目次
(借景資料集)
【速報!】 第2回 「青い鳥文庫小説賞」
(第4稿)
(第4稿)as(最終稿)
(添付挨拶状)
(あらすじ) (2018年9月23日)
序章 《 朝日ヶ森 》
第1章 リツコ、異世界へ行く。
第2章 リツコ、異世界で目覚める。
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、取材する。
第8章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第9章 リツコ、役に立つ。
終章 リツコ、地球に帰る。
(第3稿)
(第3稿)
(表紙)
(あらすじ) (2018年9月16日)
序章 朝日ヶ森 学園
第1章 リツコ、異世界へ行く。 (2018年9月16日)
第2章 リツコ、異世界で目覚める。 (2018年9月16日)
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第8章 リツコ、戦う。
第9章 リツコ、地球に帰る。
(第2稿)
(第2稿)
(あらすじ) (2018年9月8日)
1-0-0.朝日ヶ森「学苑」(おもて)
1-0-1.朝日ヶ森(うら) (2018年9月8日)
1-1-0.リツコ、呼ばれる。 (2018年9月8日)
1-1-1. リツコ、出かける (2018年9月8日)
2-0-1.リツコ、異世界に着く。 (2018年9月9日)
2-0-2.リツコ、挨拶する。
2-1-1.リツコ、清峰鋭にあう。
2-1-2.リツコ、異世界の村へ行く (2018年9月9日)
2-1-3. リツコ、空を飛ぶ。 (2018年9月9日)
3-0-0. リツコ、悪夢をみる (2018年9月10日)(加筆)
3-0-1.リツコ、起こしてもらう。
3-0-2. リツコ、情報交換する
3-1-0.リツコ、朝寝坊する。
3-1-1.リツコ、右将軍にあう。
3-1-2.リツコ、皇女に会う
3-1-3.リツコ、マシカとあう。
3-1-4. リツコ、市場へ行く。
3-1-5. リツコ、天幕に泊まる。 (2018年9月11日)
4-0. リツコ、早起きする。
4-1. リツコ、パレードに参加する。
4-2. リツコ、誇大広告される。
5-1. リツコ、旅をする。
5-2. リツコ、記録する。 (2018年9月12日)
5-2. リツコ、話せるようになる。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第6章 リツコ、旅をする。
(第1稿)
(第1稿)
(あらすじ) (2018年8月17日)
( 目次 ) (2018年8月18日)
0-1.(おもて) (2018年8月18日)
0-2.(うら) (2018年8月18日)
1.リツコ、親善大使になる (2018年8月18日)
1-1. リツコ、出かける
2. リツコ、異世界へ行く。
2-1.リツコ、挨拶する。
2-2.リツコ、清峰鋭にあう。 (2018年8月19日)
2-3.リツコ、運ばれる。
3.リツコ、白王都へ着く。 (2018年8月22)
3-1-0.リツコ、寝坊する。 (2018年8月22日)
3-1-1.リツコ、皇女に会う (2018年8月22日)
3-1-2.リツコ、マシカにあう。 (2018年8月24日)
3-1-3. マシカ、市場へ行く。 (2018年8月24日)
3-1-4. マシカ、天幕に泊まる。 (2018年8月24日)
4-0. リツコ、目覚める。
4-1. リツコ、行列に参加する。
4-2. リツコ、センデンされる。
5-1. リツコ、記録する。
5-2. リツコ、観察する。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。 (2018年8月26日)()
6-2. リツコ、小鬼を救う。 (2018年8月26日)
7. リツコ、まきこまれる。 (2018年8月26日)
8-1. リツコ、魘される。
8-2. リツコ、龍にのる。
9. リツコ、会議にでる
10-1. リツコ、よばれる。
10-2. リツコ、地球にかえる。 (2018年8月26日)
(草稿&没原稿)
(草稿&没原稿)
(1) 朝日ヶ森 (2018年6月3日)
『 リツコへ。 第一日 』 (@中学……1年か2年?) 
(あらすじ) (プロット&目次)
(あらすじ) (プロット&目次)
【投稿用】プロットメモ (2018年7月22日)
400字~800字程度のあらすじ。 (2018年8月17日)
(設定資料集)
(設定資料集)
このコだ! 「鍵になるキャラ」…っ!www (2018年6月30日)
(( ことばよ、つうじよ! ))  (2018年8月9日)
(サ行前の雑談など)
(サ行前の雑談など)
【ぐれてる理由】。(--;)。 (2018年5月13日)
『 リツコ 冒険記 』 ~ 夏休み ・異世界旅行 ~ (1) (2018年6月3日)
(案の定【天中殺中】で頓挫している) (2018年7月22日)
…ちっ! …やっぱり…『落ちた』か…★ (2018年8月12日)
次ぃ征くぞ! 次っ! (2018年8月12日)
★ 【講談社 『 青い鳥文庫 』 の呪い!?】の謎。 ★
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4-1. リツコ、パレードに参加する。

 4-1. リツコ、パレードに参加する。

 ちょうどその頃に朝日がしっかり差し込んできた。からりと晴れた秋の初めらしい上天気だ。
『朝ごはん出来てるよー、早く食べちまっとくれ!』と、食堂?の係の人から声がかかったので大急ぎで出かけて行った。
『おはよう!』とか『よく眠れた?』とか色々と声をかけてくれる年上の薬師の人たちに、リツコは日本語と手振り身振りで挨拶を返しながら、食堂や集会室として使われているらしい大天幕に行って、色々な野菜とか豆とかキノコ?がどっさり入った温かいスープをおなか一杯食べさせてもらった。
 食器は各自で持参制で、昨日マシカに買ってもらった新品一式を持っていった。
 また水場に行ってリツコが二人分の食器を洗って戻って拭いて収納しているうちに、マシカはどんどんと自分の天幕の中にあったものを大きな木箱と布袋の中に詰めて行き、リツコもがんばって出来るところは手伝ってみて、最後に一緒に天幕を畳むと、うんうんと二人で担いで何往復かして、少し離れたところに停めてあった木製の荷車に運び入れた。

 それからマシカが耳の短い小型の馬のようなずんぐりして大人しい動物を連れてきて繋いで、出発の準備は完了だった。
『…ごめんなさい。先に行くわねー!』
 マシカが声をかけると薬師の皆が口々に返事をして、手を振って見送ってくれた。
 荷物満載の台車を牽いた小型馬の手綱を引いて、人間二人はその横をとことこ二本足で歩く。
「これは《白の街道》というのよ。日本の言い方だと《国道》って意味ですって。」
 マシカが教えてくれる。
 夕べはもう薄暗くなった中を星を見上げながら歩いて来たので気がつかなかったが、歩きやすいように白い石畳できちんと舗装された、幅は4メートルほどの道だ。
「あ、いたいた、鋭!雄輝!」
「マシカ、おはよう!」
「似合うぜ。綺麗だな!」
 街道から街中を通って、昨日の仮皇宮前の広場に入ってすぐのところに、鋭と雄輝と、他にもたくさんの重臣?ぽい人たちがいた。
 みんなきちんとしたおしゃれというか正装ぽい服装で、ばりっと格好良く整えている。
 初めて会う人たちもみんなマシカとリツコの女のコ二人に対してきちんとした挨拶をしてくれるので、リツコも一生懸命「おはようございます!よろしくお願いします!」と日本語で言ってきちんと頭を下げた。
「リツコ、おはよう。それ可愛いね」
「おー、地球式の服にしたんだ?」
 鋭と雄輝がお世辞でもなく本気で誉めてくれたので、リツコは照れて、えへへと笑った。
「どうかしら?一応こっち式の礼服もちゃんと用意はしたんだけど。地球からの御客人が諸侯会議に参加するってことは、皆にセンデン?しといたほうが良いのよね?」
「うんそうなんだ。これだと一目見て地球人て判るね。さすが! ぼくじゃ思いつかなかったよ。やっぱり女の人に任せてよかった。」
「あら… 褒めても何も出ないわよ?」
 鋭に褒められてマシカがすこし照れて頬を赤くしたので、リツコはちょっとあれっと思った。
 それから少し打ち合わせがあって、せっかくだからと、リツコはなるべく目立つように、後方の荷馬車隊ではなくて先頭に近い鋭の馬の前に乗せてもらうことになった。

 牽いて来た荷車は雄輝たちの部下の人が列の後方から持ってきてくれることになる。
「じゃ、私はマブイラに騎せてもらうことにするわ」
 そう言ってマシカがどこかから連れてきたのは…なんと!
 見事に枝分かれした角を堂々と掲げた、ものすごく立派な…銀灰色の雄鹿だった。
「………マシカが、鹿に乗る………」ついつい小声で言ってしまうと、
「…ね、やっぱりちょっとそこで笑っちゃうよね?」と、鋭がこそっと相槌を打ってくれた。
 それからどんどん広場に人が増えてきて、中央に列をなした着飾った旅装束の人たちと、周囲に並んだ見送りらしい町の服装の人たちで、ぎっしりと隙間もないくらいになっていった。
(昨日みた山のような荷馬車や荷車は、後方と脇に順序良くきちんと寄せられていた。)
『…刻限!』

『まもなく!』

『刻限!』
 これ以上もう広場に人が入れない…という頃、ドンドンと威勢よく大鐘と太鼓が打ち鳴らされた。
 居並んだ人たちが、ざっと威儀を正す。
『みな、御苦労!』
 例のおっかない皇女サマが、昨日マシカが世話をしていた特別に大きくて立派な黒馬にまたがって、みごとに華麗な正装で着飾って、堂々と広場の中央の人並みを分けてまっすぐに進んできた。
『少し長い旅になりますが、みな無事であちらへ着くように! 留守の者たち、不安もあろうが、必ず和平を為して来る。しっかり頼みます!』
『…道中、御無事で!』
 留守役の代表らしい身分の高そうな衣装の女の人が門の脇から進み出て来て、深々とお辞儀した。
 みな、唱和する。
『道中、御無事で!』
『…出発!』
 雄輝が、みごとな金鹿毛の馬を皇女のすぐ後ろの右脇に並べて号令した。
『出発!』『出発!』
 伝令が次々と声を並べていく。
「…行くよ? 笑って!」
 白い優雅な馬に身軽にまたがり、鞍の前にリツコを引き上げて乗せてくれながら、鋭はやはり皇女殿下のすぐ後ろ、雄輝と並ぶ左側の位置に、するりと当たり前のように並んだ。

(……………えーーーーーーーーッ!!)
 …つまり、リツコの位置するところは、一国の代表として和平会議の旅に出る皇女サマの、すぐうしろ。という順番だ。ってことで…………… その後ろに、偉そうなお爺さんとか、賢そうな女官たちとか、着飾った美女の集団とか、武装した兵士の集団とか…何百人もいそうな大行列が堂々と居並んで続く。
(……… 嘘っ! 聞いてなーーーーーーーい………ッ!)
 心の中で絶叫してみても後の祭り。リツコはとにかく、必死で愛想笑いを、してみた…


4-2. リツコ、誇大広告される。

 4-2. リツコ、誇大広告される。

 後から思いかえしてもつくづく、前から二番目なんて身の程知らずの大それたポジションに強制参加じゃなくて、ただの沿道の観客でいたかった…というのが、リツコの素直な感想だった。
 豊かな碧緑の巻き毛を風になびかせて紅朱に金糸の刺繍織のあでやかな衣装をまとい、その腰には同じ意匠で飾った華麗な大剣を佩き、美しい無紋の黒毛の大戦馬にまたがった、華麗なる美人皇女殿下をその先頭に。
 右後ろに並ぶ金色馬にまたがるのは真紅と漆黒の戦士装束の背中に鷹の翼を堂々と掲げている雄輝。
 左後ろに並ぶのが白銀の馬にまたがり青と水色の控えめな礼装を整えた、絶世の美青年の鋭。
 二人のすぐ後ろにぴたりとつけて、堂々たる枝角をそびえ立たせた大鹿に騎る薬師装束の美女マシカ。
(…鋭の鞍にちょこんと載ってるあたしみたいな小荷物なんかこの際この絵づらのジャマだ。…とリツコは真剣に思った…。)
 沿道に居並ぶ見送りの人々は、歓呼の叫びと噂話で、ぶんぶん唸るハチの巣のような有り様だった。
『見ろよ!あのかたがたが戦を終わらせてくれた四軍神だ!』
『なんてお美しいのかしら皇女様!』
『きゃーーーーーーっ! リレク(鋭)様すてきっ!お凛々しいッ!』
『ちょっと何よ、あのチビ?』
『泥球界(地球)からのお客人らしいよ。何でもさる有力な部族の長の縁者とか』
『泥球界の?王族なの?』
『お使者様なんだから、そうじゃないかぃ?』
(えぇぇぇぇっ!)とリツコは思った。
 いくらちょっとだけオシャレめワンピを着てみたからって、実は通販のしかもバーゲンで買った安物だ。『さる有力な部族』ってなに!

 たしかに大叔母様は朝日ヶ森の学長だけど、それって別に王家でもなんでもナイわよ!??
 むしろこの国の言葉が喋れなくて良かった。と、つくづく思った。

 話が出来たら絶対に、必死になって噂話を否定しにまわってしまっただろうから…
「…鋭ッ?なんかあの人たち、すっごい大誤解してない?」
 思わず小声で叫んでしまったリツコの赤くなったり青くなったりの一人百面相をにやりと笑い飛ばして、行列の間中、鋭はとにかく、「笑って! ほら笑って! 手を振って!」としか言ってくれなかった。

 その鋭自身も率先して、まわりじゅうに手をふり愛想をふりまき、観るひとすべてをその超絶美形な笑顔でうっとりとさせていた…。

(その間、二頭の龍たちは、上空でゆったりと浮いて旋回しながら「出立の騒ぎを見届けて」いるようだった。)

(街から行列が出るのを見届けて、西の空へと飛び去って行った。)

 そんなこんなで街から出るだけでもしばらくかなりの時間がかかり。
「ねぇ鋭。もう笑うのやめていい?」
 ようやく道沿いに見送りの人が少なくなってきて、やっと聞けたころには、むりやり笑い続けていたリツコの顔は、ばりばりに強張っていた…。

 それから歩いて来た時よりゆっくりぐらいの速度で《白の街道》を西の方角に戻ると、途中の河原で待っていた薬師たちの一行の、半分くらいが荷馬車隊を率いて皇女の行列の最後尾に入る。
 あとの半分くらいは、列には入らずそのまま流れ解散する?らしい。
 休憩をはさみながらゆっくり進んで夕暮れ前にその日の野営地らしい場所に着き、行列の後ろから荷馬車隊ががらごろと追いついてきて、食糧や天幕を降ろし火を起こして大人数分の食事の仕度を始める。
 荷を降ろすと、そのまま手を振って別れて元の街の方角へと戻る人たちも百人くらいいた。
「リツコ、今日もあたしと一緒の天幕だけど、いいわよね?」
 あいかわらず小鳥とかの群れに取り囲まれながら大鹿から降りてやってきたマシカにそう言った頃、ちょうどリツコの「聞いた話が解る魔法」はとけてしまったのだった…。
(鹿は勝手に歩いて行って、そのへんの草で食事を始めた)
 そんな風にして、この旅は始まった。

 

 

(次の日はみな普通の旅装束に着替えて、荷馬車隊が置いていった荷物の山は皇女の馬の背にまで積まれた。

軍人は3隊に分かれて半日先と後と左右の脇道の警護にまわる。

雄輝が前に行っちゃってマーシャの機嫌がますます悪くなる。

ご飯の仕度は現地スタッフが饗宴してくれる場合が多い。)

(鋭が手配係)


5-1. リツコ、旅をする。

第5章. リツコ、旅に出る。

 5-1. リツコ、旅をする。

 そこからの旅の日々は最高だった!
 夜は毎晩マシカと一緒の天幕で動物たちに囲まれてぐっすり眠って、朝は鳥たちや動物たちの騒ぐ声で賑やかに起こされて、マシカに《言葉の魔法》をかけてもらってから、冷たい川の水や新鮮な泉の水で女性陣みんなと一緒に水浴びや身支度をきゃあきゃあ騒ぎながら済ませると、皆と大天幕でご飯を食べて、えいやっと自分たちの天幕を畳んで荷物を荷馬車に乗せて、準備の出来た者から順にぱらぱら出発して、歩いたり馬の乗り方を練習させてもらったり荷馬車に便乗して昼寝したり。

 お昼ご飯は各自で勝手に、停まって休憩したり荷馬車で進みながらでも適当に、朝に配ってもらったお弁当プラス各自で用意したお菓子や何かを食べて、午前と午後のお茶休憩も同様で、あいまに遊んだり喋ったり歌ったり色々しながら、とにかく西へ向かって《白の街道》をのんびり進み続けて、陽が傾いた頃に次の宿営地に辿り着く。
 街道沿いの警備を兼ねていつも半日分だけ前を進んで次の宿営地に先乗りして夕飯の支度をして待ってくれている雄輝たちの先行隊と夕飯だけは大人数で一緒に食べて。

(なぜかその夕飯の間だけは皇女サマの機嫌がちょっとだけ良くなる?のを、リツコは興味深くこっそり観察していた)。

 その警備隊が日暮れ前にまた先を急いで出発してしまうので見送って、残った面子は毎晩のように夕飯の次の夜食の仕度をしながら飲んだり歌ったり笑ったり踊ったり、口説いたりフラレたりの楽しい酒宴会になるのでリツコも眠くなるまでは果汁とお菓子でつきあって、《言葉の魔法》が切れる頃にマシカと一緒に天幕に引き上げて、あとは眠くなるまで二人でお喋りして、色々なことを教えたり習ったりしあった。
 ただしマシカは旅団中の参加者の健康管理をする《薬師代表》という役職も兼ねていたので、合間合間に行列のすべての人と動物の健康状態をチェックしたり、体調の悪い人に薬草の調合をしたりでなかなか忙しかった。薬師の集団は日によっては先に行って地元の村の半日健診みたいなこともして日暮れ後の遅い時間にようやく追いついて来たりもしていたし、時には沿道の村の人から往診の依頼があったりして、夜中でも大鹿にまたがって急いで出かけて行ったりする。

 リツコも始めのうちはそんなマシカについて一緒に行ったり簡単な作業なら手伝ったりもしてみたのだが、どうやら薬師の才能はまったく無いようだった。大体、人の血をみるのがけっこう苦手で、包帯を巻くのを手伝おうとか思っても、どうしても傷口から目をそらしながらの作業になってしまうので、うまく出来る筈がない。

 針と糸で大きな怪我を縫い合わせたりまでするマシカは凄いなぁとリツコは心底尊敬したが、たいがいの薬師は今のリツコくらいの年齢には助手から一人立ちして一つの村や街を預かり、プロの薬師として働き始めるのだという。

 ちょっとそれはリツコには絶対に、無理そうな職業だった。

 そんなわけで足手まといになるだけだと自覚してから往診について行くのはやめたので、時々リツコは夜更けに一人でとり残された。そんな時は鋭が自分の天幕に呼んでくれて淋しくないように気を使ってくれたが、多忙を極めている鋭のそばにいるとしばしば皇女サマやその側近の重臣の人達が真夜中に訪ねて来て、なかなか面倒くさそうな気難しい話し合いをBGMに眠るはめになったりするのが、少々厄介だった…。
 雄輝が旅団の警備の総責任者なら、鋭のほうは全体の経理とか色々な雑用全ての総責任者らしくて、人の出入りや資材や食糧の調達と支払いや、旅程の管理に気を配っていて、さらにはヨーリア学派の長としては医術の心得もあるそうで、しばしばマシカと一緒に怪我人や病人の治療にも当たっていた。ほんとに忙しそうだった。
 だからリツコはとにかく周りの人たちの仕事を出来る範囲で手伝いながら、少しでも暇があればマシカと鋭と(可能ならば雄輝と、ついでにもう怖いとは思わなくなっていたので。いつも不機嫌な皇女様にまで突撃して!)質問攻めにしていた。

 そんな風にして、旅は《大地世界》の西半分を超え、丸二ヶ月ぐらいもかけて進んで行くのであるらしかった。


5-2. リツコ、記録する。 (2018年9月12日)

 5-2. リツコ、記録する。

 

 そんな日々が続いて、やっと自分の置かれた状況の全体像が判ってきたので、とにかく戻ってから整理して大叔母様に報告しようと、大学ノートの山に手書きでガリガリ記録を残した。
 それはこんな風だった。

 


【この世界のこと。】

 名前はダレムアス。
 意味は《大地の国》。または《大地平界》。

 平らな世界で、地球みたいに丸くない。(と言われている)。

 ブツリホウソクが、いろいろちがう。(と鋭が言ってる)。


 昔々、女神マライアヌ様と仲間の神様たちがつくった。
 神様たちは沢山いたけど、ほかの世界の神様たちと戦争して全部ほろんじゃった?
 今は二本足の人間がいちばん多くて、

 他に色々な《毛皮の人々》とか、《樹木の人々》とか、

 その他の竜とかマホウの生き物もたくさんいる。

 女神マライアヌが《ダレムアス》をつくったのと同じ頃に

 別の神様たちがつくった別の世界《ボルドム》が

 何十年か前にとつぜんシンリャクしてきたので、
 最近まで戦争してた。

 

 戦争はなんとか勝ったけど、
 まだ色々と戦後ショリ問題というのが残っているらしい。
(よく分らない)

 


【ショコウ会議のこと】(※マシカは字が判らないって。あとで鋭に聞く!)

 戦争してたボルドムとテイセンの話し合いかと思ったら、そうじゃないみたい。

 

 ダレムアスの前の王さま?皇さま?(皇女サマのお父さんとお母さん)が、
 前の戦争の最初にボルドム軍に殺されちゃって、今いないので、
 誰が王位をつぐかとか、そういう話し合い?

 

(なんで皇女サマがつがないの?って本人に聞いてみたら、聞くなっておこられた。)

 

 

【地球からのシンゼン大使のこと】

 

 あたしが(ダイリだけど)なんでここに呼ばれたか?というと、
 ボルドムと戦争して終わったばかりで弱っているダレムアス世界に、
「今度は地球人が攻め込んでこないか?」と心配している人たちがいて、

 

「攻め込んで来ないように万全の手は打ってるから、安心してほしい」という
「ハッタリをかませる」ことが、会ギのコウショウのために必要なんだって。
(よくわかんない。)


【この世界と地球のこと】

 地球のことは《ティカーセル》または《テイカーセラス》って呼ばれてる。

「泥の球」って意味らしい。

 あんまり、ほめてない感じ?

 

 丸くて宇宙に浮かんでる星。っていうのが「信じられない!」らしい。

 この《大地世界》はとにかく平らなんだって。
 そして果てとか終わりが無い。(と信じられている。)んだって。

 

 地球にもどったら、社会科の教科書のゾウが大地を支えている世界カンとかの図版と見比べたいな。

 それでこの世界の神話では《地球》と《大地世界》は「弟と姉」の関係なんだって。
 つくった神様たちが姉と弟だったからなんだって。


 昔からずっと行き来はあったらしいけど、
 時差の関係?で地球では「大昔のこと」になっちゃって、
 ほとんどの人からは忘れられてしまった、らしい。

 ウラシマ太郎とかコチュウテンとか伝説があるでしょ?
 と鋭が言ってた。
 コチュウテンて何?

 

【ツバサとかのこと】

 雄輝が地球の「翼」家の人間だったり。
 昔から「地球に移住した人たちの子孫」とか、その逆とかが居たらしい。

 

 とにかく、地球で「一族」とか名乗ってる人たちは、

 こっちの世界から移住した人たちの子ソンだったり、

 その記ろくを語り伝えてきた人たちが多い。(らしい。)

 


【魔法のこと】

 女神さまの子ソンとかが特に使える。
 鋭は地球人だから全く使えない。(と言ってるけど、なんか怪しい?)

 皇女サマは「直系だから」特別チカラが強い。

 

 マシカはレイガイ的に?マホウが巧い。


【朝日ヶ森のこと】

 あの学園にいる「妖怪とか系」や「まほう組」の人たちって、

 

 つまり、そーいうこと???


 そこまで書いて書きかけのまま書卓につっぷして寝てしまったリツコを寝床に運んでくれて、『諸侯会議』だと鋭が漢字を書き足してくれていたのに、翌朝になって気づいたリツコは、リュックに詰めて持ってきていた小さい紙の辞書をひいて、がんばって意味を調べた。 


5-2. リツコ、話せるようになる。

 5-2. リツコ、話せるようになる。

 それにつけても皇女サマはいつ見ても機嫌が悪かった。
 せっかく超のつく美人なのに、眉間にシワを寄せては誰かれなく睨みつけ、ちょっとしたことで色白な肌が真っ赤になるくらい怒ったり怒鳴りつけたり。いつもイライラしていて、「ヒステリー」としか言いようがないくらい。
 こんな性格では、いくら戦争に強くて敵に勝っても、平和になったら国民は誰もついて来ないんじゃないかしら。だから後継者問題でモメてるのかしら?とリツコは疑ってみたが、その割には鋭や雄輝やマシカたちも含めて、すべての部下たちからの信頼というか人望というやつは、ものすごく厚いらしい。
(「今日もまた機嫌が悪い―!」という嘆きと愚痴は毎日のようにそこらじゅうを飛び交っていたが。)
 楽しい旅の毎日の中でも、皇女サマの天幕づきの次女や従者の人たちだけはいつも戦々恐々としていて、どよんとしたくら~い空気が漂っていた。
 のだが…
 ある日。
 よく晴れた西の空に鳥や雲とは違う小さい細長い影がくっきりと視え始めた。
『………龍だ! フェルラダル様も居らっしゃる!』
 誰かが叫んだ。
『皇女殿下にご報告を!』
『聴こえたわ!』
 すごい勢いで皇女サマがすっ飛んで出てきた。

 あれあれ?とリツコは見守った。
 空のむこうの影のうちひとつは、自分で飛んでる?らしい人間で、もう一つは、出発式の日に挨拶して西の空へ消えていった、あの伝令役の龍たちのうちの白いほうのように思える。
『…お兄様! 伯父様!』
 びっくりしたことに《大地世界》の皇女殿下サマはふわりっといきなり空に浮かびあがった。
 そのまま文字通り「飛ぶように」すっとんでいって、空の真ん中で『お兄様』と『伯父様』を交互に抱きしめて嬉しそうに挨拶している。
『遅くなって済まなかった。出立式の日までには戻りたかったのだが。』
 鋭とはりあうぐらいものすごい美形の鋭と同じような長い髪をした年輩の男性がそう言いながらふわりと地面に降りてきた。年齢が上だから、こちらが皇女サマの『伯父様』なのだろうとリツコは推測した。
『…フェルラダル様ッ!』
 皇女と同じくらいのものすごい勢いでもう一人すっ飛んできたのは…マシカだ。
『…御無事で!』
 皇女サマの伯父様に、飛びつくように抱きついて挨拶している。
 あれあれ…とリツコはすぐに解った。マシカが言ってた『鋭とちょっと似ているところもある』『一番好きな人』…って、この人だ!
『…マシカ…。わたしも居るんだけどなー…』

 白龍にまたがって運んでもらってきたもう一人の男の人が、なぜかそうぼやきながら降りて来る。
『…あら、ごめんなさいミヤセル様? 御無事で何よりですわ?』
 …ミヤセル様?…皇女サマの『お兄様』ってことは、名前はマリシアル皇子って言わなかったっけ…?
 リツコは聞きかじりの話とつなぎ合わせながら、興味津々に目を点にしてなりゆきを見守った。

「あ~、…また話が賑やかになった…」
 苦笑しながら、いつのまにか鋭がリツコの隣に立っていた。
「…さて、吉と出るか、凶と出るか… 吉かな?」
 龍は集まってきた顔見知りにだけ簡単に挨拶すると、また天空を悠々と飛んで西のほうへ戻って行った。それを手を振ってしばらく見送ってから、皇女サマは同じ碧の巻き毛と碧の瞳で双子のようにそっくりな雰囲気の兄上やあまり似ていない外見の落ち着いた物腰の伯父上や重臣たちと額を突き合わせて話しはじめた。それを鋭は自分は関係ないとばかりに離れたところから見守って、やがて笑った。
「…安心して、リツコ。これでマーシャの機嫌は直ったみたいだから…」
 話のとおり、その後すぐ宿泊地点に着いて雄輝たち先行班と合流した時の皇女サマは、これが本当に昨日までのあの嫌な性格の意地悪女とほんとに同一人物?とリツコが目を疑うくらい、にこにこして、上機嫌で、頬なんかピンク色で、みんなに親切で、歌まで歌っちゃって、食欲もものすごく旺盛だった。
 側近の人たちがみんな嬉しそうに後ろでこそこそと情報のやりとりをしていたが…
 鋭はあまり気にしていなかった。それから食後のお茶を呑み終わった皇女サマたち主賓席のところへ、おもむろにリツコを連れて訪ねた。
『お久しぶりです。御無事で何よりでした。フェルラダル様、マリシアル様。
 こちらが地球から来たリツコです。最近はマリーツ(地栗鼠)という愛称で呼ばれています。
 …で、マーシャ? 機嫌が直ったところで… いい加減、この子、みんなと喋れないと不便なんだけどな? 諸侯会議で代表挨拶だってする、大事な貴賓なんだし…?』
『…………わぁかったわよ! もうッ!』
 皇女サマはなんとも可愛らしく(リツコは目を点にした)ぷくっとふくれてすねた。
『ちょっと待っててリツコ。今まで八つ当たりしてたことは謝るわ。それで…』
 すらりと立ち上がってこちらへ来る。

 リツコは思わずびびって逃げかけた。
 その肩を遠慮なくがしっと捕まえて、
「だから、謝るわ。って言ってるでしょう?」
 ものっすごく高飛車に言い切ると、それからすぅっと息を吸い、大地を両手で抱えあげるような独特の舞のようなしぐさをして、謡うように唱えた。
『…マレッタ! れとけぃえる、せるかろまろうで、ぃええん!』…(汝がことば皆に通じよ!)
 それから急に、リツコがそれまでマシカが毎日かけなおしてくれる《言葉の魔法》のおかげで相手が言ってる言葉の意味を理解できるようになっていたのと同じように、リツコのほうは日本語でごくふつうに喋っているだけの言葉を、聞いたダレムアスの人がみんな「なぜか意味が理解できる」ようになった。しかも半日とかで効力が切れてしまうような時間限定の魔法ですらなかった。
「ありがとう!」次の日に改めてお礼を言いに行ったリツコに、
「だぁから、遅くなって悪かったわよッ!」と皇女サマはもう一度ふくれて拗ねた。



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