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街路樹の不満

 街路樹は、人間の生活をよりよくする為に植えられている。

 並木道をつくり景観がきれいになる。騒音の低減、ヒートアイランド現象の緩和、直射日光を遮る、強風を抑えるなど。

 黙って立っているだけの街路樹と思ってましたが、実は人間の知らないところで会話をしていました。

 

「ちょっとー、右に立ってるあなた、あなたの枝があたしの視界をふさいでるの。邪魔だからなんとかしてよ。枝を横に広げないでよ」

「ごめんなさい。最近、体調が良くて、起きたら急に枝が伸びてきたんだ。僕もすこし重たいなと思ってたんだ。今度人間が来た時に剪定してもらうよ」

「早く剪定してもらってよ。目障りでしかたないわ」

「そんなにカリカリしなくてもいいだろ。そいつが悪いわけじゃないよ」

「あなた、横から何よ。偉そうに」

「別に偉そうにしてるつもりはないけど。目くじらたてて怒ることでもないと思うけどな」

「あなたも態度悪いわね。それに背が高すぎるでしょ。あたしが隠れてるじゃない」

「ハハハ、そうだな。俺がここの列では一番背が高いからな」

「あんた、あたしが怒ってるのに何笑ってんの。バカじゃない」

「あんまり怒らない方がいいよ。老けて枯れてしまうよ」

「失礼ね。あたしが老けてるっていうの。それってセクハラじゃない」

「ごめん、そんなつもりじゃないんだ」

「この場所はイライラするわね。場所変えてくれないかしら。隣との距離も近すぎるのよ。人間もちょっと考えて植えなさいよね」

 

 

「住民から通報があった木は、この木だな」

「そうです、これですね」

「何よ、この人間達。あたしの前に立ってあたしを見上げて。あたしじゃなくて、隣の枝伸ばしてるバカを剪定するのよ」

「あー、住民の通報どおりだ。お前も触ってみろ」

「ほんとですね。もうダメですね」

「何よこの人間。気安くあたしの体に触らないでよ。セクハラで訴えるわよ」

「この木は、根っこから腐ってるな。倒木すると危険だから早急に伐採するしかないな。すぐに手配してくれ」

「わかりました。業者に連絡しておきます」

「でも、何でこの木だけ腐ってるんだろうな」

「環境は隣の木と変わらないですけどね。不思議ですね」

 

 

 


この本の内容は以上です。


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