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事件

20 事件

ある日、男が住む部屋に突然警察が訪ねてきた。ドアの叩き方で警察だと分かった。男は要心してドアを開けなかった。

 

警察は近所で起きた強盗事件のことで話が聞きたいと言った。ドアを開けて顔を見せてほしいと言われると、男はこれは罠だと気がついた。

 

捕まるわけにはいかなかった。男は急いで窓のところへ行き、ベランダから逃げ出した。すでに警察が回り込んでいた。男は裏の畑であっけなく捕らえられると、車に押し込まれた。

 

警察は自分たちは警察のような格好をし、警察がやるようなことをしているが、本当は警察ではないのだと言った。男は自分がどこへ連れて行かれるのか知りたかった。警察のふりをした連中は教えられないと言った。なぜと問うと連中はむっつり黙り込んだ。

 

男はなぜ自分が捕まえられなければならないのか、その理由も知らなかった。

 

男の家の近所では、男が忽然と消えたことを誰も不審がらなかった。翌週、男の部屋に見ず知らずの男がやって来て、何食わぬ顔でそこに住みはじめた。近所の誰も、やはりこのことをおかしいと思わなかった。

 

その男は、部屋にあった家具や家電を自分のもののように使った。もといた男の痕跡はあっという間になくなってしまった。

 


この本の内容は以上です。


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