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生命線と頭脳線の起点部分が重なっている人の恋愛話

生命線と頭脳線の起点部分について

 生命線と頭脳線は、どちらも親指と人差し指の付け根の間を起点にして伸びています。その起点が同じ位置から重なっている場合と離れている場合があり、この重なり具合や離れ方により、その人の慎重さ、大胆さがわかります。

 

 ここからは、生命線と頭脳線の起点が長く重なった男の恋愛話です。男は『スーパーサワダ』という食品スーパーで働く榊原俊介です。

 榊原俊介は惣菜担当の女性社員、宮崎祥恵に好意を持っているのだが、奥手で慎重な俊介は告白することが出来ない。俊介の部下、大沢玲奈は生命線と頭脳線の起点部分が離れているタイプ。積極的で大胆、明るい性格の玲奈は俊介の恋を応援しようとするのだが……

 

 

 1、誰も知らないはずなのに

 

 地域密着型の食品スーパーサワダは今日からの売り出しで朝から大忙しだったが、夕方のピークも過ぎ、少し落ち着きはじめていた。後は閉店までの売り切りだ。この時間に人気なのは惣菜の値引きで惣菜売場の前は、あっという間にお客さんでいっぱいになっていた。

 惣菜担当の宮崎祥恵は商品の値引き作業とお客さんの応対に追われていたが笑顔を絶やさない。

 グロッサリー担当の榊原俊介は、その様子を横目で見ながらドレッシングの陳列をしていた。グロッサリーが取り扱う商品は調味料やレトルト食品、スナック菓子、乾物などの賞味期限の長い商品なので夕方の値引きの時間は惣菜ほど忙しくない。なのでドレッシングの陳列に集中しておけばよいのだが、なぜか惣菜売場が気になる様子だ。しまいには陳列の手を止め、両手にドレッシングを一本づつ握ったまま、惣菜売場ばかり見ていた。正確には惣菜売場ではなく、お客さんに埋もれながら、たまに見える宮崎祥恵の笑顔を見ていた。普段あまり表情を変えない祥恵だが、売場でお客さんと接している時は笑顔を見せる。その笑顔を遠くから見ているだけで俊介は興奮していた。

「チーフ、あがりますね」

 俊介の意識が完全に宮崎祥恵の笑顔にいってしまっていた時、横から声が聞こえてきた。我に帰った俊介が横を見ると、大沢玲奈が俊介の横に立ち、俊介の見つめる惣菜売場の方に視線を向けて立っていた。

 大沢玲奈は俊介と同じグロッサリーを担当している。玲奈がグロッサリー担当として入社してきた時、俊介は玲奈のことを、小柄な体と派手な化粧と小悪魔のような表情を見て、この仕事はきついし長続きしないんじゃないかと思っていた。俊介は初めて玲奈と顔を合わせた時「食品を扱う仕事だから化粧は派手すぎないように」と注意した。その時、これで辞めるんではないかと思った。

 しかし、次の日から玲奈は化粧を薄くしてテキパキと仕事をこなした。化粧をうすくしても瞳が大きく唇がふくよかで色気があった。体は小さいがバイタリティーがあり力仕事も平気でこなす。明るくポジティブな性格はお客さんからも人気があった。

「あー、お疲れさま。今日は忙しくて大変だったな。ありがとう」俊介は玲奈に視線を移し労いの言葉をかけた。

「チーフはまだ帰らないんですか~」玲奈はいたずらっぽい笑みを浮かべながら俊介の顔を見た。

「あー、そろそろ終わりにするよ。俺のこと気にせずあがっていいよ」玲奈に小さく笑みを浮かべてから視線を惣菜売場に戻した。

「フフフ、祥恵を見てるんでしょ」玲奈が俊介の顔を覗きこむようにして言った。

「えっ」俊介は目を丸くして玲奈の顔を見た。

「やっぱりー、フフフ、顔が真っ赤ですよ~」俊介の顔を指差しながら笑った。

「上司をからかうな。早く帰れよ」

「はーい、お疲れさまでした。チーフ頑張って下さいね」玲奈は手を振りながら、その場から離れていった。

 俊介は何故気付かれたのだろうとあせった。背中にタラリと汗が流れるのを感じた。

 俊介は宮崎祥恵に好意を寄せていたが、その気持ちは誰にも明かさず心の奥底にしまっていた。誰も知らないはずなのに、大沢玲奈には気付かれていた。

「何故知っているんだ?」俊介は混乱していた。玲奈と祥恵は同期で休憩中によく会話しているのを見かけていた。まさか宮崎祥恵に自分が好意を寄せていることをしゃべってしまっているのではないかと焦った。

 

 

 2、発注は慎重にな

 

「チーフ、今度の売り出し商品のこだわりぽん酢ですが100ケース発注しておきますね」大沢玲奈がパソコンの画面に視線をやりキーボードを叩きながら俊介に確認の為に訊いた。その後、俊介の返事も待たず「よーし、出来た」と言って首を右に傾け、拳で肩を叩いた。

「おい、おい、今100ケースって言ったよな」慌てて俊介が玲奈の肩越しにパソコンの画面を覗きこんだ。

「そうです、凄いでしょ」玲奈は自慢気な表情を後ろに立つ俊介に向けた。

「100ケースは多いだろ。何でだよ」

「いや、何となくね」

「何となくじゃダメだよ。データとか確認したのか。でないと失敗するぞ」

「大丈夫ですよ、絶対成功させます。チーフは慎重になり過ぎですよ。もっと大胆にやらないと成功出来ないですよ」玲奈はそう言ってニヤリと笑った後「仕事も恋愛もですよ~」俊介の顔を見て、わざとらしく、にやりと白い歯を見せた。

「今、恋愛の話は関係ないだろ。とりあえず、こだわりぽん酢の発注はちょっと待ってくれ」

「わかりました。チーフ」玲奈は右手を上げて敬礼のポーズをとって見せ、にっこりと笑った。

 

 

 3、ライバルが多いから積極的に

 

「大沢さん、ちょっといいか?」俊介が神妙な表情で手招きした。

「はい、なんでしょう」玲奈もめずらしく神妙な表情になった。いつも柔らかいはずの俊介の表情が厳しそうだったからだ。

「いや、仕事のことじゃないんだけど」俊介は言いにくそうに頭を掻きながら言った。

 勘のいい玲奈は相好を崩し「フフーン、もしかして祥恵の件ですか」そう言って俊介の顔を覗きこんだ。

「な、なぜ、知ってるんだよ」俊介は顔を真っ赤にして小さな声になった。

「チーフのこと毎日のように見てたらわかりますよ。チーフは気付かれてないと思ってるんでしょうけど、バレバレですよ。あたしの事なんか放ったらかしで、ずーっと祥恵の方ばっかり見てるんですから」

「そんなに宮崎さんばかり見てないよ。それより大沢さん以外にも知ってる人いるかな」

「さぁ、わかりませんけど、誰かに気づかれてるかもしれませんね」

「まさか、宮崎さんは知らないよな」

「祥恵からは聞いたことないですけど。でも早くチーフが祥恵に告白したらいいじゃないですか」

「いや、それはまずいだろ。フラれると、お互い仕事がやりにくくなるし、こういう事は慎重にやらないとな」

「そんな事、考えても何もプラスになりませんよ。当たって砕けろですよ」

「そんな簡単なことじゃないだろ。宮崎さんの事をもう少し知っておきたいしな」

「そんな事してたらチャンス逃しますよ。祥恵は今彼氏いないけど、狙ってる男達はたくさんいますよ。ライバルに先を越されたら、万事休す、ですよ」

「他に宮崎さんを狙ってる奴がいるのか」

「気になります?」ニタニタとした表情を俊介の顔に近付け「鮮魚の安達君でしょ、青果の小山内さんもそうだと思います。特に安達君はチーフにとって強敵ですね。ルックスもいいし、積極的ですから」

「安達って、ここに来て、まだ2カ月だろ。それに宮崎さんより年下じゃないか」

「そんなの恋愛には全く関係ないですよ。安達君は攻めますよ~」

 

 

 4、万事休すからの急展開

 

 俊介は売場の整理をしながら、惣菜売場に視線をやった。「ふぅー」と息を吐いて売場の整理に集中しようと気持ちを切り替えた。

「宮崎さん、俺、仕事終わったからバックで待ってますね」体格のいい若い男が惣菜売場で片付けをしている祥恵に声を掛けた。

「うん、あたしももうすぐ終わるから」祥恵の笑顔がその男だけに向けられた。

 鮮魚の若い男はにこやかな表情でスイングドアの前で一礼しバックルームへと姿を消した。

 俊介は二人より先に帰ろうと慌てて仕事を終わらせた。

 

 

「チーフ、残念でしたね」玲奈は眉を八の字にしているが、口元には笑みを浮かべていた。

「何がだよ? ぽん酢の在庫があふれてる件か」俊介は玲奈が祥恵と安達が付き合い始めた件を話そうとしているのだとわかったが、その話題は避けたいと玲奈が失敗したぽん酢の発注の件を口にした。結局ぽん酢の発注は玲奈のいう通りに発注したが半分以上残ってしまっていた。嫌味な男だなと思ったが祥恵の話題はどうしても避けたかった。

「チーフ、申し訳ありませんでした。あたしがチーフの言われた通りに発注数を見直さなかったが為に在庫があふれてしまって。次からはチーフのアドバイスをしっかり頭に叩き込みます。これからもお願いします」勢いよく深く頭を下げた後、紅い口角をきゅっと上げた。

 嫌味を言っても、いつも前向きに返してくれる玲奈に助けられていることが多いなと俊介はあらためて思った。

「まぁ、失敗は誰にでもあるから」そう言って終わらせようと思った。

 しかし、

「そうですよ、失敗しても次がありますよ。チーフも祥恵だけが女じゃないですから」玲奈はすぐ話題を戻してきた。

「まぁ、そうだな。大沢さんの言った通りだったよ。俺も勉強になった」頭を掻きながら、これで話を終わりにしようとして玲奈に背中を向けて事務所から出て行こうとした。

 すると、玲奈が俊介の前に回り込んできて腕を握った。

「チーフ、じゃあ、次は積極的にいきましょう」

「あー、次に好きな娘が出来たら大沢さんのアドバイスを思い出すよ」

「わかりました。じゃあ、次の相手をあたしにしませんか?」玲奈の声はかすかに震えていた。

 俊介が玲奈を見ると、顔が紅潮し大きな瞳が少し潤んでいるようだった。少し開いた紅いふくよかな唇が小さく動いた。

「あたしはチーフのこと好きなんです」

 俊介は思いもしない言葉に一瞬頭が真っ白になった。暫く沈黙があり、俊介は呼吸を整え玲奈の顔を見た。こうして見ると可愛い娘だなと思った。抱きしめたいと思ったが、直属の部下だと考えると出来ない。呼吸を整え冷静に言葉を返した。

「ありがとう。でも、俺なんかだと、ぽん酢みたいに失敗するぞ」小さく微笑んだ。

「あたしは失敗なんて考えてません。チーフにフラれても、うまく付き合えても、付き合って別れても、チーフと出会えただけで充分成功です」俊介の腕を強く握り肩に頬を寄せてきた。

「俺にも大沢さんみたいな大胆さとポジティブさが必要だよな」

 玲奈は小さく頷いた。

 俊介は玲奈の肩に腕をまわした。

 

 

榊原俊介の手相について

生命線と頭脳線の起点部分の重なり部分が2センチ位ある。これは慎重な性格を表してます。

感情線が直線的で感情をあまり表に出さない。

頭脳線は長いので物事をじっくりと考える。

恋愛には奥手で消極的、なので恋愛の発展は遅いタイプ。

 

大沢玲奈の手相について

生命線と頭脳線の起点部分が離れています。積極的で明るい性格で、思い立ったら行動するタイプです。計画性、慎重さに欠け失敗もします。KYと言われることもあるが、成功運は高いです。

 


この本の内容は以上です。


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