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台本

蜂須賀劇場短編シリーズ第二弾

『よく晴れたある月曜日の殺人』

 

■ 映像制作コンセプト

都内の都心部にて撮影。

尺は15分前後。

イメージ、概念的な映像で迫ります。

撮影は夏です。

 

■キャスト

主演・石川県の吉田くんの1人芝居です。

※他、声のみ出演。1人三役以上やりましょか?

管理職役

警備員の上司

警備員の先輩

母親の声

女のファイナンシャル・ローン

不動産会社

電話男

電話女

警察官役数人

警察官

 

 

■ 状況設定と台詞

東高円寺のパチンコ屋のバス停前にて。

灼熱の夏。

ギラギラした太陽の映像、うるさいくらいのセミの鳴き声。

かげろうにような熱気。歪むアスファルト。

走り去ってしまったバス。

それに乗らず、座っているスーツ姿の吉田くん。

 

電話男「ああ、うちは、ちょっと、間に合ってますかねえ」

 

汗がしたたり落ちる吉田くんの顔。

その横顔のアップの切り取り。

そこに入る音声。

 

管理職a「おまえさ、もう入社して3ヶ月になんだよ。なんで全然売れないんだよ?

親戚とか、じいちゃんばあちゃんに買ってもらえないのかよ?

みんな、そうやって必死に頑張ってんだよね。

くそだよね。ほんと、ご時世っていうの?すごいよね。

やる気が、まったく見られない、おまえには。

このまま、まだここにいるんだ?

できないやつはね、みんな遠慮してやめてくんだよね。

図々しいよねえ、おまえ。

どんな育ち方、したんだよ、おまえ。

おまえの親、いったい、どんな親なの?

身障なんじゃねえか」

 

吉田くんの手元の映像。

 

母親「就職おめでとう。これはね、あなたにプレゼント。スーツ。

仕事、大変だろうけど、がんばってね」

 

吉田くんの横顔のアップ。

 

管理職a「今月から、おまえ給料でないからね。

当たり前だろ、そんなこと。

実力主義なんだよ、

おまえは脳が足りないんだ。

もういい、もういいから、なんにもしなくていい。

そこで座ってなさい。

どうせ外回りしたって、どっかで、さぼって座ってんだから」

 

吉田くんの横顔のアップ。

 

警備員の上司「はい。大沼警備会社です。バイトの応募ですか?

ええ、深夜のみのバイトでも大丈夫ですよ。

はい…」

 

ぎらぎらの太陽。

うるさいくらいのセミの声。

真昼間の公園。

スーツ姿で、ゆらゆら歩く。

 

警備員の先輩「ばかやろう!なに、ぼんやり突っ立ってんだよ!

あぶねえだろうがよお!」

 

吉田くん、公園の水道で顔を洗う。

横顔のアップ。

したたりおちる水滴。

 

警備員の上司「うーん…朝からの仕事もやってるんだよね?

それは、ちょっと、やっぱり、キツイんじゃないかなあ。

居眠りが多いっていう報告を受けてるんですよ。

うちは安全第一だから。

ちょっと、きみを、このまま使うっていうわけにはねえ」

 

電話男「なに、これ?セールスの電話?こっちは忙しいんだよ!電話なんか、かけてくんじゃねえ、ばかやろう!」

 

電話女「しつこいわね!うちは、そんなものいらないわよ!」

 

電話の切れた音。

 

街の雑踏。

西新宿の人ごみのなかを歩いている吉田くんを

遠くから撮る。

 

不動産会社「こちら家賃保障サービスですが、家賃が1ヶ月遅れています。

このままでは1週間後にアパートを引き払っていただくことになります」

 

ファイナンシャル・ローン「もしもし、こちらファイナンシャル・ローンですが。

ご融資の返済日ですが、先日ご連絡いただいた日を過ぎているのですが。

ご返済の予定は、どのようになっているのでしょう?」

 

手のひらの小銭。

 

丸ノ内線の車内。

 

窓から差し込むギラつく太陽。

 

管理職「おまえの親、離婚してんだよな。

父親のほうが悪かったのか?母親のほうか?

まあ、おまえみたいの産まれんだからな、どっちもどっちなんだろうな」

 

電車内、吉田くんの顔、真正面アップ。

 

パトカーのサイレンの音。

数人が取り押さえる音。

警察官「通り魔事件発生、刃物を持って歩行者を襲撃、何人もの被害者が倒れています、犯人は現行犯逮捕!現行犯逮捕!現行犯逮捕!」

 

通りに倒れる吉田くんの右手。

握りしめられている血ぬられた包丁。

歩道に点々とする血。

 

警察官「おまえ、なんでこんなことやったんだ!」

 

吉田くん「月曜日が、キライだったから」

 

おしまい

 

 

 

 

 

 

 

 

 


この本の内容は以上です。


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