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DAY-2 ④

「はい。融けちゃうから、速く」
 小僧が早歩きで戻ってきて、ソフトクリームを突き出していた。
「悪いね」
「何を想像してたか大体見当はつく」
 小僧は日陰を指差した。おとなしく誘導に従うしかなかった。

「船旅の疲れが抜けてないな。トシだからしょうがないけど」

「そもそも自家用車で全国縦断なんて正気の沙汰じゃないね」

「結構いるぞ、車好きの旅マニア」
「フリーランスの特権だ。羨ましい」
「会社員だった頃が懐かしくなるときもあるよ」
「戻りたい?」
「いや、それはない」
 小僧はフフフフと笑ってコーンのスリーヴを握り締め、ゴミ箱まで走って行って戻ってきた。
「もうちょっと休ませてあげようか」
「恐縮です」

 子供ガキに気を遣わせてどうする。しっかりしろ。

「おじさんは寝てていいよ」

 連れて来られたのはプラネタリウムのホール。海獣の後に天像儀とは、これ如何いかに。

「だって、海と宇宙は繋がってるんだから。深海の映像、見たことある?」
「うん」
「我々の日常とは別世界でしょ。地続きじゃない感じ。深く深く潜った先に宇宙空間が開けてる気がしない?」
「確かに、深海魚は見慣れた魚より謎の宇宙生物の風情、かな」
 と、宇宙と深海のイメージの親和性について一頻り語らった。
「いつも友達とそんな話をしてるの?」
「そう。宇宙人がコンタクトして来たら、どう対応しようか検討中」

 薄笑いは冗談のしるし。だが、

「考えているのは応戦でも懐柔でもないよ。地球防衛軍じゃあるまいし。侵略者の斥候うかみになって生き延びようって計画」

 

 

《『thirsty』書籍版につづく》


奥付

 

thirsty


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閲覧ありがとうございました。

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著者 : 深川夏眠
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