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第1話 ふくろうの夜

森に夜が来た

木々の間から 乏しい月の光が差し込んで

銀色に毛を光らせたキツネが

風の匂いを確かめて立ち止まった

 

パキパキと枝を踏み折る音はオス鹿だろう

キツネはすでに見えなくなった

 

フクロウは枝の上にいる

枝の上から森の全てを見下ろしている

 

ザワザワと風の通り抜ける音がした

雨になる風ではないなと フクロウは思った

雨の日は羽が重い

羽が重い日は 飛ぶのが厄介だ

 

またザワザワと風の音がした

その次に カサコソと夜を乱す音がした

 

フクロウはじっとそちらを見ている

 

じっと聞き耳を立てている

 

己がどんなに美しく 

木々をすり抜けて行くかを思い浮かべた

 

ブワッと翼を広げて

枝をつかんだ指を離して

森の空気を羽の下に抱え込み

音もなく 背の低い草むらを目指した

 

 

 

 

フクロウはまた 枝の上にいる

足元には ネズミが捉えられていた

ネズミの目は まだ黒く艶やかに光っている

けれどもネズミは暴れようとは思わなかった

 

自分の番が来たのだと悟っていた

ネズミはムシを食べ

ネズミはフクロウに食べられる

 

フクロウは誰に食べられる?

フクロウは強そうだ 

誰にも食べられないとしたら

それは可哀想だな、、、

 

 

 

フクロウは森にいる

森にいて いつも夜を待っている


この本の内容は以上です。


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