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 今日は、ハート王国小学校のうんどう会。

 3つ子のきょうだい、クータ、ウェイタ、シェンタも、1年生になってはじめてのうんどう会で、とてもはりきっていました。

 

いよいよ、1年生のとびばこのじゅんばんです。

 

 よーい、ドン!

 

 3人はいっせいにスタートしました。

 まわりで、かぞくやともだちが「フレー!フレー!」とおうえんしています。

 ところが、

 

 ドテッ! ドテッ! ドテッ!

 

 なんと、3人ともころんで、しっぱいしてしまったのです。

 

 この日から、3人は、とびばこが大きらいになりました。

 

 クータは、まいにちおもいだしては、クヨクヨしていました。

「みんなが、あんなにおうえんしてくれていたのに。

とべなかったぼくは、なんてなさけないんだろう。

ああ、あのときのことをおもいだすと、あなに入りたいくらいはずかしいよ。」

 

ウェイタは、まいにち、しんぱいしてオロオロしていました。

「もうしっぱいしたくないから、とびばこなんてやらないぞ。

でも、2年生のうんどう会もとびばこだ。

きっとまたしっぱいするにきまってる、どうしよう。」

 

 そんなふたりを見て、シェンタはおもいました。

「クータもウェイタも、まいにちくらいかおをして、わらわなくなっちゃった。

まえみたいに、3人でわらってすごしたいけれど、いったいどうしたらいいんだろう。」

 

 そんなある日、シェンタが、こうえんのブランコにしょんぼりすわっていると、ハート王国の王様がとおりかかりました。けらいをつれて、おさんぽ中だったのです。

「おや、シェンタ。

しょんぼりして、いったいどうしたんじゃ。」

「あ、王様、こんにちは。じつは…」

 シェンタはこれまでのことを話しました。そして、

「クータとウェイタに、またわらってもらいたいんです。」

と言いました。

 

 王様は、うでをくんで、言いました。

「ふむ、そうか。

クータは、むかしのことばかりおもいだして、クヨクヨしている。

ウェイタは、先のことばかりかんがえて、オロオロしている。

ふたりがわすれてしまっていることがあるぞ。」

 

「え?それはなんですか?」

シェンタはみをのりだして、ききました。

 

すると王様は言いました。

「それはな、『今を生きる』ということじゃ。」

 

「今を生きる?」

 

「そうじゃよ。

 『今』えがおになるには、『今』をかがやかせるしかないからのう。」

 

「『今』をかがやかせる?

そのためには、どうしたらいいんですか?」

 

「うむ。それはな、かんたんなことじゃ。

『今』目の前にあることに、ベストをつくせばいいんじゃ。」

 

「そうしたら、えがおになれるんですか?」

 

「そうじゃよ。

『今』目の前にあることにベストをつくせば、むかしのことも、先のことも、きぼうにかえることができるんじゃ。」

 

「きぼう!」

 

「うむ。」

 

 シェンタは、目をかがやかせて言いました。

「王様、そうなんですね!

 きぼうをもてば、きっとえがおになれますね!

 ぼく、この話を、クータとウェイタにつたえます。

 そして、3人でまいにち、とびばこのれんしゅうをすることにします。」

 

「ホッホッホッ。それはいいのう。」

 

 シェンタから、王様の話をきいたクータとウェイタは、えがおをとりもどすために、『今』をがんばろうとおもいました。

 そして、学校がおわるとまいにち、体育館に行き、3人でとびばこのれんしゅうをしました。

 

 さいしょは、ころんでばかりで、ぜんぜんうまくいきませんでした。

 でも3人は、「『今』ベストをつくそうよ!」をあいことばに、しっぱいしても、しっぱいしても、チャレンジしつづけました。

 

 すると、ふしぎなことに、クータは、むかしのいやなことをおもいださなくなりました。

 ウェイタは、先のことをしんぱいすることがなくなりました。

 どうやったら目の前のとびばこをとべるか、そのことで頭がいっぱいになったのです。

「もっと、ギリギリまではやく走ったらどうかな。」

「ジャンプのタイミングを少しはやくしてみよう。」

「足をもっと大きく広げたらいいんじゃないかな。」

 3人は、しっぱいをもとに、たくさんくふうをしました。

 

 すると、だんだんと、とびばこをとべそうになってきたのです。

「さっきより、はやく走れたね。」

「足が、とびばこにひっかからなくなったね。」

「ジャンプするしせいが、よくなったね。」

 

 ある日のばんごはんのとき、お父さんとお母さんが言いました。

「クータ、ウェイタ、シェンタ、さいきん、どうしたんだい?」

「あなたたち、なんだかとってもたのしそうよ。」

 3人は、「え?」とかおを見あわせました。

 気がつけば、3人はニコニコえがおになっていたのです。

 

 そして、とうとうある日、3人とも、とびばこをじょうずにとぶことができました!

「やったー!」

「やっととべたね!」

「ぼくたち、できたね!」

 3人は だきあってよろこびました。

 

 2年生のうんどう会では、3人はだれよりもじょうずにとびばこをとぶことができて、みんなのはくしゅかっさいをあびました。

 しょうたいされた王様も、たくさんはくしゅを送りました。

 

 それからも、3人は、いろいろしっぱいすることもありました。

でも、「今」にベストをつくすことをわすれなかったので、どんなときも、ニコニコえがおでのりこえることができたのでした。


この本の内容は以上です。


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