目次
まえがき
まえがき
ハロウィン超短編集・1
うそつき────バントウ
かすかにカフカ的──── JJサニーのんぽり
だいだいかぼちゃ────junjuns7
あんまりはりきりすぎて────dadako
HERO────a-cup-of-snow作
なんきん────JJサニーのんぽり
カボチャの鳴く夜は恐ろしい ────defraglife
カボチャとコロッケ────nisinao
ハロウィン・ナイト────↑あ~ちゃん↓
Haiku or Tweet?────めりりん
ハロウィン超短編集・2
悪魔が来たりてかぼちゃ煮る────gustav5
訪問者────a-cup-of-snow
Eat me? eat you?────殉職人身御供
やさぐれパンプキン──── JJサニーのんぽり
ハロウィン長屋────めらびん
日本をもっとハロウィンにする方法──せい
とあるはてなの一角で────うるん子
トリック────シーチキン
新盆フライング────普通人みかん
エンディング────やんまにたん
ハロウィン超短編集・3
A Nightmare of Jumpin' Jack──元モルモット森本
約束(仮題)────dadako
東西タッグ────kwi(かわい)
南瓜頭、歓待す────noraneko
スパイダーマンGo!Go! ────かなりひこくま
奥の手────カミナギ
風立ちぬ────元モルモット森本
かぼちゃの馬車────kwi(かわい)
Rotten Pumpkin────なぽりん
「↓」────daichan
ハロウィン超短編集・4
ゲーマー、最初の挨拶────godfrey
ハロウィンへようこそ!────杜乃
ジャックを探しているのです────sisui_ro
ハロウィンの幻────kazuki-kazuki
ハロウィン超短編集・番外編
お、おおおお────ぐれ
アイツ────mm16
はてなむらはハロウィンいっしょく!──やんまにたん
あとがき  編者より
あとがき

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まえがき

以下は2010年、10月。はてなハイク(http://h.hatena.ne.jp/)で行われた、とある短編競作際の記録である。具体的には以下のページを参照せよ。
    
  ・ハロウィン超短編まつり(>w<)2010
   ──http://h.hatena.ne.jp/keyword/ハロウィン超短編まつり(>w<)2010
    
  ・(>w<)ハロウィン超短編まつり・ホントにやるかもしれない・準備会場
   ──http://h.hatena.ne.jp/keyword/(>w<)ハロウィン超短編まつり・ホントにやるかもしれない・準備会場


うそつき────バントウ

薄手のちょうちん紙とは言わない。普通の障子紙でよかったんだ。
なのにそんな障子紙さえうちの近所じゃ見つからないときた。やっと見つけた習字用の半紙がひと束。足りるかな。
竹ひごは諦めた。どこにもない。隣町のホームセンターなら、と思って電話をかけてみたけど、竹ひごって何ですか、と返されるとは思いもしなかった。わかったよ。プラスチックの棒でやるよ。
午後六時。とにかくもう時間がない。
甥っ子との約束を破るわけには。
 
使いなれてるはずのタミヤのプラ棒がこんなに厄介なものだったなんて。
熱を加えりゃ曲がるのは竹ひごと同じ、いやもっと自由自在のはずだった。確かに曲る。でも曲げたプラ棒は曲げたとおりの形にしかならず、竹ひごみたいな「返り」がない。「返り」がないものを骨組みにしたって、上から貼る紙がぴんとなるはずがない。ちょっと考えたらわかっただろうに。
まもなく午後八時。
大丈夫。まだ時間はある。
 
駄目だ。全然うまくいかない。
弓状に曲げてった骨組みに紙貼ってきゃカボチャのマスクなんてちょろいぜ。確かにそう言った。
甥っ子は大喜びだった。いつも作ってやる模型を見て目を輝かせてる甥っ子が、そう聞いて頭の中でどんだけ見事なカボチャマスクを想像したか。少なくとも、こんなに歪んであちこち破れかかったマスクは想像しなかったはずだ。
午後十時。
やるしかない。
 
禁煙を破った。もうひと箱なくなりかけてる。
粘土をこねている。カボチャマスクはもうどうしようもない。せめて甥っ子の心を奪うようなちっちゃなジャック・オー・ランターンを、得意の粘土で仕上げなければ。
午前零時をまわった。
得意の粘土なんだ。開き直って、凝りに凝ってやる。
 
ちくしょう!コーヒー飲んだはずなのに!
まだ半分しか形もできてないのに当日の午前四時って!
 
 
気がつくと夕食の時間だった。
朝九時ごろだったか、うつらうつらしながら階下へ降りて、食卓の上にポンと置いたジャック・オー・ランターンはなくなっていた。聞けば、甥っ子が持って帰ったという。
喜んでくれたかな、あの人形、と母に尋ねてみた。
母はどうかしらね、はいお手紙、と言って、甥っ子からの手紙を差し出した。
 
手紙にはただひとこと、「いっしょにあそぶってゆったのに!」と書いてあった。
(了)

2
最終更新日 : 2011-10-24 01:11:07

かすかにカフカ的──── JJサニーのんぽり

『かすかにカフカ的』

 

まさか彼女が毎週金曜日になるとカボチャに変身してしまうなんて、出会ったときは想像もしなかった。

 

ふたりで迎えた初めての朝。目が覚めると、となりでバスケットボールほどのカボチャが寝息をたてていた。

この状況におかれた誰もがそうすると思うが、私はまず、これは夢だろうと思った。夢でないとわかると、彼女の悪戯だろうと思った。そういえば来週はハロウィンである。

「ごめんなさい、いつか打ち明けなければとは思っていたのだけれど」

声にあわせてオレンジ色の身体が揺れた。間違いなく彼女の声だった。

「うちの家系って、ちょっと変わっているのよ」

「ご先祖さまがカボチャを邪険に扱った呪いとか、そういうものなの?」

私の声はかすれ、かすかに震えていた。

「いいえ、純粋に体質的なものみたい。父方の遺伝でね。父は土曜日だけバラライカになるし、弟なんて火曜日に便座カバーになっちゃうわ」

なるほど、と私は言った。寝起きのせいか、ほかの言葉が思いつかなかった。

 

彼女は不安そうに私を(たぶん)見上げ、訊ねた。

「私のこと、嫌いになった?」

まさか。私はそう答えて、彼女を抱き寄せた。かさかさしたヘタが頬に当たった。

でこぼこの肌、いや皮をさすりながら、私は考えていた。さて、どうやって打ち明けようか。

自分もまた、奇数月の第3木曜日にはラジオペンチに変身してしまう体質であることを。(了)


3
最終更新日 : 2011-10-24 01:11:07

だいだいかぼちゃ────junjuns7

おじいさんの畑にかぼちゃができた。中に、ひとつだけ、見慣れない橙色のかぼちゃがまざっていた。
南蛮にはそんな色のかぼちゃがある。
でも、おじいさんは知らなかった。これは、食べられまい、と思って採らずにほうっておいた。
そのまま、そのまま。
かぼちゃは大きくなった。大きく大きく大きくなった。
邪魔だからよけよう、と思っても持ち上がらないくらいになった。
ううむむむむ。
おじいさんは疲れてしまって、かぼちゃの前に座り込んでいた。
すると、みしみしと音がする。
みしみし、ばりっ。おぎゃあ。
かぼちゃがわれると、中から男の子が出てきた。
おじいさんには、子供がいる。一人目は太郎。この国ではそう名付けることになっている。太郎は三つの時、高い熱を出して死んだ。
二人目は二郎。太郎とは二つ違いだ。この子は病気をすることなく育って、今では当主となっている。
かぼちゃから出てきた子は、だから、三人目になる。三人目は三郎。この国ではそう名付けることになっている。
けれど。
「太郎。」おじいさんは、目の前の男の子にそう声をかけていた。
「はい、ちちうえ」と、太郎は言った。
太郎のままでは二郎に悪いからと、おじいさんは、かぼちゃの太郎を太郎三郎ということにした。
かぼちゃの太郎三郎は、大きくなった。大きく大きく大きくなった。
一年のうちに七五三を済ませ、次の一年で元服を済ませ、三年目に嫁を取った。
おじいさんは、太郎に、七五三をしてやりたかった、元服をしてやりたかった、嫁を取らせたかった。
それが、一気にかなったようだった。
ああ、もうこれで、大丈夫。あとは太郎に墓を守ってもらったら。
 
畑から戻らないおじいさんを心配して、二郎が様子を見にいくと、大きな橙色のかぼちゃの前で、おじいさんはなくなっていた。
橙色のかぼちゃは割れて、種がこぼれていた。
二郎は、兄の太郎が眠るお墓に、おじいさんを葬り、そして、かぼちゃの種を埋めてやった。
かぼちゃの蔓がお墓を覆っても、そのまま、そのまま。
毎年一つだけできる橙色のかぼちゃをたのしみに、二郎は百まで生きたという。(了)

4
最終更新日 : 2011-10-24 01:11:07

あんまりはりきりすぎて────dadako

あんまりはりきりすぎて、作るのが早すぎちゃった。
初めて作ったパンプキンヘッドを、毎晩眠る前、カーテンの隙間からちらりとのぞく。
少しレンガを積んで、その上にカボチャをのっけた。作ったときは誇らしかった。初めてで、カボチャは少しいびつだったけど、そしてぼくの切り方もあんまりうまくなくて、顔はよく言えば個性的、わるく言えば妙にゆがんだ笑顔になった。
それでもなんとかしあがったカボチャ大王、ぼくはちょっと自慢に思っていたのだけれど。
ほんとにはりきりすぎた。早くにがんばりすぎた。
窓からのぞく大王は、日々、少しずつ形が崩れていってる。シャープだったかおだちが、なんだかどろんと崩れてきてる。
ほんというと、もう早く捨ててしまいたい。
ハロウィンが終わるのを、心待ちにしてる。
お菓子もらわなくてもいいから、あのカボチャ大王を、どこかにぶつけて壊してしまいたい。
なんだか毎日、大王ににらまれている気がするんだ。
ほんというと、ぼくは大王が、日々怖くなってきてる。終わっても、自分でかたづけられないかもしれない。
こぼれた種で、あそこに芽が出てカボチャが生えてきたらどうしよう。
目も鼻もあるにったり笑ってるカボチャが。
 
ぼくはもう、一生カボチャは見たくない。
(了)


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