目次
(借景資料集)
【速報!】 第2回 「青い鳥文庫小説賞」
(第4稿)
(第4稿)as(最終稿)
(添付挨拶状)
(あらすじ) (2018年9月23日)
序章 《 朝日ヶ森 》
第1章 リツコ、異世界へ行く。
第2章 リツコ、異世界で目覚める。
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、取材する。
第8章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第9章 リツコ、役に立つ。
終章 リツコ、地球に帰る。
(第3稿)
(第3稿)
(表紙)
(あらすじ) (2018年9月16日)
序章 朝日ヶ森 学園
第1章 リツコ、異世界へ行く。 (2018年9月16日)
第2章 リツコ、異世界で目覚める。 (2018年9月16日)
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第8章 リツコ、戦う。
第9章 リツコ、地球に帰る。
(第2稿)
(第2稿)
(あらすじ) (2018年9月8日)
1-0-0.朝日ヶ森「学苑」(おもて)
1-0-1.朝日ヶ森(うら) (2018年9月8日)
1-1-0.リツコ、呼ばれる。 (2018年9月8日)
1-1-1. リツコ、出かける (2018年9月8日)
2-0-1.リツコ、異世界に着く。 (2018年9月9日)
2-0-2.リツコ、挨拶する。
2-1-1.リツコ、清峰鋭にあう。
2-1-2.リツコ、異世界の村へ行く (2018年9月9日)
2-1-3. リツコ、空を飛ぶ。 (2018年9月9日)
3-0-0. リツコ、悪夢をみる (2018年9月10日)(加筆)
3-0-1.リツコ、起こしてもらう。
3-0-2. リツコ、情報交換する
3-1-0.リツコ、朝寝坊する。
3-1-1.リツコ、右将軍にあう。
3-1-2.リツコ、皇女に会う
3-1-3.リツコ、マシカとあう。
3-1-4. リツコ、市場へ行く。
3-1-5. リツコ、天幕に泊まる。 (2018年9月11日)
4-0. リツコ、早起きする。
4-1. リツコ、パレードに参加する。
4-2. リツコ、誇大広告される。
5-1. リツコ、旅をする。
5-2. リツコ、記録する。 (2018年9月12日)
5-2. リツコ、話せるようになる。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第6章 リツコ、旅をする。
(第1稿)
(第1稿)
(あらすじ) (2018年8月17日)
( 目次 ) (2018年8月18日)
0-1.(おもて) (2018年8月18日)
0-2.(うら) (2018年8月18日)
1.リツコ、親善大使になる (2018年8月18日)
1-1. リツコ、出かける
2. リツコ、異世界へ行く。
2-1.リツコ、挨拶する。
2-2.リツコ、清峰鋭にあう。 (2018年8月19日)
2-3.リツコ、運ばれる。
3.リツコ、白王都へ着く。 (2018年8月22)
3-1-0.リツコ、寝坊する。 (2018年8月22日)
3-1-1.リツコ、皇女に会う (2018年8月22日)
3-1-2.リツコ、マシカにあう。 (2018年8月24日)
3-1-3. マシカ、市場へ行く。 (2018年8月24日)
3-1-4. マシカ、天幕に泊まる。 (2018年8月24日)
4-0. リツコ、目覚める。
4-1. リツコ、行列に参加する。
4-2. リツコ、センデンされる。
5-1. リツコ、記録する。
5-2. リツコ、観察する。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。 (2018年8月26日)()
6-2. リツコ、小鬼を救う。 (2018年8月26日)
7. リツコ、まきこまれる。 (2018年8月26日)
8-1. リツコ、魘される。
8-2. リツコ、龍にのる。
9. リツコ、会議にでる
10-1. リツコ、よばれる。
10-2. リツコ、地球にかえる。 (2018年8月26日)
(草稿&没原稿)
(草稿&没原稿)
(1) 朝日ヶ森 (2018年6月3日)
『 リツコへ。 第一日 』 (@中学……1年か2年?) 
(あらすじ) (プロット&目次)
(あらすじ) (プロット&目次)
【投稿用】プロットメモ (2018年7月22日)
400字~800字程度のあらすじ。 (2018年8月17日)
(設定資料集)
(設定資料集)
このコだ! 「鍵になるキャラ」…っ!www (2018年6月30日)
(( ことばよ、つうじよ! ))  (2018年8月9日)
(サ行前の雑談など)
(サ行前の雑談など)
【ぐれてる理由】。(--;)。 (2018年5月13日)
『 リツコ 冒険記 』 ~ 夏休み ・異世界旅行 ~ (1) (2018年6月3日)
(案の定【天中殺中】で頓挫している) (2018年7月22日)
…ちっ! …やっぱり…『落ちた』か…★ (2018年8月12日)
次ぃ征くぞ! 次っ! (2018年8月12日)
★ 【講談社 『 青い鳥文庫 』 の呪い!?】の謎。 ★
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5-1. リツコ、旅をする。

第5章. リツコ、旅に出る。

 5-1. リツコ、旅をする。

 そこからの旅の日々は最高だった!
 夜は毎晩マシカと一緒の天幕で動物たちに囲まれてぐっすり眠って、朝は鳥たちや動物たちの騒ぐ声で賑やかに起こされて、マシカに《言葉の魔法》をかけてもらってから、冷たい川の水や新鮮な泉の水で女性陣みんなと一緒に水浴びや身支度をきゃあきゃあ騒ぎながら済ませると、皆と大天幕でご飯を食べて、えいやっと自分たちの天幕を畳んで荷物を荷馬車に乗せて、準備の出来た者から順にぱらぱら出発して、歩いたり馬の乗り方を練習させてもらったり荷馬車に便乗して昼寝したり。

 お昼ご飯は各自で勝手に、停まって休憩したり荷馬車で進みながらでも適当に、朝に配ってもらったお弁当プラス各自で用意したお菓子や何かを食べて、午前と午後のお茶休憩も同様で、あいまに遊んだり喋ったり歌ったり色々しながら、とにかく西へ向かって《白の街道》をのんびり進み続けて、陽が傾いた頃に次の宿営地に辿り着く。
 街道沿いの警備を兼ねていつも半日分だけ前を進んで次の宿営地に先乗りして夕飯の支度をして待ってくれている雄輝たちの先行隊と夕飯だけは大人数で一緒に食べて。

(なぜかその夕飯の間だけは皇女サマの機嫌がちょっとだけ良くなる?のを、リツコは興味深くこっそり観察していた)。

 その警備隊が日暮れ前にまた先を急いで出発してしまうので見送って、残った面子は毎晩のように夕飯の次の夜食の仕度をしながら飲んだり歌ったり笑ったり踊ったり、口説いたりフラレたりの楽しい酒宴会になるのでリツコも眠くなるまでは果汁とお菓子でつきあって、《言葉の魔法》が切れる頃にマシカと一緒に天幕に引き上げて、あとは眠くなるまで二人でお喋りして、色々なことを教えたり習ったりしあった。
 ただしマシカは旅団中の参加者の健康管理をする《薬師代表》という役職も兼ねていたので、合間合間に行列のすべての人と動物の健康状態をチェックしたり、体調の悪い人に薬草の調合をしたりでなかなか忙しかった。薬師の集団は日によっては先に行って地元の村の半日健診みたいなこともして日暮れ後の遅い時間にようやく追いついて来たりもしていたし、時には沿道の村の人から往診の依頼があったりして、夜中でも大鹿にまたがって急いで出かけて行ったりする。

 リツコも始めのうちはそんなマシカについて一緒に行ったり簡単な作業なら手伝ったりもしてみたのだが、どうやら薬師の才能はまったく無いようだった。大体、人の血をみるのがけっこう苦手で、包帯を巻くのを手伝おうとか思っても、どうしても傷口から目をそらしながらの作業になってしまうので、うまく出来る筈がない。

 針と糸で大きな怪我を縫い合わせたりまでするマシカは凄いなぁとリツコは心底尊敬したが、たいがいの薬師は今のリツコくらいの年齢には助手から一人立ちして一つの村や街を預かり、プロの薬師として働き始めるのだという。

 ちょっとそれはリツコには絶対に、無理そうな職業だった。

 そんなわけで足手まといになるだけだと自覚してから往診について行くのはやめたので、時々リツコは夜更けに一人でとり残された。そんな時は鋭が自分の天幕に呼んでくれて淋しくないように気を使ってくれたが、多忙を極めている鋭のそばにいるとしばしば皇女サマやその側近の重臣の人達が真夜中に訪ねて来て、なかなか面倒くさそうな気難しい話し合いをBGMに眠るはめになったりするのが、少々厄介だった…。
 雄輝が旅団の警備の総責任者なら、鋭のほうは全体の経理とか色々な雑用全ての総責任者らしくて、人の出入りや資材や食糧の調達と支払いや、旅程の管理に気を配っていて、さらにはヨーリア学派の長としては医術の心得もあるそうで、しばしばマシカと一緒に怪我人や病人の治療にも当たっていた。ほんとに忙しそうだった。
 だからリツコはとにかく周りの人たちの仕事を出来る範囲で手伝いながら、少しでも暇があればマシカと鋭と(可能ならば雄輝と、ついでにもう怖いとは思わなくなっていたので。いつも不機嫌な皇女様にまで突撃して!)質問攻めにしていた。

 そんな風にして、旅は《大地世界》の西半分を超え、丸二ヶ月ぐらいもかけて進んで行くのであるらしかった。


5-2. リツコ、記録する。 (2018年9月12日)

 5-2. リツコ、記録する。

 

 そんな日々が続いて、やっと自分の置かれた状況の全体像が判ってきたので、とにかく戻ってから整理して大叔母様に報告しようと、大学ノートの山に手書きでガリガリ記録を残した。
 それはこんな風だった。

 


【この世界のこと。】

 名前はダレムアス。
 意味は《大地の国》。または《大地平界》。

 平らな世界で、地球みたいに丸くない。(と言われている)。

 ブツリホウソクが、いろいろちがう。(と鋭が言ってる)。


 昔々、女神マライアヌ様と仲間の神様たちがつくった。
 神様たちは沢山いたけど、ほかの世界の神様たちと戦争して全部ほろんじゃった?
 今は二本足の人間がいちばん多くて、

 他に色々な《毛皮の人々》とか、《樹木の人々》とか、

 その他の竜とかマホウの生き物もたくさんいる。

 女神マライアヌが《ダレムアス》をつくったのと同じ頃に

 別の神様たちがつくった別の世界《ボルドム》が

 何十年か前にとつぜんシンリャクしてきたので、
 最近まで戦争してた。

 

 戦争はなんとか勝ったけど、
 まだ色々と戦後ショリ問題というのが残っているらしい。
(よく分らない)

 


【ショコウ会議のこと】(※マシカは字が判らないって。あとで鋭に聞く!)

 戦争してたボルドムとテイセンの話し合いかと思ったら、そうじゃないみたい。

 

 ダレムアスの前の王さま?皇さま?(皇女サマのお父さんとお母さん)が、
 前の戦争の最初にボルドム軍に殺されちゃって、今いないので、
 誰が王位をつぐかとか、そういう話し合い?

 

(なんで皇女サマがつがないの?って本人に聞いてみたら、聞くなっておこられた。)

 

 

【地球からのシンゼン大使のこと】

 

 あたしが(ダイリだけど)なんでここに呼ばれたか?というと、
 ボルドムと戦争して終わったばかりで弱っているダレムアス世界に、
「今度は地球人が攻め込んでこないか?」と心配している人たちがいて、

 

「攻め込んで来ないように万全の手は打ってるから、安心してほしい」という
「ハッタリをかませる」ことが、会ギのコウショウのために必要なんだって。
(よくわかんない。)


【この世界と地球のこと】

 地球のことは《ティカーセル》または《テイカーセラス》って呼ばれてる。

「泥の球」って意味らしい。

 あんまり、ほめてない感じ?

 

 丸くて宇宙に浮かんでる星。っていうのが「信じられない!」らしい。

 この《大地世界》はとにかく平らなんだって。
 そして果てとか終わりが無い。(と信じられている。)んだって。

 

 地球にもどったら、社会科の教科書のゾウが大地を支えている世界カンとかの図版と見比べたいな。

 それでこの世界の神話では《地球》と《大地世界》は「弟と姉」の関係なんだって。
 つくった神様たちが姉と弟だったからなんだって。


 昔からずっと行き来はあったらしいけど、
 時差の関係?で地球では「大昔のこと」になっちゃって、
 ほとんどの人からは忘れられてしまった、らしい。

 ウラシマ太郎とかコチュウテンとか伝説があるでしょ?
 と鋭が言ってた。
 コチュウテンて何?

 

【ツバサとかのこと】

 雄輝が地球の「翼」家の人間だったり。
 昔から「地球に移住した人たちの子孫」とか、その逆とかが居たらしい。

 

 とにかく、地球で「一族」とか名乗ってる人たちは、

 こっちの世界から移住した人たちの子ソンだったり、

 その記ろくを語り伝えてきた人たちが多い。(らしい。)

 


【魔法のこと】

 女神さまの子ソンとかが特に使える。
 鋭は地球人だから全く使えない。(と言ってるけど、なんか怪しい?)

 皇女サマは「直系だから」特別チカラが強い。

 

 マシカはレイガイ的に?マホウが巧い。


【朝日ヶ森のこと】

 あの学園にいる「妖怪とか系」や「まほう組」の人たちって、

 

 つまり、そーいうこと???


 そこまで書いて書きかけのまま書卓につっぷして寝てしまったリツコを寝床に運んでくれて、『諸侯会議』だと鋭が漢字を書き足してくれていたのに、翌朝になって気づいたリツコは、リュックに詰めて持ってきていた小さい紙の辞書をひいて、がんばって意味を調べた。 


5-2. リツコ、話せるようになる。

 5-2. リツコ、話せるようになる。

 それにつけても皇女サマはいつ見ても機嫌が悪かった。
 せっかく超のつく美人なのに、眉間にシワを寄せては誰かれなく睨みつけ、ちょっとしたことで色白な肌が真っ赤になるくらい怒ったり怒鳴りつけたり。いつもイライラしていて、「ヒステリー」としか言いようがないくらい。
 こんな性格では、いくら戦争に強くて敵に勝っても、平和になったら国民は誰もついて来ないんじゃないかしら。だから後継者問題でモメてるのかしら?とリツコは疑ってみたが、その割には鋭や雄輝やマシカたちも含めて、すべての部下たちからの信頼というか人望というやつは、ものすごく厚いらしい。
(「今日もまた機嫌が悪い―!」という嘆きと愚痴は毎日のようにそこらじゅうを飛び交っていたが。)
 楽しい旅の毎日の中でも、皇女サマの天幕づきの次女や従者の人たちだけはいつも戦々恐々としていて、どよんとしたくら~い空気が漂っていた。
 のだが…
 ある日。
 よく晴れた西の空に鳥や雲とは違う小さい細長い影がくっきりと視え始めた。
『………龍だ! フェルラダル様も居らっしゃる!』
 誰かが叫んだ。
『皇女殿下にご報告を!』
『聴こえたわ!』
 すごい勢いで皇女サマがすっ飛んで出てきた。

 あれあれ?とリツコは見守った。
 空のむこうの影のうちひとつは、自分で飛んでる?らしい人間で、もう一つは、出発式の日に挨拶して西の空へ消えていった、あの伝令役の龍たちのうちの白いほうのように思える。
『…お兄様! 伯父様!』
 びっくりしたことに《大地世界》の皇女殿下サマはふわりっといきなり空に浮かびあがった。
 そのまま文字通り「飛ぶように」すっとんでいって、空の真ん中で『お兄様』と『伯父様』を交互に抱きしめて嬉しそうに挨拶している。
『遅くなって済まなかった。出立式の日までには戻りたかったのだが。』
 鋭とはりあうぐらいものすごい美形の鋭と同じような長い髪をした年輩の男性がそう言いながらふわりと地面に降りてきた。年齢が上だから、こちらが皇女サマの『伯父様』なのだろうとリツコは推測した。
『…フェルラダル様ッ!』
 皇女と同じくらいのものすごい勢いでもう一人すっ飛んできたのは…マシカだ。
『…御無事で!』
 皇女サマの伯父様に、飛びつくように抱きついて挨拶している。
 あれあれ…とリツコはすぐに解った。マシカが言ってた『鋭とちょっと似ているところもある』『一番好きな人』…って、この人だ!
『…マシカ…。わたしも居るんだけどなー…』

 白龍にまたがって運んでもらってきたもう一人の男の人が、なぜかそうぼやきながら降りて来る。
『…あら、ごめんなさいミヤセル様? 御無事で何よりですわ?』
 …ミヤセル様?…皇女サマの『お兄様』ってことは、名前はマリシアル皇子って言わなかったっけ…?
 リツコは聞きかじりの話とつなぎ合わせながら、興味津々に目を点にしてなりゆきを見守った。

「あ~、…また話が賑やかになった…」
 苦笑しながら、いつのまにか鋭がリツコの隣に立っていた。
「…さて、吉と出るか、凶と出るか… 吉かな?」
 龍は集まってきた顔見知りにだけ簡単に挨拶すると、また天空を悠々と飛んで西のほうへ戻って行った。それを手を振ってしばらく見送ってから、皇女サマは同じ碧の巻き毛と碧の瞳で双子のようにそっくりな雰囲気の兄上やあまり似ていない外見の落ち着いた物腰の伯父上や重臣たちと額を突き合わせて話しはじめた。それを鋭は自分は関係ないとばかりに離れたところから見守って、やがて笑った。
「…安心して、リツコ。これでマーシャの機嫌は直ったみたいだから…」
 話のとおり、その後すぐ宿泊地点に着いて雄輝たち先行班と合流した時の皇女サマは、これが本当に昨日までのあの嫌な性格の意地悪女とほんとに同一人物?とリツコが目を疑うくらい、にこにこして、上機嫌で、頬なんかピンク色で、みんなに親切で、歌まで歌っちゃって、食欲もものすごく旺盛だった。
 側近の人たちがみんな嬉しそうに後ろでこそこそと情報のやりとりをしていたが…
 鋭はあまり気にしていなかった。それから食後のお茶を呑み終わった皇女サマたち主賓席のところへ、おもむろにリツコを連れて訪ねた。
『お久しぶりです。御無事で何よりでした。フェルラダル様、マリシアル様。
 こちらが地球から来たリツコです。最近はマリーツ(地栗鼠)という愛称で呼ばれています。
 …で、マーシャ? 機嫌が直ったところで… いい加減、この子、みんなと喋れないと不便なんだけどな? 諸侯会議で代表挨拶だってする、大事な貴賓なんだし…?』
『…………わぁかったわよ! もうッ!』
 皇女サマはなんとも可愛らしく(リツコは目を点にした)ぷくっとふくれてすねた。
『ちょっと待っててリツコ。今まで八つ当たりしてたことは謝るわ。それで…』
 すらりと立ち上がってこちらへ来る。

 リツコは思わずびびって逃げかけた。
 その肩を遠慮なくがしっと捕まえて、
「だから、謝るわ。って言ってるでしょう?」
 ものっすごく高飛車に言い切ると、それからすぅっと息を吸い、大地を両手で抱えあげるような独特の舞のようなしぐさをして、謡うように唱えた。
『…マレッタ! れとけぃえる、せるかろまろうで、ぃええん!』…(汝がことば皆に通じよ!)
 それから急に、リツコがそれまでマシカが毎日かけなおしてくれる《言葉の魔法》のおかげで相手が言ってる言葉の意味を理解できるようになっていたのと同じように、リツコのほうは日本語でごくふつうに喋っているだけの言葉を、聞いたダレムアスの人がみんな「なぜか意味が理解できる」ようになった。しかも半日とかで効力が切れてしまうような時間限定の魔法ですらなかった。
「ありがとう!」次の日に改めてお礼を言いに行ったリツコに、
「だぁから、遅くなって悪かったわよッ!」と皇女サマはもう一度ふくれて拗ねた。


6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。

 6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。

 なにしろリツコは元々かなりのおしゃべりの質問魔で、好奇心旺盛だ。今までは人が勝手に言ってくることを一生懸命聞きとるだけで、こちらから質問できる相手はマシカと鋭だけだった(日本語が通じるあと二人のうち雄輝は周辺警備の任務に就いていて基本不在だったし、そのせいで?皇女サマはいつも不機嫌だった!)…が、今度からは、自分が知りたいことについて、こちらから聞いて回れる!
 もう大喜びで鉛筆と沢山のノートを持って、キャラバン中を前から後ろまで朝から晩まで、雑用があればちゃんと手伝いもしながらだが、すべての人を質問攻めにして歩く姿が、名物のひとつになった。
 さて。

 途中で合流したり離れて行ったりで増えたり減ったりしながら常時何百人もの規模で動き続けている旅の一行の内訳はといえば、《西方諸国》の首都《西皇都》で開催される諸侯会議に《白皇家》代表として出席する皇女とその兄と伯父と、鋭やマシカを含めた側近役や重臣たちと、旅を手伝うために参加している従者や侍女や料理人や職人や荷運びの御者や資材や宿の調達係の商人たちと、旅の仲間を護衛するために参加している雄輝たち軍の一隊。

 それから、見るからにとても家柄の良さそうな超のつく豪奢な服で旅をしている謎の美女軍団のお姫様たちと、そのまた美形ぞろいの侍女たちと侍従たちと護衛の兵士たち。

 この人たちは何故こんな野宿の長旅に参加しているのか? 律子は前から不思議でしかたがなかったので話せるようになるとさっそく尋ねてみた。するとお姫様たちは一様に笑って、『さて、何故でしょうね?』と答えをはぐらかす。

 その深窓の令嬢風な着飾った美姫たちの車列の前、重臣たち側近たちの行列との間に。
 いつもひっそりとついてくる謎の馬車隊があるので、リツコはずっと気になっていた。
 他の学者や家臣や美女たちからは、なんだか距離を置かれていて、それまでもリツコが何かのついででそこへ話しかけに行こうとすると、なんだかやんわりと引きとめられたりもしていた。
「…ねぇ鋭? あの馬車隊の中の人たちには、話しかけてはダメなの?」
 念の為、リツコの行動の管理責任者であるらしい鋭に確認してみる。
「うーん。悪いってことはないよ?彼女も退屈しているだろうし…ただ。」
「ただ、なに?」
「ボルドムのね。敵国のお姫様なんで…見た目がちょっと。こっちの人たちには怖いらしくって。」
「…見た目ー? だってこっちの人って普通に、毛皮だったり四足だったり羽根が生えてたり…」
「まぁ、ぼくら地球人からすると、区別が判らないんだけどねー。」
 苦笑してうんうんとうなずきながら、鋭がべつに話しかけに行っても誰からも怒られはしないと保証してくれたので、リツコは早速、昼ごはんが終わった頃らしくてゆっくり動き始めたばかりの目あての馬車に、正面から訪問してみた。
「…こんにちわー!」
 それぞれ自前の近衛兵たちを連れてきている美女たちの馬車群とは違って、この馬車隊だけはキャラバン全体の護衛とも別に、皇女サマ直属隊の兵士たちが交代で護衛についている。侍女や従僕もみんな大地世界の人たちだけで、ボルドム人なのは客分?のお姫様ひとりだけ?らしい。
 取次を頼むと、
【だれか?】
 それまで聞いたことのないシュウっという音の多い言葉で、馬車の奥から女のひとの声がきこえた。
「リツコっていいますー! あのね、退屈じゃないかと思って、遊びに来たんですけど!」
【…おや? あの地球人の子どもか? 我の話し相手に?】
 声の感じはむしろ嬉しそうだった。
【マーライシャにでも言いつけられたか? 我が怖くないのであれば上がっておいで。】
 リツコはむろん大喜びで超豪華な大型の箱馬車に上がり込む。
 どのくらい豪華かというと皇女サマ用のやつよりも手が込んでいるぐらいの丁寧な細工で、ものすごく値段が高そうだ。
 お姫さまはリツコが馬車の扉を開けたとたんに、それまで脱いでいたらしい大きな布を頭の上からするりとかぶって全身を隠してしまった。
「…えーと…」リツコは面食らって固まった。何かの宗教の衣装のような気もする。

「お顔を見ちゃったらまずいのかしら?」
 ちょっとだけ遠慮しながら聞いてみる。
「あたし《ボルドム》の人ってまだ見たことがなくて~」
【…大地世界人と同じで、《焔洞界》の者の姿も、千差万別なれど。】
 するりと布がはずされた。
【怖くなければ見るが良い。】
 七色に光る華麗な鱗に覆われた貌の、縦長に切れた大きな金緑の瞳の、なんというか巨大トカゲな感じのする、だいたいは人型で、美しい黒いたてがみ付きの姫様だ。虹色の肌に真珠色の爪が鋭くて長くて、何て言うか…キラキラしたネイルアート?のような文様が入れてある。
 怖いかと聞かれればその眼と爪はなかなか恐いかもだったが、旅の同行者の中には横長に切れた山羊目のもふもふ毛並みの人だっているし、もっととんでもない爪飾りの人は、地球にだって多い。
「…………キラキラして、きれいなウロコね!」
 すなおにリツコは褒めた。それから色々とおしゃべりをした。

 こちらの世界の唯一の知人であるマーライシャの機嫌が悪かったせいで長らく話し相手に餓えていた敵国ボルドムからの亡命姫さまは、すっかりリツコが気に入ってしまったようだった。

「じゃあみんなが言ってるみたいに、人質として捕まってるわけじゃないのね?」

【我はみずから来た。あちらに捕らわれていたマーライシャを救け出して、こちらへ送り還すついでにな。我は我が《焔洞界》の後継の公主であるが、あの界の今の有り様は好かぬのじゃ】

「どういうこと?」

【我は弱い者いじめを好かぬ。娯しみのためにいたぶり殺すがごとき我が婚約者どもらも厭じゃ】

「ふーん…。あたしも、そういうの嫌い。」

【気が合いそうじゃの】

「そうだね!」

【我が名は《焔洞界》ボルドレイガースダルムが公主、ディ・デュイ・リジューディーリヤという】

「…でぃ…」

 リツコは絶句した。何度か練習してみたけれども、どうしても発音するのは無理だった。

【…我のことは愛称のダーモレアで呼ぶが良い。】

 そう言って、別れ際には特別あつらえの美味しいお菓子をおみやげに持たせてくれた。

 それから長い旅の間、しょっちゅう一緒にお昼ごはんを食べておしゃべりをする親友の間柄になった。

 


第6章 リツコ、旅をする。

 次の日はみな普通の旅装束に着替えて、ゆうべのうちに用意してあった朝食をめいめいで摂って、荷馬車隊が置いていった荷物の山はあらかじめ手分けして持つことになっていたらしく、皇女の馬の背にまで積まれた。

 軍人は三隊に分かれて半日先と後と左右の脇道の警護にまわる。

 雄輝が前に行っちゃってマーシャの機嫌がますます悪くなる。

 ご飯の仕度は現地スタッフが饗宴してくれる場合が多い。)

(鋭が手配係)



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