目次
(借景資料集)
【速報!】 第2回 「青い鳥文庫小説賞」
(第4稿)
(第4稿)as(最終稿)
(添付挨拶状)
(あらすじ) (2018年9月23日)
序章 《 朝日ヶ森 》
第1章 リツコ、異世界へ行く。
第2章 リツコ、異世界で目覚める。
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、取材する。
第8章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第9章 リツコ、役に立つ。
終章 リツコ、地球に帰る。
(第3稿)
(第3稿)
(表紙)
(あらすじ) (2018年9月16日)
序章 朝日ヶ森 学園
第1章 リツコ、異世界へ行く。 (2018年9月16日)
第2章 リツコ、異世界で目覚める。 (2018年9月16日)
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第8章 リツコ、戦う。
第9章 リツコ、地球に帰る。
(第2稿)
(第2稿)
(あらすじ) (2018年9月8日)
1-0-0.朝日ヶ森「学苑」(おもて)
1-0-1.朝日ヶ森(うら) (2018年9月8日)
1-1-0.リツコ、呼ばれる。 (2018年9月8日)
1-1-1. リツコ、出かける (2018年9月8日)
2-0-1.リツコ、異世界に着く。 (2018年9月9日)
2-0-2.リツコ、挨拶する。
2-1-1.リツコ、清峰鋭にあう。
2-1-2.リツコ、異世界の村へ行く (2018年9月9日)
2-1-3. リツコ、空を飛ぶ。 (2018年9月9日)
3-0-0. リツコ、悪夢をみる (2018年9月10日)(加筆)
3-0-1.リツコ、起こしてもらう。
3-0-2. リツコ、情報交換する
3-1-0.リツコ、朝寝坊する。
3-1-1.リツコ、右将軍にあう。
3-1-2.リツコ、皇女に会う
3-1-3.リツコ、マシカとあう。
3-1-4. リツコ、市場へ行く。
3-1-5. リツコ、天幕に泊まる。 (2018年9月11日)
4-0. リツコ、早起きする。
4-1. リツコ、パレードに参加する。
4-2. リツコ、誇大広告される。
5-1. リツコ、旅をする。
5-2. リツコ、記録する。 (2018年9月12日)
5-2. リツコ、話せるようになる。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第6章 リツコ、旅をする。
(第1稿)
(第1稿)
(あらすじ) (2018年8月17日)
( 目次 ) (2018年8月18日)
0-1.(おもて) (2018年8月18日)
0-2.(うら) (2018年8月18日)
1.リツコ、親善大使になる (2018年8月18日)
1-1. リツコ、出かける
2. リツコ、異世界へ行く。
2-1.リツコ、挨拶する。
2-2.リツコ、清峰鋭にあう。 (2018年8月19日)
2-3.リツコ、運ばれる。
3.リツコ、白王都へ着く。 (2018年8月22)
3-1-0.リツコ、寝坊する。 (2018年8月22日)
3-1-1.リツコ、皇女に会う (2018年8月22日)
3-1-2.リツコ、マシカにあう。 (2018年8月24日)
3-1-3. マシカ、市場へ行く。 (2018年8月24日)
3-1-4. マシカ、天幕に泊まる。 (2018年8月24日)
4-0. リツコ、目覚める。
4-1. リツコ、行列に参加する。
4-2. リツコ、センデンされる。
5-1. リツコ、記録する。
5-2. リツコ、観察する。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。 (2018年8月26日)()
6-2. リツコ、小鬼を救う。 (2018年8月26日)
7. リツコ、まきこまれる。 (2018年8月26日)
8-1. リツコ、魘される。
8-2. リツコ、龍にのる。
9. リツコ、会議にでる
10-1. リツコ、よばれる。
10-2. リツコ、地球にかえる。 (2018年8月26日)
(草稿&没原稿)
(草稿&没原稿)
(1) 朝日ヶ森 (2018年6月3日)
『 リツコへ。 第一日 』 (@中学……1年か2年?) 
(あらすじ) (プロット&目次)
(あらすじ) (プロット&目次)
【投稿用】プロットメモ (2018年7月22日)
400字~800字程度のあらすじ。 (2018年8月17日)
(設定資料集)
(設定資料集)
このコだ! 「鍵になるキャラ」…っ!www (2018年6月30日)
(( ことばよ、つうじよ! ))  (2018年8月9日)
(サ行前の雑談など)
(サ行前の雑談など)
【ぐれてる理由】。(--;)。 (2018年5月13日)
『 リツコ 冒険記 』 ~ 夏休み ・異世界旅行 ~ (1) (2018年6月3日)
(案の定【天中殺中】で頓挫している) (2018年7月22日)
…ちっ! …やっぱり…『落ちた』か…★ (2018年8月12日)
次ぃ征くぞ! 次っ! (2018年8月12日)
★ 【講談社 『 青い鳥文庫 』 の呪い!?】の謎。 ★
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3-0-0. リツコ、悪夢をみる (2018年9月10日)(加筆)

第3章 リツコ、皇女様に会う。

 

 3-0-0. リツコ、悪夢をみる

 

 リツコは、うなされていた。いつもの夢だ。

 懐かしい家。山のふもとの、ちょっと不便な、だけど緑が豊かな斜面にある…温かい木の壁の家。

 いつものように日曜日の午前の終わり頃には家の裏の土手を登って、上の家庭菜園から昼ごはんに使う香味野菜を採ってくるのが、リツコの当番だった。その日はお母さんのリクエストで、小ネギとラディッシュとレタスを1株採った。

 ちょっと重たくなった収穫カゴを抱えて、崖道を降りようとすると…

 へんぴな集落へと向かってくる行き止まりの一本道を、見慣れない車の集団が凄い速さでやってくる…

 ……見慣れない車……

 …だけど、あの色は!

 リツコは急斜面をころげるように横切ってつっばしりながら、叫んだ。

「お母さんッ! 大変ッ! 逃げて!」

「…リツコ?どうしたの?」

 お母さんとお父さんがのんびり台所の窓から顔を出す。

「……お姉ちゃんっ! 緑衣隊よ、逃げてッ!」

 リツコは家の下の斜面で洗濯物を干していた5歳上の姉に叫んだ。

 もう遅い。

 妖しくてらてらと光る変な緑色の特別な自動車の群れは、その姉の前で急停車するとばたんばたんと音を立ててドアを開け、中からばらばらと降り立って来た妖しくてらてらと光る変な緑色の変な制服を来て変な仮面をつけた屈強な男たちが、びっくりして動けないままシーツを握りしめて立っていた姉を、数人がかりで乱暴に捕まえた。

「………きゃあッ!?」

「エツコ!」

「何をするッ!?」

 お母さんとお父さんが叫ぶ。

「高原ワタルとシズカだな?」

 男たちのリーダーらしいヤツがすごい嫌な声で怒鳴った。

「反政府反逆陰謀罪で逮捕する。逃げたら…」

「きゃああッ!」

 頭に銃をつきつけられて、お姉ちゃんが絶叫した。

「エツコ!やめて!やめてッ!」

「わかった!頼むからやめてくれ!娘は関係ないッ!」

「ふん。反逆者の娘は、しょせん反逆者の娘だ。」

「お父さん!逃げてッ!」

 なおも崖の上から叫んだリツコをめがけて、男達のうちの何人かが、ばらばらと走り始めた。

「リツコ!逃げなさい!」

「お父さん!逃げてよッ!」

「エツコを置いては逃げられない。おまえは逃げなさい!おばさんの所へ行くんだ!」

「リツコ!逃げて!あたしは平気!」

「逃げなさい、リツコ!…きゃあ!」

「やめろ!抵抗してないだろう!」

 リツコに叫んだお母さんが乱暴に殴られた。

 お父さんが怒鳴った。

 リツコは、崖を駆けあがって来る大人の男達の脚の速さを悟った…急がないと、逃げ遅れる!

「………おばさんの所で待ってる!」

 叫んで、あとはもう一目散に、山の中に逃げ込んだ。

 勝手知ったる裏庭も同然の山だ。大人には通れない崖の上の小川に張り出した細い木の枝を渡り、ターザン顔負けの軽業で幹から幹へ飛んで、とりあえず「秘密基地」に逃げ込んだ。

 大人たちが山狩りを始めたらしいので、そこからもこっそり逃げて、今まで「子どもだけで入っちゃいけません」と言われていた、奥の奥の神山のふもとへ逃げ込んだ。

 そこから、山伝いに、歩いて、歩いて…

 …おなかが空いて、でも街へは降りられなくて…

 歩いて…寒くて…

 

 いつもの夢だ。怖い夢。

 もう、起こってしまったこと。

 そして…

 

「…リツコ! リツコ! 起きて! …夢だよ、起きて!」

「…お母さんッ!」

 リツコは飛び起きて、声をかけてくれた人に、必死でしがみついた…。

 

 

 

 

 


3-0-1.リツコ、起こしてもらう。

 3-0-1.リツコ、起こしてもらう。

「…リツコ! リツコ! 起きて! …夢だよ、起きて!」
「…お母さんッ!」
 リツコは飛び起きて、声をかけてくれた人に必死でしがみついた。
「あぁ良かった…無事だったのねっ!」
「…リツコ…」
 …ん??
 ぎゅっと抱き着いてみたら…違う…?
 硬いし、細いし…
 これ、お母さんじゃないし…お父さんでもないし…お姉ちゃんでも、大叔母様でもないし…
「…………あ!? 鋭? ………ごめんねっ? …あ、あたし…寝ぼけて…っ」

 びっくりして飛びすさったら、「ううん。」と、美青年は優しく笑ってくれた。
 …やっぱり美形すぎて、思わず目をハートにして見惚れる。
 鋭はまた苦笑して、
「それにしても、度胸がいいねーぇ? 天荷籠のなかで気がついたら爆睡してたって。鳥人のみんな、呆れてたよ?」
 うなされて寝ぼけたことはとりあえず無視してくれて、にやにやとからかってくる。
「え? …えぇ?」
 リツコは慌ててあたりを見回した。
 …知らない部屋だ。
「……ここ……??」
「うん。日が暮れるちょっと前くらいに仮皇都に着いたんだけど。いくらゆすっても起きないからさ。失礼ながら運んじゃった。」
「……うわーっっ?? ごめんねっ??」
「ううん~? 軽かったし。」
「え~? 軽くないよ~?? あたしけっこう重いよ~??」
 リツコはぱたぱたと無闇に暴れ、顔とか髪とかに慌ててて手をやって赤面した。こんな美形のお兄さんの前で小さなコドモみたいに寝こけるなんて… いや~ん…っっ
「…だってさっ! だって向う側の地球の木の穴からえいっって出発したのは昨日の夕陽が沈んだ後だったのにっ! こっち着いたらまだお昼前で! お昼ご飯2回もしかもたくさん食べたでしょっ? 飛んでる間、あたしは暇だったしぃっ!」
 とりあえず赤い顔して必死で言い訳してみる。
「…うん。きみが適応能力のとても高い、度胸のいい大物の卵だってことは、よく解ったよ?」
「いや~んっ!」
「知らないところでさ。一人で目が覚めたら、いやでしょ? お腹もすいてるだろうと思って。」
 優しい口調ながらふいとまじめな顔に戻って言うと、リツコが寝かされていたベッドを覗き込んでいた鋭はひょいと立って歩いて行き、部屋の中央に置いてあった食卓と椅子らしい家具のほうへ戻った。

 机の上には色々…本らしいものとか大きな紙?の図面とか地図のようなものが広げてある。
 部屋のようすは何というか…和モダン? 木と紙と竹?と布で出来てて…清潔で、優しい色だ。

 明かりはすごく明るい障子紙の灯篭のような感じで、開け放した窓からは月明り?まで射してる。

 暑くはないし、寒くもない。…秋の初め?…かな? とリツコは思った。

「ごはん用意しておいたから。…あ、手と顔が洗いたかったらそっちね。トイレもそっち。」
「…ありがとっ!」
 リツコは清潔で気持ちのいい木の床に敷かれた草編みらしい模様入りのゴザのようなものの上をぱたぱたと裸足でかけていって、教えられた場所でトイレと洗手と洗顔を済ませて、ぱたぱたと走って戻った。
 置いてあった箱形の木製のお盆?日本語だと箱膳ていうのに似てるかな?…の蓋をとると、ふわりと優しい香りが立った。
「…わぁ、美味しい!」
「そぉ? 良かった。」
 何種類かの野菜と何かの柔らかい肉と小海老?…を、香草と一緒に蒸して和えたらしい簡単だけどすごく美味しいおかずが山盛りと、濡れせんべいと焼き味噌おにぎりの中間のような、しっかりしっとりした噛みごたえの、何かの穀物の粉を練って平たくして焼いた、主食らしいもの。
 箸休め?的なちょっと摘まめるコリコリした歯ごたえの何か。浅漬けみたいな感じの新鮮な生野菜が数種類。それからデザートに、食べやすいように綺麗に切ってあった汁けたっぷりの甘酸っぱい香り高い果物!
 それらを猛然とがっついている間に、卓上焜炉的なものの炭火の上でしゅんしゅん沸いていた鉄瓶からお湯を注いで、鋭が温かいお茶を淹れてくれていた。

 


3-0-2. リツコ、情報交換する

 3-0-2. リツコ、情報交換する

 

「………ふ~ぅ。おなかいっぱーい! …ごちそうさま!」
「おなか落ち着いたらもう一度眠るといいよ。まだ朝まで時間あるから。」
「…もしかしなくてもあたしのために起きててくれたの?」
「まぁやることも色々あったし。『夜中に寝ぼけますからよろしく』って、清瀬の律子さんからの手紙にも書いてあったし。」
「えぇ!?」(…はっずかし~っ!)

 …と、身もだえしてみせると、鋭はまたふふっと笑った。
「まぁフツウ組のひとが朝日ヶ森に保護されてるからには、何か事情があるとは思ってたけど」
「…鋭は、地球のジジョウについては、どれぐらい知ってるの?」
 リツコは思い切って聞いてみた。なにしろ知らないことだらけだ。
「う~ん。清瀬さんからは何も聞いてないの?」
「そんな暇なかったもん。初恋の人だ~ってノロケ始めちゃったし。」
「えぇ? それ初耳!」
「え、うそ? しまった!」
 リツコは慌てて口をふさいだ。遅いけど…
「…言っちゃったこと、内緒ね…?」横目で様子をうかがうと、
「う~ん、まぁ時効だし…? なにしろぼくはこんな見た目のまんまだけど、そっち時間だと五十年くらい経ってるし…。でも清瀬さんとはほんと喋ったこともあまり無かったんだよ? 数十年ぶりにやっと地球側と連絡がとれて、当代の朝日ヶ森の学園長が清瀬律子サンって署名してあっても、最初は同じ人だと思わなかったくらいで。」
「そうなんだ?」
「うん。…そもそもなんで彼女が朝日ヶ森にいるのさー?」
「え? 同級生だったんじゃないの?」
「その前にいた全く普通の地元の小学校でだよ。今のキミと同じ4年生の時にね。彼女転校生だったし。そのころ口がきけなくて筆談だったし」
「あ、それは聞いたことある。一族みんな死んじゃった時に、心因性ナントカってショックで子どもの頃しばらく喋れなかったって。」

「そうだったんだ…」

『一族』という単語が出た時点で何かしら納得してくれたらしく、英は話題を切り換えた。
「それで僕はIQ高かったんで《センター》に誘拐されて。」
「えぇ?」
「逃げ出して山ン中で往き斃れかけてたらマーシャに拾われて朝日ヶ森に保護されて…そしたら何故か清瀬さんも朝日ヶ森に保護されてて… まぁ色々あって僕は天才組だし彼女はフツウ組だし、結局その直後に僕こっち側に飛ばされちゃったから、詳しい事情を聞く暇もなくて、以来数十年? お互い音信不通。」
「…そうなんだー?」
 リツコはちょっと目を丸くして混乱した。話の全体像がよく解らない…けど。
「あたしはほんとにフツウなのー。お父さんお母さんがハンセイフってカツドウやってて目ぇつけられちゃって。緑衣隊が逮捕に来たから『逃げて!』って言ったけど遅くて。あたしだけ走って逃げて山ん中でサバイバルしてたら朝日ヶ森のひとが保護しに来てくれて。で、家族もみんな無事に救出されてたけど、先に西側に亡命しちゃってたんだ。で、次の亡命ルートが確保できるまで、朝日ヶ森で待ってなさいって。」
「…ほぼ僕と同じ状況らしいけど…。…それを『普通』って言っていいのかなぁ…。」
 鋭が苦笑して遠い目をする。
「それでか。『こっちとそっちの行き来を兼ねて、地球の別の場所に出られないか』って質問」
「え?」
「聞いてない? リツコこっちに来たあとまた朝日ヶ森に戻すか、もし可能なら、地球上の別の場所に戻してくれてもOKって。」
「そうなんだ…」

「日本から外に出れば、まだ比較的移動の自由はあるって? でもキミの今回の時差の問題の件もあるし、界間転移ルートは、まだほんと調査が足りてなくて、かなり不確実なんだ…。うっかり抜けたら下に受け止めるクッションがなかったとか、時代がズレて浦島太郎になっちゃったりとか、したら嫌でしょ?

ぜったい安全って確認できる扉が用意できるかどうか、もうちょっと待っててね。」
「…うん。わかった。」
 それからしばらくは主にリツコの方が、地球と日本の最近の事件をリツコに解る範囲内でだったけど色々と説明をして。うとうとしはじめたら鋭が抱っこしてくれて布団に入れてもらって。
 …最後にみた大きな満月が、地球より大きいな~と思ったところまでで、リツコの記憶は途切れた…。

 


3-1-0.リツコ、朝寝坊する。

 3-1-0.リツコ、朝寝坊する。

 再び目が覚めると、どうやらもうすっかり朝も遅い、という時間帯の雰囲気だった。大小色々いるらしい鳥の声が賑やかで、人の声や馬?のいななきとかのざわめきも遠くから聴こえる。
「…んんん……よっく寝た…? …あれ…???」
 あたりを見渡して知らない部屋だということを再確認して、昨日なぜか異世界とやらに来てしまったんだった…ということをぼんやり思い出し、
「…夢じゃなかった!」

 …と、正気にかえって、慌てて起き出した。鋭の姿はない。
 着ていたのは持参した寝間着で、鋭に寝床に入れてもらう前に、慌てて自分で着替えたのは覚えてる。
 慌てて昼用の動きやすい服に着替える。…そうだ。脱いだ服の洗濯は、どうしたらいいのかな…?
 昨日おしえてもらった場所でトイレと洗面とついでにちょっと冷たかったけど水浴びして髪も洗って、水はたっぷりあったし天気も良かったので、ついでだから置いてあった大きな盥でじゃぶじゃぶ洗濯もしてしまって、邪魔にならないかなー?と思いながら、土間のすみっこの植え込みの枝に紐をかけて勝手に干す。
 昨日と同じように卓の上に用意されていた、冷めても美味しい朝食らしいものを勝手にたいらげる。
「いただきます!………ごちそうさまでした!」
 3分でがつがつ平らげると、物音を聴きつけてやってきたのか、旅館の中居さんのような感じの動きやすそうな服装をした知らない人間の女のひとが、にっこり笑って立っていた。
「あによんまるにえん、えなら?」
「…あっ!おはようございますっ!ご あ ん勝手にいただきましたッ!」
 おもわずもごもごと噛んじゃいながら慌てて挨拶すると、にっこり笑って「えんえん。」と返事をしてくれた。
「まによ?」
 リツコの食べ終えた食器を手早くまとめてお盆ごと持って、「ついて来て?」という風に首をかしげるので、リツコは急いでリュックをひっかけて、あわててついていった。
 行った先には鋭がいた。
 大きな部屋で、同じような服装と髪型をした同じような雰囲気の、頭が良さそうで性格が穏やかそうなおとなの人たちが(ほとんど人間と毛皮つきタイプと両方)沢山いて、地図だの一覧表だのを広げて、慌ただしくも賑やかに楽しげに、何かの打ち合わせをしている感じ。

 真ん中の机の上には昨日リツコが渡した「お土産」のノギスと計算尺が置いてあって、みんなでその寸法を測ったり絵図に書き写したりしている。
「まるにえん。えーらんてーい。」
 案内してくれた女のひとが声をかけると、鋭が降り向いた。
「あるっくあーい。…あ、リツコ起きた? おはよう。」
「おはようございますっ。寝過ごしてごめんなさいっ!」
「い~よ~?」
 それから鋭は周りの人に声をかけ、自分の見ていた書類は簡単に片づけて、なんだか高級そうな上衣を手にとった。
「じゃ、行こうか。」
「どこへ?」
「皇女サマにご挨拶~。」
「えぇ!?」
「あれ、ゆうべ言わなかったっけ?ここの皇女サマって前は地球に亡命して朝日ヶ森に居たんだよ。『霧の校庭・運動会行方不明伝説』って、今じゃ学園七不思議になってるって聞いたけど。」
「え~っ? 何十年か前の、障害物競走の途中で生徒3人がイキナリ消えた謎?…あれ実話だったんだ…」
「そうそう。そん時に巻き込まれた僕がここに居るからねぇ。」
 …つくづくあの学校はフシギだらけだ…とリツコがあきれながら鋭と一緒に歩いて行くと、玄関らしき場所に出て、
「あっあたし靴っ?」
「だいじょうぶ、昨日ここで脱がせたから、ここにある。」
「あっそうなんだ~。」
 ほんとに鋭って気配りというか、用意がいい人だなぁ…と感心する。
 玄関先の気持ちの良い木立ちのなかの小径を歩いていくと、すぐに大きな道に出た。
「うわ…」
 市場だった。いや…大きな町?…商店街…?と、きょろきょろしてしまう。
「…とりあえず質問と観光は後にしてー。皇女サマは怒らせると怖いからー」
 見慣れない物だらけで呆然と立ち止まってしまったリツコの肩を押して鋭が苦笑する。
「それでなくてもキミきのう寝ちゃったからさ? 歓迎パーティーすっぽかしたんだよー」
「…きゃーーーーーっ! ごめんなさいっ!」
 リツコは恥ずかしくて悲鳴をあげた。

 


3-1-1.リツコ、右将軍にあう。

 3-1-1.リツコ、右将軍にあう。

 

 さらに歩いて行くと街並みが活気のある商店街から、高級そうな広い庭のお屋敷?が立ち並ぶ区画に変わって… 行き当たった大きな街道を右に曲がると、つきあたりに、開放的な感じの大きな門があって…
 特に検問とか見張りとかは何もなくて、行き交う人々や獣たちと一緒にひょいと無雑作にくぐると、入ってすぐのところに、大きな男の人が立っていた。
「おう鋭! 来たか! そのコか?」
「うん雄輝。この子だよ~、高原リツコ嬢。」
「あっこんにちわっ! タカハラですっ! よろしくお願いしますっ!」
「リツコ、これが『校庭行方不明事件』の三人のうちのもう一人。翼雄輝。」
「おう、よろしくな。リツコって何県のタカハラ家?」
 リツコは質問されてることに返事ができなかった。紹介された人の背中に大きな翼があったから。
「………羽根………!」

 昨日みた「ほぼぜんぶ鳥の人」とは違って、ほぼ人間な姿の、背中にだけ大きな両翼があるタイプだ。

「ん?珍しいか? 朝日ヶ森なら今も何人か居るんじゃないか?」
「居るけど… すごく怖くて、殆ど話せなかったし…」
「あ~、地球の天狗系のやつらは、気難しいからな~…」
 …そういう問題だっけ…
「おれは善野の鷹羽の一族の、元主家の翼一族の最後の一人。…って言って解る?」
「ごめんなさい。わかんないです。うちは一族ってずいぶん前に滅んじゃてて誰も残ってないので。

あたしたちは、分家の分家で。…大叔母様か、お父さんかお母さんなら、知ってるかもだけど…」

 地球には古くからの伝説とか神力とかを伝えて来たそれぞれの「一族」や「部族」に属する「古い人々」と、それとは別の「新しい人々」の区別があるという、漠然と話だけしか、リツコは知らない。
「あ~気にすんな、そんなもんそんなもん。」
 からからと笑って男の人はリツコの肩をぽんと叩いた。
「マダロ・シャサ!」
 ちょっと離れたところから大声で呼ばれたのは、その翼のある人の、こっちの世界での名前らしい。
「じゃな。マーシャ怒ってるからな~。せいぜい庇ってやれよ?」
「…うへぇ…」
 リツコには謎の言葉を聞いて、鋭が、ものすっごい嫌そうな声を出した…(リツコはびっくりした。)

 



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