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1.はじめに

書棚や引き出しの中、あるいは押入れの奥には、今も実に多くの映画フィルムが眠っています。中には新品同様の16mm実験映画も、1930年代の8mmホームムービーもあるでしょう。汚れているもの、褪色しているものもあれば、現像所から届いたその日と変わらない鮮やかな色を留めているものもあるはずです。いかなる映画フィルムも有機物を含んでいるため、有機物の宿命ともいえる腐蝕は避けられません。過去数十年にわたり、世界各国の映像アーカイブはフィルム保存の技術を次々と見い出してきました。その技術の多くは、規模が小さく資金も限られている個人のコレクションには複雑かつ費用がかかり過ぎるものとされてきましたが、しかし実のところ、家庭に収蔵されているフィルムに応用することもできるのです。本書はとくに個人コレクションに頻繁に見受けられる種類のフィルムに焦点を絞り、フィルム保存についての実用的かつ基本的な情報を提供します。加えて、映画フィルムの安定性を左右する様々な要因について考察し、インスペクション(点検)、取扱い、クリーニング、補修、収蔵準備の適切な進め方、そして理想的な収蔵方法についても述べることとします。 

 2.フィルム考察:ストックとサウンド・トラック

市販されている映画フィルムには多くの種類があり、それぞれに特質が異なりますが、どのフィルムにも共通するのは「ベース」(支持体)と「エマルジョン」(乳剤)という二つの主要な部分から成り立っている点です。エマルジョンとはゼラチンの中に画像となるもの(ハロゲン化銀粒子または色素)を分散させた薄い層のことです。そのゼラチン層が透明なベースにコーティングされているのが映画フィルムです。ベースにはアセテート、ナイトレート、ポリエステルの三種があります。

※ エマルジョン(乳剤)
エマルジョンとはゼラチンの薄い層を指し、画像はここに潜んでいる。エマルジョン面はベース面とくらべて艶(つや)がなく、マットな仕上げになっているので区別がつく。一方のベース面はすべすべしていて艶がある。カラーフィルムの場合は両面に艶があるが、フィルムを光にあてれば区別できる。

2.1 フィルム・ベース
2.11 ナイトレート
初期の劇場公開用35mmフィルムは、ナイトレート(硝酸)セルロース・ベースを使用して製造されていました。ナイトレートフィルムは極めて燃えやすく、いちど発火したら完全に燃え尽きるまでその火が消えることはありません。そのため「危険物」に指定され、映写・保管・輸送は法律で厳しく制限されています。もしあなたのコレクションの中にナイトレートが含まれるなら、できる限り低温で保管し、間違っても密封はせず、通気性の良い缶を使用してください。不燃性フィルムからは隔離しましょう。詳しい取扱い方法はフィルムアーカイブにご相談ください。

ナイトレートには特徴的な甘い臭い(硝酸臭)がありますが、コダック社製のフィルムの場合、画像の確認できるところまで巻き取ってエッジを調べるのがもっとも容易な識別方法です。1920年代に不燃性フィルムが登場して以来、コダック社はほとんどすべてのナイトレート製品のエッジに「NITRATE FILM」と印字しましたエッジを確認しても判然としないときは、現像所にナイトレートの識別テストを依頼することもできます。

ナイトレートが化学的に不安定な素材であることはよく知られていますが、近年の研究から、適切な条件下、つまり気温の低い環境下におけるナイトレート・ベースのフィルムは、かなり長期に渡って保存できることがわかっています。

※ ナイトレート識別テストの一例
トリクロロエチレンにフィルムの断片を入れ、試料が沈殿すればナイトレート・ベース、浮遊すればアセテートないしはポリエステル・ベースと識別できる。

2.12 アセテート
アマチュア作家や自主映画の監督が使用するほとんどの16mmと、おそらくすべての8mmフィルムのベースは、アセテート(セルロース・アセテート・プロピオネートまたはセルロース・トリアセテート)です。アセテートはナイトレートほど燃えやすい性質ではないため、ポリエステル・ベースと並んで一般に不燃性(セイフティー)フィルムと呼ばれ、家庭での使用にも危険はありません。米国内で製造されたすべての16mm、8mm(および米国内で1952年以降に生産されたすべての35mmフィルム)は不燃性です。

2.13 ポリエステル
ポリエステル・ベースのフィルムはマイラー、またはエスターとも呼ばれます。1950年代に初めて登場し、近年では16mmのネガと上映用プリントへの使用が急増しました。コダック社は撮影用ネガフィルムにはポリエステルを使用していません。

2.3 リバーサルVSネガ

アマチュア映像作家および個人コレクションの16mmと、おそらくすべての8mmはリバーサルフィルムです。つまり、撮影に使用したのと同じフィルムが現像されて上映用プリントになります。ネガがないわけですから、リバーサルフィルムは唯一無二のオリジナルとして慎重に扱う必要があります。ネガ/ポジ工程に比べてリバーサルの優れている点は、フィルムの量が半分で済む、つまりコストが低く抑えられることです。欠点は、上映のたびに(上映回数は時に100回を越えることもあるでしょう)あらゆるリスクを負うことです。リバーサルフィルムを複製するには、同じくリバーサルフィルムに密着焼きすることになります。その場合、画像はオリジナルに比べて鮮明さを欠き、コントラストも高くなってしまいます。16mmネガが手元にある場合、同時期に焼いたポジと同様にネガも劣化(例えば褪色)することを忘れてはなりません。しかし、物質的にはネガのほうが上映用ポジより劣化の可能性が低いといえます。

2.4 サウンド・トラック


古いフィルムや自主制作のフィルムには、光学録音(オプチカル)と磁気録音(マグネ)という2種類の録音方式があります(商業映画の世界では現在、光学録音に加えてデジタルトラックが使用されています)。光学録音は細い光線をフィルムにあて、異なる濃度の光のセンサーを電気信号に変換し、さらにその信号を音声に変換するという仕組みです。一方、磁気録音はフィルムのエッジに沿った酸化帯に記録され、映写機の再生ヘッドで読み取るものです。磁気録音のシステムはカセットテープと同じです。見た目も同じく艶のない茶系色をしていて、これがフィルムのエッジに塗布されています。 とくに自主制作の音付フィルムの場合、スーパー8より16mmのほうが広く普及しました。音声をオープンリール、カセットテープ、近年ではDAT等に別録音することもよくあります。ミキシングの後、音声は光学録音(現像所に依頼した場合)、またはフルコートの磁気トラックとして処理され、音付プリントになります。


2.41 スーパー8&レギュラー8
スーパー8または16mmには、光学録音も磁気録音も両方あり得ますが、音付のレギュラー8の場合は、現像後に加える磁気録音のトラックがほとんどです。当時、録音にお金をかけたのはとくに熱心なアマチュア作家に限られたため、実際、初期のホームムービーで音付のものは珍しい存在です。録音機材自体は1930年代から入手可能でした(プロ仕様で、光学録音・磁気録音切替式の機材があったようです)。1973年、コダック社がスーパー8のサウンド・オン・システムを発売すると次第に撮影用カメラにもマイクが装備されるようになりました。スーパー8は現像後に音を加えることもできました。録音や音声を付ける装置を備えた映写機もありました。音声を加えるとフィルムの片側だけに厚みが増しますが、これを避けるため、磁気録音フィルムはサウンドトラックの反対側に「バランスストライプ」と呼ばれる何も記録されていない磁気ストライプを持っています。これによって、リールに巻いても両側のバランスが保たれます。スーパー8の磁気録音カメラには18fps[FPS=frames per second(フレーム数/秒)]と24fpsがありますが、中にはこれとは違った速度のものもあり (たいていは1フレーム分速いか、あるいは遅い)、再生時に注意が必要です。 

2.42 サウンドと画のずれ
映写機のサウンドヘッドは、画像を投影するレンズより後部に設置されているので、サウンドはフィルム上で本来対応している画像のすぐ隣に並行しているのではなく、若干先行しています。この差はレギュラー8の磁気録音(希少)の場合56コマ分、スーパー8の磁気録音で18コマ分、スーパー8の光学録音で22コマ分、16mmの光学録音で26コマ分、16mmの磁気録音で28コマ分に相当します。
2.43 磁気録音
磁気録音の音付フィルム(とくに独立したフルコートの磁気録音)は、ビネガーシンドロームにかかりやすく、音の付いていないフィルムや光学録音の音付フィルムよりも注意が必要です。劣化の兆候があらわれた時点で、できるだけはやく再録音するのが最善策です。湿気を帯びるとサウンドトラックが粘着性を持ち、部分的にはベースが隣接するフィルムにくっついてしまうこともあります。こうなると、トップ(作品のはじまり)を外側にして保管している場合、再生時にこもった音が聞こえることがあります。画像と同様にエンド(作品のおわり)を外側に保管すれば、さほど耳障りにはならず、エコーのように聞こえる程度で済みます。

3.敵を知ろう:ダメージと劣化

フィルムの傷みは三つのカテゴリー(機械的・生物学的・化学的)に分けて考えることができます。ここではダメージや劣化の原因について述べ、劣化をくい止める技術を紹介します。
 
3.1 フィルム年齢の確定
フィルムの状態は必ずしもその製造年によるものではありませんが、フィルム年齢を調べるに越したことはありません。まずはフィルムの製造番号を確認してください。コダック社製のフィルムにはエッジに沿って小さく製造コードが印字されているので、このコードから製作年を割り出すことができます。ただし製造から数年を経て撮影に使用される場合もあるので、これがそのまま製作年にあたるとは限りません。またコダックのコードは20年周期で同じものが使用されています。したがって1955年のコードと1975年のコードはまったく同じなわけです。そうなると、画像から年代を推察する必要も出てきます。オリジナルではなく、複製を所蔵している場合は、どの世代のフィルムの製造コードなのかを判断する必要があります。現像所でプリントの際に前世代のコードが焼き込まれる場合(プリントスルー)もあります。すべてのコードを書き出して、もっとも新しいものからそのフィルムの年齢を判断してください。 

3.2 裂け/破れ
フィルムが裂けたり破れたりするのは、たいてい巻き取り時か映写時の不適切な取扱いが原因です。また、古いスプライスが剥がれてきたときにも同様の問題が起こります。すべての裂け、破れ、スプライス壊れは、テープ・スプライサーかセメント・スプライサーで補修しなくてはなりません。



3.21 パーフォレーション壊れ
パーフォレーション破損もよく起るダメージの1つです。これは映写機へのセットの仕方が不適切な場合に起こります。フィルムのトップ/エンドや悪質なスプライスの前後にとくに著しいので、トップにもエンドにも十分な長さのリーダーを付けて悪化を防ぎましょう。古いスプライスはすべて補修し、フィルムはメンテナンスの行き届いた映写機に正しくセットしてください。縮んだり脆くなったりしているフィルムは絶対に上映しないでください。

3.22 傷
映写機のローラーの傷や埃が原因となって、上映中にフィルムの両サイドに傷がつくことがあります。すり傷は映写機だけが原因ではなく、フィルムの巻きがきつすぎたり緩すぎたりするだけでも起こります。現像所、撮影現場、あるいは編集段階でも傷がつく可能性はあります。傷の原因になるので、フィルムの端は決してきつくコアに巻つけないでください。フィルムの「若返り」方法としてのコーティングやラッカー塗布はおすすめできません。害のある化学薬品が含まれていないとも限らないからです。ベースの傷は複製の際に(フィルムからフィルムへの複製でも、テレシネでも)ウェットゲート・プリントによって目立たなくすることができます。これはフィルムを一時的に溶剤に浸すことで、溶剤が傷を埋める役割を果たし、新しいプリントに傷が焼き込まれることを防ぐ方法です。

3.3 生物学的ダメージ
フィルムは保管中に傷んでしまうことも十分考えられます。とくに高温多湿の気候において、あるいは地下室や車庫のような湿気の多い場所においては、フィルムのエマルジョンにとって致命的なダメージとなるカビや菌類の発生が懸念されます。カビは徐々にエッジ近くからフィルムに被害を与え、最終的には全体に広がります。ときには艶のない水玉のようなシミとして残ったり、画面全体にうっすらとカビが生えたりすることもあります。生物学的劣化を防ぐためには、適切な保管場所を用意しなくてはなりません。とりわけ夏期は湿度が長時間にわたって高くなる場所を避け、換気をよくしてください。

3.4 化学的ダメージ
ナイトレートやアセテートのようなフィルムを構成する物質や色素の化学変化は、避けようがありません。 

3.41 ナイトレートの劣化
ナイトレートの化学変化は時の経過とともに起こります。今日残存するナイトレートの状態はつまるところ、そのフィルムの製造と保管の歴史をありのままに体現しているのです。劣化段階はその特徴的な変化に沿って5段階に分類されます。以下にあげるのはもっとも広く利用されている劣化5段階の判断基準です。

○ ナイトレートの劣化
ステージ1:画像がアンバー系に変色または褪色する。微かな有毒臭を発する。フィルム缶の輪状のサビがロール上に転移する。
ステージ2:エマルジョンが粘着化し、巻き取りの際にフィルムとフィルムがくっついてしまう。
ステージ3:フィルムの一部がぐにゃぐにゃになり、ガスを発生して泡状に膨れ、刺激臭を放つ。
ステージ4:フィルム全体が柔らかくなり、一つの塊となる。表面が粘り気のある泡で覆われる場合もある。とても強い刺激臭を発する。
ステージ5:フィルムのかたまりが崩れるか、あるいは完全に茶系色の粉末になる。この粉が何らかの刺激によって発火する可能性もある。

3.42 アセテートの劣化:ビネガー・シンドローム
アセテート・ベースのフィルムはいわゆる「ビネガーシンドローム」の脅威にさらされています。劣化段階で発生する酢酸(ビネガー)臭からこう名付けられたビネガーシンドロームは、分子レベルで起こる化学変化に由来し、取り返しのつかない深刻なダメージをフィルムに与えます。水分・熱・酸が混ざるとベース面は酢酸を発生しはじめます。この過程は自己破壊的ともいえるものです。というのも、いったん分解がはじまると自ら分解を促し、劣化はさらに増幅するからです。フィルムが自己破壊点に達したとき、発せられる酢酸の量は急激に増加しはじめます。アセテートが先天的に持つこの性質には、気候が大きく関与しています。なぜなら、フィルムが取り込む水分の量は気温によって決まり、さらに熱が化学反応に必要なエネルギー源となるからです。ここで重要なのは「マイクロ/ミクロ環境」です。この用語はフィルム缶の内部の環境を指して使われます。ビネガーシンドロームは伝染のおそれがあるので、この病にかかったフィルムは「健康」なフィルムから隔離しなくてはなりません。ビネガー臭はアセテートフィルムの劣化の兆候として、もっとも顕著なものです。しかし、兆候はそれだけではありません。フィルムの状態は酸を検出する試験紙によって調べることで、フィルムの保存状態を客観的に判断し、必要な処方を把握できます。エッジの白い粉はプラスチック・ベースの分子が脆くなることによって発生し、ベースの破壊を意味します。さらに劣化が進行すると、フィルムは縮んでボロボロになります。1%以上縮んだフィルムは映写機にかけることによってさらに傷んでしまうので、上映しないでください。(「5.映写」参照のこと) 

※ ビネガーシンドロームを検出する試験紙
IPI=イメージ・パーマネンス・インスティチュート(所在地:米国NY州ロチェスター)が開発・販売している「A-D Strips」のこと。http://www.imagepermanenceinstitute.org/

縮みを回復する技術(リダイメンショニング)を施せば、完全な回復は無理でも改善することはできます。しかし回復は一時的なもので、フィルムを台無しにしてしまう危険もはらんでいるため、ネガやニュープリントを作成するときなどの最終手段として、あくまでも現像所など専門機関に依頼してください。 

 

○ アセテートの劣化 

1. 酢酸臭 

2. 縮み 

3. 反り(カッピング):フィルムがカーブして平らにならず波状になる 

4. クレイジング:エマルジョンが剥がれて画像がぐちゃぐちゃのモザイクのようになる 

5. エッジに白い粉が表出、バインダーの劣化(バインダー=ベースとエマルジョンのつなぎの役割を果たす部分) 

6. フィルムの巻きが角張ってくる (上部イラスト参照) 

7. フィルムが柔軟性を失い、乳剤面やベースが剥がれ落ちる 

 

3.43 褪色と劣化 

往々にしてフィルムには褪色などの化学的劣化がつきものです。これは現像の仕方に問題があったり、保管状態が長期にわたって不適切であったりすると起こります。褪色したフィルムは元には戻せません。しかし、より良い保存場所に移すことで褪色の進行を遅らせることは可能です。(「8.家庭での収蔵」参照のこと) 

 

4.検尺、取扱い、クリーニング、補修 

 

フィルムの状態検査は、今後のフィルムの運命を決定づける作業です。すでに劣化しているフィルム、または傷みの激しいフィルムが寿命をまっとうするには、適切な環境に保管されていなくてはなりません。縮み具合や傷み具合は、それ以上悪化させないためにも、きちんと把握しておく必要があります。深刻な場合は最寄りのフィルムアーカイブ、あるいは専門機関(現像所など)へ問い合わせてください。 


4.1 準備 

フィルムの取扱いと補修に必要なものは以下の通りです。ほかに(細かい屑が出るため)小型の掃除機やフィルムバスケットがあると便利です。 


・ 毛羽立たない布地 

・ フィルムクリーナー 

・ スプライシングテープまたはフィルムセメント 

・ 布手袋 

・ 不燃性のフィルムリーダー(新品) 

・ コア(巻き芯)とフィルム缶(フィルムアーカイブ仕様のもの) 

・ カッター、剃刀の刃 

・ はさみ(和ばさみ) 

・ アシッドフリーのテープ (画材用品、博物館仕様のもの) 

・ ルーペ、拡大鏡 (または古い映写レンズ) 

・ A-D Strips

・ パーフォレーション補修テープ 

・ 乾燥剤(富士フイルムの商品名は「キープウェル」) 

・ 埃よけマスク


まずは清潔な作業場を用意してください。フィルムを巻き取るときは、明るい場所で安定した台を使用してください。台の上にフィルム缶を乗せるときは、すり傷防止のために清潔なタオルで覆いましょう。金属製の道具類(例えばスプライサー)は電器店などで手に入る100%アルコールで清掃してください。90%アルコール(薬局などで売られているもので、残りの10%は水分)しかない場合は、メタル部分を拭きとった後、錆ないよう注意してください。フッテージカウンターやプラスチック製の道具は精製水を使用して汚れを落としましょう。 

 

フィルムを扱うときはコットンの手袋を着用し、こまめに手を洗ってください。テープスプライスの箇所が多いと、テープに綿毛が付く可能性もあり、またフィルムが裂けるといった新たなダメージにもつながりかねないので、場合によっては手袋をしないほうが安全です。フィルムはエッジを持つようにしてください。フレームやサウンドトラックに触れる場合は手袋を着用してください。皮膚から出る油がフィルムに付着しないように注意します。フィルムに触ると指紋が残ります。フィルムは非常に裂けやすい物質ですから、常に細心の注意を払ってください。 


4.2  巻き取り前 

【見ため】巻き取る前にフィルムのエッジを必ず確認してください。湿気の多い場所に保管されていたフィルムは、カビの被害を受けていることがあります。エッジにカビの被害がある場合、フィルムクリーナーをコットンに含ませてフィルムの巻きの流れに沿って丁寧に拭きとってください。全体的にカビに覆われている場合は、現像所に持ち込んでクリーニングを依頼するのが賢明でしょう。カビの種類にもよりますが、中には乳剤を食べて画像を消してしまうものもあります。カビがひどい場合は人体への影響もあるので、菌を吸い込まないよう注意し、マスクの着用を心掛けてください。工具店などには使い捨てのフィルター付マスクが、カビ用や煙霧用など用途別に販売されています。カビの生えたフィルムを扱った後は必ずすべての道具を拭き掃除して、他のフィルムにカビが転移しないよう注意してください。 

 

カビが発生していなくても、エッジのクリーニングはおすすめです。巻き取りの前に汚れを落として画像に汚れが付くのを防ぎましょう。


【臭い】フィルムの臭いをかいでみてください。樟脳(ナフタリン)の臭いは1920~30年代のフィルムにはつきもので、劣化の兆候とはいえません。乾燥しすぎて干からびるのを防ぐために使用されたと考えられています。劣化のはじまっているアセテート系フィルムは酢酸臭を放ちます。もし酸っぱい臭いがしたら、そのフィルムの劣化はかなり進行しているので、ほかの「健康な」フィルムから隔離し、優先的にフィルムからフィルムへの複製や低温保存をおこなってください。より正確に劣化の進行を知りたい場合は A-D Strips を使用してください。これは染料でコーティングされた紙片を使って、フィルムから発生している酢酸量を検知するものです (リトマス試験紙に似ています)。 


「ビネガーシンドローム」にかかったフィルムは以上のような方法で汚れを落とし、乾燥剤と共に保管することもあります。フィルム専用の乾燥剤は、密封したフィルム缶の中でフィルムを取り囲む水分や酢酸などを吸収します。 

 

現状でフィルムが室温管理されているのであれば、より低温、より乾燥した環境で保管できるよう工夫してみてください。そうすることでビネガーシンドロームや褪色といった劣化の進行は、間違いなく遅らせることができます。 


4.3 インスペクションと補修
指先でフィルムの両側のエッジをはさんで持ち、ゆっくりとフィルムを巻き取っていくと、エッジの傷みを感じることができます。マスキングテープやセロテープ(フィルムアーカイブ仕様ではないテープは酸性の接着剤を含み、フィルムと化学反応を起こして劣化の原因となります)、クリップやホチキスなどの付着物を丁寧に取り除き、接着剤の残りはフィルムクリーナーで拭きとります。エッジが滑らかであることを確認してください。エッジのトリミングには新品のはさみか剃刀の刃を使用してください。古いスプライスでテープの素材が不明のものは貼りかえます。古いテープを剥がすのは難しいこともありますが、クリーナーを多量に使用して少しずつテープを柔らかくして剥がしていってください。 

磁気録音のトラックで、とくに湿気の多いところに保管してあったものは、くれぐれもゆっくりと巻取ってください。サウンドトラック部分が剥がれて、フィルムの裏側にくっついてしまうことがあります。巻き取りのペースが速過ぎると、中央でフィルムが割けることもあります。万一このようなことが起こったら、スプライシングテープで補修してください。割け目がないかぎり、パーフォレーション(スプロケット穴)はテープで塞がないようにしてください。テープは両面に貼り、フィルムはエンドが外側にくるようにして保管してください。 
古いスプライスは両側に少し湾曲させて強度を調べてください。古いスプライスを剥がすときは、クリーナーを染み込ませた毛羽立たない綿布や綿棒などを使用してくさい。フレーム破損もスプライシングテープで補修することがあります。ライトボックスの上にフィルムをテープで固定してからテープ補修をして、最後にスプライサーで穴をあけます。簡単ではありませんが、スクリーンにこの避け目が映らないように補修するのが理想です。パーフォレーション壊れは、スプライシングテープを小さく切ってエッジのみをカバーし、後で穴をパンチする方法で補修することもできます(画像をテープで覆うことはできる限り避けるべきです)。最初から穴のあいているエッジ幅のテープを使用することもあります。こういったテープは16mm、35mm用などが販売されています。破損を悪化させないために、切れ目にV字型のカットを入れることもあります。

褪色の兆候は目視で判断してください。褪色は取り返しのつかない問題で、劣悪な収蔵環境、フィルムストックの品質の問題、不適切な現像処理などが原因と考えられます。70年代に製造されたカラーフィルムはとくに褪色しやすく、収蔵場所の問題や劣化の兆候というわけでもなく、ただひたすら褪色が進んでいきます。このクロモジェニック・カラーフィルムは化学的には安定しているものの、もっとも褪色しやすい種類のフィルムとして知られ、保存方法が悪ければ、その速度は信じられないほどです。フィルム保存には適切な環境が不可欠なのです。

※ クロモジェニック・カラーフィルム
カラーネガなど、発色成分(カプラ̶)がエマルジョンに含まれているフィルムのことで、内式発色フィルムとも呼ばれる。

有機体のフィルムベースは経年劣化によって縮むことが頻繁にあり、わかめ状に波打っているフィルムやお椀型にカールしているフィルムであれば、間違いなく縮んでいるといえます。しかしそうでない限り、目視だけでは縮んでいるかどうかわかりにくいこともあります 。スプライサーに固定されたピンにフィルムが合わないときは縮んでいると判断できますが、より正確に縮みを測定するために、同じフィルム幅の新しいリーダーと重ねて比べてみましょう。もしパーフォレーションがぴったり合わなければ縮んでいることになります。8mmの場合、ちょうど100フレーム分の新品のストックと重ねてみて、もし1フレーム分短ければ1%縮んでいるということになります。1%以上縮んでいるフィルムは上映できません。映写機のスプロケットや掻き落としでフィルムが傷む恐れがあるからです。縮みを測定する計器もありますが、とても高価です。

フィルムが劣化している場合、あるいは縮んでいて上映できない場合は、複製してフィルムを救う必要が出てきます。すぐにプリントを複製する予算が無ければ、冷凍して劣化の進行を最小限に留め、これを応急処置とします。(「8.家庭での収蔵」参照) 

効果としての着色や、わざと傷を付けたフィルムなどには細心の注意を払ってください。それが意図的な効果であることがわかるよう、ラベルに表示しましょう。このようなフィルムにはフィルム・クリーナーを使用しないでください。複製のために現像所に送る時などは特に配慮が必要です。どういった作品なのかをきちんと説明しないと、せっかくのフィルムが台無しになってしまうこともあります。

4.4 クリーニング(完璧なインスペクションを終えてから) 
フィルムの汚れやカビは、毛羽立たない綿布に専用クリーナーを含ませて丁寧に拭きとります。ただしパーフォレーション壊れがある場合、布は使わないでください。クリーナーを布に染みこませ、折った布の間にフィルムを挟んで巻き取ってください。このときフィルムを指でしっかり押さえ、リールに巻き取るまでの間にフィルムクリーナーが乾く程度のゆっくりした速度で巻き取ってください。エマルジョンが剥がれる恐れがあるので、水などの液体は一切使用しないでください。フィルムクリーナーは肌に悪いので、ゴム手袋(ラテックス素材や医療用のパウダーのかかったものではなく、食器洗いに使うようなタイプ)を使用します。クリーニングは換気の良い部屋でおこなってください。フィルムを傷つけることがないよう綿布は柔らかいものを使用し、汚れがひどくなったら、すぐに新しい布に取り替えてください。 

フィルムはローラー式の埃取りできれいにすることもできます。ポリウレタンのローラーが、35mm映写機などの機器とセット、あるいは別売品として販売されています。フィルム表面の大きめの埃や髪の毛がローラーの表面にくっついてとれ、ローラーは水洗いもできます。ただし高価なので小規模なコレクションには向かないでしょう。 

5.映写 
 
映写機なしでは役に立たないのがフィルムですから、その長期保存を考えるとき、映写機の不調を見逃すわけにはいきません。そもそもフィルムを雑に扱うなどというのは許されざるべき行為です。巻き取りリールや軸棒の反り、破損などはエッジを傷める原因となり、フィルム全体をも台無しにしてしまいます。映写機部品用のオイルはフィルム表面に堆積することがあります。フィルムがゲートに詰まると高熱に晒されてあぶく状に膨れ、フレーム焼けを起こすことがあります。映写中に起こるダメージの代表格で、もっとも腹立たしいのは、ひっかき傷とすり傷でしょう。

毎回、使用前にリーダー(黒味)をループにして家庭用映写機にかけ、数分まわしてから傷がついているかどうか調べてください。傷がつくようなら映写はできません!ベース面の傷はディフューズをかけるか、またはウエットゲートを使用するなどして複製すれば消すこともできます。しかし、乳剤面の傷はその部分の画像情報を永遠に消し去ってしまいます。いずれにしても、フィルムそのものに一度ついた傷は永遠に消すことができません。機材はかならず清潔に保ってください!! 
 
※ディフューズをかける
フィルターを使用してフィルムを焼き付けることを指し、最近ではほとんど使われることがない。

映写前には必ずインスペクション作業を行ってください。映写機にかけてもフィルムが傷むことがなく、上映にかなう状態であることが確証できないときは上映しないでください。縮みがひどく、スプロケットをスムーズに通らないフィルムは上映できません。フィルムに汚れがなく、スプライス箇所が上映中に剥がれたりしないことも条件です。 

6.複製 
 
6.1 テレシネ 
テレシネ(DVDなどへのメディア変換)の利点は、オリジナル素材を傷めることなく容易に作品にアクセスできることです。しかしDVDで鑑賞するだけというのはおすすめしません。フィルムを上映するのは保存するのと同じくらい重要なことですし、テレシネを「保存」ととらえるべきではありません。古くて縮んでいるフィルムは注意が必要です。すべてのテレシネ取扱店がそのようなフィルムを扱う設備を整えているとは限りません。スプロケットのないドライブを使用するテレシネであれば、費用はかかりますが、縮んだフィルムでも比較的ダメージを与えることなく処置できるでしょう。フィルムを専門業者に送るときは、希望する仕上りを事前に詳しく説明しましょう。

6.2 フィルム → フィルムへの複製 
適切に保管されたフィルムは、ビデオテープやDVDより長持ちします。その理由は、いかにデジタル技術やそのフォーマットが頻繁に変化するかを考えればわかるはずです。フィルムアーカイブは伝統的に「映画保存」という言葉を複製(ネガとポジを焼くこと)と同義で使用してきました。フィルムからフィルムへの複製は高価ですが、大切な作品ならば検討に値するでしょう。近年では16mmや8mmでも、長期保存用(アーカイバル)プリントを焼けるだけの設備を整えた現像所が(欧米においては)増えつつあります。 

7.収蔵準備

収蔵準備とはつまり、フィルムを保護するためにフィルムアーカイブ仕様のケースに入れ、外部の環境から構造上フィルムを守るということです。フィルムアーカイブ仕様の缶やコアは、フィルム素材との間で化学変化を起こさない不活性プラスティックでできています。フィルムアーカイブ仕様の金属缶は、錆防止剤に加えて不活性剤でもコーティングされています。
7.1 コア 
16mmと35mmは、リールよりもコア巻きの状態で保管するほうがおすすめです。リールは錆びる可能性もありますし、湾曲したり壊れたりしてフィルムにダメージを与えるかねません。コアは直径2インチのものより3インチのものが保存に適しています。3インチであれば、コアに近い部分の巻きがきつくなり過ぎないので、カーリングなどの現象も防ぐことができます。巻き取りの際は最後まで同じテンションを維持してください。きつすぎず、緩すぎず、均等に、そして表面が平らになるようにしてください。表面がガタガタでエッジがはみ出すようなことがあると、それが原因でフィルムが傷んでしまいます。フィルムがコア上にきちんと巻かれ、固い円板状になる程度のテンションで巻いてください。誤ってフィルムからコアを抜いてしまわないよう注意してください。フィルムが螺旋状にぱらぱらと落ちて収拾がつかなくなります。フィルムは、できれば素手で扱わないほうが良いでしょう。その代わり、缶(または缶の蓋)やスプリットリールの片側をお皿のようにして、フィルムを乗せるようにすれば比較的安全に扱うことができます。大切なフィルムですから、事前にジャンクフィルムを使って何度も練習してください。後になって、もっと練習しておけば良かった、などということにならないようにしましょう。

しかし、頻繁に使用するフィルムであればリールに巻いた状態のままのほうが便利です。その場合も、ロールの状態が均一かつ水平であることを確認し、エッジが折れたり曲がったりしないよう注意してください。リールが曲がっていないか、錆びていないか、壊れていないかどうかを事前に確かめてください。

7.2 スーパー8 
化学的にも物質的にも、レギュラー8やスーパー8と、そのほかのフォーマットのフィルムに何ら違いはありません。ただし、サイズが小さいことから保管上の問題が生じます。フィルムアーカイブの中には、35mm用コアを糸ノコで削り、オリジナル8mmコアを作っているところもあります。とはいえ、8mmは取扱いがとても難しいので、プラスチックのリールに巻いたままのほうがむしろ便利かもしれません。50フィート・リールの状態で所持している場合は、保存のためにはもっと大きなリールに繋ぐべきでしょう。リールのサイズには何種類かありますが、中でも200フィートまたは400フィート用をおすすめします。保存用リールのハブ(中心)が小さければ小さいほど、フィルムはカールしやすくなります。もし何本かを繋げるのであれば、オリジナルのケースを捨てずに取っておくか、あるいはケースに記されている情報をすべて写し取ってください。そしてその情報は、新しいリールとともに保管してください。また、繋げるときはそれぞれの作品の最初にリーダーを挿入し、タイトルを書き込むことをおすすめします。音声のオープンリールは合成樹脂ゴムを使用しているものが多く、長期保存には適しませんし、映写機にもかけられないことがほとんどなので、兼用は避けてください。 

7.3 缶と箱

フィルムはフィルムアーカイブ仕様のプラスチック缶、または金属缶に入れましょう。あるいは新品の中性紙箱を用意してください。缶や箱は密封すべきではありません。冷凍する場合を除いて、テープ留めも避けてください。缶に蓋をすることは問題ないのですが、密封は良くありません。化学的に安定させるには冷蔵するのが最適な保存方法ですが、これについては「8.家庭での収蔵」で詳しく解説します。フィルムはエンド、つまり作品のおわりが外側にきている状態で保管してください。そうすれば、上映前に一度は必ず巻き取る必要が出てきますし、巻き取る際に上映前の点検ができます。
 
缶は水平に保管し、重いものを上に乗せないようにしてください。縁が歪み、缶の中の通気が悪くなります。缶は積み重ねても構いませんが、ナイトレートの場合は最大でも2缶までにしてください。

7.4  リーダー 
汚れや傷みのあるリーダーは外し、新しく付け替えてください。プラスチックのリーダーはアセテートのリーダーに比べて縮み方がまばらになることがあるので、コダック社製の(あるいは富士フイルム社製の)アセテートかポリエステルのリーダーを購入しましょう。トップリーダーもエンドリーダーも、フィルムを何重か巻けるだけの十分な長さがあることを確認してください。上映時のダメージは往々にしてリールのはじめとおわりに起こるものです。リーダーを付けることで、映写時だけでなく、保管している間にもフィルムを守ることができます。

7.5  ラベル貼り 
フィルムにラベルを貼るというのは、忘れてはならない作業です。各巻の各フィルムに、「タイトル、巻数、ネガ/ポジ/オリジナル・ネガ/音ネガ等の種別」を明記しましょう。リーダー上にトップまたはエンドの別を記すのも良いアイディアです。アーカイバル仕様のインクのペンを使ってください。画材店などで入手できます。摩擦で消えないことを確かめてください。もし特殊なフィルム(例えばハンドペイント)であれば、それもリーダーに明記してください。言うまでもなく、フィルムを入れる缶や箱にもラベルを貼ってください。すべてのフィルムケースにラベルを貼り、フィルムに何か変化を加えたら、その都度記録を残すことをおすすめします。また何を何処に収蔵しているかも記録してください。簡単なリストを作成するか、あるいはパソコンに記録しておくと便利でしょう。フィルムに対応するタイムシートなどの紙資料も捨てないでください。統一感のあるラベルはあなた自身にとってだけでなく、現像所やフィルムアーカイブ、そして、あなたのフィルムを受け継ぐ次世代の人々など、将来的にあなたのフィルムに触れることになるすべての人々の役に立つでしょう。 
 
8.家庭での収蔵 
 
理想の収蔵場所とは、温室度を制御できる場所です。低温度と低湿度は映画フィルムの延命の素です。通常の条件̶例えば室温が摂氏20度・相対湿度50%の場合、色素は褪せ、トリアセテート・ベースのフィルムは長期保存の許容範囲を超えた速度で劣化します。冷やすことと乾燥させることがフィルムの長期保存にはもっとも重要です。頻繁に使うフィルムではないのなら、家庭用の冷凍庫が代替保存庫として適しています。長期とは、ここでは「数ヵ月以上」を指します。冷凍庫や冷蔵庫は温度の調節は可能ですが、湿度を正しく調整することができません。そこでミクロ環境の湿度を調整するため、防水包装をする必要があります。

※ 摂氏→華氏の換算公式:(華氏温度)= 1.8℃(摂氏温度)+ 32 
 
※ 絶対湿度 
容積中の水分量(g)。基本的には、1立方メートル中(1m×1m×1m)の水分重量を示す。 
 
※ 相対湿度 
飽和水蒸気量(水が空気中、気体でいられる最大量の絶対湿度)に対しての割合(%)。飽和水蒸気量は気温が上がると増え、下がると減る。 

8.1 室温と相対湿度 
通常の家屋(摂氏20度・相対湿度50%)に保管されている映画フィルムの平均寿命は40~50年ですが、明らかな劣化(例えばビネガーシンドロームや褪色など)がはじまる前に、もし摂氏10度分だけでも温度を下げれば、その寿命は100~125年にまで延びます。フィルムの延命のために推奨される保管環境は、摂氏4~10度・相対湿度20%〜40%です[参考:Preservation Calculator(IPI)]。極端な乾燥(相対湿度20%以下)はフィルムを脆くする可能性があります。一方で、じめじめした空気は低温度の環境でもカビの発生を促します。カビは通気を良くすれば防止できますが、相対湿度70%を超える日が数日続けば発生します。 
 
湿度にしても気温にしても、急激な変化は避けるべきです。冷凍はフィルムによくないと考える人が多いようですが、冷凍→解凍のサイクルをうまくコントロールすれば、フィルムは損傷を受けないというテスト結果が出ています。しかしながらフィルムに水滴がつくのは極めて危険なので、結露を避ける必要があります。 

8.2 フィルムの冷凍:5段階 
第一に、フィルムとその梱包物が室温にあることを確かめてください。フィルム素材の温度を釣り合わせるのにそれほど時間はかかりません。しかし、それ以前に湿気の多いところに保管されていたフィルムの場合は、乾燥にならすために2~3週間が必要となることもあります。フィルムを缶に入れた状態で蓋を開け、湿度50~60%を越えない室内でしばらく放置します。フィルムの冷凍準備にはそのような環境の室内が必須です。気温の高い日や蒸す日は準備日に適しません。条件によっては、フィルムや梱包物に結露が起こる危険性が高いからです。 
 
スペースと予算さえ許せば、フィルム専用のフリーザーを購入しましょう。コレクションの規模にもよりますが、家庭用冷凍庫や業務用の冷凍庫などの選択肢があります。

1. 缶/箱をアーカイブ仕様のテープで密閉し、できる限り真空に近い状態にする。 
2. 分厚いジップロックのフリーザーバッグに入れる(厚さ3ミル以上のものを使用)。 
3. 缶をフリーザーバックに入れ(複数缶をまとめて1枚に入れても良い)、バッグをテープで閉じる。バッグの中の空気は最小限に留める。バッグにラベルを貼り、開けなくても中味がわかるようにする。 
4. さらにもう1枚のバックに重ねて入れ、テープで閉じる。可能であれば、1枚目と2枚目のバッグの間に水分指示器を入れる。 
5. 上方からの圧力があまりかからないように冷凍庫の中に入れる。段ボール板を間に挿入してフィルムを支え、積み重なったフィルムを安定させる。 
 
※ 3ミル=0.0762ミリメートル。家庭用として日本の代理店から販売されているジップロックのフリーザーバッグは0.068ミリメートルなので、若干薄い。 

8.3 フィルムの解凍:ステージング 
冷凍状態[摂氏3度・相対湿度30%]から通常の室温[摂氏20度・相対湿度50%]へ移すときは、結露を防ぐためにその中間の状態で慣らす必要があります。慣らし室(ステージングルーム)の環境は、 気温、相対湿度ともに、冷凍状態の温度と室内の気温のちょうど中間の値をとるのが理想です。簡単に言えば、冷凍室から冷蔵室、そして作業場へと順に移して、フィルムに結露が起こらなければ問題ありません。 
 
ステージングの時間はフィルムのロールの大きさによります。小さいロールであれば短時間で済むでしょう。例えば400フィート、6巻もの、16mmの場合、25分で使用可能になり、3時間で完全に環境に順応します。水分防止袋を使えば外側が結露してもフィルムには影響がないため、ステージングの時間も若干短くて済みます。しかしながら、最短でも使用する1時間前にはフィルムを慣らしておくべきでしょう。冷凍状態からフィルムを使用するときは、袋を開ける前にフィルムを室温に慣らしてください。

8.4 収蔵場所の選択肢 
冷蔵するのが無理なら、どこにフィルムを保管すべきでしょう?あなたの自宅を見回して以下の可能性を探ってみましょう。 
 
◎ 屋根裏部屋には保存しない。屋根裏は夏になると暑過ぎ、季節による気温の変化が激し過ぎる。 
◎ 暖房器具、配管設備、セントラルヒーティングのパイプ、スプリンクラー、窓、電源、風呂場、台所の近くにフィルムを置かない。 
◎ 直射日光のあたるところにフィルムを置かない。 
◎ 湿気を避ける。地下室はたいていの場合、湿度が高く、カビの温床になりかねないので保存には向かない。地下室は水害の恐れがある。 
◎ 磁気録音のサントラに関しては、ステレオ用のスピーカーや業務用の電気ケーブルなどに使われている磁石に近づけないようにする。 
◎ 化学薬品、排気ガス、ペンキなどの近くにフィルムを置かない。高湿度の中での大気汚染も含む化学ガスは、画像の褪色や劣化を引き起こす。 
 
独立系の映画作家は、オリジナル素材を現像所のフィルム倉庫に預けることが多いようです。預ける前に現像所に保存環境を問い合わせてください。現像所との連絡は密に取るようにしましょう。現像所の倒産、移築、または売却をきっかけにフィルムが失われるケースは決して少なくありません。 

9.災害に備えて 
 
9.1  地理的分散 
オリジナル・ネガと上映用プリントを共に所有している場合(または同じ作品のプリントが2本以上手元にある場合)、火災や洪水などの災害に備えて、それぞれを別の場所に保管しておくのも一つの手です。ハリウッドの大手映画会社がネガとプリントを国内の別の場所に保管するというのは珍しいことではありません。しかし、いずれも湿温度が制御できて、適切な保管場所に限ります。そのような環境が保証されている場合のみ実行してください。 
 
9.2 洪水 
フィルムが洪水の被害にあった場合は、清潔な冷水にフィルムを浸した状態で現像所に持ち込んでください。そして現像所に洗浄と乾燥を依頼してください。 

10.用語解説 
  
[あ]

アーカイバル ARCHIVAL 
広義には、100年単位の長期保存にかなう収蔵庫や空調などの設備が整っている状態のこと。フィルムアーカイブ内で使用する備品(保存容器、梱包材、包装紙など)を指す場合は、所蔵品の長期保存に際して悪影響を及ぼすことのない素材、つまり化学反応を起こさない(不活性)素材を指す。 
    
アーカイバル・プリンティング[フィルム→フィルムへの複製] ARCHIVAL PRINTING 
復元を専門とする現像所(ラボ)でおこなう複製作業。縮みや乾燥など、劣化の兆候がみられる古いフィルムも傷めることなく扱えることが条件となる。通常は、現存するネガからプリントを作成すること、または現存するプリントからネガ(インター・ネガ)と新しいプリントを作成することを指す。現状ではフィルムからフィルムへの複製を繰り返すことが最善のフィルム保存方法とされている。 
 
アウトテイク OUT-TAKE 
最終プリントの段階で結局使われることのなかった場面を撮影したフィルム。 
 
アセテート ACETATE 
フィルムのベースの一種。遅撚性。ナイトレート・ ベース(可燃性)のリスクを回避するため、1920年代にアマチュア用フィルムとして生産が開始された。ナイトレートの製造が中止された1950年代初頭からは、35mmベースの主流を占めるようになる。アセテート系ベースにはダイアセテートとトリアセテート(=セルロース・トリアセテート/トリアセテート・セルロース/3酢酸セルロース/TAC)がある。近年ではトリアセテートが主流で、ポリエステル・ ベースとともに「不燃性(セイフティ)」とも呼ばれる。アセテート系ベースの成分である酢酸はビネガーシンドロームの要因となる。 
   
映画フィルム MOTION PICTURE FILM
薄く柔軟性のある透明な素材で、通常は片側または両側にパーフォレーションがあり、連続する画像を擁している。 

エッジウェーブ/フラーティング EDGEWAVE/ FLUTING 
フィルムの中央部が縮んで(またはエッジが伸びて)、全体がワカメ状になること。

エッジコード/デートコード EDGE CODE 

フィルムの製造番号。エッジに沿って印刷された記号が、製造年やベース素材などをあらわす。 
 
エマルジョン/乳剤 EMULSION 
感光乳剤。映画フィルムにおいてはハロゲン化銀粒子をゼラチンに分散させたものを指し、これがフィルムのベースにコーティングされる。 
 
エンド TAIL 
フィルムの巻末(トップ HEAD参照のこと) 。

オプティカル・サウンド /オプチカル・サウンド/光学サウンド OPTICAL 
光学技術によりフィルムの端に沿って記録される音声。透明なフィルム上に波線のようにみえるのがエリア で、グレーのグラデーションのようにみえるのがデンシティー。音の抑揚に対応するトラック部分の形状が映写機のエキサイターランプによって読み取られ、その光が音声に変換されて再生される仕組み。 

[か] 


シングル・パーフォレーション SINGLE-PERFORATION FILM
片側だけにパーフォレーションのあるフィルムのこと。この場合、パーフォレーションのない側にサウンド・トラックがあることが多い。 
 
カッピング CUPPING 
フィルムの受けるダメージの一種。フィルムがお椀型に反って平らに戻らない状態。フィルムの一部がひどく縮むことで起こる。縮み方によってはバックリング、エッジ・ウエーブ/フラーティングなどの呼び名がある。 
    
カメラ・オリジナル CAMERA ORIGINAL 
撮影時に使用された(現像所ではなく撮影カメラの中で感光した)フィルム。 
 
クレイジング CRAZING 
乳剤面にあらわれるひび割れのようなライン。アセテート・ベースの縮みによって起こる。

形状 GAUGE 
フィルムの幅(単位:ミリ)。 
35mm:プロ仕様。1895年に登場。 
16mm:プロ/アマ兼用。1923年に登場。
8mm:アマチュア用。1932年に登場(コダック社製)。ストックは16mm幅で、現像段階で半分(8mm)に切断。
スーパー8:プロ/アマ兼用。1965年に登場(コダック社製)。 
シングル8:アマチュア用。1965年に登場(ポリエステル・ベース、カートリッジ、富士フイルム社製)。 このほかに9.5mm、28mm、17.5mm、70mmなどがある。 
   
ゲート GATE
撮影用カメラ、映写機、焼付機などで、アパチャー(開口)部分にフィルムを正確にセットする機構。 
 
現像処理 PROCESSING 
感光したフィルムの現像、定着、水洗など。ネガ現像とポジ現像がある。 
    
コダカラー KODACOLOR 
1920年代に登場した16mmレンチキュラー加色法カラーで、映写時に特別なレンズを必要とする。 直にフィルムを見ると、ラインの入った白黒画像になっている。 
    
コダクローム KODACHROME 
世界でも最初期の多層式カラーフィルム。1935年にコダックが16mmアマチュア用フィルムとして製造を開始した。安定性の高いリバーサルフィルムだった。
    
コンザベーション[保存] CONSERVATION 
フィルムの劣化の進行を遅らせ、その延命につとめること。例えば、フィルムをアーカイブ仕様の缶に入れて低温度に設定した収蔵庫に保管するなど、必要最低限の処方を指す。

[さ] 

サウンドトラック SOUNDTRACK 
フィルムの片側(パーフォレーションとフレームの間)に沿って走っている光学トラック、あるいは磁気トラックのこと。

サプライリール SUPPLY REEL 
映写機のゲートを通過して映写される前のフィルムをかけるリール(テイクアップリール TAKE-UP REEL 参照のこと)。 
    
樟脳 CAMPHOR 
ナイトレートおよびダイアセテートフィルムに使用される可塑剤(加工性、物理的性質を改善するための添加物)で、フィルムに柔軟性と安定性を与える。いわゆる防虫剤の臭いから判別できる。 
    
シングル8 SINGLE 8 
形状 GAUGE参照のこと。 
    
シンチマーク CINCH MARKS 
フィルムや磁気テープ上のタテ方向に走る短いキズ。原因となるのはフィルムの巻きの中に紛れこむ埃やゴミなど。不適切な方法で巻き取られた場合などに起こる(シンチング CINCHING 参照のこと)。 
    
シンチング CINCHING 
フィルムを巻き取るとき、端をきつく引っ張ることによってフィルムの巻きの中に紛れた埃やゴミが擦れ、表面に細かいタテ傷が付くこと(シンチマーク CINCH MARKS 参照のこと)。 
     
スーパー8 SUPER8 
形状 GAUGE 参照のこと。 
 
ステージング・エリア/慣らし室 STAGING AREA 
低温度で保管されているフィルムをすぐに倉庫の外に出すと結露などを起こすため、倉庫の設定よりやや高めの温度でフィルムを慣らす。そのために用意されたスペースのこと。 
    
スプライス/接合/接着 SPLICE 
連続して映写できるようにフィルムとフィルムをつなぐ作業のこと。以下の3タイプがある。 
テープスプライス TAPE SPLICE(ベースの素材を問わず使用できる) 
セメントスプライス CEMENT SPLICE(ポリエステル・ベースには使用できない) 
高周波スプライス ULTRA-SONIC SPLICE(ポリエステル・ベースにのみ使用できる)

スプリット・リール SPLIT REEL. 
コア巻きのフィルムを支えるリール。取り外しのできる2面が合わさって、その中央にコアを挟む構造になっている。 
    
スプロケット SPROCKET 
映写機、カメラ、撮影機などに使用されているフィルム送りのためのローラーに付いている歯。この歯がパーフォレーションとかみ合うことでフィルムを輪動する。

セイフティ・フィルム SAFETY FILM 
ナイトレート・ベースのフィルムではないもの通常はアセテート系を指すが、ポリエステルがこれに含まれることもある。 
    
ゼラチン GELATIN 
乳剤として使用される物質。ハロゲン化銀の粒子はゼラチンの中に拡散して浮いていると考えて良い。蹄、骨、獣皮などを原料とする動物性たんぱく質から成る。ゼリーやマシュマロなど、食用ゼラチンと基本的には同じものだが、純度がより高い。 

染色 TINT 
無声映画の時代に一般的だった技法。通常は現像後に白黒フィルムのベース面を染める。したがって透明(スクリーン上では白)であるべき部分が、パ ーフォレーションも含めて全面何らかの色に染まる(調色 TONE 参照のこと)。 
 
相対湿度 RELATIVE HUMIDITY 
飽和水蒸気量(水が空気中、気体でいられる最大量の絶対湿度)に対しての割合(%)。飽和水蒸気量は気温が上がると増え、下がると減る。長期保存を考えるとき、相対湿度の設定は重要となる。 
 
[た] 

タイミング・シート、タイミング・ストリップ TIMING SHEET/ TIMING STRIP 
現像所で使用される紙片で、プリント作成の際に正しい光量や使用するフィルターを確認し、結果として適切な色や濃度などを出すためのもの。 米国ではタイミング、米国外ではグレーディングと呼ばれることが多い。 
    
ダイアセテート DI-ACETATE 
アセテート系ベースの素材。初期の16mmフィルムはセルロース・ダイアセテートを使用して生産された。防虫剤のような独特の臭いがある。 1951年を境に、これに代わってトリアセテートが使用されるようになった。 
  
縮み/シュリンケージ SHRINKAGE 
水分、可塑剤(樟脳など)、溶剤を失うことでフィルムの従来の長さが変化したり幅が狭まること。映写熱や使用頻度、経年劣化によることもある。同じ条件のフィルムでも縮み率は不規則。 
 
調色 TONE 
無声映画の時代には一般的だった技法。白黒フィルムの銀粒子(通常は黒色)を別の色に変える。したがって通常は黒であるべき部分が何らかの色に染まる。ベース面やフレームの外側に色が付くことはない(染色 TINT 参照のこと)。

テイクアップ・リール TAKE-UP REEL 
映写機のゲートを通過して映写されたフィルムが巻き取られるリールのこと(サプライ・リール SUPPLY REEL 参照のこと)。 
    
テレシネ TELECINE 
映画フィルムの情報をDVDなどに変換する装置。 

ディスプレイスメント DISPLACEMENT 
映写機の構造上、画とそれに対応する音とはフィルム上で若干ずれている。このずれ(フレーム数)のことを指す。 
レギュラー8磁気 = 56 フレーム 
スーパー8磁気 = 18フレーム 
スーパー8光学 = 22フレーム 
16mm磁気 = 28フレーム 
16mm光学 = 26フレーム 
 
トップ HEAD 
フィルムの巻頭。フレームの画像の天地をみると、天の方向ががトップに向かっている(エンド END参照のこと)。 
    
トリアセテート TRI-ACETATE 
アセテート ACETATE 参照のこと。 
 
[な] 
ナイトレート NITRATE 
 ニトロセルロース・ベースのフィルム。(米国では)1951年以前に製造された35mmフィルムのみに使用されたと考えてほぼ間違いない。非常に燃えやすい危険な性質のため、1952年以降は製造中止となった。(但し旧ソ連や中国では1970年代まで製造されていたといわれる)。コダック社製の場合、エッジに沿って「NITRATE」と印刷されていることから判別できる。 

ネガ NEGATIVE 
一般的に上映用ではなく、反転画像を持つフィルム。ポジ・プリントを作成する為のプリント過程において原版として使用する。基本的にはスチル写真用カメラで使用するネガと同じと考えて良い。 
 
[は] 

パーティクル・トランスファー・ローラー PARTICLE TRANSFER ROLLERS (PTRs) 
フィルムに付着したゴミや埃を除去するための粘着性のあるゴム製のローラー。フィルム洗浄機、または映写機(通常は35mmのプラッター映写用)にも使用されている。 
 
パーフォレーション PERFORATION 
映画フィルムの端に一定の間隔であけられている穴。厳密な規格が定められている。カメラや映写機などの機械にかけると、この穴とスプロケットやピンなどがかみ合わさってフィルムが輪動する。この穴の損傷は 「パーフォレーション壊れ」と呼ばれる。 
    
バインダー BINDER 
フィルムのベースとエマルジョン、または磁気とベースをつなぐ素材。 
    
バックリング BUCKLING 
パーフォレーションのあるフィルムの端が中央より激しく縮むと起こる。長期保存に際して、端から溶剤や水分が失われることに起因する。 
    
ハブ HUB 
フィルムリールの中央部分。

バランスストライプ BALANCE STRIPE 
サウンドトラックの反対側にある少し細めの磁気コートのライン。フィルムを巻くときに両縁の厚みのバランスをとるのが目的。 
    
ハロゲン化銀 SILVER HALIDES 
乳剤に使用される感光材料。 
    
ビネガーシンドローム VINEGAR SYNDROME 
アセテート系ベースのフィルムの強烈な酢酸臭を伴う劣化の過程を指す。これは自己触媒(自ら反応を促進する)反応で、一旦この症状があらわれると劣化速度は加速するばかり。 
    
フィルムアーカイブ FILM ARCHIVE
映画フィルムを収集・保存する組織。フィルムだけでなく映画に関わる様々な物品(台本、ポスター、スチル写真、映写機等)を所蔵することもある。 
  
フィルムセメント FILM CEMENT 
フィルムとフィルムを重ねてつなげる接着剤。 
    
フィルムワインド FILM WIND 
シングル・パーフォレーションのフィルム(通常は16mm)のエマルジョンとパーフォレーションの位置関係を指す。Aワインド又はBワインドがある。フィルムの天地を正しく配置し、正像(鏡像ではないこと)が確かめられる場合、手前が乳剤面であればAワインド、ベース面であればBワインドとなる。 

ブローアップ BLOW-UP 
形状がオリジナルよりも大きいこと。例えば8mmを35mmに、35mmを70mmに拡大できる。 
    
ベース BASE 
映画フィルム用としては、透明で柔軟性のある支持体のことを指す。アセテート、ポリエステルが主流。これにエマルジョン(乳剤)がコーティングされている。 
    
プリザベーション[保存] PRESERVATION 
映画フィルの延命をはかる一連の作業(保管、複製、データ入力、カタログ化)のすべて。 
    
プリントスルー PRINT-THROUGH
フィルムが焼き付けられる時にオリジナルのエッジコード(製造番号)、パーフォレーション、ゴミ、傷などが新しいプリントに焼込まれてしまう現象のこと。新しいプリント上では反転 (黒字に白)となり、シャープさに欠けることから判別できる。 
    
フルコートマグ FULL-COAT MAG 
片面すべてが磁気コートされているサウンド専用のフィルム。 
    
ポリエステル POLYESTER 
ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)のこと。無機質の薄い素材で、現在では35mm劇場用フィルムのベースとして使用されている。商品名はコダック社がエスター(ESTAR)、デュポン社がクロナー(Cronar)。

[ま] 

磁気サウンド /マグネチック・フィルム/シネテープ  CINE TAPE/ MAGNETIC FILM 
フルコートマグに録音されたサウンドトラックのこと。音楽用のカセットテープに似ている。 
    
磁気サウンドヘッド /磁気ヘッ ド MAGNETIC SOUND HEAD 
磁気サウンドの再生装置。映写機ヘッドとサプライリールのアームまたはマガジンの間に取りつけられている。 
 
[ら] 

リーダー LEADER 
映画フィルムを機械に装填するときに必要となる部分。パーフォレーションのあるプラスチック素材が使用される。フィルムを守る役割も果たしている。 
    
リキッドゲート LIQUID GATE 
焼付の際、元素材となるフィルムの擦りキズがプリントに焼き込まれることを防ぐため、フィルム素材と同じ屈折率をもつ液体で満たしたゲートにフィルムを通して焼き付ける。この方法はウエットプリント/リキッドプリントとも呼ばれる。但し、この方法で消すことができるのは主にベースの浅い傷のみ。 
 
リダクションプリント REDUCTION PRINT 
形状がオリジナルよりも小さいこと。例えば35mmを16mmに、16mmを8mmに縮小できる。 
    
リバーサルフィルム REVERSAL FILM 
撮影用カメラで感光させた後、直接ポジ画像に処理できるフィルム。あるいはポジからポジを焼くときに使用するフィルム。 
    
リバーサルプロセス REVERSAL PROCESS 
ポジ→ポジ、またはネガ→ネガを焼く方法。 
    
粒状性 GRANINESS(原文まま)
ネガ、プリント、スライドの荒れ。拡大するほど目立つようになる。 

エッジコード 8mm


エッジコード 16mm