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 わたしは毎日黒猫と話す。
 出会いは三年前、小学一年の時だった。
 河原の段ボールに捨てられていた。まだほんの子猫で、真っ黒い毛並みに、黄色い真ん丸いクリクリした瞳がかわいらしかった。
 動物が苦手で、怖くて触れないわたしでも、見詰め合ったら目が離せない魅力があった。
 わたしは、誰か拾ってくれないかと隠れて毎日様子を見に行った。
 そして子猫はいなくなった。拾われたのか、迷子になったのか、死んでしまったのか分からなかった。行方が気になってしかたがなかった。
 それから二年経ったある日、通学路の途中の家の塀に黒猫が待っていた。すっかり大人になって、どどんと大きくなっていたが、クリクリした瞳は変わらなかった。すぐにあの時の子猫だと分かった。赤い首輪をしていた。
 黒猫は、雨降り以外、毎日待っていた。
 わたしは、思い切ってちょっと離れた玄関脇に座った。黒猫は逃げなかった。
 ある日、話しかけてみた。するとにゃあと鳴いて、尻尾をクネクネ揺らした。わたしは応えてくれて嬉しくなった。弾んで帰った。
 それから会うたびに、いろんな話をした。
 いつも待っていて、いつでも話を聞いてくれる。黒猫とわたしは、いつの間にか友だちになっていた。
 繰り返されるリズムは永遠を感じされた。
 世界は、一人と一匹のためにあった。


この本の内容は以上です。


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