目次
(借景資料集)
【速報!】 第2回 「青い鳥文庫小説賞」
(第4稿)
(第4稿)as(最終稿)
(添付挨拶状)
(あらすじ) (2018年9月23日)
序章 《 朝日ヶ森 》
第1章 リツコ、異世界へ行く。
第2章 リツコ、異世界で目覚める。
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、取材する。
第8章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第9章 リツコ、役に立つ。
終章 リツコ、地球に帰る。
(第3稿)
(第3稿)
(表紙)
(あらすじ) (2018年9月16日)
序章 朝日ヶ森 学園
第1章 リツコ、異世界へ行く。 (2018年9月16日)
第2章 リツコ、異世界で目覚める。 (2018年9月16日)
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第8章 リツコ、戦う。
第9章 リツコ、地球に帰る。
(第2稿)
(第2稿)
(あらすじ) (2018年9月8日)
1-0-0.朝日ヶ森「学苑」(おもて)
1-0-1.朝日ヶ森(うら) (2018年9月8日)
1-1-0.リツコ、呼ばれる。 (2018年9月8日)
1-1-1. リツコ、出かける (2018年9月8日)
2-0-1.リツコ、異世界に着く。 (2018年9月9日)
2-0-2.リツコ、挨拶する。
2-1-1.リツコ、清峰鋭にあう。
2-1-2.リツコ、異世界の村へ行く (2018年9月9日)
2-1-3. リツコ、空を飛ぶ。 (2018年9月9日)
3-0-0. リツコ、悪夢をみる (2018年9月10日)(加筆)
3-0-1.リツコ、起こしてもらう。
3-0-2. リツコ、情報交換する
3-1-0.リツコ、朝寝坊する。
3-1-1.リツコ、右将軍にあう。
3-1-2.リツコ、皇女に会う
3-1-3.リツコ、マシカとあう。
3-1-4. リツコ、市場へ行く。
3-1-5. リツコ、天幕に泊まる。 (2018年9月11日)
4-0. リツコ、早起きする。
4-1. リツコ、パレードに参加する。
4-2. リツコ、誇大広告される。
5-1. リツコ、旅をする。
5-2. リツコ、記録する。 (2018年9月12日)
5-2. リツコ、話せるようになる。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第6章 リツコ、旅をする。
(第1稿)
(第1稿)
(あらすじ) (2018年8月17日)
( 目次 ) (2018年8月18日)
0-1.(おもて) (2018年8月18日)
0-2.(うら) (2018年8月18日)
1.リツコ、親善大使になる (2018年8月18日)
1-1. リツコ、出かける
2. リツコ、異世界へ行く。
2-1.リツコ、挨拶する。
2-2.リツコ、清峰鋭にあう。 (2018年8月19日)
2-3.リツコ、運ばれる。
3.リツコ、白王都へ着く。 (2018年8月22)
3-1-0.リツコ、寝坊する。 (2018年8月22日)
3-1-1.リツコ、皇女に会う (2018年8月22日)
3-1-2.リツコ、マシカにあう。 (2018年8月24日)
3-1-3. マシカ、市場へ行く。 (2018年8月24日)
3-1-4. マシカ、天幕に泊まる。 (2018年8月24日)
4-0. リツコ、目覚める。
4-1. リツコ、行列に参加する。
4-2. リツコ、センデンされる。
5-1. リツコ、記録する。
5-2. リツコ、観察する。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。 (2018年8月26日)()
6-2. リツコ、小鬼を救う。 (2018年8月26日)
7. リツコ、まきこまれる。 (2018年8月26日)
8-1. リツコ、魘される。
8-2. リツコ、龍にのる。
9. リツコ、会議にでる
10-1. リツコ、よばれる。
10-2. リツコ、地球にかえる。 (2018年8月26日)
(草稿&没原稿)
(草稿&没原稿)
(1) 朝日ヶ森 (2018年6月3日)
『 リツコへ。 第一日 』 (@中学……1年か2年?) 
(あらすじ) (プロット&目次)
(あらすじ) (プロット&目次)
【投稿用】プロットメモ (2018年7月22日)
400字~800字程度のあらすじ。 (2018年8月17日)
(設定資料集)
(設定資料集)
このコだ! 「鍵になるキャラ」…っ!www (2018年6月30日)
(( ことばよ、つうじよ! ))  (2018年8月9日)
(サ行前の雑談など)
(サ行前の雑談など)
【ぐれてる理由】。(--;)。 (2018年5月13日)
『 リツコ 冒険記 』 ~ 夏休み ・異世界旅行 ~ (1) (2018年6月3日)
(案の定【天中殺中】で頓挫している) (2018年7月22日)
…ちっ! …やっぱり…『落ちた』か…★ (2018年8月12日)
次ぃ征くぞ! 次っ! (2018年8月12日)
★ 【講談社 『 青い鳥文庫 』 の呪い!?】の謎。 ★
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3-1-3. マシカ、市場へ行く。 (2018年8月24日)

http://85358.diarynote.jp/201808242228407081/

 

3-1-3. マシカ、市場へ行く。

「ちょっと待っててくれる?」
 鋭を見送ったあとリツコにそう言って黒馬の世話を最後まで仕上げたマシカは、まわりに挨拶らしい言葉をかけると手を洗って髪をほどいた。
 ふわりと広がった朽葉色の巻き毛は、とても豪華だ。
「きれ~い!」
 リツコが思わずそう誉めると、マシカはにこっと笑った。
「そう? ありがとう。リツコの髪もすてきよ?」
「えぇ? あたしのなんか焦げ茶色で癖毛でへろへろで~。全然ダメ」
「そうなの?ダレムアスでは大地の色って一番いい色だけど?」
「そうなの?」
「えぇそうよ。ほら可愛い。あたしたち姉妹みたいね?」
 マシカはそう言ってリツコの固く縛っていた癖毛もほどいてしまった。
 リツコは「えへ~」と照れた。
 マシカはそんなリツコを見てにこっと笑って、それからちょっと下がって気息を整えて、ひとこと歌うように叫んだ。

「ま~りえった! れっと、せっと、えッ!」((ことばよ、通じよ!))

「え?」
「まうれいにあ、あむにや、あむねえむね?」((わたしの言うこと解る?))
「えっ? …解る! …???」
 リツコは目を丸くした。何がどうなったの??
「マーシャは神力ってヤクしてるけど、鋭はマホウって呼ぶわね。あたしは血の力は弱いから、マーシャみたいに喋るほうまで出来るようになる術はむりなの。
時間も短いと思うんだけど… とりあえず、それでやってみましょう?」
 リツコはまったくわけが解らなかったが、とりあえずうなずいた。

 マシカは楽しそうな顔でずんずん市場に分け入っていく。
 リツコはきょろきょろしてしまって大変だ。質問したいことを全部聞いていたら一歩も進めなくなるだろうってくらい、目にはいるものがすべて珍しい。
 それはリツコを見る側からもそうらしかった。
「ティケット?」((地球人?))
「ティケットナン?」((地球人か?))
「あやけったていか!」((おっとびっくり!見てごらん!))
 通りすがりの商街の人々がリツコのTシャツと短パン姿を見て目を丸くする。
(………え? なんであたし、意味が解るの?? ティケット…ってチケット? 英語? 切符?…じゃない。よね…????)

「エベルディン、スレイガ!」((出て行け、敵め!))
 マシカが入ろうとした店の角で、鋭い声をかけてきた男がいた。
「…あんま、のうてぃあ、あろんでろぃ。」((なにか御用で?お客さん))
 店員らしい人も誰だこの怪しい奴め、という顔で見ている。
 リツコは知らない人から突然(( 敵!))と言われた事にびびった。
「まるまっかあれ。」((あたしの連れよ。))
 マシカが言うと、ざわめきが収まった。
「ジョルディイリヤン、ダレッカ。リレキセース、オルディイイン」((諸侯会議に出るお客様。リレク様からお預かりしたの。))
「あんにや、ましか!」((いらっしゃい、星の娘!))
 奥から店主が出てきて、あとはもう買い物が大変だった。
 マシカがかけてくれた魔法?のおかげで、相手が言っている言葉は何語であれリツコにはなぜか意味が(なんとなく)解るのだけど、リツコが喋ってる日本語は、相手には全く通じてないらしい。
 あれやこれやと店主が出してきてくれる衣類や旅行用品?に、半分はマシカに通訳してもらって、マシカにもうまく翻訳できない時にはとにかく身振り手振りで、好きな形や嫌いな色や肌触りかどうとか説明しまくって、試着してみてあーだこーだと、最後にはマシカが値切り交渉までしてくれて、一通りの品物を揃えて店を出た時には、リツコは喉が枯れて、おなかもぺこぺこだった…。

 マシカが気を利かせてくれて、通りすがりの屋台で何か甘いものを軽く食べさせてくれる。色とりどりの豆と触感の違う何かが入った、あんみつと冷しるこの混ざったようなお菓子だ。
「おいしーーーい!」
 叫んだリツコに、マシカは笑った。
「元気でた? じゃ、ちょっと遠いけど宿まで歩きましょう。」
「あ、ちょっと待って! あたし今朝、洗濯物を干してきちゃったの!」
「センタクモノ?」
 なぜかこれがマシカに通じなかった。リツコはがんばって説明してみた。
「服を洗って~、干して~、こう…。部屋の中においてきちゃったの!」
「あぁ。洗った。服を干した。乾いた?」
「そう。洗濯物。」
「センタクモノ。」
 マシカはうなずいた。
「リツコ、わたしニホンゴまだまだみたい。たくさん教えてね?」
「うん!こっちの言葉も教えてね!」
 リツコとマシカはすっかり仲良しになった。

 


3-1-4. マシカ、天幕に泊まる。 (2018年8月24日)

http://85358.diarynote.jp/201808242323141303/

 

3-1-4. マシカ、天幕に泊まる。

 じゃあセンタクモノを取りに一旦戻ろうという話まで進んで、リツコは困った。
「どうしよう!あたし帰りも鋭と一緒だと思ってたから、道を覚えてない!」
「ヨーリア学派の寺院でしょ? わかるから大丈夫よ」
「えっほんと? よかった~!」
 しばらく歩いて、なるほど見覚えのある植え込みの門のちかくまで着くと、マシカはその手前の店で買い物をしてくるからその間にセンタクモノをとってきて、と言う。
 ひとりで門を入って、見覚えのある玄関まで行って…勝手に上がるのもなんだと思ってとりあえず声をかけてみた。
「すいませ~ん! 誰かいませんかー!」
「…もうどれっ、えんにやえん。」((*********))
(??? …あれ…???!)と、リツコは思った。
 さっきまで声と一緒になんとなく解っていた「ことばの意味」が…分からなくなってる!
 さっきマシカが言ってた「時間も短いと思うんだけど」の意味のほうが判ったー! と思いながらも、幸いにして出てきてくれたのが今朝リツコを案内してくれたあの女の人なので、再び「センタクモノ!」の身振り手振りをして、取りに行きたいので部屋に入っていいか? という許可をとるのは、そんなに難しいことでもなかった。
 鋭の私室だったらしい部屋に戻って今朝ほした洗濯物がきれいに乾いていたのをこれ幸いと、急いで畳んでリュックに詰め込み直す。
「どうもすいません!ありがとうございました!」
 ぺこりとお礼を言って退出すると、女の人はにこにこして手を振って見送ってくれた。

 それからまたマシカと合流して、店を出て歩きながら、言葉がわからなくなったことを説明する。
「う~ん、だいたい半日なのね…」
 マシカはちょっと悔しそうな顔をした。
 すぐにまた術をかけなおしてくれるかなと思ったけど、そういうわけでもないらしい。
「もしかして、実はすっごく難しいとか、マシカが疲れるとか…する?」
「そんなことはないけど。だってもともとあの三人といっしょに旅してた時に、あたしだけ言葉が通じなくて不便だったから覚えようと思って、意味が解るように自分に毎日かけてたのよ。でもアタマがとても疲れるでしょう?」
「…そう言われてみれば、そうかも。」
「今日はもう眠るだけだから、また明日にしましょう。」

 それから色んな話をしながら歩いているうちにマシカたち薬師の一行が寝泊まりしている天幕の仮村に着いた。薬師たちはみんな明日の出発に向けて忙しそうに飛び回っていたので、簡単な挨拶だけしてリツコたちはすぐに天幕にひっこんだ。
「マシカは用意はしなくていいの?」
「なんとなく明日だろうというのは昨日のうちに解っていたので準備は済んでるの」
「そうなんだ」
「でも明日は早起きしなくちゃだから、今日はもう寝ましょう?」
「うん!」

 それからマシカとリツコは本当の姉妹のように一つの寝床で一緒に眠った。
 問題は、リツコのために追い出されてしまったマシカの沢山の同居動物さんたちだった。
 ぶぅぶぅ(それぞれの鳴き声で)文句を言いながら長椅子に移動させられた栗鼠熊や仔猫や老犬や小鳥や虹フクロウやシマヘビや…その他いろいろ…だったが、けっきょく朝になってリツコが目を覚ましてみると、二人の人間のあいだとまわりじゅうに、たくさんの動物がぎっしり詰まって乗っかって眠っていたのだった…。

 


4-0. リツコ、目覚める。

http://85358.diarynote.jp/201808251552274769/

 

4. リツコ、西へ行く。

4-0. リツコ、目覚める。

 翌朝、天幕の上で鳥たちの鳴き交わす声がすごくて、リツコはびっくりして目が覚めた。
 すでに開け放ってあった天幕の戸布の四角い部分から見える世界はまだ夜明け前で、空は東?の山並みの上の薄い金色の線から、反対側の闇青色と星々の瞬きまでのグラデーションが綺麗だ。
 …う~ん、これは地球と同じに見えるんだけど…とリツコは思った。
「あら、起きた?」
 広い空の下で髪に櫛をかけてまとめていたマシカがにこりと笑った。
「今日もお寝坊さんなのかと思っていたわ」
「うーん。だって昨日は早く寝たし。マシカいてくれたから嫌な夢も視なかったし。」
「うん。よく寝てたわね。ミーボナンに踏まれてるのに起きなかったもの」
 リツコは苦笑して、自分も起きる仕度を始めた。寝ている間にベッドの上は動物だらけで、今も目を覚ました連中はマシカの髪にまとわりついたりして、色々と仕度の邪魔をしている。
 まわりの天幕の薬師たちもみな早起きなようで、あちこちで出発の準備を始める賑やかな物音や声がしていた。
 教えられた通り川辺に降りて顔を洗い、水場より下流に用意されたトイレ!(川の上に付き出していて、全自動水洗?式だ…)で用をたす。
 戻ってきて、はたと悩んだ。
「ねえ?マシカ。今日って何を着たらいい?」
「あ、そうねぇ…、どうしましょうか?」
 昨日買ってきた装束類の小山と、自分が持ってきた少しの着替えを並べて、天気と気温を見て、マシカの意見も聞いて、結局「地球式」の略礼装?が良いだろうということになった。
 ちょっと学校の制服みたいなカッチリしたデザインの明るい色の動きやすい夏ワンピに、Tシャツを下に重ね着して、ボタンは適当に開け放って、動きやすいように七分丈のズボンと合わせた。
 靴はやっぱり履きなれたスニーカーのままにする。だって相当、歩くらしいから。
「きゃー、マシカ可愛い♪」
 そう褒めてくれながら、マシカは以前から決めてあったらしい衣装にさっさと袖を通している。
 やっぱり昨日の仕事着?と同じような、日本で言うと作務衣みたいな動きやすそうな簡素なデザインだけど、新品で、手織りらしい布地が上等な感じで、何だか民族調っぽい刺繍とか金の飾りとかが付いていて、ふわりとしたマントも羽織ったら、とても上品に華やかだ。
「きゃー! マシカすてき! とっても綺麗!!」
 リツコが手放しで誉めると、うふんと得意そうに笑った。
「そうでしょう? この布を織るのは苦労したのよ。…リツコ、髪型はお揃いにしましょうよ!」
 身支度が終わると、マシカは昨日の昼にやったように、ちょっと気分を改めるようなしぐさをして、息を整えてから、リツコの頬に手を添えて、額を当てて、唱えた。

「…ま~りえった! れっと、せっと、…えっか、ろう!」

(あれ?昨日と少し違う…)とリツコが思う間もなく、

(( ことばよ、通じよ! …日暮れまで! もつように! ))

 …という意味が、頭のなかに字幕が映るような感じで、急に流れ込んできたのだった…。

 


4-1. リツコ、行列に参加する。

http://85358.diarynote.jp/201808251707334319/

 

4-1. リツコ、行列に参加する。

 ちょうどその頃に朝日がしっかり差し込んできた。からりと晴れた上天気だ。
「朝ごはん出来てるよー、早く食べちまっとくれ!」と、食堂?の係の人から声がかかったので大急ぎで出かけて行った。
「おはよう!」とか「よく眠れた?」とか色々と声をかけてくれる年上の薬師の人たちに、リツコは日本語と手振り身振りで挨拶を返しながら、食堂や集会室として使われているらしい大天幕に行って、色々な野菜と豆とか干物?とかがどっさり入った温かいスープをおなか一杯食べさせてもらった。
 食器は各自で持参制で、昨日マシカに買ってもらった新品一式を持っていった。
 また水場に行って食器を洗って、簡単に拭いて収納して、マシカはどんどんと自分の天幕の中にあったものを大きな匣と布袋の中に詰めて行き、リツコもがんばって出来るところを手伝ってみて、最後に天幕を一緒に畳むと、うんうんと担いで何往復かして木製の頑丈そうな荷車に運び入れ、それからマシカが耳の短いロバのような小型の馬のような、四足の荷駄を連れてきて繋いで、出発の準備は完成だった。
「ごめんなさい。先に行くわねー!」
 マシカが声をかけるとまわりの皆が口々に返事をして、手を振って見送ってくれた。

 荷物満載の荷車を牽いた小型馬の手綱を引いて、人間二人はとことことその横を二本の足で歩く。
「これは《白の街道》というのよ。」
 マシカが教えてくれる。
 夕べはもう薄暗くなった中を星を見上げながら歩いて来たので気がつかなかったが、歩きやすいよう白い石畳できちんと舗装された、けっこう幅の広い道だ。

「あ、いたいた、鋭!雄輝!」
「マシカ、おはよう!」
「似合うぜ。綺麗だな!」
 街道から街中を通って、昨日の皇宮前の広場に入ってすぐのところに、鋭と雄輝と他にもたくさんの、重臣?ぽい人たちがいた。
 みんなきちんとしたおしゃれというか、正装?ぽい服装で、ばりっと格好良く整えている。
 初めて会う人たちもみんなマシカとリツコの女の子二人に対してきちんとした挨拶をしてくれるので、リツコも一生懸命「おはようございます!」と日本語で言って頭を下げた。
「リツコ、おはよう。可愛いね!」
「おー、地球式の服にしたんだ?」
 鋭と雄輝がお世辞でもなく本気で誉めてくれたので、リツコは照れて、えへへと笑った。
「どうかしら?一応こっち式の礼服もちゃんと用意はしたんだけど。地球からの御客人が諸侯会議に参加するってことは、皆にセンデン?したほうが良いのよね?」
「うんそうなんだ。これだと一目見て地球人て判るね。さすが! ぼくじゃ思いつかなかったよ。やっぱり女の人に任せてよかった。」
「あら… 褒めても何も出ないわよ?」
 鋭に褒められてマシカが照れて頬を赤くしたので、リツコはちょっとあれっと思った。
 それから少し話しあいがあって、せっかくだからと、リツコは目立つように、荷馬車ではなく鋭の馬の前に乗せてもらうことになった。荷馬車は雄輝の部下の人が列の後方から連れてきてくれることになる。
「じゃ、私はマブイラに騎せてもらって行くことにするわ」
 そう言ってマシカが鋭にリツコを預けてどこかから連れてきたのは…なんと!
 大きな枝角を掲げた、ものすごく立派な銀灰色の鹿だった。
「………マシカが鹿に乗る………」ついつい小声でこそっと言ってしまうと、
「ね、やっぱりちょっと笑っちゃうよね?」鋭がこそっと相槌を打った。

 それからどんどん広場に人が増えてきて、中央に列をなした着飾った旅装束の人たちと、周囲に並んだ見送りらしい服装の人たちで、ぎっしりと隙間もないくらいになった。
(昨日の山のような荷馬車や荷車は、後方の脇に寄せられていた。)

「…刻限!」「まもなく!」「刻限!」
 これ以上はもう人が入れない…という頃、ドンドンと威勢よく大鐘と太鼓が打ち鳴らされた。
 居並んだ人たちが、ざっと威儀を正す。
「みな、御苦労!」
 例のおっかない皇女サマが、昨日マシカが世話をしていた特別に大きく立派な黒馬にまたがって、みごとに華麗な正装で、広場の中央の人並みを分けて堂々と進んできた。
「少し長い旅になりますが、みな無事であちらへ着くように! 留守の者たち、不安もあろうが、必ず和平を為して来る。しっかり頼みます!」
「道中、御無事で!」
 留守役の代表らしい身分の高そうな衣装の年輩の女の人が門の脇から進み出て来て、深々とした礼をとった。
 みな、唱和する。
「道中、御無事で!」
「…出発!」
 雄輝が、皇女の後ろ脇にみごとな金鹿毛の馬を並べて号令した。
「出発!」「出発!」
 伝令が次々と声を並べていく。
「行くよ? 笑って!」
 白い優雅な馬にまたがり、鞍の前にリツコを乗せて、鋭は皇女サマの後ろ、雄輝と並ぶ位置に、するりと当たり前のように並んだ。
 …つまり、リツコの位置は、一国の代表として旅に出る皇女サマの、すぐ、真後ろ。ということで……………

(きゃーーーーーーっ! 嘘っ! 聞いてなーーーーーーーいッ!)

 心の中で絶叫しながら、リツコはとにかく、必死で御愛想笑いをして、皇女サマと同じように、笑顔で出発の行列を、やりとげた…。


4-2. リツコ、センデンされる。

http://85358.diarynote.jp/201808251917305969/

 

4-2. リツコ、センデンされる。

 後から思いかえしても、つくづく、前から二番目なんていう身の程知らずの大それたポジションに強制参加じゃなくて、沿道の観客でいたかった…というのが、リツコの素直な感想だった。

 豊かな碧緑の巻き毛を風になびかせ朱紅に金糸の刺繍飾りのあでやかな衣装をまとい美しい黒毛の戦馬にまたがった、物語の主役たる風格ばつぐんの、文句なしの華やかさを誇る美人皇女殿下を先頭に。

 右後ろに並ぶ金色の馬にまたがるのは背中に翼ある戦士装束の雄輝。
 左後ろに並ぶのが白銀の馬にまたがる優しそうな絶世の美青年の鋭。
 二人の後ろに堂々たる角をそびえ立たせた大鹿に乗った美女マシカ。

(鋭の鞍にちょこんと載ってるあたしはこのさい余計だ。とリツコは思った)

 沿道に居並ぶ見送りの人々は、歓呼の叫びと噂話で、ぶんぶん唸るハチの巣のような有り様だった。

『見ろよあの先頭のかたがたが、戦を終わらせてくれた四軍神だ!』

『なんてお美しいのかしら皇女様!』

『きゃーーーーーーっ! リレク(鋭)様、お凛々しいッ!』
『ちょっと何よ、あのチビ?』
『泥球界(地球)からのお客人らしいよ。何でもさる有力な部族の長の縁者とか』
『泥球界の? 王族なの?』
『そうじゃないかぃ?』

(えぇぇぇぇっ!)とリツコは思った。

 いくらちょっとだけオシャレめワンピを着てみたからって、実は通販のしかもバーゲンで買った安物だ。『さる有力な部族』ってなに! たしかに大叔母様は朝日ヶ森の学長だけど、それって別に王家でもなんでもナイわよ!??

 むしろこの国の言葉が喋れなくて良かった。と、つくづく思った。話が出来たら絶対に、必死になって無責任な噂話を否定しにまわってしまっただろうから…

「…鋭ッ?なんかあの人たち、すっごい大誤解してない?」
 思わず小声で叫んでしまったリツコの百面相をにやりと笑い飛ばして、行列の間中、鋭はとにかく、「笑って! ほら笑って! 手を振って!」とだけ主張して、自分自身も率先してまわりじゅうに愛想をふりまき、観るひとすべてをその超絶笑顔うっとりとさせていた…。

 そんなこんなで街から出るだけでもしばらく時間がかかり。

「ねぇ鋭。もう笑うのやめていい?」

 ようやく道沿いに見送りの人が少なくなってきて、やっと聞けたころには、リツコの顔はばりばりに強張っていた…。

 それから歩いて来た時よりゆっくりぐらいの速度で《白の街道》を西の方角に戻ると、途中の河原でキャンプしていた薬師たちの一行の、半分くらいが荷馬車隊を率いて皇女の行列の後ろに入る。

 あとの半分くらいは、列には入らず解散する?らしい。

 夕暮れ前にその日の野営地らしい場所に着き、行列の後ろの荷馬車隊ががらごろと追いついてきて、食糧や天幕を降ろし火を起こして大人数分の食事の仕度を始める。

 荷を降ろすと、そのまま手を振って別れて元の街の方角へ戻り始める人たちも数十人あった。

「リツコ、今日もあたしと一緒の天幕だけど、いいわよね?」

 あいかわらず小鳥とかの群れに取り囲まれながら大鹿から降りてやってきたマシカにそう言った頃、ちょうどリツコの「聞いた話が解る魔法」はとけてしまったのだった…。

(鹿は勝手に歩いて行って、そのへんの草で食事を始めた)

 そんな風にして、この旅は始まった。

 



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