目次
ユークリッド-Eukleides-
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ピエール・ド・フェルマー-Pierre de Fermat-
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ピタゴラス-Pythagoras-
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ルネ・デカルト-René Descartes-
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アルキメデス-Archimedes-
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レオナルド=フィリオ=ボナッチ-Leonardo Fibonacci-
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ブレーズ・パスカル-Blaise Pascal-
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ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ-Gottfried Wilhelm Leibniz-
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アブラーム・ド・モアブル(Abraham de Moivre
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ヤコブ・ベルヌーイ-Jakob Bernoulli-
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ジャン・ル・ロン・ダランベール-Jean Le Rond d'Alembert-
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ジョゼフ=ルイ・ラグランジュ-Joseph Louis Lagrange-
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ピエール=シモン・ラプラス-Pierre Simon Laplace-
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ジャン・バティスト・ジョゼフ・フーリエ-Jean Baptiste Joseph Fourier-
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ヨハン・カール・フリードリヒ・ガウス-Johann Carl Friedrich Gauss-
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ゲオルク・フリードリヒ・ベルンハルト・リーマン-Georg Friedrich Bernhard Riemann-
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アンドリュー・ワイルズ-Andrew John Wiles-
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ジュゼッペ・ペアノ-Giuseppe Peano-
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オーガスタス・ド・モルガン-Augustus de Morgan-
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ダフィット・ヒルベルト-David Hilbert-
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レオンハルト・オイラー-Leonhard Euler-
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最終定理-the Last Theorem-
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 帰り道。僕と有里はずっと話し続けた。三条のバス停までの道のり。信号待ち。人混みのバス停。車内でのふたりがけの座席。

 有里はすべて説明してくれた。はじめて校舎の屋上で会ったときのこと。巧との友情。手紙のこと。窓ガラスを割ったこと。神社で僕の焼き餅を食べたこと。おばあちゃんのこと。お父さんの仕事のこと。どこでプレゼントを買ったのか。どうやって鳥居に仕掛けをつくったのか。僕をどう思っているのか。ききたかったこと全部だ。

 レオンハルトの近くまで戻ってきたときには、あたりはとっぷりと夜に沈んで、静寂の海を漂う水泡のように、僕たちは歩いていた。

「ガラスを割ったのはそういう理由だったの。言ってくれたらよかったのに」

「誤解されたくなかったから」

「結果として、僕は命を救われたよ」

「そうなの? その点ではよかったわ。でもちょっとだけ反省してるの」

「それはとてもいいことだね。まあ事故みたいなもんでしょ。ただ精神的不安定だったのは有里の責任だけど」

「そこまで頭がまわるやつだとは思ってなかったからね」

「僕が授業を重ねて成長するのを待ってたってわけだね」

「そんな感じかな」

「手紙は面白かったよ。有里は理科の知識もあるんだね」

「あんなの簡単よ。洗剤とかレモン汁とかでいいんだから」

「有里は本当に魔法使いみたいだね」

「そうよ、私は魔法使い。魔女っ子なの」

「杖とかケープとかはいらないの?」

「そのかわりに呪文書を持ってるわよ」

「いつも読んでる本は呪文書だったの?」

「小説にはたくさんの呪文が載ってる。私はそれを読むといつも違う世界に引き込まれて、たくさん素敵な体験をするの」

「本が好きなのは、そういう理由なんだ」

「そうよ。楽しいから。楽しいこと以外、なんにもしたくないし、しなくてもいい」

 それはもっともだと僕は思った。また、これこそが、有里の正義の根源なんだと、このとき理解した。

「今も楽しい?」僕はちょっと意地悪くきいてみた。

「そうね」僕の顔を見てちょっと笑顔になり、そのあとすごく意地悪な顔をして有里は答えた。

「でも三人一緒のほうがもっと楽しいわね」

「それは、そうだね」心に小さな傷ができたけど、すごく小さな傷だし血も流れない。くすぐったいくらいの痛みだった。

「これからも三人一緒にいられるといいね」

 僕は本心からそう言った。


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 レオンハルトの談話室に入ると、巧と老先生が座ってお茶を飲んでいた。

 巧が僕の肩に腕をまわして、「それで、何があったんだよ」と珍しくいやらしい顔をしながらしつこくきいてきたから、僕は全部話してやった。最後のところだけ有里の顔を確認して、視線からなんとなく同意の表明を感じたから、ありのまま話すと、巧はやや興奮して、

「お前も好きものだよなあ。そういうの、好事家っていうんだぜ」

とやっぱりいやらしい顔をして笑っていた。

 それから、いつか見た巧と有里のケンカがはじまって、僕は老先生のとなりに避難してお茶を飲んだ。「どこへ行っていた?」ときく老先生に、僕が「ちょっと青春しに」と答えると、「それはよきこと」と感心してくれた。


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 三人からそれぞれ素敵なプレゼントをもらい、僕は家に帰った。笑顔で待っていた母さんのエプロン姿が印象的だった。

「それで?」母さんがきいた。「どうだったの?」

「楽しかったし、うれしかった」僕は感想を言った。

「それプレゼント? 何もらったの?」

 僕は有里の真っ白な本を母さんに見せた。「あら素敵ねえ。これどうするの?」

「これはね」

 僕はちょっと照れながら言った。

「僕たち三人で使うものなんだ」

 それは、有里と巧と僕、三人で決めたことだった。

 

おわり


奥付



正宗少年、レオンハルトに出会う -Mathematical Friendship-


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著者 : Kyoji
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発行所 : ブクログのパブー(http://p.booklog.jp/
運営会社:株式会社paperboy&co.


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