目次
(借景資料集)
【速報!】 第2回 「青い鳥文庫小説賞」
(第4稿)
(第4稿)as(最終稿)
(添付挨拶状)
(あらすじ) (2018年9月23日)
序章 《 朝日ヶ森 》
第1章 リツコ、異世界へ行く。
第2章 リツコ、異世界で目覚める。
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、取材する。
第8章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第9章 リツコ、役に立つ。
終章 リツコ、地球に帰る。
(第3稿)
(第3稿)
(表紙)
(あらすじ) (2018年9月16日)
序章 朝日ヶ森 学園
第1章 リツコ、異世界へ行く。 (2018年9月16日)
第2章 リツコ、異世界で目覚める。 (2018年9月16日)
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第8章 リツコ、戦う。
第9章 リツコ、地球に帰る。
(第2稿)
(第2稿)
(あらすじ) (2018年9月8日)
1-0-0.朝日ヶ森「学苑」(おもて)
1-0-1.朝日ヶ森(うら) (2018年9月8日)
1-1-0.リツコ、呼ばれる。 (2018年9月8日)
1-1-1. リツコ、出かける (2018年9月8日)
2-0-1.リツコ、異世界に着く。 (2018年9月9日)
2-0-2.リツコ、挨拶する。
2-1-1.リツコ、清峰鋭にあう。
2-1-2.リツコ、異世界の村へ行く (2018年9月9日)
2-1-3. リツコ、空を飛ぶ。 (2018年9月9日)
3-0-0. リツコ、悪夢をみる (2018年9月10日)(加筆)
3-0-1.リツコ、起こしてもらう。
3-0-2. リツコ、情報交換する
3-1-0.リツコ、朝寝坊する。
3-1-1.リツコ、右将軍にあう。
3-1-2.リツコ、皇女に会う
3-1-3.リツコ、マシカとあう。
3-1-4. リツコ、市場へ行く。
3-1-5. リツコ、天幕に泊まる。 (2018年9月11日)
4-0. リツコ、早起きする。
4-1. リツコ、パレードに参加する。
4-2. リツコ、誇大広告される。
5-1. リツコ、旅をする。
5-2. リツコ、記録する。 (2018年9月12日)
5-2. リツコ、話せるようになる。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第6章 リツコ、旅をする。
(第1稿)
(第1稿)
(あらすじ) (2018年8月17日)
( 目次 ) (2018年8月18日)
0-1.(おもて) (2018年8月18日)
0-2.(うら) (2018年8月18日)
1.リツコ、親善大使になる (2018年8月18日)
1-1. リツコ、出かける
2. リツコ、異世界へ行く。
2-1.リツコ、挨拶する。
2-2.リツコ、清峰鋭にあう。 (2018年8月19日)
2-3.リツコ、運ばれる。
3.リツコ、白王都へ着く。 (2018年8月22)
3-1-0.リツコ、寝坊する。 (2018年8月22日)
3-1-1.リツコ、皇女に会う (2018年8月22日)
3-1-2.リツコ、マシカにあう。 (2018年8月24日)
3-1-3. マシカ、市場へ行く。 (2018年8月24日)
3-1-4. マシカ、天幕に泊まる。 (2018年8月24日)
4-0. リツコ、目覚める。
4-1. リツコ、行列に参加する。
4-2. リツコ、センデンされる。
5-1. リツコ、記録する。
5-2. リツコ、観察する。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。 (2018年8月26日)()
6-2. リツコ、小鬼を救う。 (2018年8月26日)
7. リツコ、まきこまれる。 (2018年8月26日)
8-1. リツコ、魘される。
8-2. リツコ、龍にのる。
9. リツコ、会議にでる
10-1. リツコ、よばれる。
10-2. リツコ、地球にかえる。 (2018年8月26日)
(草稿&没原稿)
(草稿&没原稿)
(1) 朝日ヶ森 (2018年6月3日)
『 リツコへ。 第一日 』 (@中学……1年か2年?) 
(あらすじ) (プロット&目次)
(あらすじ) (プロット&目次)
【投稿用】プロットメモ (2018年7月22日)
400字~800字程度のあらすじ。 (2018年8月17日)
(設定資料集)
(設定資料集)
このコだ! 「鍵になるキャラ」…っ!www (2018年6月30日)
(( ことばよ、つうじよ! ))  (2018年8月9日)
(サ行前の雑談など)
(サ行前の雑談など)
【ぐれてる理由】。(--;)。 (2018年5月13日)
『 リツコ 冒険記 』 ~ 夏休み ・異世界旅行 ~ (1) (2018年6月3日)
(案の定【天中殺中】で頓挫している) (2018年7月22日)
…ちっ! …やっぱり…『落ちた』か…★ (2018年8月12日)
次ぃ征くぞ! 次っ! (2018年8月12日)
★ 【講談社 『 青い鳥文庫 』 の呪い!?】の謎。 ★
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1-1-1. リツコ、出かける (2018年9月8日)

 1-1-1. リツコ、出かける

「…あ、あらっ? ウケなかったかしらっ? イマドキの『ただびと』…いえ、ふっ『普通世界』の子どもには、こういう言い方のほうがウケ………いえ、判りやすいかな~と、…思ったんだけど…っ!???」
 いつも穏やかでニコニコしている大叔母様が、真っ赤になってわたわた取り繕うという珍しい光景を、リツコは口をあけたままあんぐり眺めた。
「…べつに危ないこととかは無いと思うのよ? 戦争は終わったっていうし、和平会議だし、おばさまの初恋の人とか、向うに行ってるしっ」
「はぁ?」
「だからねっ! …だから、私と同じ名前の親戚のあなたが、向うであの人に逢ってきてくれたら、本当に、わたし、嬉しいのよ…っ!」

 とりあえず、何も解らないけど、断れないらしい、ということだけはリツコにも判った。
「…………わかった。とにかく、行ってくるから…………。」
「ほんとっ?」
 としがいもなく頬なんか染めちゃった大叔母様(たしか七十歳は過ぎているはずだ…)が、慌てて咳払いなんかしながら色々と説明してくれた。

「…持って行ってほしいものは購買に揃えてもらってあるから、戻る時に受け取って行ってね。それから、旅仕度に必要なものは何でも『おばさまの支払いで。』って言って買ってくれていいから。」

 渡された「持っていくもの」リスト。

 

・計算尺 1つ

・ノギス 1つ

・大学ノートかリングノート(リツコの好きなほうで) 10冊くらい(持てて書けるだけたくさん)

・鉛筆(ポールペンじゃなくて) 1ダース(1箱)か、もっと。

・色鉛筆(カラーペンじゃなくて) 1セットかもっと。

・鉛筆削り(忘れないで!)

 

「この計算なんとかとノギスってなに?」

「それは向こうからのお土産のリクエストなの。着いたら渡してあげてね。」

「…わかった。…ねぇねぇ。色鉛筆って、24色のやつ買ってもいい?」

 目をきらっと光らせながら聞くと、

「48色でもいいわよ!」

 大叔母様がかるく言い切ってくれたので、リツコは大いに気をよくした。

 自分のおこづかいじゃ買えないやつだー!

 

 それからこまごまと書いてくれた行先への道順の資料にしっかり目を通して、打ち合わせして。

 その後ひとりで購買に寄ってリュックとか下着とか要りそうなものを買って。

 うんと考えて、最低限の着替えと小物だけをしっかり厳選して詰めて、お気に入りの藤のバスケットには列車内で食べるお弁当と飲み物を詰めて…
 翌日、リツコは学園前から無人の路線バスに飛び乗った。

 

  最寄駅から鈍行に乗って、乗り換え駅から特急に乗って、検札に来た車掌さんに
「小学生が一人で?」と不審がられたら、教えられた通りに、
「ママのお墓参りに行くんだけど、パパは夏休みが取れなかったのー!」

 降りる駅に着いたらおばあちゃんが迎えに来てくれるから。と無邪気なふりしてにこにこ返事して。
 慣れない長距離列車に揺られていたら半袖ではクーラーが寒くて、鼻水垂らしてぐずぐず言いながら、ちょっとだけ肘枕で窓にもたれて眠って。
 乗り降りする他の乗客たちのざわめきにはたと目が覚めると、もうすぐ、降りる駅で…

 乗り換えて、また乗り換えて、乗り継いで…

 日暮れ前にようやくたどり着いた二面戸町駅のホームの待合室でくるりと振り向いて、七つと三番目の教えられていた秘密のドアを特別なやりかたで、くるっと開けると。
「高原リツコ様ですね? 多次元旅行社の送迎サービスの者です~!」
 どう見ても二足歩行の巨大なカエルの人?がいて、曲がりくねった不思議な山道を、おかしな車で案内されて…
 教えられた森の中のこぶこぶの大樹によじよじと必死で登って。

「大地の端っこから太陽の端っこが完全に沈んで消える瞬間」ちょうどに!
 教えられた通りの樹上の空洞から、えいっと、勇気を出して…
 目を閉じて、しっかり荷物を抱えて、飛び降りて、どすんと…
 …いえ、ふわっと…
 なにか柔らかいものの上に、落ちて…

 

 目を開けたら、そこは、異世界?

 

 だった…。

 


2-0-1.リツコ、異世界に着く。 (2018年9月9日)

第2章 リツコ、王子サマに会う

 

 2-0-1.リツコ、異世界に着く。

 はじめ何も視えなかった。とにかく眩しかった。
(…太陽…? あれ? だって「陽が沈む瞬間に!」って…あたし飛びこんだよね…?)
 変だなと思いながら、とりあえず薄目だけ開けて、明るすぎて何も視えなかったので、右手を上げて顔の上を遮ってみた。
 同時に、右側の手で、からだとまわりを探ってみる。
 …怪我はない。まわりは…もふもふ? もこもそ? …している…???
 しばらくしてようやく、自分が何か柔らかくて長丸いもの?の山の中に、上から落ちて来た勢いのまま、あおむけに埋もれこんでいる…? ということが判った。

 触ってみた感じでは、リュックも潰れていないし、顔の上に挙げた右手でしっかり持ってたバスケットも、壊れたりはしていない。
 とにかく眩し過ぎたので、薄目だけ開けながら、もっそもっそと動いて、なんとか姿勢をかえて腹這い向きになり、手探り膝さぐりで、1mほどのそのふかもこの斜面をのそのそよじ昇る。

 その何かふかもこしたものが、上から落ちて来たリツコを受け止めた衝撃で弾け跳んだらしい綿埃?

…らしきものが、ほぼ真上からまっすぐに降り注いでくる金色の陽光の中をぶわぶわと舞い踊っている。

 ちょうどその頃から、まわりのあちこちから、声が聞こえ始めた。
「…ま~るめる! まるった! えら。えららう。まるる~ん…???」
「えるった!らう!」

「あらえ!」
「まるぇ? えら。あらぅ。…あろ、…あっかせっか!」
「か~ぃせ! えのっかあるっか、らぅらぅらぅ。あごん!」
「あうのいあ!」
 …そんな感じの、まるまるした声の、可愛い響きのコトバで… もちろん、ひとっことも、解らない…!
(………ほんっとに、異世界? 来ちゃった~???)
 …そう思いながら、もこもこの白い山の上からようやく顔を出すと。
「えらっ! あまっあまままあまま、あそっ?」
 可愛い仕種で、どうやら「だいじょうぶ~?」と心配してくれているらしい声が、かかった。
(…か、………かわいい…っ ♡ ♡ ♡ )
 語尾と目じりが思わずハート型になってしまうような小さな生き物たちが、そこらじゅうにいた。
 全体的に、白くてもこふわ。サイズはかなり小さそうだ。一番大きいコでも、リツコの膝までぐらい?
 うさぎのような、モヘアのような、ふわふわ毛並みの、だけどどちらかというと横にまるい顔立ちの、大きな吊りあがりぎみの丸い眼の…見た目は、むしろ、猫…? エプロンドレスのような…巻きスカートのような…きんたろさんのような…可愛いパッチワーク模様の色とりどりの服を着た…二足歩行の…、白い、仔猫…??
「あいにゃ! うにゃう?」

 心配してくれているらしい、大きな表情豊かな黒や茶色の瞳が、とても愛くるしい。

(…これ、意味、たぶん、「だいじょうぶ? けがはない?」って感じかな…?)
 リツコはあんまりな可愛いらしさに嬉しくなってしまってへろっと笑いながら、とりあえず手を振ってみた。
「ごめん! コトバわかんない! ケガはないよ~。だいじょぶ!」
 それからちょっと心配になって体の下のもふもふを手にとってよく見てみた。
 白猫?たちとよく似た色だから、仲間を下敷きにでもしたのかと思って。
(…違うみたい…これは…毛玉? …繭…???)
 なにかカイコのような大きさの、毛玉…毛糸玉? のようなものが、いかにも「落ちて来くるもの受けとめ用クッション」という形に高さ数メートルくらいの勢いでもりもりと盛り上げられている。

 その小山を取り囲む…風から護っているのかな…?というふうに張り巡らされた、屋根はないテントのような…天井を大きく開けたティピのような…布とも皮ともつかない幕屋のなかの…

 前は大きく開いていて、見晴らしが、すごく良いことにリツコはやがて気がついた。

 そこは、おそらくとても高い山のなかの斜面を覆っている、大きな深い大樹の森の、さらにひときわ巨大にそびえたっている… 後にしてきた世界でよじ登って飛びこんだ大きな洞のあった老木とは同じくらいの大きさだけれど、また別の…
 若々しく枝を張り広げたみごとな大樹の、巨大な幹に開いた大きな洞の、その下だった…

 


2-0-2.リツコ、挨拶する。

 2-0-2.リツコ、挨拶する。

 古びて節くれだってぼこぼこと溝やウネができてところどころに緑の苔まで生えた大樹の根元、眩しい陽光が燦燦とさしこむあたり。
 巨木の幹にできた大きな空洞(うろ)から「何かが落ちてきたら」受けとめられるように…と、高さ三~四メートルほどに積み上げられていた「もこもこ」の山の斜面をずるずると滑り降りてみて、そこでリツコはしばらく困り果てていた。
 膝丈ほどの二足歩行の「喋る猫」…としか思えない、白くてふわふわの小さい生き物の群れにわらわらと取り囲まれて、
「まうまうまう!」
「あうれ?」
「あっかのおっか?」
「おねぅおねぅ!」

「まうまうまうまうー!」
 などなど…ちっとも解らない言葉で、おそらくたぶん質問責めに?されたあげく、とりあえず適当に日本語で受け答えをしている間に、やおらよじよじとリツコの脚や腕に登り始めて、頭の上に座っちゃったりする、おちびさんまでいる…
(………えーとぉ。これは~………☆)
 ふかふか可愛い生きものにまとわりつかれて思わずもふもふと撫でてみたり、へろへろと笑いながらも困り果てていると、すこし離れたところから、すこしだけ低めの声が響いた。
「…えっけれねん! あうら! かなりっこさる!」
 とたんに、リツコを取り囲んでいたチビ猫さんたちが慌てて動き始めた。
「あけーーーーーね!」
 なんとなくリツコにも意味が分かった。
『あんたたち何やってるの、だめでしょ! 離れなさい!』
『ごめんなさーい!』
 …くらいの会話じゃないかな? たぶん…
 ちびさん達がどいてくれた隙に慌てて立ち上がると、やってきた人?たちの姿がようやく見えた。
(…あれ…?)
 膝丈ほどのちびさん達は、どうやらとにかく「子どもの」猫(?)だったらしい。
 やってきたのは大人?で…そして。
 横丸な顔で耳も短くてどう見ても地球の猫に似ている子どもたちに比べると、やってきた大人?たちは、おそらく、育つにつれて顔も手足も縦長になり…耳が長く立ち上がり…やがては垂れて…地球でいう「垂れ耳うさぎ」が服を着て、荷物を手で持って立って歩いてやって来た。…としか、リツコには思えないのだった。

 膝丈のおちびさん達よりはだいぶ大きいとはいえ、地球の日本の小学校高学年としては標準サイズのリツコと同じくらいの身長しかない。
(…えーと!)
 リツコはとりあえず「皆さんと仲良くしてね。」と大叔母様に言われて来た、自分の「親善大使」という役割を思い出して…、とにかくピシッと「気をつけ!」の姿勢をしてみた。

 それから、
「こんにちは! はじめまして、高原リツコっていいます。よろしくお願いします!」
 きちんとした大人たちがきちんとした時にきちんとやるみたいに、きちんと前に手をそろえてきちんと頭を下げて、きちんとした挨拶をしてみる。
 おとなウサギ?たちは、ちょっとキョトンとした後、やおらそれぞれの長い耳をゆっくりと頭上に掲げてぱたぱたと順序良く揃えて左右にうちふり、片手で巻きスカート?の脇をちょっとつまみながら反対側の手の平をリツコに見えるように開いて、膝をちょっとかがめて、
「まうまうまう!」と声をそろえた。
(まうまうまう?)とリツコは慌てて考える。
(さっきから何度もちびちゃんたちから聞いてたコトバだな~、挨拶だったのか!)
 了解したので慌ててまねっこをして両手を耳のかわりに頭の両脇にたてて左右にふってみて、スカートは履いてないので仕種だけ真似して、膝をぴょこんとかがめて、
「まうまうまう?」と、首をかしげながら挨拶をしてみた。
 おとな兎たちはリツコの発音の悪さにウケたらしくて笑いながら、元気に声をそろえて「まうまう!」と返事をしてくれた…
 ので、リツコは嬉しくて、えへへと笑った。
「…えっけれねん、あうりっこさるれぅある?」
「あっかいおす、おっかいねん?」
 …再び意味が解らない…
 えへえへと頭をかく仕草で困り笑いをしていると、おとな兎たちのうしろから、新たな声が響いた。
「…ごめんごめん!遅れた! やっぱりちょっと時間の計算に誤差があったね!」
(…………日本語だぁ~…!!!!)
 こんな短時間で「ことばの壁」に疲れて早くもホームシックになりかけていたリツコは、自分がものすごいほっとしていることに気がついて、むしろ驚いた…

 


2-1-1.リツコ、清峰鋭にあう。

 2-1-1.リツコ、清峰鋭にあう。

「ミキーレ!」

「ミキーレ!あうのぁさるのみぇ、えれ?」

『あうれりぁおうのおうあ、えら。』
 少しだけ違う発音で、だけどごくごく流ちょうなウサギ語?で受け答えをしながら現われたのは、ものっすごい美青年!だった。

 リツコと同じほどの背丈のおとな兎たちの背後から、ひょひょいと胸半分ほど上に出るすらりとした細身で、薄茶色のさらりとしたまっすぐな髪は肩にかかるくらい長くて、すっきりと優しそうな色白の笑顔で、ものすごく賢そうな額がきれいに広くて、薄いメガネをかけている瞳も澄んだ明るい茶色で、きらきらしていて、…吸い込まれるように見惚れてしまう、美形だ…!
(………うそっ? 少女漫画かアニメかなんかっ?)
 リツコはこんなに綺麗な外見の青年を間近で見たことがなかったので呆然とする。

 ぽかんと上を向いて口を開けて見惚れているリツコにちょっと困った笑顔で、
「…リツコさんだよね? 遅れてすいません。迎えの者です。」
「はいっ! 高原リツコですっ! 高天原から天を抜いたタカハラ! リツコはぜんぶカタカナっ!」
 見惚れていたのが決まり悪くて、リツコは思わず大声のフルサイズで自己紹介をしてしまった。
(…あ、恥ずかし~!)赤面して一人百面相をする。
「…どうぞよろしく? ぼくは、清峰鋭といいます。」
「……………嘘っ?!」

 ウサギたちからは「ミキーレ!」と呼びかけられていた青年の自己紹介に、リツコは思いっきり大声で返してしまった。
「え?」
「…だって! それ大叔母さんの同級生の人の名前! 七十歳は過ぎてる筈でしょうっ?」
「…あ~、聞いてないかな?向うとこっち、時間の流れもトシのとりかたも違うんだよ」
「聞いてないっ!」
 …美青年なお兄さんは、困ったような笑顔で、にっこり笑った。
「じゃあ、解らないことは後で話すから、道中、何でも聞いて?」
(…つまり、今はその場合じゃない。ってことよね…?)
 まわりできゃらきゃらと「ミキーレ!」と青年に呼び掛けて何か騒いでいるおばさん?兎たちの群れを眺めていちおう考えたリツコは、とりあえず、ハイと頷いた…

 


2-1-2.リツコ、異世界の村へ行く (2018年9月9日)

 2-1-2.リツコ、異世界の村へ行く 

 

「この世界はこの世界の共通語で《ダレムアス》と呼ばれていてね。意味は《大地の世界》かな?」
「そうなんだ」

「いま僕らが歩いているのが《大地の背骨》と呼ばれている中央山脈の端っこで、目の前の大平原が、この世界では一番人口密度が高い《白都平原》。あそこに流れている大河が…」

 山腹のくねくねした小道を並んで歩きながら、視界に入る主だった地形の名前を教えてくれる。

 空は地球と同じように気持ちの良い澄みきった青色で、流れる白い雲と乾いた風がとても気持ち良くて、リツコがよく知っている地球の日本の樹林帯とは少し様子の違う大森林には、綺麗な色のたくさんの小鳥や蝶たちがせっせと飛び交っている。
 わきゃわきゃと賑やかに足元に絡みついてくる子猫?なこどもたちと垂れ耳ウサギなおとなの女性たちと、その中間で真っ白い毛並みの立ち耳ウサギみたいな、どうやらリツコと同年代くらいの少女たち?と、地球の人間の基準で超絶美形な長髪青年と一緒に、足早に歩いて山腹のちょっとした平地に開けた豊かそうな村まで降りて行くと、そこにいた平たい垂れ耳のキャバリア犬にそっくりな顔のひと?たちは、ちょっとびっくりしたけど、どうやらおとな兎な女性たちと同族の男性?の特徴らしかった。

 その他に、なんとなく鹿似のひと?とか、うさぎ+いぬ似人たちと言葉で喋ってるけどどう見ても丸ごと四足のセントバーナード犬みたいな人?とか、熊っぽい人とか、鳥な人とか…が、住人ではなくて通りすがりの行商人?みたいな感じで、山中の街道を行き交っている。

 まるっきり人間。という人たちや、ちょっと違うけどほぼ地球人と同じ。という人たちも、もちろんたくさんいた。

 並んでいる家々は木造で、まるでアニメに出て来る白雪姫の小人の家みたいな、可愛らしいサイズ。

 なので、体格的に、うさぎ+いぬ人の村の家には入れないサイズのひと?たちは、村のまんなかの広場や、わざわざ大きめに造ってあるらしい休憩所風の小屋とかに座って、買った物を吟味したり休憩したり食事をとったりしていた。

 なんだか、ガリバー旅行記?みたいだ。

 山腹を横に伸びてくねくねと続いている街道沿いの平和な村は交易でにぎわっていて豊かそうで、商人たちの間で飛び交っている言葉も、なんとなくだけど、何種類も違う言葉が混じって使われているように聞こえる。

「ミキーレ!」

「リール!」

「イーキレ!」

「リレク!」

 …地球の日本人の清峰鋭と名乗ったはずの美青年に、親し気に呼び掛ける人たちの呼称?からして、とにかく色々と、何種類もあった…。

「…えーと…、清峰さん?」

「鋭でいいよ? リツコって呼んでいい?」

「いいですけど…」

「ですじゃなくていいよー?」

 にっこり笑う顔にまた思わず見惚れてしまいながら、

「いい、けど?」と、リツコは言い直した。

「この世界って、言葉は何種類くらいあるの?」

「ごめん。質問たくさんあるとは思うけど、ぼく先に色々打ち合わせしなくちゃなんだ。ちょっと待っててくれる?」

「わかった…」

 村について、案内された一番大きな家の庭先の木の下の居心地のいい場所で、きれいに張られた木製のテラスのような地面と同じ高さの床の上の敷布の上に出してくれた、果汁や香草のお茶や飾り切りの果物や、木の実を潰して焼いたお好み焼きみたいな見た目のお菓子だか軽食だか…色々をすべてたいらげた後、まだ隣の反対側の大円卓でわぁわぁ騒いでいる鋭の「打ち合わせ」とやらが終わってないのを見て、リツコはやおらリュックの中から1冊目の大学ノートを取り出した。

 まずは日付と時間を書こうと思ったけど、リュックから出してみた携帯機器類はあらかじめ教えられていた通り、圏外表示どころか画面が真っ暗なままで、いくらスイッチを押してもうんともすんとも、電源すら入らない。
「…ほんとだ…」
「あ、それは聞いてた? こっち電気を使うものは全部ダメなんだ。金属は手に入るんで、水力発電とかも造ってみたんだけど、そもそも物理法則が根本から違うらしくて。」
 鋭がリツコの動作と声が気になったらしくて、一瞬だけ振り返って相手をしてくれる。

(…ブツリホウソク…って、電気とか重力とか惑星の仕組みとかとか…のことよね?)

 急いで頭のなかでおさらいした律子は、

「空とか木とか、見た目はおんなじなのにねー。」と言ってみた。
「空と太陽と風だけが共通項、って言われてる。」
「ふーん…」

 それきりまた鋭がいろいろ動物な人たちとの長い会話に戻ってしまったので、日付と時間を尋ねるのはあきらめて。

「訪問1日目。昼?ご飯のあと。」とだけ書いて。
 大叔母様から持てるだけ大量に持って行けと言われた体験報告記入用の大学ノートの一冊目に、やはりダース入りの箱ごと買ってきた鉛筆の1本目をがりがり削って、ざっと報告の文章はメモだけ書いて、それからやおら「48色!」入りの色鉛筆の缶を広げて、子猫とおとな兎とおとな犬?の簡単なスケッチというか落書きを、家族風に並べて、丁寧に手早く描いて。
「ねぇねぇ、このひとたちは、なんていう名前?」
 またちょっと暇ができたらしいすきに隣の鋭に聞く。
「…本人たちはマウレイレイって名乗ってる。《賢く礼儀正しい一族》みたいな意味かな。まわりからはもっぱら《兎犬猫族》とか…

 ………リツコ、イラスト巧いね?」
「あ、ほんと?」

 えへらっと笑う。
「うん。簡単な線なのに、特徴をよく捉えてる。」
「わーい褒められたー♪♪」
 素直に喜ぶリツコの笑顔に、美青年もつられて笑った。
「…適任者が行くわよ!って清瀬のほうの律子さんが手紙に書いてきた意味が分かったよ。」
「なんでー?」
「前に来たオトナの人は、電波が通じなくてもデジカメとパソコンで記録は撮って帰れるだろ。…って思ってたらしくて…記録機械全滅で、報道マンとやらのアイデンティティーが崩壊してた。」
「うーん…」
 リツコは苦笑する。

 アイデンティティーって言葉の意味はよく解らないけど、オトナって…ときどき、「使えない」よね…。

 



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