目次
(借景資料集)
【速報!】 第2回 「青い鳥文庫小説賞」
(第4稿)
(第4稿)as(最終稿)
(添付挨拶状)
(あらすじ) (2018年9月23日)
序章 《 朝日ヶ森 》
第1章 リツコ、異世界へ行く。
第2章 リツコ、異世界で目覚める。
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、取材する。
第8章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第9章 リツコ、役に立つ。
終章 リツコ、地球に帰る。
(第3稿)
(第3稿)
(表紙)
(あらすじ) (2018年9月16日)
序章 朝日ヶ森 学園
第1章 リツコ、異世界へ行く。 (2018年9月16日)
第2章 リツコ、異世界で目覚める。 (2018年9月16日)
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第8章 リツコ、戦う。
第9章 リツコ、地球に帰る。
(第2稿)
(第2稿)
(あらすじ) (2018年9月8日)
1-0-0.朝日ヶ森「学苑」(おもて)
1-0-1.朝日ヶ森(うら) (2018年9月8日)
1-1-0.リツコ、呼ばれる。 (2018年9月8日)
1-1-1. リツコ、出かける (2018年9月8日)
2-0-1.リツコ、異世界に着く。 (2018年9月9日)
2-0-2.リツコ、挨拶する。
2-1-1.リツコ、清峰鋭にあう。
2-1-2.リツコ、異世界の村へ行く (2018年9月9日)
2-1-3. リツコ、空を飛ぶ。 (2018年9月9日)
3-0-0. リツコ、悪夢をみる (2018年9月10日)(加筆)
3-0-1.リツコ、起こしてもらう。
3-0-2. リツコ、情報交換する
3-1-0.リツコ、朝寝坊する。
3-1-1.リツコ、右将軍にあう。
3-1-2.リツコ、皇女に会う
3-1-3.リツコ、マシカとあう。
3-1-4. リツコ、市場へ行く。
3-1-5. リツコ、天幕に泊まる。 (2018年9月11日)
4-0. リツコ、早起きする。
4-1. リツコ、パレードに参加する。
4-2. リツコ、誇大広告される。
5-1. リツコ、旅をする。
5-2. リツコ、記録する。 (2018年9月12日)
5-2. リツコ、話せるようになる。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第6章 リツコ、旅をする。
(第1稿)
(第1稿)
(あらすじ) (2018年8月17日)
( 目次 ) (2018年8月18日)
0-1.(おもて) (2018年8月18日)
0-2.(うら) (2018年8月18日)
1.リツコ、親善大使になる (2018年8月18日)
1-1. リツコ、出かける
2. リツコ、異世界へ行く。
2-1.リツコ、挨拶する。
2-2.リツコ、清峰鋭にあう。 (2018年8月19日)
2-3.リツコ、運ばれる。
3.リツコ、白王都へ着く。 (2018年8月22)
3-1-0.リツコ、寝坊する。 (2018年8月22日)
3-1-1.リツコ、皇女に会う (2018年8月22日)
3-1-2.リツコ、マシカにあう。 (2018年8月24日)
3-1-3. マシカ、市場へ行く。 (2018年8月24日)
3-1-4. マシカ、天幕に泊まる。 (2018年8月24日)
4-0. リツコ、目覚める。
4-1. リツコ、行列に参加する。
4-2. リツコ、センデンされる。
5-1. リツコ、記録する。
5-2. リツコ、観察する。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。 (2018年8月26日)()
6-2. リツコ、小鬼を救う。 (2018年8月26日)
7. リツコ、まきこまれる。 (2018年8月26日)
8-1. リツコ、魘される。
8-2. リツコ、龍にのる。
9. リツコ、会議にでる
10-1. リツコ、よばれる。
10-2. リツコ、地球にかえる。 (2018年8月26日)
(草稿&没原稿)
(草稿&没原稿)
(1) 朝日ヶ森 (2018年6月3日)
『 リツコへ。 第一日 』 (@中学……1年か2年?) 
(あらすじ) (プロット&目次)
(あらすじ) (プロット&目次)
【投稿用】プロットメモ (2018年7月22日)
400字~800字程度のあらすじ。 (2018年8月17日)
(設定資料集)
(設定資料集)
このコだ! 「鍵になるキャラ」…っ!www (2018年6月30日)
(( ことばよ、つうじよ! ))  (2018年8月9日)
(サ行前の雑談など)
(サ行前の雑談など)
【ぐれてる理由】。(--;)。 (2018年5月13日)
『 リツコ 冒険記 』 ~ 夏休み ・異世界旅行 ~ (1) (2018年6月3日)
(案の定【天中殺中】で頓挫している) (2018年7月22日)
…ちっ! …やっぱり…『落ちた』か…★ (2018年8月12日)
次ぃ征くぞ! 次っ! (2018年8月12日)
★ 【講談社 『 青い鳥文庫 』 の呪い!?】の謎。 ★
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4-1. リツコ、行列に参加する。

http://85358.diarynote.jp/201808251707334319/

 

4-1. リツコ、行列に参加する。

 ちょうどその頃に朝日がしっかり差し込んできた。からりと晴れた上天気だ。
「朝ごはん出来てるよー、早く食べちまっとくれ!」と、食堂?の係の人から声がかかったので大急ぎで出かけて行った。
「おはよう!」とか「よく眠れた?」とか色々と声をかけてくれる年上の薬師の人たちに、リツコは日本語と手振り身振りで挨拶を返しながら、食堂や集会室として使われているらしい大天幕に行って、色々な野菜と豆とか干物?とかがどっさり入った温かいスープをおなか一杯食べさせてもらった。
 食器は各自で持参制で、昨日マシカに買ってもらった新品一式を持っていった。
 また水場に行って食器を洗って、簡単に拭いて収納して、マシカはどんどんと自分の天幕の中にあったものを大きな匣と布袋の中に詰めて行き、リツコもがんばって出来るところを手伝ってみて、最後に天幕を一緒に畳むと、うんうんと担いで何往復かして木製の頑丈そうな荷車に運び入れ、それからマシカが耳の短いロバのような小型の馬のような、四足の荷駄を連れてきて繋いで、出発の準備は完成だった。
「ごめんなさい。先に行くわねー!」
 マシカが声をかけるとまわりの皆が口々に返事をして、手を振って見送ってくれた。

 荷物満載の荷車を牽いた小型馬の手綱を引いて、人間二人はとことことその横を二本の足で歩く。
「これは《白の街道》というのよ。」
 マシカが教えてくれる。
 夕べはもう薄暗くなった中を星を見上げながら歩いて来たので気がつかなかったが、歩きやすいよう白い石畳できちんと舗装された、けっこう幅の広い道だ。

「あ、いたいた、鋭!雄輝!」
「マシカ、おはよう!」
「似合うぜ。綺麗だな!」
 街道から街中を通って、昨日の皇宮前の広場に入ってすぐのところに、鋭と雄輝と他にもたくさんの、重臣?ぽい人たちがいた。
 みんなきちんとしたおしゃれというか、正装?ぽい服装で、ばりっと格好良く整えている。
 初めて会う人たちもみんなマシカとリツコの女の子二人に対してきちんとした挨拶をしてくれるので、リツコも一生懸命「おはようございます!」と日本語で言って頭を下げた。
「リツコ、おはよう。可愛いね!」
「おー、地球式の服にしたんだ?」
 鋭と雄輝がお世辞でもなく本気で誉めてくれたので、リツコは照れて、えへへと笑った。
「どうかしら?一応こっち式の礼服もちゃんと用意はしたんだけど。地球からの御客人が諸侯会議に参加するってことは、皆にセンデン?したほうが良いのよね?」
「うんそうなんだ。これだと一目見て地球人て判るね。さすが! ぼくじゃ思いつかなかったよ。やっぱり女の人に任せてよかった。」
「あら… 褒めても何も出ないわよ?」
 鋭に褒められてマシカが照れて頬を赤くしたので、リツコはちょっとあれっと思った。
 それから少し話しあいがあって、せっかくだからと、リツコは目立つように、荷馬車ではなく鋭の馬の前に乗せてもらうことになった。荷馬車は雄輝の部下の人が列の後方から連れてきてくれることになる。
「じゃ、私はマブイラに騎せてもらって行くことにするわ」
 そう言ってマシカが鋭にリツコを預けてどこかから連れてきたのは…なんと!
 大きな枝角を掲げた、ものすごく立派な銀灰色の鹿だった。
「………マシカが鹿に乗る………」ついつい小声でこそっと言ってしまうと、
「ね、やっぱりちょっと笑っちゃうよね?」鋭がこそっと相槌を打った。

 それからどんどん広場に人が増えてきて、中央に列をなした着飾った旅装束の人たちと、周囲に並んだ見送りらしい服装の人たちで、ぎっしりと隙間もないくらいになった。
(昨日の山のような荷馬車や荷車は、後方の脇に寄せられていた。)

「…刻限!」「まもなく!」「刻限!」
 これ以上はもう人が入れない…という頃、ドンドンと威勢よく大鐘と太鼓が打ち鳴らされた。
 居並んだ人たちが、ざっと威儀を正す。
「みな、御苦労!」
 例のおっかない皇女サマが、昨日マシカが世話をしていた特別に大きく立派な黒馬にまたがって、みごとに華麗な正装で、広場の中央の人並みを分けて堂々と進んできた。
「少し長い旅になりますが、みな無事であちらへ着くように! 留守の者たち、不安もあろうが、必ず和平を為して来る。しっかり頼みます!」
「道中、御無事で!」
 留守役の代表らしい身分の高そうな衣装の年輩の女の人が門の脇から進み出て来て、深々とした礼をとった。
 みな、唱和する。
「道中、御無事で!」
「…出発!」
 雄輝が、皇女の後ろ脇にみごとな金鹿毛の馬を並べて号令した。
「出発!」「出発!」
 伝令が次々と声を並べていく。
「行くよ? 笑って!」
 白い優雅な馬にまたがり、鞍の前にリツコを乗せて、鋭は皇女サマの後ろ、雄輝と並ぶ位置に、するりと当たり前のように並んだ。
 …つまり、リツコの位置は、一国の代表として旅に出る皇女サマの、すぐ、真後ろ。ということで……………

(きゃーーーーーーっ! 嘘っ! 聞いてなーーーーーーーいッ!)

 心の中で絶叫しながら、リツコはとにかく、必死で御愛想笑いをして、皇女サマと同じように、笑顔で出発の行列を、やりとげた…。


4-2. リツコ、センデンされる。

http://85358.diarynote.jp/201808251917305969/

 

4-2. リツコ、センデンされる。

 後から思いかえしても、つくづく、前から二番目なんていう身の程知らずの大それたポジションに強制参加じゃなくて、沿道の観客でいたかった…というのが、リツコの素直な感想だった。

 豊かな碧緑の巻き毛を風になびかせ朱紅に金糸の刺繍飾りのあでやかな衣装をまとい美しい黒毛の戦馬にまたがった、物語の主役たる風格ばつぐんの、文句なしの華やかさを誇る美人皇女殿下を先頭に。

 右後ろに並ぶ金色の馬にまたがるのは背中に翼ある戦士装束の雄輝。
 左後ろに並ぶのが白銀の馬にまたがる優しそうな絶世の美青年の鋭。
 二人の後ろに堂々たる角をそびえ立たせた大鹿に乗った美女マシカ。

(鋭の鞍にちょこんと載ってるあたしはこのさい余計だ。とリツコは思った)

 沿道に居並ぶ見送りの人々は、歓呼の叫びと噂話で、ぶんぶん唸るハチの巣のような有り様だった。

『見ろよあの先頭のかたがたが、戦を終わらせてくれた四軍神だ!』

『なんてお美しいのかしら皇女様!』

『きゃーーーーーーっ! リレク(鋭)様、お凛々しいッ!』
『ちょっと何よ、あのチビ?』
『泥球界(地球)からのお客人らしいよ。何でもさる有力な部族の長の縁者とか』
『泥球界の? 王族なの?』
『そうじゃないかぃ?』

(えぇぇぇぇっ!)とリツコは思った。

 いくらちょっとだけオシャレめワンピを着てみたからって、実は通販のしかもバーゲンで買った安物だ。『さる有力な部族』ってなに! たしかに大叔母様は朝日ヶ森の学長だけど、それって別に王家でもなんでもナイわよ!??

 むしろこの国の言葉が喋れなくて良かった。と、つくづく思った。話が出来たら絶対に、必死になって無責任な噂話を否定しにまわってしまっただろうから…

「…鋭ッ?なんかあの人たち、すっごい大誤解してない?」
 思わず小声で叫んでしまったリツコの百面相をにやりと笑い飛ばして、行列の間中、鋭はとにかく、「笑って! ほら笑って! 手を振って!」とだけ主張して、自分自身も率先してまわりじゅうに愛想をふりまき、観るひとすべてをその超絶笑顔うっとりとさせていた…。

 そんなこんなで街から出るだけでもしばらく時間がかかり。

「ねぇ鋭。もう笑うのやめていい?」

 ようやく道沿いに見送りの人が少なくなってきて、やっと聞けたころには、リツコの顔はばりばりに強張っていた…。

 それから歩いて来た時よりゆっくりぐらいの速度で《白の街道》を西の方角に戻ると、途中の河原でキャンプしていた薬師たちの一行の、半分くらいが荷馬車隊を率いて皇女の行列の後ろに入る。

 あとの半分くらいは、列には入らず解散する?らしい。

 夕暮れ前にその日の野営地らしい場所に着き、行列の後ろの荷馬車隊ががらごろと追いついてきて、食糧や天幕を降ろし火を起こして大人数分の食事の仕度を始める。

 荷を降ろすと、そのまま手を振って別れて元の街の方角へ戻り始める人たちも数十人あった。

「リツコ、今日もあたしと一緒の天幕だけど、いいわよね?」

 あいかわらず小鳥とかの群れに取り囲まれながら大鹿から降りてやってきたマシカにそう言った頃、ちょうどリツコの「聞いた話が解る魔法」はとけてしまったのだった…。

(鹿は勝手に歩いて行って、そのへんの草で食事を始めた)

 そんな風にして、この旅は始まった。

 


5-1. リツコ、記録する。

http://85358.diarynote.jp/201808252044381803/

 

5. リツコ、西へ旅する。

5-1. リツコ、記録する。

 そこからの旅の日々は最高だった!
 夜はマシカと一緒の天幕でぐっすり眠って、朝は鳥たちや動物たちの騒ぐ声で起こされ、身支度を済ませると《言葉の魔法》をかけてもらって、皆と挨拶をしながら大天幕でご飯を食べさせてもらい、えいやっと自分たちの天幕を畳んで荷物を荷馬車に乗せて、準備の出来た者から順に出発して、歩いたり荷馬車に便乗して昼寝したり馬の乗り方の練習をさせてもらったり、色々しながらとにかく西へ向かって白の街道を進み続けて、陽が傾いてきた頃に次の宿営地に辿り着く。
(お昼ご飯は各自で勝手に、停まって休憩したり荷馬車で進みながらだったりして、適当に食べた)。
 半日先行して街道沿いの警備がてら宿営地で食事の支度をして待ってくれている雄輝たちの隊とご飯は一緒に食べて(なぜかその夕飯の宴の間だけ皇女サマの機嫌がちょっとだけ良くなる?のを、リツコは興味津々で観察していた)
 その警備隊が日暮れ前にまた出発してしまうのでそれを見送って、残った面子は毎晩のように食後は飲んだり歌ったり踊ったりの楽しい宴会になるのでリツコも途中まではつきあって、《言葉の魔法》が切れる頃にマシカと一緒に天幕に引き上げて、あとは眠くなるまでお喋りして、色々なことを教えたり習ったりしあった。
 ただしマシカは旅団の《筆頭薬師》という役職だったらしいので、合間合間に朝から晩まで行列のすべての動物の健康状態をチェックしたり、具合の悪くなった人に薬草の調合をしたりしていた。時には沿道の寒村の人から往診の依頼があったりして、夜中でも大鹿にまたがって出かけたりするので、時々はリツコは取り残された。
 そんな時は鋭が自分の天幕に呼んでくれて、淋しくないように気を使ってくれた。
 ただし、しばしば皇女サマやその側近の人達の、気難しい話し合いに巻き込まれてしまったりするのが、厄介だったけど…。
 鋭は旅団の経理責任者?らしくて、人の出入りや体調に気を配っていて、しばしばマシカと一緒に怪我人や病人の治療にも当たってた。
 リツコはとにかく周りの人たちの仕事を出来る範囲で手伝いながら、暇さえあればマシカと鋭と(可能ならば雄輝と皇女様も!)質問攻めにしていた。

 そんな日々のなかで、やっと自分の置かれた状況が判ってきたので、とにかく戻ったら大叔母様に報告しようと、大学ノートの山に手書きでガリガリ書いて記録を残した。

 それはこんな風だった。


【この世界のこと。】

 名前はダレムアス。
 意味は《大地の国》。または《大地平界》。
 昔々、女神マライアヌ様と仲間の神様たちが創った。
 神様たちは沢山いたけど、戦争して滅んじゃった?らしい。
 今は人間がいちばん多くて、他の生き物もたくさんいる。

 同じ頃に別の神様たちが創った別の世界《ボルドム》と、
 最近まで戦争してた。
 戦争はガンバッテ闘ってなんとか勝ったけど、
 まだ色々と問題が残っている?らしい。


【ショコウ会議のこと】(※マシカは字が判らない。後で鋭に聞くこと!)

 戦争してたボルドムと話し合うのかと思ったら、そうじゃないみたい。

 ダレムアスの王さま?皇帝さま?
(皇女サマのお父さんとお母さん)が、

 前の戦争で殺されちゃって、今いないので、
 誰が後を継ぐかとか、そういう話し合いが必要?

(なんで皇女サマが継がないの?と聞いてみたら、なんだか難しかった。)

 あたしがなんでここに呼ばれたか?というと、

 ボルドムと戦争して終わって弱っているダレムアス世界に、
 今度は地球人が攻め込んでこないか?という心配があって、

「攻め込んで来ないように万全の手は打ってるから、安心してほしい」という
 ハッタリ?をかませることが、会議のコウショウのために必要。
(よくわかんない。)


【この世界と地球世界のこと】

 地球のことは《泥の球》って呼ばれてる。
 丸くて宇宙に浮かんでる。っていうのが「信じられない!」らしい。

 この《大地世界》はとにかく平らなんだって。
 そして果てとか終わりが無い。(と信じられている。)んだって。

 戻ったら、社会科の教科書の歴史の図版と見比べたいな。

 それで神話では地球と大地世界は「弟と姉」の関係なんだって。

 昔から行き来はあったけど、
 時差の関係?で地球では「大昔のこと」になっちゃって、
 記録が失われている、らしい。

 浦島太郎とかコチュウテンとか伝説があるでしょ?
 と鋭が言ってた。
 コチュウテンて何?


【魔法のこと】

 女神さまの子孫とかが特に使える。
 鋭は地球人だから全く使えない。(と言ってるけど、なんか怪しい?)

 皇女サマは特別チカラが強い。マシカは例外的に?マホウが巧い。


【翼とかのこと】

 雄輝が地球の「翼」家の人間だったり。
 昔から「地球に移住した人たちの子孫」とか、その逆とかが居たらしい。


【朝日ヶ森のこと】

 あの学園にいる「妖怪とか系」の人たちって、つまり、そーいうこと???



 そこまで書いて書きかけのまま寝てしまったリツコの肩に毛布をかけながら、
『諸侯会議』だと鋭は漢字を書き足した。

 


5-2. リツコ、観察する。

http://85358.diarynote.jp/201808252146433109/

 

5-2. リツコ、観察する。

 それにしても皇女サマはいつ見ても機嫌が悪かった。
 せっかく超のつく美人なのに、眉間にシワを寄せては誰かれなく睨みつけ、ちょっとしたことで色白な肌が真っ赤になるくらい怒ったり怒鳴ったり。いつもイライラしていて、「ヒステリー」としか言いようがないくらい。
 こんなんではいくら戦争が上手で敵に勝っても、平和になったら国民は誰もついて来ないんじゃないかしら。だから後継者問題でモメてるのかしら?とリツコは疑ってみたが、その割には鋭やマシカたちも含めて、部下たちからの信頼というか人望は、ものすごく厚いらしい。
(今日もまた機嫌が悪い―!という愚痴は毎日のように飛び交っていたが。)
 楽しい旅ぐらしの毎日の中でも、いつでも皇女サマの天幕まわりの侍従の人たちだけは、戦々恐々として、どよんと昏い空気が漂っていた。
 のだが…

 ある日。

 よく晴れた西の空に鳥や雲とは違う影がくっきりと視え始めた。
『…龍だ! フェルラダル様も居らっしゃる!』
 誰かが叫んだ。
『皇女殿下にご報告を!』
『聴こえたわ!』
 すごい勢いで皇女サマがすっ飛んできた。あれあれ?とリツコは見守った。
 空の影は一人は自分で飛んでる?らしい人間で、もう一つは、出発式の日に挨拶して西の空へ消えていった、伝令役の?あの白いほうの龍のように思える。
『お兄様! 伯父様!』
 びっくりしたことに大地世界の皇女殿下サマはいきなりふわりっと空に浮かんだ。
 そのまま文字通り「飛ぶように」すっとんでいって、空の真ん中で『お兄様』と『伯父様』を抱きしめる。
『遅くなって済まなかった。出立式の日までには戻りたかったのだが。』
 年齢からするとこちらが『伯父様』なのだろう凄い美形の年輩の男性が言いながら地面に降りてきた。
『フェルラダル様ッ!』
 もう一人、ものすごい勢いですっ飛んできたのは…マシカだ。
『御無事で!』
 飛びつくように抱きついて挨拶している。
 あれあれ…とリツコはすぐに解った。マシカが言ってた『一番好きな人』って…この人だ?

(たしかにちょっと…鋭に雰囲気とか見た目も…似てるかなー?)

『…マシカ…わたしも居るんだけどなー…』
『…あらごめんなさいミヤセル様? 御無事で何よりですわ?』
 …皇女サマから『お兄様』と呼ばれたということは、その人の名前はマリシアル皇子って言わなかったっけ…?
 リツコは聞きかじりの話とつなぎ合わせながら、興味津々に目を点にしながらなりゆきを見守った。
「あ~、また話が賑やかになった…」
 苦笑しながら、いつのまにか鋭がリツコの隣に立っていた。
「…さて、吉と出るか、凶と出るか…
 吉かな?」
 『兄上』と額を突き合わせるようにして何か話をしている皇女サマを鋭は静かに見守って、やがて笑った。
「…安心して、リツコ。これでマーシャの機嫌は直ったみたいだから…」

 話のとおり、その日の夕飯時に雄輝たちの先行班と合流した時の皇女サマは、これが昨日までのあの女性とほんとに同一人物?と目を疑うくらい、にこにこして、上機嫌で、頬なんかピンク色で、食欲も旺盛だった。
 側近の人たちがみんな後ろでこそこそと情報のやりとりをしていたが…
 鋭はあまり気にしていなかった。それから食後のお茶を呑み終わった皇女サマたち主賓席のところへリツコを連れて行った。
『お久しぶりです。御無事で何よりでした。フェルラダル様、マリシアル様。
 こちらが地球から来たリツコです。最近はマリーツ(地栗鼠)という愛称で呼ばれています。
 …で、マーシャ? 機嫌が直ったところで… いい加減、この子、喋れないと不便なんだけどな? 会議で挨拶だってするんだし…?』
『…………わぁかったわよ! もうッ!』
 皇女サマはなんとも可愛らしく、(リツコは目を点にした)
 ぷくっとふくれてすねた。

『ちょっと待っててリツコ。今まで八つ当たりしてたことは謝るわ。それで…』

 すらりと立ち上がってこちらへ来る。リツコは思わずびびって逃げかけた。
 その肩を遠慮なくがしっと捕まえて、
「だから謝るわ、って言ってるでしょう?」

 高飛車に言い切ると、それからすぅっと息を吸い、大地を抱えあげるような独特の舞のようなしぐさをして、謡うように唱えた。

『…マレッタ! れとけぃえる、せるかまろうでぃ、いええん!』

 それから急に、リツコがマシカのマホウで相手の言葉を理解できるようになっていたのと同じように、リツコが日本語でふつうに喋っている言葉を、聞いたダレムアス人はみんな意味が理解できるようになった。しかも半日とかの時間限定でもなかった。

「ありがとう!」と後からお礼を言いに行ったリツコに、
「だから、遅くなって悪かったわよッ!」と皇女サマはもう一度ふくれた。

 


6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。 (2018年8月26日)()

http://85358.diarynote.jp/201808261445484961/

 

6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。

 なにしろリツコは元々かなりのおしゃべりの質問魔で、好奇心旺盛だ。今までは人が勝手に言ってくることを一生懸命聞きとるだけで、こちらから質問できる相手は主にマシカと鋭だけだった(日本語が通じるもう二人のうち雄輝は周辺警備の任務に就いていたので基本不在だったし、そのせいで?なのか、皇女サマは恐かった!)が、今度からは、自分が知りたいことについて、積極的に聞いて回れる!
 大喜びで鉛筆と鉛筆削りと沢山のノートを持って、キャラバン中を前から後ろまで、そして朝から晩まで、雑用があればちゃんと手伝いもしながらだが、すべての人を質問攻めにして歩く姿が、旅の名物のひとつになった。
 行列の順番は日によってかなり変化した。特にマシカたち薬師の一行はその日によって、病気や怪我の人間や獣がいれば看護を先にして半日遅れで追いかけたりもするし、先発して地元の村の広場に乗り入れて出張往診大会?的なものを開催したりもしていた。
 が、だいたい鋭たちヨーリア学派やその他の学者さんや役人さん?たちが普段から整理整頓が良くて身支度が簡単なせいか朝一番に出発することが多く、ほぼ同時に旅慣れていて気の短い皇女サマと侍女や侍従たちの一行が続き、続いて軍臣たちと重臣たちとその家臣と侍従たちが続き、それから何故か家柄のいいお嬢様たちらしい美人の集団が、いつもきゃあきゃあと賑やかに遅れがちに続き、その侍女たちと賑やかな掛け合いをしながら商人組合と職人組合の代表者たちや手伝いの見習いさんたちが続き、そのまた最後から列の後ろをゆっくりついてくるのが、その土地ごとに一日二日交代ぐらいで参加してくる応援の人たちが多くいる荷駄隊だった。
 さて。
 なぜこの旅に参加しているのかが不思議で尋ねると皆一様に、『さて、何故でしょうね?』と含み笑いをして答えをはぐらかす深窓の令嬢風な着飾った美姫たちの車列の前、重臣たちの車列との間に。
 いつもひっそりとついてくる、謎の馬車隊があるので、リツコはとても気になっていた。
 他の大地世界の学者や家臣や美女たちからは、なんだか距離を置かれている。
 リツコがそこへ話しかけに行こうとすると、なんだかやんわりと引きとめられたりもする。
「ねぇ鋭? あの馬車の中の人に話しかけてはダメなのかしら?」
 思い切って、リツコの行動の管理責任者、ということになっているらしい鋭に質問してみる。
「うーん。悪いってことは何もないよ?彼女も退屈しているだろうし…ただ。」
「ただ、なに?」
「ボルドムのね。敵国の御姫様なんで…見た目がちょっと。こっちの人たちには怖いらしくって。」
「…見た目ー? だってこっちの人って普通に、毛皮だったり四足だったり羽根が生えてたり…」
「まぁ、ぼくら地球人からすると、区別が判らないんだけどねー。」
 苦笑して、うんうんとうなずきながら、鋭がべつに話しかけに行っても誰からも怒られはしないと保証してくれたので、リツコは早速、昼ごはんが終わった頃合いらしくてゆっくり動き始めたばかりの馬車に、正面から訪問してみた。
「こんにちわー!」
 他の美女たちの馬車群とは違って、この馬車隊だけはキャラバン全体の護衛とは別に、皇女サマ直属隊の兵士たちが交代で護衛についている。侍女や従僕もみんな大地世界の人たちだけで、ボルドム人なのは客分の姫様ひとりだけ?らしい。
 取次を頼むと、
【だれか?】
 それまで聞いたことのないシュウっとした音の多い言葉で、馬車の奥から低めの女のひとの声がきこえた。
「リツコっていいますー! あのね、退屈じゃないかと思って、遊びに来たんですけど!」
【おや?あの地球人の子どもか?】
 声の感じはむしろ嬉しそうだった。
【マーライシャにでも言われたか? よければ上がっておいで。】
 リツコはむろん大喜びで豪華な箱馬車に上がり込む。
 どのくらい豪華かというと皇女サマのより手が込んだ細工で値段が高そうだ。
 お姫さまはそれまでは脱いでいたらしい大きな布をするりとかぶってリツコから視えないように姿を隠したところだった。
「えーと…見たらまずいのかしら?」
 リツコはちょっと遠慮しながら聞いてみる。
「あたしボルドムの人ってまだ見たことがなくて~」
【…大地世界人と同じで、焔洞界の者の姿も、千差万別なれど。】
 するりと布がはずされた。
【怖くなければ見るが良い。】
 七色に光る鱗に覆われて、縦長に切れた大きな瞳の、なんというか…巨大トカゲに似た感じの、だいたいは人型で黒髪の姫様だ。良の手の爪が長くてとがっていて、何て言うか…キラキラしたネイルアートがしてある。
 怖いと言えばその眼と爪は恐いかもだったが、同行者の中には横長に切れた山羊目の人だっているし、とんでもない爪飾りの人は、地球には多い。
「……………キラキラしてて、きれいなウロコね!」
 すなおにリツコは褒めた。
 こちらの世界での唯一の友人であるマーライシャの機嫌が悪くて話し相手に餓えていた敵国からの亡命姫さまは、すっかりリツコが気に入ってしまって、それから長い旅の間、しょっちゅう一緒におしゃべりをした。



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