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 僕は疑う。全てを疑う。だから確かめる。
 出かける前は電気、ガス、水道、鞄のなかみに家の鍵、なんだって何度も確かめる。
 モノはいいが、人は厄介だ。嘘を吐くし、毎回必ず答えてくれない。
 女たちは揃って僕に愛していると囁く。
 僕は聞く。愛するとはなんだ?

 ある女は気になってしかたがないと言った。
 気になるだけで愛していると言えるのか?
 僕はその女に関心がなかった。
 女は言った。悲しいと。
 僕は愛の確証が欲しい。
 そんなある日、とあるパーティーで僕は真紀子に出会った。真紀子は疑わない。素直に微笑む。それ以来、気がつくと僕は真紀子のことを考えている。しかし真紀子のことを忘れている瞬間もある。けれどもすぐに思い出す。これが、もしかして愛なのか。
 ある日真紀子とパーティーで再会した。僕は真紀子を見つめた。真紀子は言った。
「なぜ私を見ているの?」
 僕はドキッとした。
 愛を問うてきた僕が問われたからだ。何か言わなければ。なんと言えば?
 僕には答えの用意がない。焦る。その言葉が唇からこぼれるまで一体何秒かかったのか。
「見つめ返されるのを待っていたんだ」
 真紀子は目を見開いてはっきり微笑んだ。
 僕は真紀子の反応に幸せを感じたはずだ。
 それは真実なのか?


この本の内容は以上です。


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