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算命学余話 #R74 (page 1)

 先日カンボジアを取材した番組を見ていて、ポル・ポトの死因が未だに謎であることを知りました。自殺とも他殺とも言われているそうですが、真相は確かにありますし、誰かが知っているはずです。しかしカンボジア国内でも公表されておりません。それどころか、ポル・ポトが引き起こしたカンボジア内戦や虐殺についても、当地では学校教育で教えないということです。

 その番組の解釈によれば、ポル・ポトによる恐怖政治の言いなりになるしかなかったカンボジア国民は、多くが圧政や虐殺の加害者でもあり、そのいちいちを糾弾していたら既に激減している人口を維持して国を再建していくことができないため、被害者は復讐心を抑えてかつての加害者と共存せざるを得ないのだということです。決して赦したわけではないけれど、今は黙っていることにした。その状態を続けた結果、学校の教科書にはポル・ポト時代の内戦の事実が記述されず、子供達は自国で何があったのかを知らぬまま、戦争があったことなど知らぬまま、平和に日々を送っているというわけなのでした。

 どこかで聞いたような話です。日本の子供達も戦後70年を経ては、もう先の戦争を遠い過去の出来事としてしか認識しないのが一般的です。学校の教科書では学ぶけれども、もはや壬申の乱や桶狭間といった歴史上の一事件としてしか把握しておらず、実感はない。そうした現状を見て、戦争の生き証人である老人たちが危機感を感じたものか、今まで口をつぐんできた自らの加害体験や、性的被害といった思い出したくない事実を、自分が死ぬ前に伝えておこうとする活動が細々と行なわれています。勇気のある活動です。

 

 算命学の観点から言えば、こうした活動は大いに意義があり、また自然な行為です。算命学学習者にはご承知のように、実際に起きてしまったことは事実として後々まで影響し、隠したところで決してなくなりはしないのです。どんなに都合が悪くて隠蔽しようが、皆が口裏を合わせて歴史を改竄しようが、法律で無罪と認定しようが、焚書しようが、事実は事実です。その後の歴史は、その事実の上にしか積み上げられない。

 それを、その事実がなかったかのように振舞い、その上で歴史書を上書きし続ければ、その歴史は自ずと辻褄が合わなくなるものです。繰り返しますが、事実を積み上げたものが歴史なのです。嘘を積み上げたものは歴史ではなく、誰かに都合のいい物語、つまり虚構に過ぎません。

 

 困ったことに、人間は事実で出来上がった歴史よりも、物語の方を好む生き物のようです。そして物語の辻褄が合わないことを認めながら、「昔の話だから細部までは伝わらないのだ」と不明点に疑問を差し挟まず許容してしまいます。謎を謎のまま放置してしまう。

 しかし事実はやはり物語とは違うのです。誰かが都合の悪い部分を削除したり嘘で塗り固めたりした結果、一貫した歴史の筋道の中に意味不明な穴があちこちに穿たれ、その穴のせいで我々は過去を正しく辿ることができなくなっているのであり、事実が消えてなくなったわけでは決してないのです。

 

 算命学の効用の一つは、こうした穴に嵌まることなくまっすぐに過去への糸をたぐり、一貫した歴史を再現することです。その手がかりは自然が示してくれています。算命学は自然思想でできていますが、自然は嘘をつきません。そして自然の法則は宇宙の運行と同調しているので、宇宙の運行にそぐわない事件はこの世に起きません。

 従って、算命学を正しく認識し熟練することで、宇宙の法則に反した事件を炙り出し、人間がどこかで始めた嘘や虚構、自然に反した行いを暴くことができるのです。学習者には、そうした側面にも目を向けて鑑定技術を向上させてほしいと思います。

 

 今回の余話は、前回の特殊な星並びの話につなげて、宿命の消化がどうして重要なのか、果ては宿命未消化が社会全体に与える影響について、巨視的な視点を鍛える内容です。もちろん狭義的にも、運勢鑑定における助言の出し方の方向性について考えを深める内容でもあります。その導入に、天災を例に挙げてみます。

 今年は天災の多い年ですが、大きな地震によってしばしば液状化現象というのが起きます。あれは地面の奥に水が砂と一緒に溜まっていて、それが地震の揺れによって上下左右にシャバシャバと揺すられた結果、重い砂が下に沈み、軽い水が上に上がり、その上に来た水が地上に浸み出して周囲を水浸しにするという現象です。それを知らずに家を建ててしまうと、地震で地盤が水浸しとなり、家が傾いて住めなくなるというわけです。

 このメカニズムは、上述の穴の空いた偽りの歴史に似ています。どうして家は傾いたのか。それは水の溜まっている地面と知らずにその上に家を建てたからです。どうして人間は同じ失敗を繰り返して痛い目を見るのか。それは嘘という穴ぼこだらけの歴史が正しい歴史なのだと勘違いして、その上に安心して生活していたからです。地盤は崩れるべくして崩れたに過ぎない。算命学ではこのように見えています。

 

 実践的な話に移ります。前回#R73では、周囲を同じ星で囲まれた命式について論じました。算命学余話を以前から読み続けている読者にはお気付きかと思いますが、この星並びは、同時に「八相局」に準じる形です。「八相局」は余話#U108を皮切りに、#U110、111、112で五性を個別に考察しました。また#U119では、星並びによる同化について論じましたので、合わせて再読して頂ければ理解が深まるかと思います。


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最終更新日 : 2018-09-18 12:33:16

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