目次
(借景資料集)
【速報!】 第2回 「青い鳥文庫小説賞」
(第4稿)
(第4稿)as(最終稿)
(添付挨拶状)
(あらすじ) (2018年9月23日)
序章 《 朝日ヶ森 》
第1章 リツコ、異世界へ行く。
第2章 リツコ、異世界で目覚める。
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、取材する。
第8章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第9章 リツコ、役に立つ。
終章 リツコ、地球に帰る。
(第3稿)
(第3稿)
(表紙)
(あらすじ) (2018年9月16日)
序章 朝日ヶ森 学園
第1章 リツコ、異世界へ行く。 (2018年9月16日)
第2章 リツコ、異世界で目覚める。 (2018年9月16日)
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第8章 リツコ、戦う。
第9章 リツコ、地球に帰る。
(第2稿)
(第2稿)
(あらすじ) (2018年9月8日)
1-0-0.朝日ヶ森「学苑」(おもて)
1-0-1.朝日ヶ森(うら) (2018年9月8日)
1-1-0.リツコ、呼ばれる。 (2018年9月8日)
1-1-1. リツコ、出かける (2018年9月8日)
2-0-1.リツコ、異世界に着く。 (2018年9月9日)
2-0-2.リツコ、挨拶する。
2-1-1.リツコ、清峰鋭にあう。
2-1-2.リツコ、異世界の村へ行く (2018年9月9日)
2-1-3. リツコ、空を飛ぶ。 (2018年9月9日)
3-0-0. リツコ、悪夢をみる (2018年9月10日)(加筆)
3-0-1.リツコ、起こしてもらう。
3-0-2. リツコ、情報交換する
3-1-0.リツコ、朝寝坊する。
3-1-1.リツコ、右将軍にあう。
3-1-2.リツコ、皇女に会う
3-1-3.リツコ、マシカとあう。
3-1-4. リツコ、市場へ行く。
3-1-5. リツコ、天幕に泊まる。 (2018年9月11日)
4-0. リツコ、早起きする。
4-1. リツコ、パレードに参加する。
4-2. リツコ、誇大広告される。
5-1. リツコ、旅をする。
5-2. リツコ、記録する。 (2018年9月12日)
5-2. リツコ、話せるようになる。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第6章 リツコ、旅をする。
(第1稿)
(第1稿)
(あらすじ) (2018年8月17日)
( 目次 ) (2018年8月18日)
0-1.(おもて) (2018年8月18日)
0-2.(うら) (2018年8月18日)
1.リツコ、親善大使になる (2018年8月18日)
1-1. リツコ、出かける
2. リツコ、異世界へ行く。
2-1.リツコ、挨拶する。
2-2.リツコ、清峰鋭にあう。 (2018年8月19日)
2-3.リツコ、運ばれる。
3.リツコ、白王都へ着く。 (2018年8月22)
3-1-0.リツコ、寝坊する。 (2018年8月22日)
3-1-1.リツコ、皇女に会う (2018年8月22日)
3-1-2.リツコ、マシカにあう。 (2018年8月24日)
3-1-3. マシカ、市場へ行く。 (2018年8月24日)
3-1-4. マシカ、天幕に泊まる。 (2018年8月24日)
4-0. リツコ、目覚める。
4-1. リツコ、行列に参加する。
4-2. リツコ、センデンされる。
5-1. リツコ、記録する。
5-2. リツコ、観察する。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。 (2018年8月26日)()
6-2. リツコ、小鬼を救う。 (2018年8月26日)
7. リツコ、まきこまれる。 (2018年8月26日)
8-1. リツコ、魘される。
8-2. リツコ、龍にのる。
9. リツコ、会議にでる
10-1. リツコ、よばれる。
10-2. リツコ、地球にかえる。 (2018年8月26日)
(草稿&没原稿)
(草稿&没原稿)
(1) 朝日ヶ森 (2018年6月3日)
『 リツコへ。 第一日 』 (@中学……1年か2年?) 
(あらすじ) (プロット&目次)
(あらすじ) (プロット&目次)
【投稿用】プロットメモ (2018年7月22日)
400字~800字程度のあらすじ。 (2018年8月17日)
(設定資料集)
(設定資料集)
このコだ! 「鍵になるキャラ」…っ!www (2018年6月30日)
(( ことばよ、つうじよ! ))  (2018年8月9日)
(サ行前の雑談など)
(サ行前の雑談など)
【ぐれてる理由】。(--;)。 (2018年5月13日)
『 リツコ 冒険記 』 ~ 夏休み ・異世界旅行 ~ (1) (2018年6月3日)
(案の定【天中殺中】で頓挫している) (2018年7月22日)
…ちっ! …やっぱり…『落ちた』か…★ (2018年8月12日)
次ぃ征くぞ! 次っ! (2018年8月12日)
★ 【講談社 『 青い鳥文庫 』 の呪い!?】の謎。 ★
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2-1-2.リツコ、異世界の村へ行く (2018年9月9日)

 2-1-2.リツコ、異世界の村へ行く 

 

「この世界はこの世界の共通語で《ダレムアス》と呼ばれていてね。意味は《大地の世界》かな?」
「そうなんだ」

「いま僕らが歩いているのが《大地の背骨》と呼ばれている中央山脈の端っこで、目の前の大平原が、この世界では一番人口密度が高い《白都平原》。あそこに流れている大河が…」

 山腹のくねくねした小道を並んで歩きながら、視界に入る主だった地形の名前を教えてくれる。

 空は地球と同じように気持ちの良い澄みきった青色で、流れる白い雲と乾いた風がとても気持ち良くて、リツコがよく知っている地球の日本の樹林帯とは少し様子の違う大森林には、綺麗な色のたくさんの小鳥や蝶たちがせっせと飛び交っている。
 わきゃわきゃと賑やかに足元に絡みついてくる子猫?なこどもたちと垂れ耳ウサギなおとなの女性たちと、その中間で真っ白い毛並みの立ち耳ウサギみたいな、どうやらリツコと同年代くらいの少女たち?と、地球の人間の基準で超絶美形な長髪青年と一緒に、足早に歩いて山腹のちょっとした平地に開けた豊かそうな村まで降りて行くと、そこにいた平たい垂れ耳のキャバリア犬にそっくりな顔のひと?たちは、ちょっとびっくりしたけど、どうやらおとな兎な女性たちと同族の男性?の特徴らしかった。

 その他に、なんとなく鹿似のひと?とか、うさぎ+いぬ似人たちと言葉で喋ってるけどどう見ても丸ごと四足のセントバーナード犬みたいな人?とか、熊っぽい人とか、鳥な人とか…が、住人ではなくて通りすがりの行商人?みたいな感じで、山中の街道を行き交っている。

 まるっきり人間。という人たちや、ちょっと違うけどほぼ地球人と同じ。という人たちも、もちろんたくさんいた。

 並んでいる家々は木造で、まるでアニメに出て来る白雪姫の小人の家みたいな、可愛らしいサイズ。

 なので、体格的に、うさぎ+いぬ人の村の家には入れないサイズのひと?たちは、村のまんなかの広場や、わざわざ大きめに造ってあるらしい休憩所風の小屋とかに座って、買った物を吟味したり休憩したり食事をとったりしていた。

 なんだか、ガリバー旅行記?みたいだ。

 山腹を横に伸びてくねくねと続いている街道沿いの平和な村は交易でにぎわっていて豊かそうで、商人たちの間で飛び交っている言葉も、なんとなくだけど、何種類も違う言葉が混じって使われているように聞こえる。

「ミキーレ!」

「リール!」

「イーキレ!」

「リレク!」

 …地球の日本人の清峰鋭と名乗ったはずの美青年に、親し気に呼び掛ける人たちの呼称?からして、とにかく色々と、何種類もあった…。

「…えーと…、清峰さん?」

「鋭でいいよ? リツコって呼んでいい?」

「いいですけど…」

「ですじゃなくていいよー?」

 にっこり笑う顔にまた思わず見惚れてしまいながら、

「いい、けど?」と、リツコは言い直した。

「この世界って、言葉は何種類くらいあるの?」

「ごめん。質問たくさんあるとは思うけど、ぼく先に色々打ち合わせしなくちゃなんだ。ちょっと待っててくれる?」

「わかった…」

 村について、案内された一番大きな家の庭先の木の下の居心地のいい場所で、きれいに張られた木製のテラスのような地面と同じ高さの床の上の敷布の上に出してくれた、果汁や香草のお茶や飾り切りの果物や、木の実を潰して焼いたお好み焼きみたいな見た目のお菓子だか軽食だか…色々をすべてたいらげた後、まだ隣の反対側の大円卓でわぁわぁ騒いでいる鋭の「打ち合わせ」とやらが終わってないのを見て、リツコはやおらリュックの中から1冊目の大学ノートを取り出した。

 まずは日付と時間を書こうと思ったけど、リュックから出してみた携帯機器類はあらかじめ教えられていた通り、圏外表示どころか画面が真っ暗なままで、いくらスイッチを押してもうんともすんとも、電源すら入らない。
「…ほんとだ…」
「あ、それは聞いてた? こっち電気を使うものは全部ダメなんだ。金属は手に入るんで、水力発電とかも造ってみたんだけど、そもそも物理法則が根本から違うらしくて。」
 鋭がリツコの動作と声が気になったらしくて、一瞬だけ振り返って相手をしてくれる。

(…ブツリホウソク…って、電気とか重力とか惑星の仕組みとかとか…のことよね?)

 急いで頭のなかでおさらいした律子は、

「空とか木とか、見た目はおんなじなのにねー。」と言ってみた。
「空と太陽と風だけが共通項、って言われてる。」
「ふーん…」

 それきりまた鋭がいろいろ動物な人たちとの長い会話に戻ってしまったので、日付と時間を尋ねるのはあきらめて。

「訪問1日目。昼?ご飯のあと。」とだけ書いて。
 大叔母様から持てるだけ大量に持って行けと言われた体験報告記入用の大学ノートの一冊目に、やはりダース入りの箱ごと買ってきた鉛筆の1本目をがりがり削って、ざっと報告の文章はメモだけ書いて、それからやおら「48色!」入りの色鉛筆の缶を広げて、子猫とおとな兎とおとな犬?の簡単なスケッチというか落書きを、家族風に並べて、丁寧に手早く描いて。
「ねぇねぇ、このひとたちは、なんていう名前?」
 またちょっと暇ができたらしいすきに隣の鋭に聞く。
「…本人たちはマウレイレイって名乗ってる。《賢く礼儀正しい一族》みたいな意味かな。まわりからはもっぱら《兎犬猫族》とか…

 ………リツコ、イラスト巧いね?」
「あ、ほんと?」

 えへらっと笑う。
「うん。簡単な線なのに、特徴をよく捉えてる。」
「わーい褒められたー♪♪」
 素直に喜ぶリツコの笑顔に、美青年もつられて笑った。
「…適任者が行くわよ!って清瀬のほうの律子さんが手紙に書いてきた意味が分かったよ。」
「なんでー?」
「前に来たオトナの人は、電波が通じなくてもデジカメとパソコンで記録は撮って帰れるだろ。…って思ってたらしくて…記録機械全滅で、報道マンとやらのアイデンティティーが崩壊してた。」
「うーん…」
 リツコは苦笑する。

 アイデンティティーって言葉の意味はよく解らないけど、オトナって…ときどき、「使えない」よね…。

 


2-1-3. リツコ、空を飛ぶ。 (2018年9月9日)

 2-1-3)または4). リツコ、空を飛ぶ。

 

「ところでリツコ、きみは馬には乗れる?」
「ウマ?…動物園とかの10分1000円の体験乗馬くらいしか乗ったことない…」
「じゃあやっぱり、運んでもらったほうがいいねー。」
「はい?」
 リツコがきょとんとしている間に、鋭はうさぎ人たちとネイティブ言語で会話して、何かの指示をひとつ追加すると、しばらくしてその返事が返ってきたらしく。
「そろそろ、行くよ?」とリツコに声をかけて、どうやら「ごちそうさま」に相当するらしいお礼のコトバを言って、席を立った。
 リツコも慌てて同じコトバで挨拶してみて、荷物をまとめて後を追う。

「うん。もうここ戻って来ないよ?」

「えー!もっと子猫ちゃんたち、モフりたかったー!!!」

 

 

(トイレ行っとけ!) 

 


 そこに待っていたのは…
 背中に翼の生えた…鳥人間?…の一族の人たちで…
 や、…槍刀? 剣かな? …で、武装?していて…
 なにか運動会の球入れのカゴのようなでかい蔦網の籠を持ってて…
 「リツコ、高所恐怖症じゃないよね?」
 にっこり笑った清峰鋭に指示されて、リツコは恐る恐る、その籠に乗って…
 翼人間たちが4人かかりでロープを持って舞い上がり…
(……………きゃーーーーーーーーーーーっ!)
 必死で声を呑みこむリツコだけを乗せて、カゴはどんどん空高くに上がって行き…
 恐る恐る見下ろしてみると…
 清峰鋭は騎馬の一団とともにはるか下の草原を駆けているのが…
 遠目に見えた…
(嘘つきーっ! 「道中、何でも聞いて?」って言ってたくせにーーーっ)
 心中で絶叫すること数時間。

 

(空から見た景色は?)


 夕陽が赤く燃え上がる頃、空飛ぶ籠は、ようやく地面に着いた…。

 

 


3-0-0. リツコ、悪夢をみる (2018年9月10日)(加筆)

第3章 リツコ、皇女様に会う。

 

 3-0-0. リツコ、悪夢をみる

 

 リツコは、うなされていた。いつもの夢だ。

 懐かしい家。山のふもとの、ちょっと不便な、だけど緑が豊かな斜面にある…温かい木の壁の家。

 いつものように日曜日の午前の終わり頃には家の裏の土手を登って、上の家庭菜園から昼ごはんに使う香味野菜を採ってくるのが、リツコの当番だった。その日はお母さんのリクエストで、小ネギとラディッシュとレタスを1株採った。

 ちょっと重たくなった収穫カゴを抱えて、崖道を降りようとすると…

 へんぴな集落へと向かってくる行き止まりの一本道を、見慣れない車の集団が凄い速さでやってくる…

 ……見慣れない車……

 …だけど、あの色は!

 リツコは急斜面をころげるように横切ってつっばしりながら、叫んだ。

「お母さんッ! 大変ッ! 逃げて!」

「…リツコ?どうしたの?」

 お母さんとお父さんがのんびり台所の窓から顔を出す。

「……お姉ちゃんっ! 緑衣隊よ、逃げてッ!」

 リツコは家の下の斜面で洗濯物を干していた5歳上の姉に叫んだ。

 もう遅い。

 妖しくてらてらと光る変な緑色の特別な自動車の群れは、その姉の前で急停車するとばたんばたんと音を立ててドアを開け、中からばらばらと降り立って来た妖しくてらてらと光る変な緑色の変な制服を来て変な仮面をつけた屈強な男たちが、びっくりして動けないままシーツを握りしめて立っていた姉を、数人がかりで乱暴に捕まえた。

「………きゃあッ!?」

「エツコ!」

「何をするッ!?」

 お母さんとお父さんが叫ぶ。

「高原ワタルとシズカだな?」

 男たちのリーダーらしいヤツがすごい嫌な声で怒鳴った。

「反政府反逆陰謀罪で逮捕する。逃げたら…」

「きゃああッ!」

 頭に銃をつきつけられて、お姉ちゃんが絶叫した。

「エツコ!やめて!やめてッ!」

「わかった!頼むからやめてくれ!娘は関係ないッ!」

「ふん。反逆者の娘は、しょせん反逆者の娘だ。」

「お父さん!逃げてッ!」

 なおも崖の上から叫んだリツコをめがけて、男達のうちの何人かが、ばらばらと走り始めた。

「リツコ!逃げなさい!」

「お父さん!逃げてよッ!」

「エツコを置いては逃げられない。おまえは逃げなさい!おばさんの所へ行くんだ!」

「リツコ!逃げて!あたしは平気!」

「逃げなさい、リツコ!…きゃあ!」

「やめろ!抵抗してないだろう!」

 リツコに叫んだお母さんが乱暴に殴られた。

 お父さんが怒鳴った。

 リツコは、崖を駆けあがって来る大人の男達の脚の速さを悟った…急がないと、逃げ遅れる!

「………おばさんの所で待ってる!」

 叫んで、あとはもう一目散に、山の中に逃げ込んだ。

 勝手知ったる裏庭も同然の山だ。大人には通れない崖の上の小川に張り出した細い木の枝を渡り、ターザン顔負けの軽業で幹から幹へ飛んで、とりあえず「秘密基地」に逃げ込んだ。

 大人たちが山狩りを始めたらしいので、そこからもこっそり逃げて、今まで「子どもだけで入っちゃいけません」と言われていた、奥の奥の神山のふもとへ逃げ込んだ。

 そこから、山伝いに、歩いて、歩いて…

 …おなかが空いて、でも街へは降りられなくて…

 歩いて…寒くて…

 

 いつもの夢だ。怖い夢。

 もう、起こってしまったこと。

 そして…

 

「…リツコ! リツコ! 起きて! …夢だよ、起きて!」

「…お母さんッ!」

 リツコは飛び起きて、声をかけてくれた人に、必死でしがみついた…。

 

 

 

 

 


3-0-1.リツコ、起こしてもらう。

 3-0-1.リツコ、起こしてもらう。

「…リツコ! リツコ! 起きて! …夢だよ、起きて!」
「…お母さんッ!」
 リツコは飛び起きて、声をかけてくれた人に必死でしがみついた。
「あぁ良かった…無事だったのねっ!」
「…リツコ…」
 …ん??
 ぎゅっと抱き着いてみたら…違う…?
 硬いし、細いし…
 これ、お母さんじゃないし…お父さんでもないし…お姉ちゃんでも、大叔母様でもないし…
「…………あ!? 鋭? ………ごめんねっ? …あ、あたし…寝ぼけて…っ」

 びっくりして飛びすさったら、「ううん。」と、美青年は優しく笑ってくれた。
 …やっぱり美形すぎて、思わず目をハートにして見惚れる。
 鋭はまた苦笑して、
「それにしても、度胸がいいねーぇ? 天荷籠のなかで気がついたら爆睡してたって。鳥人のみんな、呆れてたよ?」
 うなされて寝ぼけたことはとりあえず無視してくれて、にやにやとからかってくる。
「え? …えぇ?」
 リツコは慌ててあたりを見回した。
 …知らない部屋だ。
「……ここ……??」
「うん。日が暮れるちょっと前くらいに仮皇都に着いたんだけど。いくらゆすっても起きないからさ。失礼ながら運んじゃった。」
「……うわーっっ?? ごめんねっ??」
「ううん~? 軽かったし。」
「え~? 軽くないよ~?? あたしけっこう重いよ~??」
 リツコはぱたぱたと無闇に暴れ、顔とか髪とかに慌ててて手をやって赤面した。こんな美形のお兄さんの前で小さなコドモみたいに寝こけるなんて… いや~ん…っっ
「…だってさっ! だって向う側の地球の木の穴からえいっって出発したのは昨日の夕陽が沈んだ後だったのにっ! こっち着いたらまだお昼前で! お昼ご飯2回もしかもたくさん食べたでしょっ? 飛んでる間、あたしは暇だったしぃっ!」
 とりあえず赤い顔して必死で言い訳してみる。
「…うん。きみが適応能力のとても高い、度胸のいい大物の卵だってことは、よく解ったよ?」
「いや~んっ!」
「知らないところでさ。一人で目が覚めたら、いやでしょ? お腹もすいてるだろうと思って。」
 優しい口調ながらふいとまじめな顔に戻って言うと、リツコが寝かされていたベッドを覗き込んでいた鋭はひょいと立って歩いて行き、部屋の中央に置いてあった食卓と椅子らしい家具のほうへ戻った。

 机の上には色々…本らしいものとか大きな紙?の図面とか地図のようなものが広げてある。
 部屋のようすは何というか…和モダン? 木と紙と竹?と布で出来てて…清潔で、優しい色だ。

 明かりはすごく明るい障子紙の灯篭のような感じで、開け放した窓からは月明り?まで射してる。

 暑くはないし、寒くもない。…秋の初め?…かな? とリツコは思った。

「ごはん用意しておいたから。…あ、手と顔が洗いたかったらそっちね。トイレもそっち。」
「…ありがとっ!」
 リツコは清潔で気持ちのいい木の床に敷かれた草編みらしい模様入りのゴザのようなものの上をぱたぱたと裸足でかけていって、教えられた場所でトイレと洗手と洗顔を済ませて、ぱたぱたと走って戻った。
 置いてあった箱形の木製のお盆?日本語だと箱膳ていうのに似てるかな?…の蓋をとると、ふわりと優しい香りが立った。
「…わぁ、美味しい!」
「そぉ? 良かった。」
 何種類かの野菜と何かの柔らかい肉と小海老?…を、香草と一緒に蒸して和えたらしい簡単だけどすごく美味しいおかずが山盛りと、濡れせんべいと焼き味噌おにぎりの中間のような、しっかりしっとりした噛みごたえの、何かの穀物の粉を練って平たくして焼いた、主食らしいもの。
 箸休め?的なちょっと摘まめるコリコリした歯ごたえの何か。浅漬けみたいな感じの新鮮な生野菜が数種類。それからデザートに、食べやすいように綺麗に切ってあった汁けたっぷりの甘酸っぱい香り高い果物!
 それらを猛然とがっついている間に、卓上焜炉的なものの炭火の上でしゅんしゅん沸いていた鉄瓶からお湯を注いで、鋭が温かいお茶を淹れてくれていた。

 


3-0-2. リツコ、情報交換する

 3-0-2. リツコ、情報交換する

 

「………ふ~ぅ。おなかいっぱーい! …ごちそうさま!」
「おなか落ち着いたらもう一度眠るといいよ。まだ朝まで時間あるから。」
「…もしかしなくてもあたしのために起きててくれたの?」
「まぁやることも色々あったし。『夜中に寝ぼけますからよろしく』って、清瀬の律子さんからの手紙にも書いてあったし。」
「えぇ!?」(…はっずかし~っ!)

 …と、身もだえしてみせると、鋭はまたふふっと笑った。
「まぁフツウ組のひとが朝日ヶ森に保護されてるからには、何か事情があるとは思ってたけど」
「…鋭は、地球のジジョウについては、どれぐらい知ってるの?」
 リツコは思い切って聞いてみた。なにしろ知らないことだらけだ。
「う~ん。清瀬さんからは何も聞いてないの?」
「そんな暇なかったもん。初恋の人だ~ってノロケ始めちゃったし。」
「えぇ? それ初耳!」
「え、うそ? しまった!」
 リツコは慌てて口をふさいだ。遅いけど…
「…言っちゃったこと、内緒ね…?」横目で様子をうかがうと、
「う~ん、まぁ時効だし…? なにしろぼくはこんな見た目のまんまだけど、そっち時間だと五十年くらい経ってるし…。でも清瀬さんとはほんと喋ったこともあまり無かったんだよ? 数十年ぶりにやっと地球側と連絡がとれて、当代の朝日ヶ森の学園長が清瀬律子サンって署名してあっても、最初は同じ人だと思わなかったくらいで。」
「そうなんだ?」
「うん。…そもそもなんで彼女が朝日ヶ森にいるのさー?」
「え? 同級生だったんじゃないの?」
「その前にいた全く普通の地元の小学校でだよ。今のキミと同じ4年生の時にね。彼女転校生だったし。そのころ口がきけなくて筆談だったし」
「あ、それは聞いたことある。一族みんな死んじゃった時に、心因性ナントカってショックで子どもの頃しばらく喋れなかったって。」

「そうだったんだ…」

『一族』という単語が出た時点で何かしら納得してくれたらしく、英は話題を切り換えた。
「それで僕はIQ高かったんで《センター》に誘拐されて。」
「えぇ?」
「逃げ出して山ン中で往き斃れかけてたらマーシャに拾われて朝日ヶ森に保護されて…そしたら何故か清瀬さんも朝日ヶ森に保護されてて… まぁ色々あって僕は天才組だし彼女はフツウ組だし、結局その直後に僕こっち側に飛ばされちゃったから、詳しい事情を聞く暇もなくて、以来数十年? お互い音信不通。」
「…そうなんだー?」
 リツコはちょっと目を丸くして混乱した。話の全体像がよく解らない…けど。
「あたしはほんとにフツウなのー。お父さんお母さんがハンセイフってカツドウやってて目ぇつけられちゃって。緑衣隊が逮捕に来たから『逃げて!』って言ったけど遅くて。あたしだけ走って逃げて山ん中でサバイバルしてたら朝日ヶ森のひとが保護しに来てくれて。で、家族もみんな無事に救出されてたけど、先に西側に亡命しちゃってたんだ。で、次の亡命ルートが確保できるまで、朝日ヶ森で待ってなさいって。」
「…ほぼ僕と同じ状況らしいけど…。…それを『普通』って言っていいのかなぁ…。」
 鋭が苦笑して遠い目をする。
「それでか。『こっちとそっちの行き来を兼ねて、地球の別の場所に出られないか』って質問」
「え?」
「聞いてない? リツコこっちに来たあとまた朝日ヶ森に戻すか、もし可能なら、地球上の別の場所に戻してくれてもOKって。」
「そうなんだ…」

「日本から外に出れば、まだ比較的移動の自由はあるって? でもキミの今回の時差の問題の件もあるし、界間転移ルートは、まだほんと調査が足りてなくて、かなり不確実なんだ…。うっかり抜けたら下に受け止めるクッションがなかったとか、時代がズレて浦島太郎になっちゃったりとか、したら嫌でしょ?

ぜったい安全って確認できる扉が用意できるかどうか、もうちょっと待っててね。」
「…うん。わかった。」
 それからしばらくは主にリツコの方が、地球と日本の最近の事件をリツコに解る範囲内でだったけど色々と説明をして。うとうとしはじめたら鋭が抱っこしてくれて布団に入れてもらって。
 …最後にみた大きな満月が、地球より大きいな~と思ったところまでで、リツコの記憶は途切れた…。

 



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