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   公園通り

 

 

 僕と“お嬢様”が公園通りを歩いていた。“お嬢様”と言うのは僕の隣を歩いている女の子のニックネームだ。

 

 ちなみに、“お嬢様”が名付けた僕のニックネームは“のっくん”。“お嬢様”いわく、「のび太くんに似てるから」だそうだ。

 

 現在、このニックネームは、僕と“お嬢様”の間でだけ使われている。

 

 “お嬢様”が僕の肩をつついた。

 

「あの子を見て」

「昨日の子だ」

 

 公園に小学生の女の子と、小学生の男の子たちがいた。小学生の女の子は、小学生の男の子たちに怒りをぶちまけていた。

 

「あれは、からかわれて、怒っているんだよ」

「うん。でも、僕らに何かできる?」

 

 小学生の男の子たちが走っていなくなった後、“お嬢様”が小学生の女の子に近づいた。

 

「これをあげるよ」

「何もないよ」

 

 確かに、“お嬢様”の手には何もない。でも、“お嬢様”は話し続ける。

 

「これはね、ハートブレイクカードって言うカードだよ。キラキラしたハートの模様が描いてあるんだ」

「ふうん」

 

 小学生の女の子は、“お嬢様”のごっこ遊びに乗ってあげるようだ。

 

「このカードはね、イライラしてチクショーって思ったときに、ピリッって一枚破るんだよ。明日から、この公園の椅子の下に、毎朝二十枚、隠しておいてあげるね。だから、毎朝、補充してね」

「わかった」

 

 僕と“お嬢様”は、小学生の女の子と別れた。

 


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   別の日

 

 

 僕と“お嬢様”が公園通りの近くを歩いていた。

 

「“のっくん”、見て」

「あの子だ」

 

 あの時の小学生の女の子が、公園の方に走って行く。後ろから小学生の男の子たちが追いかけていく。

 

「もしかして、今日の分のハートブレイクカードを使い切っちゃって、補充に行くのかな?」

「たぶん、そうね。二十枚じゃ、足りなかったのね」

 

 まだ、公園まで距離があるけど、小学生の女の子が止まった。さっきまでと、感じが違う。

 

 ちょっとしゃべって、小学生の男の子たちは、興ざめしたようにいなくなった。

 

 小学生の女の子が、僕と“お嬢様”のところへやってきた。

 

「お姉さん、お兄さん、あたし、カード全部使っちゃっても、怒るのがまん出来たよ」

「えらいね」

 “お嬢様”が、にこにこした。

 

「えらいね」

 僕も、にこにこした。

 


奥付



僕とお嬢様とハートブレイクカード


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著者 : zen-aku
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