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墓参り

「幸輝、婆ちゃんに線香あげようか」

「わかった」小学生にしては体の大きい幸輝はお墓に線香をあげ手を合わせた。

「かあちゃん。幸輝も来年には中学生です。俺とは違って、真面目な中学生になりそうです。そう思うと、俺は母ちゃんに心配ばかりかけてたんだろうなと反省します。母ちゃんありがとう」北尾も墓に手を合わせていた。

「お義母さん、新婚当時に、食をおろそかにしてはいけない、食が体を作ると教えてもらったおかげで、あたしも食事には気をつかうようになり洋輔さんも幸輝も大きな病気もせずに元気に過ごせています。ありがとうございました。これからもお義母さん、天国で見守っていて下さい」麻耶も手を合わせた。

 

「よーし、帰ろうか。墓も綺麗になったし、幸輝が来たから、かあちゃん天国で喜んでるだろう」北尾が墓を見てから空を見上げた。青い空に浮かぶ雲を見て、ふくよかだった頃の母親を思い出した。

 

 自宅マンションに着いて、エレベーターを待っている間に「ちょっとポスト見てくる」と麻耶がポストに向かった。

「おー」北尾と幸輝はエレベーターの前で待った。

「あなた、これ」ポストから戻ってきた麻耶がそう言ってハガキを差し出した。

「なんのハガキだ」北尾はハガキを受け取った。

《同窓会のご案内》と書いてあった。

「おっ、同窓会の案内だ」と言ってエレベーターに乗り込んだ。


四十にして惑わず

 山脇の休日は息子の優翔の少年野球に付き合って、朝早くから出かけることが多い。この日も試合があるので応援に出かけた。しかし、優翔の出番はなく、ベンチから声をあげるだけで、試合も負けてしまった。まだ小学校三年生だから、これから野球がうまくなってくれるだろうと、これからに期待した。いつも優翔に野球を教えてくれている義弟に似てくれれば楽しみだと思うが、自分が運動音痴なので、息子にあまり期待してやるのも可哀想だ、野球を楽しんでくれればそれでいい。義弟もそう言っていた。

「優翔、お疲れ。試合残念だったな」

「お父さん、応援有難う。僕、もっと野球がうまくなって、試合に出られるようになるから。叔父さんみたいにうまくなるから」

「優翔の活躍する姿を楽しみにしてるけど、優翔が楽しんでいれば、父さんはそれで充分だ」

「うん、今は野球が楽しくてしかたない」

「そうか、それならいい。叔父さんもお母さんもきっと喜ぶよ。帰ってお母さんに報告しようか」

「うん」優翔はグローブに手を入れてパンパンと叩いた。

 中学の頃の義弟を思い出した。

 

「ただいま」

「おかえりなさい。試合はどうだった?」

「残念ながら、負けちゃったわ。優翔の出番も無かったしな」

「そう、優翔はまだ小さいから、これからよ」

「今日、店は?」

「夕方までは美和さんに、お願いしてる」

「そうか、じゃあ安心だな」

「はい、珈琲とあなたの好きな焼き菓子」

「ありがとう」

「あっ、そうそう、あなたにハガキが来てたわよ。同窓会の案内みたい」

「同窓会の?」山脇はハガキに視線を落とした。

 

 

 

 《間中高校十五期生の皆さんへ》

 

 間中高校十五期生の皆さん、お元気ですか? 私たち十五期生も四十才になります。

「四十にして惑わず」といいますが、惑わずに生きていますか? 

 まだまだ人生に迷っている人も多いかもしれません。私もまだまだ迷ってます。

 迷ってる時、昔の仲間に会うと、勇気や希望をもらえるものです。

 私は、そう信じて、この度同窓会を開催しようと決めました。

 私も人生に迷っている時期に開催してくれた同窓会のおかげで前を向いて生きていけるようになった気がしています。

 四十才から、さらに前に進む活力を皆さんと分かち合いたいと思っています。たくさんの人の参加お待ちしております。

 

 山脇は幹事の名前を見て絶対に出席しようと思った。

 

《同窓会のご案内》

間中高校15期生の同窓会を催します。

日時 2017年8月20日 17時から

場所 ホテル マナカ

幹事 日下光治


この本の内容は以上です。


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