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空は青


どこまでが耳鳴りなのか知らないで街を歩けば方向音痴

 わたしを呼ぶ声がいつのまにか耳鳴りにかわる

透明な壁の向こうの閉ざされた明るい場所はみな光る服

 じっと見ているところを見られてしまってもまだじっと見ている

それぞれのねじれを持って校庭に置き捨てられた金管楽器

 なめらかであたたかいものに見えてもさわってみると固くて冷たい

行進をしていたはずの校庭に儀式のように残った楕円

 最初からまぼろしだった少年少女は呪術的足取りで消えてゆく

どの花も答えあわせを待っていて見えないように時間を隠す

 言い訳のために植えられた花でも花壇からはみ出てはいけない

森じゃない場所の落ち葉はゴミだから死体とともに運ばれてゆく

 信じていないから無表情のままなんだよ

階段の踊り場で向きを変えるたび抜けだせないでいるわけじゃない

 まっすぐに歩いているつもりでも右か左に曲がってしまうので
 想定されているゴールは振り出しに戻ることではないかと

地下街のひどく明るいトイレにもあるのだろうか怪談話

 明るくて静かなトイレはいつも真夜中のようにひんやりしている

地下街を通り抜ければ空からは見えないままでAからBへ

 見えなくてもわたしはまだいる

いつまでも余韻を抱いて空は青まだ終わらないお昼休みは

 遠くから聞こえる爆発音がいつのまにか耳鳴りにかわる

この本の内容は以上です。


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