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その頃、診療所では、ドクターが電話で話をしていた。

 

「エディの所へ行く、ジェニーのことを気にかけておいてほしい」

「でも、どうして?」

ドクターは、娘に電話をしていた。娘は、ロンドンで探偵事務所を営んでいた。

「今後、ジェニーがどうなるのか知りたいんだ」

「わかった。出来るだけやってみるわ」

「それから、もうひとつ頼まれてくれないか? 」

「まだ、あるの? 」

娘は迷惑そうに言う。

 

「トヤマ・サチコという女性のことを調べて欲しいんだ」

「トヤマ・サチコ・・・・・・!? その人は、パパとどういう関係なの? まさか、浮気相手なんかじゃないでしょうね? 」

「バカなことを言うなよ。もう12年も前のことだが、ジェニーと何か関係あるかもしれない」

「ずいぶん昔のことね。どうして、また? 」

「思い出したんだ。確証はできないが、今何をしているか知りたいんだ。当時は、ロンドン大学の学生研究生だったと思う」

「わかったわ。調べてみるけど、ちゃんと調査費はもらうわよ」

「ああ、頼むよ」

ドクターが電話を切ると、背もたれの椅子に寄りかかり、何か深い思いにふけた。

 

「着いたよ」

エディが、隣のジェニーに声を掛けた。

 

ジェニーは、二人に見送られる時、グッと泣くのをこらえていた。

泣いてしまうと、淋しさがこみ上げてくる気がした。自分がエディの所に行くことを、泣くことで間違いだと思われたくなかった。

そんな強い気持ちを持ったまま、車のシートに身を沈めると、いつの間にか寝入ってしまった。

 

ジェニーが目を覚ますと、外は真っ暗で、すっかり夜になっていた。

車は、堂々たる門構えの前に停まっていた。

「帰ってきました」

運転手が携帯電話で告げると、門が自動に開いた。

車が門の中に入ると、正面に大きな邸宅が見えた。

 

邸宅の玄関の前に車が停まった。

「さあ、行こう」

エディの言葉で、ジェニーは車から降りた。

ジェニーは、これから何が起こるのか、不安と期待を抱いたまま邸宅の中へ入って行った。

 

                           後編につづく

 


この本の内容は以上です。


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