナル・ネガ/音ネガ等の種別」を明記しましょう。リーダー上にトップまたはエンドの別を記すのも良いアイディアです。アーカイバル仕様のインクのペンを使ってください。画材店などで入手できます。摩擦で消えないことを確かめてください。もし特殊なフィルム(例えばハンドペイント)であれば、それもリーダーに明記してください。言うまでもなく、フィルムを入れる缶や箱にもラベルを貼ってください。すべてのフィルムケースにラベルを貼り、フィルムに何か変化を加えたら、その都度記録を残すことをおすすめします。また何を何処に収蔵しているかも記録してください。簡単なリストを作成するか、あるいはパソコンに記録しておくと便利でしょう。フィルムに対応するタイムシートなどの紙資料も捨てないでください。統一感のあるラベルはあなた自身にとってだけでなく、現像所やフィルムアーカイブ、そして、あなたのフィルムを受け継ぐ次世代の人々など、将来的にあなたのフィルムに触れることになるすべての人々の役に立つでしょう。 
 
8.家庭での収蔵 
 
理想の収蔵場所とは、温室度を制御できる場所です。低温度と低湿度は映画フィルムの延命の素です。通常の条件̶例えば室温が摂氏20度・相対湿度50%の場合、色素は褪せ、トリアセテート・ベースのフィルムは長期保存の許容範囲を超えた速度で劣化します。冷やすことと乾燥させることがフィルムの長期保存にはもっとも重要です。頻繁に使うフィルムではないのなら、家庭用の冷凍庫が代替保存庫として適しています。長期とは、ここでは「数ヵ月以上」を指します。冷凍庫や冷蔵庫は温度の調節は可能ですが、湿度を正しく調整することができません。そこでミクロ環境の湿度を調整するため、防水包装をする必要があります。

※ 摂氏→華氏の換算公式:(華氏温度)= 1.8℃(摂氏温度)+ 32 
 
※ 絶対湿度 
容積中の水分量(g)。基本的には、1立方メートル中(1m×1m×1m)の水分重量を示す。 
 
※ 相対湿度 
飽和水蒸気量(水が空気中、気体でいられる最大量の絶対湿度)に対しての割合(%)。飽和水蒸気量は気温が上がると増え、下がると減る。 


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