目次
(りある?夢?日誌…)
(上旬)
(上旬)
(1月1日) 「少女時代のサキ」のテーマソング♪
(1月1日) おなかいっぱい。(*^_^*)
(1月1日) 腰のぬけるダジャレねーみんぐ扇子はもちろん、
(1月2日)
(1月2日) あなたは強いからアレもコレも許されないが、
(1月2日) まんが読んで寝ます〜♪
(1月2日) ミニサイズ(凶悪)大魔王エルさんと、ずっと一緒の出勤で机を並べているので。
(1月3日) まだ居ないと思ってたアルパカ狼さん初出勤!o(^-^)o
(1月4日) アルパカ狼さんのインフルがさくさく治りますように!
(1月4日) 「時の螺旋を1周した」わけですね…www
(1月4日) 「ナカノヒト」仮説、サキ:エルさん、
(1月5日) 厭世気分に拍車がかかってますが…(--;)…★
(1月5日)
(1月5日) 「まさか同族がこんなにいるとは思わなかったから、一生独りだと覚悟してたんだ」。
(1月5日) すいませんね。ベタ(というか、まんま?)なネーミングで…☆
(1月5日)
(1月5日) 古代超人類の血を引く超能力少女・小松崎蘭(ラン)と悪の秘密結社・タロンの戦いを描いたSF大作。
(1月6日)
(1月6日) ずっとあなたを探していました。
(1月6日)
(1月6日) …あの超人ロックが「私より2歳も若い」とは、知らなんだ…www(違)
(1月6日)
(1月6日)
(1月6日)
(1月6日)
(1月6日)
(1月6日)  …「当時は」「SFな」技術でした。
(1月7日) んでミニサイズ大魔王エルさんが、カナリア喰ったシャム猫のよ〜にご機嫌さん(^_^;)なのは何でだ…??
(1月7日)
(1月7日) シェーンコップ楽勝♪o(^-^)o
(1月8日)
(1月8日) 大魔王エルさんが、相変わらず激ツンで、
(1月9日) アルパカ狼さん「居ない確率」100%でモチベは皆無。
(1月9日) アルパカ狼さん居たし♪
(1月10日)
(1月10日) アルパカ成分補給絶対量が不足してる┐(’〜`;)┌以外は文句ナシ。
(中旬)
(中旬)
(1月11日) 元祖ヤマトのテーマ 15分耐久。
(1月11日) めいにゃんが居ない…(TT;)…と探し回る悪夢にうなされて、
(1月11日) 彼は人類を脅かす存在なのだ。/何もかもが楽しい。/それでも明日、私は物語の種を植えよう…。
(1月11日) 「ナカノヒト」対照表…/「アイリス」…「イコール清クン」じゃん…w
(1月11日) 保安局長(のちの連盟総裁) ⇒ たぶんニョゼさん。(^^;)
(1月12日) ここは「サツホロ結界」(聖域)。
(1月12日) 「あたしゃあんな腹黒な性悪じゃねェ!」
(1月12日)
(1月12日)
(1月12日)
(1月12日)
(1月12日)
(1月12日)
(1月12日) もう時間はない。終わりは近いってことだろうね。
(1月12日) …数十年前、「私の脳内」で、延々と陰々滅々たる「終末の未来史」を、語りたおしていたおっさん達って…
(1月13日) ぬくぬくの室内でPC使い放題、美味しいもの「食べ放題」…音楽も動画も娯しみ放題…♪
(1月13日の金曜日) 水(雪)難かつ火難の一日。
(1月13日) 生き崖の、ダチン(死神)。
(1月⒕日)
(1月⒕日) 善野のモデル郡上市白鳥で、積雪56cm。
(1月15日) 水道凍結と寝不足睡魔のほかは大禍なし。
(1月15日)
(1月15日) ここで生き抜くしか、ないので…
(1月16日) 笑える悲喜劇が同時侵攻中。
(1月16日) 厄日モード継続中。
(1月17日) とにかく、生き抜きます…。
(1月17日) 珍しくアルパカ狼さん4日とも居る!とか大怪異なので、
(1月18日) (…そしてネタが増える…☆彡
(1月18日) やりたかった「狸寝入り」。
(1月18日) 冬山遭難モノを、読んで育ったおかげで、
(1月18日) 有翼人種は強いめまいや、特に空間失調症に襲われる事があります。
(1月19日) …トマコ舞ちゃんって…(^^;)…どこの南国…??
(1月19日) ざくざくどむどむ。(違う)
(1月20日) もったいないからストーブ消そう。
(1月20日) (女神たちの転生課題)。
(1月20日) 時間切れ。(^^;)
(下旬)
(下旬)
(1月21日)
(1月21日) アルパカ狼さんの健康状態(悪い★)
(1月22日) 今日はアルパカ狼さんいない…(;;)…
(1月22日) 使い捨てロボット、寿命は2時間。
(1月22日) エスパで遊んでから寝まーす☆彡
(1月23日) アルパカ狼さんがいるかいないか? 確率50%。(--;)★
(1月23日)
(1月24日)
(1月24日) アルパカ成分補給不足~ッ!!
(1月25日)
(1月25日) ロストマン…「性格が杉谷好一似」…/彼ら本気で宇宙を支配するつもりだからね。
(1月25日) なんかもう「まさにテラザニア!♪」って感じの舞台…♪
(1月26日)
(1月26日)
(1月26日) ※ (あとづけ)www
(1月26日) …げ、原稿で遊んでから寝ます…ッッ
(1月27日)
(1月27日)
(1月27日) 「ナカノヒト」白熊さんと狼さん。だったはずでわ…??w
(1月28日)
(1月28日) おかしな予感が有りますが、
(1月28日) (アルパカ狼さんの酒量は、少しは減らしてほしいんですけどね…??)
(1月29日) アルパカ成分、補給不足ッ★
(1月30日)
(1月30日) 世間にはおそるべき量のおそるべきバカがいる。
(1月30日) …我ながら、いっそ清々しいほどに、潔い現実逃避っぷりだ…www
(1月31日)
(1月31日) 「3回やるやつは馬鹿だよ!」 by 夢枕 獏
(借景資料集)
(借景資料集)
(上旬) 企画事務所スタンドアロン。
(上旬) 人類は【横浜駅】に支配された…/その幻想を変えたくなくて、
(中旬)
(中旬) 人類はやがて滅びてしまう、と実感すると心は平静になるのだ。/ちなみにわたしの愛が強すぎて地軸が傾いている。
(下旬) なぜ岐阜県で実験するのかは謎。核融合科研【 トリチウム 除去装置 】公開。
(下旬) 
奥付
(…続きます…(^^;)…。)
奥付

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(1月6日)

https://85358.diarynote.jp/201701061741494897/

 
https://www.youtube.com/watch?v=3b4nMXKSahg
Star Trek Mega Suite 7: To Boldly Go





 その未明、惑星の宙港にまだ若い女が1人、降り立った。

 とりたてて特徴もない、どちらかといえばむしろ貧弱な星である。

 首都惑星の存在する宙域からは遠く離れ、かと云って辺境開拓惑星と称される程の若さとバイタリティもとうになく、主要な星同士を結ぶ賑やかな定期航路の大型船の行き来からも、あと少しというところで外れてしまっている。

 そんな中堅どころの下ぐらいの惑星に、その女は着いたのだった。

 女…と、1口に云っても、まだかなり若い。

 少女、とか娘、と呼称した方がむしろ似つかわしく思えるくらいの年頃なのではないだろうか。

 だが、まだ明けきらない宙港のゲートへと、中型の古ぼけた定期貨客船から歩み出す姿には、少女という言葉の連想させる年相応の未熟さ、危うさ、等といったものが殆どといっていいほど感じとれないのだった。

 彼女は落ちついて、虚勢を張るでもなく静かに堂々としていた。

 ゆったりとした歩き方はあきらかに己れの実力に対して小揺るぎすらすることのない自信を抱いているもののそれである。

 それは、能力に合わせて早い時期から専門的な方向づけに沿った職業教育をほどこされるこの世界においては、それほどに珍らかな事でもないのかもしれない。だがそれにしても、ごく年若い彼女の無雑作だがムダのない一挙一動は、真に見るべき眼を持つ者をなら、うならせるに足るものだった、と言っておくべきだろう… 

 朝まだ来の宙港構内にはかすかに白い霧が残って漂っていた。

 この時間でも星間航路のロビーにはいくらでも人がいるものである。

 人混みの中に紛れこんだ後も彼女が変わることなく淡々と歩き続けて行くと、彼女の容姿が決して目立つ、というものではなかったが、通り過ぎられたその後には必ずといっていいほど、いくつかの振り返る視線が見受けられるのだった。

 まるで淡い光を発して妖精がそこを歩いて行ったのだというように。

 …確かに彼女の長い髪の薄灰色はこの世界では見られないもので、(それは彼女の故郷の地に還ったとしても何ら変わる条件ではなかったのだが、)見る者の目に奇異の感を与えるのはむしろ当然と云えたのかも知れない。

 しかしもしここで彼女に振り返った者を誰彼となくつかまえて尋ねてみるとするなら、むしろ問われて初めてその髪の色の不思議さに思い至る人間の方が多いのではないだろうか。

 それほどに、灰色、という色彩は彼女の頭部を飾るのにこの上もなくふさわしく似合っていて、それがカツラであるにせよ地毛にせよ、他の色の彼女を容易には想像し難い程であった。

 彼女自身はその長いふわりとした髪をうるさがって、後頭部高くで1つにあっさりと結わえつけてしまっている。

 なにかが妙に思えるのは、淡い灰色の1本1本がとても細くて半透明に透けるように見える、前髪ともつかないあたりのセミ・ロング(はんぱな長さ)の毛が、薄く1面に彼女の顔の左半分を覆って肩のあたりまで流れて、その瞳を半ば以上かげに隠れたぼんやりとした存在にしてしまっていることだった。

 彼女はスタスタと、年頃の少女としてはかなり大股の速足に、時折りチラと目線を上げて天井のディスプレイ(案内板)を確認するだけで、自信を持って歩いて行く。

 左手に中型の銀のスーツケースがひとつ。  ショルダー? 

 そのあっさりと地味な、かなりボーイッシュな服装ともあいまってだが、結構ゆたかで形の整った胸のラインにも関わらず、彼女は、性別を殆ど感じさせられない存在だった。

 化粧っ気など薬にもしたくなげな剽悍な表情。と同じく、メンドクサイから置いて来ましたといった感じで、云わゆるセックス・アピールというものが見事に欠落しているのである。

 だから、すれ違った彼女を振り返って、その後しばらく見惚れて立ち止ったりする人影の多くはむしろ、彼女自身と同年代の若い愛らしい娘たちであった。

 男性は大抵が、飾り気のない清潔な顔の造作にひととき好意的な目を向けただけで、歩み去って行ってしまうのだ。

 ひきかえに、少女たちは…この夢見がちで優しい、鋭敏な感受性の持ち主たちは…彼女の秘めている奥深い人間的な魅力を、誰も1目で適確に見抜いてしまうのだ。

 無論それと同時に、外見的な性質も、異性の好奇心よりもむしろ同性の純粋な憧憬を誘うにふさわしかった事は否定ができないが。

 スラリとして無駄のない体躯をしていた。

 さきほども書いた様に彼女の体が決して女性らしいラインを備えていないというわけではない。

 よく使い込まれ、鍛えられた機能的なフォルムは、余分な肉の1片をもこそげ落とした、むしろ人も羨む完璧なプロポーションとなっている。

 ゴツゴツと不必要に筋肉ばるのではない。

 ほっそりとなめらかな曲線の内に、どんな用途にも耐え得る最高の強靱さと瞬発性が秘められているのである。

 その不屈さは彼女の故郷である星の、今はもう殆ど絶滅してしまった、 "ヒョウ" という名の美しい肉食動物に、相似していないこともなかった。

 こう書くと彼女がひどく物騒な存在であるように聞こえてしまうのかも知れない。少女達の目をひきつけながら人混みの中を真っ直ぐと歩かせておくにはあまりにも危険な存在であると。

 …確かにある意味においては彼女はあきらかに危険な人物だった。


 水面の上を渡るかのような歩きぶりからは、誰も彼女が10cm以上に近いハイ・ヒールの長靴を軽やかにはきこなしてしまっているのだとは気づかない。

 そうでなくともじゅうぶんに背の高い少女であるようだった。

 いうならば彼女は、その場に居合わせた全ての娘たちとは、ありとある意味で対極に位置しているのだった。

 少女でありながら決して女ではない。

 柔らかな外見の代わりに、何事をも自由にこなせる、精悍で生命力にあふれた実のある肉体。

 その表情の中心をなしている、髪と同じ薄色の瞳も、追っているのは漠然とした夢や憧れなどではない。

 彼女が真っ直ぐに見据えているものは、実現の可能な確とした理想。

 彼女は少女の外見を持ちながら、同時に、いつまでも大人の男にはなり切ってしまう事のない、永遠の少年の魂をも兼ね備えているのかのようだった。

 彼女の歩みは単に粗暴なのでもない。

 中世的とかニュー・ハーフ風であるというのでもない。

 性を超越した、純粋に1個の "人間" としての、自然で静かなあたりまえの自己主張だった。

 あるいは彼女は究極的には男女の性別のわずかな相異など、たいした意味を持つものではないのだと、その齢にして既に本能的に知ってしまっていたのかも知れない…

 数人の、めいめいがそれなりに魅力的で実力もある少女達の熱い視線を知ってか知らぬか。

 彼女は拾いロビーを突っ切ってカウンターにまでたどり着くと、審査と申請と入国手続きとを済ませて、ごく何気ない顔をして惑星の朝の中へと踏み出して行った。

 すぐと少し古ぼけた街なみの内部へ、溶け込んで消えてしまう。

 この星へ訪れるのは初めてではないのか、それとも船内であらかじめ地理を頭に叩き込んで来たのか。…

 無雑作で自身に満ちた彼女の名前をサキという。

 正しくはサキ・ラン。

 更に言及するならば故郷での登録名称はサキコ・ラン=アークタス。

 その名の形式が示す通りにテラザニア(地球系開発惑星連邦)の出身の人間だった。

 齢はまだもう少しで17にならない。

「…宿を探すには早過ぎる時間だな。…」

 軽く呟くように1人言ちて、サキは下町へ、裏通りへと、いまだ動き始めない自走路の上を、長い距離を区にするでもなく歩き続けていく。

 何故、けして貧しい身なりではない年頃の娘が、好んで場末の町並を求めて行かなければならないというのか。

 最も金のかかる特急の星間定期船を選んでこの星へやって来た事からも、理由が「安宿探し」という尋常一様のものでない事は明白だった。

 そもそも一介の地球人の少女がなんの目的で今頃、このリスタルラーノ系星間連盟の一惑星上へ現れたのだろう。

 各個の能力に応じて出来得る限りの早期就業、こそを社会の通念としているリスタルラーナの人間ならばいざ知らず、教育年限の長い地球の人間なら未だ彼女は学齢を終えてはいないのではないだろうか?

 留学生、という存在が何の変哲もない地方惑星の上でも一般化されるほどには、未だ2文明圏の交流は深く浸透しあってはいない。

「 …あ! おっと nice place。」

 まずは腹ごしらえとばかりに、早々と開けている場末の朝食屋へと、彼女は吸いこまれて行った。

 だがしかし1見まるで呑気に過ぎる程に思えるサキ、実はある重大な目的を帯びて1つの物事を追いかけている最中なのである。

 それには、泣く子も黙る裏面の連盟警察機構・保安局特務部…の力さえも関連して来ている事なのであるが、いま(この話)はそこにまで言及しているヒマがない。

 とりあえずは表面的な彼女の動きをだけを追って行くとしよう。

 ……………。







 

 

コメント

霧木里守≒畑楽希有(はたら句きあり)
2017年1月6日17:43
 
…う”~ん…w(^◇^;)w…☆

おそらく栗本薫の「まかすこ」(魔界水滸伝)読んでて、ヒロイン?の延々たる描写の長さに、対抗したくなった。とか、そういう時の文章だと思います…www
 
霧木里守≒畑楽希有(はたら句きあり)
2017年1月6日18:07
 
0596
100☆
 

(1月6日)

https://85358.diarynote.jp/201701061829211245/

「星の夜明け」 (没原稿・ B-2.)
…参照画像が貼れない…(^^;)…★
…あったあった。これこれ…♪
 ↓
https://www.ebookjapan.jp/ebj/317045/volume1/
ドリーマー (1) 『パンサー』
 
ちなみに横の男性は「清峰鋭」(リレキセス・ジューンナール)くりそつ。
w(^◇^;)wでお気に入り~☆

 

https://www.youtube.com/watch?v=tcCYBk3e6b0
Star Trek Mega Suite 1: Space, The Final Frontier [Extended Cut]




 2流の地方惑星。とはいえその恒星系の中では最大の人口集積地である。

 大気成分も気候風土も長年にわたる人手の介入によって、ほぼ、リスタルラーナ文化圏における人類発生の地…現在では連盟の機構の大部分を集める一大中心地と化した首都惑星・リスタルラーナ…となんらかわらないものとなっている。

 運良く恒星系内での完全な農・鉱的自給自足が可能で、ためにかえって他星系との往来が鈍りがちだという欠点はあったが、それでも結構古い歴史と豊かな風土に恵まれた、1本国民気質の通った良い星ではある。

 その、リ(惑星)・アイラン上の宙港の隣接都市と云えば、これはもう文句なしの首都。

 リスタルラーナ(本星)育ちのサキにして見れば生活様式の少し古めかしさが弱冠鼻につかぬでもない、という程度の感想くらいしか抱きはしないが、それはまた別問題で、数億のオーダーの人口を持つメガロポリス(巨大都市)である事に違いはなかった。

 半ば以上老朽化しきっているとは云え、まだ、首都惑星上のいくつかが、かつてそうされたように全面的本格的な移転改築が必要だという程でもなく。

 林立する高層建築物の集合体は、時代の新しいものになるにつれ、いっそうその超絶的な高層化が激しくなる。

 その下に、段階的に、時代を逆上る程に背が低く安々した形になりかわる構造物軍が埋もれている。

 この街もどうやらリスタルラーナ文明圏に共通な、雑多で無計画な発展性を示して生きてきたようだった。

 いびつな放射円状に、開拓惑星として最初の入植者の作ったコロニーの名残を小さな古墳塚のように記念館化したものがコア(核)。

 それを円心として、遠ざかり高まるほどに新しい構築物が見られる、という次第なのだ。

 古い側に行くほどスラム化が進む。

 数量的にも技術的にも、都市が過飽和スレスレに達してしまい、新たな拡張風景が見られることがなくなってから、もうずいぶんな月日が流れていた。

 都市底低部の朝まだき。

 蒼暗い半闇のはざまにはいつもほの白い露のかけら。

 突っ切ろうとすれば見えなくなる。蹴飛ばそうとすればどこかへ消えてしまう。

 そんな不確かさがケルニーは好きというでもなく気に入っていた…同じ "霞" (ケルニー)という名のよしみで。

 ゴミ処理場まで直結の大型コンプレッサつき集積場は数丁先。

 毎朝歩いて数往復。

 店から集積場への中型コンはここ数十年来うごいたことがない。

 そんな程度にかび錆びた区域にケルニーの働く小さな伯父の店はあった。


 そんな都会の底辺部の1画。

 いまだ完全には湿気とキナ臭さとの混在するスラムの泥水だまりと成り切ってしまっているわけではないけれども、ある程度以上の収入を持つ、自称 まともな 階層の人間ならば、昼間でも出来得れば近寄らずに済ませておきたがる、といった風なあたりに、これは大都会にはつきものの怪しげな日銭稼ぎの労務者どもや、1発屋、スラムと高層街の夜をとりもつ女衒…などの人種が主に利用する、安宿も兼ねた、貧しいが比較的ご清潔な、…つまり深夜の酒と女っ気は抜きの…1軒のメシ屋があった。

 長い灰色の髪を後頭部高くで素っ気なくくくったまだ若い娘が、恐れる気配もなく踏み込んで行ったのが、つまりはこの店だったのである。

 サキ程度に身なりも物腰も丁寧げな少女が1人で出入りして、決して安全といえる様な場所ではなかった。

 にも関わらず彼女は古巣に戻ったかのように落ち着き払って空席に腰を降ろす。

「ティレイカ(※)。それとファッシミルとジョイナーキ下さい。」

 薄汚れた店の中で、1人天上界から舞いおりて来たばかりのような淡い光を放っている瘠せた娘が、余りにも自分がそこに居て当然…という顔をしてそれきり動かなくなってしまったもので、まだ数の少ない早朝の食事客たちが彼らこそは場違いのドブネズミなのではなかろうか、と、1瞬錯覚をきたして慌てて首を四方へと巡らせた程だった。

 狭い、不潔な、いかにも掃除の手などの行き届かない、安っぺらいいつもの店内である。

「 ねえ…? 」

 性別を感じさせない彼女はいぶかしげに小首を投げた。

「 あっはいっ。………な、何にしますか?」

 店の奥で皿ふきの手の停まってしまっていた青年が思わずもの慣れぬ丁寧語などを口走ったせいで、常連らしい労務者風の1人から失笑が洩れた。

 止まってしまった時が動き出す。

 丁度喰い終えた何人かが出て行き、また何人かの客が来る。

「…ティレイカトファッショミルとジョイナーキィ。お茶(ティレイカ)少し濃いめにしてもらえるかな。…全部でいくらになる?」

 リスタルラーナ似んの一般的つつましやかな朝食メニューを、彼女は別段イヤな顔もせず繰り返した。

 よどみもためらいもなく云うあたり、テラズ(故郷)を離れてのこちらでの暮らしも相応に長いのだろう。

 もっとも彼女が異星人種であることなど店の中の誰もがとりたてて気づいた様子もなかった。…彼らからすればお上品で正確すぎる言葉の発音も、星海の中央風で、細身の少女らしからぬ豊かで柔らかなアルトの声である。

 告げられた通りの朝食代をこの星の小額通貨で先払いしてしまって、サキはおもむろに宙港で仕入れてきた今日の速報カセットをハンディタイプ(自前)の解析機に叩き込んだ。

 少し高速加減に画面に現われてくる全情報の読み取りにその場で没頭してしまう。

「ありがと。」

 運ばれて来たトレーにも、軽く会釈を返したまま、彼女はしばらくの間は顔を上げようとしさえしなかった。



 奇妙な話だが…

 この、場末の、掃除さえ何年前に1度行われたものか判らないような店なかにあって、逆説的にも速報に熱中し始めてしまった途端に、サキ・ランという名のスタイルのいい17にも満たぬ場違いな小娘は、完全に目立たない存在と化してしまった。

 いずれこの店に来るような輩なら誰も今更世界の動きなんぞに興味は抱かない。

 一応ポータブルとはいえ結構大版な多機能の投影器で速報を読む、などというインテリゲンチャな行為ほどこの店の中にあって異和感を生じさせるものも他に思いつけない位である。

 それが、不思議と…

 それまで浮き上がっていた彼女をすとっとあたりに溶けこませてしまった。

 半ば以上人生をあきらめてしまったようなくたびれた年齢の、生活の臭いのする地道で寡黙な男たちの中に、まったくの無条件で沈みこんでしまったのである。

 集中するあまり…その、画面に表れる全情報量を既存の知識とつきあわせて解釈し、必要とあらばどんな多量だろうと瞬時に脳細胞に叩きこむ、という作業に…あまりにも常人の域を越えて高度に集中するばかりに、普通、人が常に発しているものである "気配" のようなものを、彼女が断ってしまった為かも知れない。

 いやそれよりも、サキが目立たなくなってしまった理由は。

 職業が極端に分化・専門化しているリスタルラーナ世界、誰もが管理社会の知識階級に入れるべく教育をほどこされる機構。

 その中にあって、いずれ日銭かせぎにまで身を落とし、身を隠す者たちなら、皆ひとかたならずこの世の裏も表も知り尽している。

 素直に幸福な世界でのみ暮らしていることの出来なかった、不運な人間たちなのである。

 その、明の部分だけを見て生きてゆくことのできなかった、ある種の不運さ… "性格" のようなもの。

 世間知らずの嬢さん育ちのようにその服装から解釈され思われがちのサキも、根は同じなのだった。

 はみだしもの。

 平和で安全な世界、居心地のいい正常さから、追われてしまった者…

 別に、その店に来る連中が、そんな風に意識してサキを受け入れたわけではない。

 ただ、彼女なりの "仕事" に熱中している姿を見て、漠然とながら納得してしまったのである。

 事情は知らないが 同類 なのだと。

 似たような空気を身にまとっているなと。

 そう考えてしまうと彼女の派手でないあっさりした服装は少しも邪魔にならなかった。

 むろん、誰も灰色の髪の奇妙さ珍しさになど、気がつきも注意も払いはしなかったのである。




(※ティレイカ: リスタルラーナ風の芳香性飲料。お茶。淡い銀青色で、イメージとしちゃ牛乳紅茶にあたるのかしら。)




>一応ポータブルとはいえ結構大版な多機能の投影器

…2000年代の地球でいうところの、

「タブレット」タイプだね…☆

 h(^◇^;)☆

(1月6日)

https://85358.diarynote.jp/201701061958216270/

 
https://www.youtube.com/watch?v=G5ZT1daKZSo
Star Trek Mega Suite 2: These Are The Voyages





 サキは腰かけていた。

 浅く腰をかけ、形よく…ちょっと行儀は悪く…グレーのズボンの脚を高々と組んで、その膝の上に無雑作に投影器。

 一応ポータブルとはいえ、かなり大版のその多機能性は並の学生などの持つものではない。

 その、多機能型ハンドメイド投影器に、彼女は先刻宙港で仕入れて来たばかりの速報カセットを放り込んであるのだった。

 …世界(リスタルラーナ)の動き、平和。

 どこぞの会議に結論が出たの、エネルギー節制法案の第何条に改正が加わったの、テラズ(地球連邦)からの全権大使が交替したの…そう、普通の暮らし向きをする人間から見れば、毎度なんの変わりばえもしない平凡なニュース・ソースの山としか見えはしない。

 だが無論、サキの生活半径が "普通の" 人間の域におさまっているかといえば、そんな筈はなかった。

 速報ダネになるような世界の全ての表舞台の、裏面の動きは明日からも即、彼女の仕事に関わってくるかもしれない話である。

 同時にまたその日の3大ニュースには、主役として名前の載っているどのジャンルの人物とも、…ごく私的・個人的なつながりがある。

 新任の地球連邦大使にはお祝いの花束をでも贈るとして、どこのチェーン(星間商業機構)に頼むと1番安くて速いかな…なんぞという問題もついでに平行して頭の片すみで計算してみながら、サキは次々とスイッチを進めて投影器の画面を切り換えていった。

 ひとつことに集中してしまうと他の事にはなかなかに気の回らなくなる性分である。

 おかげで、ようやく1段落ついて食事に手を伸ばした時には、せっかくの濃いめのティレイカも殆ど覚めてしまっていた。

 こういう安い店のカップの保温性能の悪さを、コロッと忘れていたのである。

「 あ~あ。」

 低くうなりながら飲みほし、新しいのを注文。

 まだ 分けグセ のつききらない前髪が必要以上に顔に墜ちてくるのがひどく邪魔だった。

 左眼さえ隠れればいいのである。左眼さえ。

 うるさそうに横に払いのけると、すぐ脇で短い頓狂な声がした。

 おかわりティレイカを持ってきた青年。

「…地球人… だったんですか?」

 サキはうっすらと笑いを浮かべた。

「見えないだろ? そうは。」

 だからこそ普段は故意に耳を隠しているのである。

 ふぁさ、と彼女の顔の左半分を覆って流れるセミロングの灰色が首すじに当たった。

 外見上、殆ど同じ生命体にさえ見える地球人、リスター、それに、つい最近…対・地球よりもさえ10年以上も遅れて存在を確認された、ジースト星間帝国人の、もっとも手っとり速い判別法は耳にあった。

 無論、内臓器官など詳しく調べていけばそれ以外の相違点が結構ないわけではなかったのだが…

 それでも骨格や眼や髪の色にまで3者共通のものの多い3人種にあって、やはり1番、





※やっぱリスタルラーナが地球がジーストが云々ての書くの反対!!
 仮にも100pに納めようってのが初期目的なのに、
 1たんこりだしたら、
 書ききれるわけもない。

 …でも、ティルニーとサキの間柄って、

 ロマンス、ないのね。



(1月6日)

https://85358.diarynote.jp/201701062017337532/




 その未明、惑星リヤネスカの第1宇宙空港にまだ若い女が1人降り立った。

 宇宙空港…ひとたび衛星軌道上にてその乗ってきた恒星間大型船に別れを告げた後、小型降下艇の外殻の冷却されるのを待って第1歩をフイ出すべき場所である。

 惑星大気に害をおよぼさずに、降下・着地を行いうる大型恒星船は、まだ、ない。

 リヤネスカ上の第1宙港といえば官・商の発達した首都・リヤネスカにほど近く隣接し、ために工業地区、農業地帯に比較すればはるかに荷物取り扱い量の少ない、小規模で旅客を主体とした港であった。

 その、宙港の、降下艇のタラップから管制塔付随のビルの1端へ、更に各種の手続き所を経てロビー、正面玄関へと続く、1部可変式のだだっ長い廊下。

 そこへ今朝いちばんの降下客として彼女は現れ、ゆったりと歩きはじめた。

 まだ若い女、と、いうより正確にはまだ少女と呼んでもさしつかえのない時期であろう。

  "娘" とした方がむしろ似つかわしく思える年代である。

 だが、まだ明けきらない、夜勤明けの倦怠感と早朝番の眠気の漂う宙港のゲートへと1人歩み出た姿には、少女という言葉が連想させる年齢相応の未熟さ、危うさ、等といったものが、まったくと言っていいほどに既にみられなくなってしまっているのだった。

 彼女は落ち着いて、虚勢を張るでもなく静かに堂々としていた。

 ゆったりとしたライオン・ウォーキング(歩き方)は、あきらかに己れの実力に対して小揺るぎすらすることのない自信を抱いている者の、それなのである。

 自負心の源が外見の美しさ、などという浅はかなものではないことは明らかだった。

 といって…

 彼女が美しくない、と解釈するのは誤りである。

 それは美少女という一般的な概念ともまた大きくはずれたものではあったが。

 朝まだきの廊下の人気の少ない中を彼女は歩いてくる。

 その無雑作だがムダのない一挙一動は、真に見るべき眼をもつ者をならうならせるに足るものだった。

 ゆったりしたリズムを保って右、左、右…

 年頃の少女にしてはかなりの相当な大股、速歩である独特のウォーキング。

 どう見ても高度に訓練された者でなければでき得ない完璧なスタイルを持つように思えながら、その実それはプロのモデルのものでも、運動選手、舞踊家、格闘技やその他の武術をたしなんでいる者の動きでも、ない。

 あまりにも自然流に身につきすぎて、そこからおさと(職種)の知られるような生はんかに雑作のある挙止ではないのである。

 しいてと、ならば、それらのどれをも深く修めているような、とでも言うか。

 まったく弛むことすらない歩きっぷりである。

 見事と誉める以外ない。

 それだけの歩行法を修めながらなお、本人まるきりの無自覚で、あっさりと少年のように空間をかきわけて行くのも、また爽快であった。

 空調の油断でか宙港構内にはほのかに白い朝霧がいくばくかまぎれこんでいる。

 複数の自動検疫システムをくぐり抜けて、この時間でも星間航路行きの待ち合わせロビーにはいくらでも人がざわついていた。

 明るめの灰色のストレートのパンツにアイボリー・ホワイトのちょっと形の変わったジャケット。あっさりと地味な、かなりボーイッシュでもある服装は決して目立つというわけでもない。

 人混みの中にまぎれこんだ彼女が巧く混雑を泳ぎ抜けながら変わらず淡々と歩き続けて行くと、それでも幾人かは確実にふっと振り向いて見るのだった。

 まるで… 光を発しながら妖精がそこを通っていったのだと、いうかのように。

 珍しい薄灰色をした長い髪をしている。

(1月6日)  …「当時は」「SFな」技術でした。

https://85358.diarynote.jp/201701062149142617/

「惑星の夜明け」 (没原稿・ D-1.)。

2017年1月6日 リステラス星圏史略 (創作)

 

https://www.youtube.com/watch?v=PfEWKwsagkI
BOND - live from the Royal Albert Hall.avi



  "エスパッション" ・シリーズ vol.1.


 ほし(惑星)の夜明け 

 … A Dawn of A Planet …

          遠野真谷人



 …惑星リネアクライン。

 リスタルラーナ(星間連盟)世界 の大国同士を結ぶ における主要航路からは大分はずれた、辺境のほし(惑星)である。

 生活品のほぼ完全な自給が可能なためにかえって他恒星系との交易が遅れ、これといった特産物とてなく、中央のニュースからも遠い…

 そんな、おおどかで、沈滞した社会。

 うらさびて老朽化の目立つようなスペースポート(宙港)に、その未明、少女がひとり静かに降り立った。



 首都は、霧である。

 十数年来死んだままの店舗用ゴミ処理器の、出すとシュートの裏側から幾つもの生ゴミ袋を引きずり出しながら、青年は、細かな水滴の冷たさを気にするというのでもなく、見るとはなしにその霧の冷たさを肌で受けとめてちた。

 戸別の店舗用ゴミ処理器はこの十数年来というもの動いたことがない。だから、毎朝一番に数丁先の集積場…処理場まで直結の大型コンプレッサがある…へ、生ゴミを両腕にぶらさげて数往復するのは、長年の彼の日課だったのだ。

 黙々と青年は歩いていく。

 林立する高層建築物の集合体は、時代の新しいものになるにつれ、いっそうその超絶的な高層化が激しくなるものだ。

 その足下には、建造年を逆上るごとに背が低く安定した形へと変わってゆく、旧市街を埋もれさせて。

 この都市もどうやら歴史の古いリスタルラーナ系の文明圏に共通な、雑多で無計画な発展性を示してきたようだった。

 最初の入植者グループがもう二~三千年もの昔に造った小さなコロニーの名残を核として、いびつな同心円状に、新しいもの、新しいもの、と建造物をかさねていく。

 都市の交通機関もまた円型を常として発達し…

 やがて物理的な限界に達したビル群が新たなコア(核)を見つけてそちらへ移り流れるまで、取り壊されることのない旧い中心市街は、少しずつ、スラムと化していくのである。

 七階より高い建物とては見当たらないこのあたりで、青年も、青年の母や父も、生まれたのだった。



 少女はスタスタと、その年頃の娘としてはかなり大股の速足に宙港の構内を横切って行った。

 建物の内部にさえ何故からか白い霧のひとかけふたかけが紛れこんでいるこの朝まだき、長い廊下の自動走路は未だ目覚めていない。

 彼女と同じ船便で着いた数少ない旅行者たちは皆、宙港のサービスの始動を待って税関前の客溜まりに腰を据えている筈である。

 走路が動けば三分で着くものを、わざわざ十五分かけて歩こうという物好きは、普通、いない。

 始業の準備をする宙港グランド・ホスト(地上要員)の奇異の視線をまるで無視して、少女はその足でやはり走路の眠ったままの市街区へと、平然と歩み出して行ってしまった。



( …ふう。結構、歩いたなー。)

 彼女が足を停めたのは自転のゆるやかなこの星で、深夜というに近かった早暁からようやく高いビル群の頂きが朝陽の金色に染まろうかというほど、時のたった後である。

 この刻限、中流以上の階級が住まう新市街では個室ごとの明かりすらないが、スラム化の始まっているこの辺りは朝の早い労務者やあるいは夜業明けの者などで、思うより人出の多いものである。

( うう。お腹が空いたァ。… )

 もとより別段急ぎの用があって歩き通したわけでも何でもない。

 ただ単に幾日もの船旅で溜まってしまった運動不足を解消したかっただけの事なのだ。

 労働者相手の一軒の場末の朝食屋が開いているのを見つけて、少女はためらいもなく入って行った。



( …騒がしいな。)

 いい加減、ガタのきた機械のかわりに手で大量の皿を洗いながら青年は顔を上げた。

 さして入っているわけでもない早朝の安い定食めあての客たちが、妙に、一斉に、ざわついているのだ。

 その原因に気づいた青年は一瞬ポカンと口を開けた。

 ……少女である。

 象牙色のざっくりしたジャケット、淡灰色の、体にぴったりとついた細身のパンツ・スーツ。

 およそ色気には縁遠い、あっさりしたなり(服装)の、けれど仕立てと素材の良さが、その少女の階級…金のある…を示していた。

 こんな貧しい食べ物屋にはどう考えても不釣り合いな人種である。

 が、まあ、それだけなら、迷い児になった、とか人をでも探しに来ているとか、説明をつけられない事もない。

 食事客たちを落ちつかなくさせているのは、少女が、あまりにも物慣れた風で自然に振る舞っていたからだったのだ。

 育ちの良さげな娘がいかにも自分はここに居てしかるべき人間だ、という顔をしていると…

 常の、馴染みの客である筈のくたびれた作業衣の男たちの方が、どこか場違いな所にでも踏み込んでしまったのではないかと、つい、あたりを見まわしてみたくなってしまうのである。

 しかし青年を呆けさせたのはそれだけではなかった。

 美しかったのだ。

 いわゆる、その年頃の少女らしい華やかさ愛らしさというのではない。

 一本芯の通った、内奥からにじみ出る知性の高さ。やさし(理解深)さ。

  "気品" のようなもの…。

 将来の見通しの薄い下街には若者、殊に若く美しい娘たちの姿は少ない。

(…なんて… )

 そうして、たっぷり二分ほども、青年は少女を見つめていた。



 一隅に席を占めて少女は注文を出す。

「ファッショミルとジョイナーキィ。ティレイカ(お茶)、2.5mg濃い目にして。」

 卓上のメニュー・コンピューター(注文器)に音声入力して清算スリットにカードを入れようとする。

 と、作動しない。

「 ? 」

 コンコン。

 お~い、という感じの、妙に子供めいた仕草でディスプレイを弾く。

「 、あ!」

 ようやく正気にかえって、慌てた声で奥から人が出てきた。青年は洗い場からとびだした。

 まだ泡をふきのこした手でメモを取る。

「すいません、ここ、注文器こわれてんですよ。ええと…現金払いになっちまうんだけど…」

 こんなお嬢さんが今どき邪魔になる小額貨幣なんぞを持ち歩いているだろうか?

「 現金ね。あるよ」

 スタイル(服装)にあったちょっと少年ぽい笑いかたで動じもせず注文をくり返すと、公けの通貨ではない一番はした(端下)のテレス銭まで、きっちりとそろえて少女は払った。

 よくも上層新市街の人間が、持っていたものだ。





(ティルニー。
  A boy meets a gir. …一種の青春小説として?)



>卓上のメニュー・コンピューター(注文器)に音声入力して清算スリットにカードを入れようとする。

 …「当時は」「SFな」技術でした。

 ハイ。(^-^;)…☆

 

 



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