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全世代型社会保障改革と雇用環境の変化

全世代型社会保障の改革が現内閣の新たなチャレンジのようです

が、未来投資会議で安倍首相は、次のように述べています。

「生涯現役社会の実現に向けて、意欲ある高齢者の皆さんに働く

場を準備するため、65歳以上への継続雇用年齢の引上げに向けた

検討を開始します。この際、個人の実情に応じた多様な就業機会

の提供に留意します」

 

やっと65歳までの継続雇用制度が整ったところですが、引き続

き70歳までの継続雇用が議論されようとしています。

もっとも、65歳定年制は2025年度から実施されますから大

筋の議論を開始するということでしょう。

それでも喫緊の課題として議論する目的は、社会保障財源の問題

が根底にあるからです。

それにしてもこの問題は、人がいつまで働くかという大きなテー

マが横たわっていますし、他方、少子化で人口が減少する社会が

迫っていますから相当ひっ迫した問題といわざるを得ません。

 

最近、経団連が就職協定に関して2021年春から現行の採用ル

ールを廃止すると発表しましたが、今般の社会保障制度の改革は、

我が国の働き方全般を見直すことが必要なほど大きなテーマにな

るのかもわかりません。

 

雇用の長期化だけが先行すれば、我が国のように年功制を採用し

ている企業では、当然ですが、人件費が増大することは目にみえ

ています。

今般の経団連の採用ルールの見直しは、新卒一括採用制度そのも

のを根底から変えていくインパクトがありそうです。

人口が減少していく社会ですから、そもそも新卒一括採用がむず

かしくなり、各企業が新卒を取り合う時代が迫ってきていると感

じます。

就職協定を守っている企業は、メディアなどの報道でも非常に少

なくなっており、今般の就職協定の廃止は、経団連傘下の大手企

業でも採用ルール順守に対する危機感の表れではないでしょうか。

 

国は社会保障制度の根幹となる税収の安定化のために、企業を利

用しながら財源の肩代わりを狙い、多くの国民には年齢にかかわ

 

 

 

らずいつまでも働ける開かれた社会の実現といったスローガンを

毎度打ち出します。

今後、益々企業と国との間では、労働社会(働き続ける社会)に

対する綱引きがはじまるだろうと予想されます。

 

そのひとつは、解雇制度でしょうか。

現状の解雇制度は、法的に非常に厳しい要件があり簡単に従業員

を解雇することができませんが、今後は金銭解雇など幅広い解雇

の運用がおこなわれてくるものと思われます。

同時に、そのような制度が確立されてくれば、経験者採用など中

途採用が活発化し雇用の流動化を促すことになるでしょう。

いずれにしても新卒一括採用のルールがなくなることで採用活動

の流れが大きく転換していくと考えられ、厳しい新卒採用環境が

出現してくれば、それに付随して中途採用が幅広くおこなわれる

ことに変化してくのではないでしょうか。

しかも、企業競争が激しくなりますから、より優秀な人材の獲得

競争も増大することになります。

その際、人材の入れ替えのための仕組み、例えば評価制度や解雇

制度の仕組み化が間違いなく必要となります。

全世代型社会保障改革は、単なる社会保障の改革と思わわれるで

しょうが、この国の骨格を変えていく重要な制度改革になると思

われます。

 

実務の現場では、すでに雇用の流動化は進行しています。

日本型経営にどっぷりとつかっているような企業では、若いひと

たちは早々にそのような船から降りており、企業の将来に暗雲が

立ち込めていることを経営者は自覚しておくべきです。

その意味でも新卒採用も大事ですが、より仕事の経験を積んだ若

手、あるいは相応なマネジメント能力をもった中堅、管理職、経

営職も、これまでとは違うレベルで流動化していくのではないか

と、考えられます。

 

現状のような日本型か、欧米型かよくわからない企業運営やマネ

ジメントでは、ますます生産性が下がってくるでしょうし、人件

費削減や投資抑制だけで利益を出している今般の企業経営はそも

 

 

 

そも成立しなくなってくるでしょう。

 

我が国の変化の時間推移からすると時間がかかることも予想され

ますが、我が国の人口減少、災害の増大、あるいは東南アジア諸

国の成長スピードからすると、我が国でもかなりはや伊スピード

で変化が訪れることも予想されます。

この国の社会保障制度の問題は、高齢化が急速なだけに我が国の

雇用環境や制度の骨格を変えるだけの強制力が働くと、私は考え

ています。

 

 

 


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最終更新日 : 2018-10-16 09:24:40

この本の内容は以上です。


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