目次
(借景資料集)
【速報!】 第2回 「青い鳥文庫小説賞」
(第4稿)
(第4稿)as(最終稿)
(添付挨拶状)
(あらすじ) (2018年9月23日)
序章 《 朝日ヶ森 》
第1章 リツコ、異世界へ行く。
第2章 リツコ、異世界で目覚める。
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、取材する。
第8章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第9章 リツコ、役に立つ。
終章 リツコ、地球に帰る。
(第3稿)
(第3稿)
(表紙)
(あらすじ) (2018年9月16日)
序章 朝日ヶ森 学園
第1章 リツコ、異世界へ行く。 (2018年9月16日)
第2章 リツコ、異世界で目覚める。 (2018年9月16日)
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第8章 リツコ、戦う。
第9章 リツコ、地球に帰る。
(第2稿)
(第2稿)
(あらすじ) (2018年9月8日)
1-0-0.朝日ヶ森「学苑」(おもて)
1-0-1.朝日ヶ森(うら) (2018年9月8日)
1-1-0.リツコ、呼ばれる。 (2018年9月8日)
1-1-1. リツコ、出かける (2018年9月8日)
2-0-1.リツコ、異世界に着く。 (2018年9月9日)
2-0-2.リツコ、挨拶する。
2-1-1.リツコ、清峰鋭にあう。
2-1-2.リツコ、異世界の村へ行く (2018年9月9日)
2-1-3. リツコ、空を飛ぶ。 (2018年9月9日)
3-0-0. リツコ、悪夢をみる (2018年9月10日)(加筆)
3-0-1.リツコ、起こしてもらう。
3-0-2. リツコ、情報交換する
3-1-0.リツコ、朝寝坊する。
3-1-1.リツコ、右将軍にあう。
3-1-2.リツコ、皇女に会う
3-1-3.リツコ、マシカとあう。
3-1-4. リツコ、市場へ行く。
3-1-5. リツコ、天幕に泊まる。 (2018年9月11日)
4-0. リツコ、早起きする。
4-1. リツコ、パレードに参加する。
4-2. リツコ、誇大広告される。
5-1. リツコ、旅をする。
5-2. リツコ、記録する。 (2018年9月12日)
5-2. リツコ、話せるようになる。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第6章 リツコ、旅をする。
(第1稿)
(第1稿)
(あらすじ) (2018年8月17日)
( 目次 ) (2018年8月18日)
0-1.(おもて) (2018年8月18日)
0-2.(うら) (2018年8月18日)
1.リツコ、親善大使になる (2018年8月18日)
1-1. リツコ、出かける
2. リツコ、異世界へ行く。
2-1.リツコ、挨拶する。
2-2.リツコ、清峰鋭にあう。 (2018年8月19日)
2-3.リツコ、運ばれる。
3.リツコ、白王都へ着く。 (2018年8月22)
3-1-0.リツコ、寝坊する。 (2018年8月22日)
3-1-1.リツコ、皇女に会う (2018年8月22日)
3-1-2.リツコ、マシカにあう。 (2018年8月24日)
3-1-3. マシカ、市場へ行く。 (2018年8月24日)
3-1-4. マシカ、天幕に泊まる。 (2018年8月24日)
4-0. リツコ、目覚める。
4-1. リツコ、行列に参加する。
4-2. リツコ、センデンされる。
5-1. リツコ、記録する。
5-2. リツコ、観察する。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。 (2018年8月26日)()
6-2. リツコ、小鬼を救う。 (2018年8月26日)
7. リツコ、まきこまれる。 (2018年8月26日)
8-1. リツコ、魘される。
8-2. リツコ、龍にのる。
9. リツコ、会議にでる
10-1. リツコ、よばれる。
10-2. リツコ、地球にかえる。 (2018年8月26日)
(草稿&没原稿)
(草稿&没原稿)
(1) 朝日ヶ森 (2018年6月3日)
『 リツコへ。 第一日 』 (@中学……1年か2年?) 
(あらすじ) (プロット&目次)
(あらすじ) (プロット&目次)
【投稿用】プロットメモ (2018年7月22日)
400字~800字程度のあらすじ。 (2018年8月17日)
(設定資料集)
(設定資料集)
このコだ! 「鍵になるキャラ」…っ!www (2018年6月30日)
(( ことばよ、つうじよ! ))  (2018年8月9日)
(サ行前の雑談など)
(サ行前の雑談など)
【ぐれてる理由】。(--;)。 (2018年5月13日)
『 リツコ 冒険記 』 ~ 夏休み ・異世界旅行 ~ (1) (2018年6月3日)
(案の定【天中殺中】で頓挫している) (2018年7月22日)
…ちっ! …やっぱり…『落ちた』か…★ (2018年8月12日)
次ぃ征くぞ! 次っ! (2018年8月12日)
★ 【講談社 『 青い鳥文庫 』 の呪い!?】の謎。 ★
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2-2.リツコ、清峰鋭にあう。 (2018年8月19日)

http://85358.diarynote.jp/201808191830401117/

 

2-2.リツコ、清峰鋭にあう。


膝丈のおちびさん達よりはだいぶ大きいとはいえ、地球の日本の小学校高学年としては標準サイズのリツコと同じくらいの身長しかない、おとな兎たちの群れの後ろから、ひょひょいと胸半分ほど上に現われた青年は、ものすっごい美青年?だった。

(…うそっ? 少女漫画かアニメかなんかっ?)

リツコはちょっと呆然とする。

すらりと伸びた細身で、薄茶色のさらりとした髪は肩にかかるくらい長くて、優しそうな色白で、瞳も澄んだ明るい茶色で、きらきらしていて、とても優しそう…

ぽかんと口を開けて上を向いて見惚れているリツコにちょっと困った笑顔で、

「…リツコさんだよね? 遅れてすいません。迎えの者です。」

「はいっ! 高原リツコですっ! 高天原からテンを抜いたタカハラ! リツコはぜんぶカタカナっ!」

見惚れていたのが決まり悪くて、リツコは思わずフルサイズで自己紹介をしてしまった。

(…あ、恥ずかし~!)

「…どうぞよろしく? ぼくは、清峰鋭といいます。」

「……………嘘っ?!」

「え?」

「…だって! それ大叔母さんの初恋の人!…の名前! …ってことは、七十歳は過ぎてる筈でしょうっ?」

「…あ~、…聞いてないかな? 向うとこっち、時間の流れもトシのとりかたも違うんだよ…」

「聞いてないっ!」

…美青年なお兄さんは、困ったような笑顔で、にっこり笑った。

「じゃあ、解らないことは後で話すから、道中、何でも聞いて?」

(…つまり、今はその場合じゃない。ってことよね…?)

いちおう考えたリツコは、とりあえずハイと頷いた…

 


2-3.リツコ、運ばれる。

http://85358.diarynote.jp/201808191925435874/

 

2-3.リツコ、運ばれる。


わきゃわきゃとからみついてくる仔猫なこどもたちと垂れ耳ウサギなおとなの女性たちと一緒に歩いて村まで降りて行くと、そこにいたどうやら垂れ耳が広くて犬似の顔のひと?たちは、どうやら同族の男性らしかった。

案内された村一番の大きな家の庭先の木の下の居心地のいいテーブルで、出してくれた果汁や香草のお茶や飾り切りの果物や木の実を潰して焼いたお好み焼きみたいな見た目のお菓子をすべてたいらげた後、やおら大学ノートを取り出して、リツコは清峰鋭に尋ねた。

まずは日付を書こうと思ったけど、リュックから出してみた電子機器類はすべて圏外どころか教えられていた通り画面が真っ暗で、スイッチをいくら押してもうんともすんとも、電源すら入らない。

「…ほんとだ…」

「それは聞いてた? こっち電気を使うものは全部ダメなんだ。物理法則が根本から違うらしくて。」

「空とか木とか、見た目はおんなじなのにねー。」
「空と太陽と風だけが共通項、って言われてる。」
「ふーん…」

日付と時間はあきらめて、「訪問1日目。昼ご飯のあと。」とだけ書いて。

大叔母様から山のように渡された体験報告記入用の大学ノートの一冊目に、やはり1ダース入りの匣ごと渡された鉛筆の1本目をがりがり削って、ざっと報告のメモだけ書いて、仔猫とおとな兎とおとな犬?の見本を家族風に並べた落書きを手早く描いて、

「ねぇねぇ、このひとたちは、なんていう名前?」

「本人たちはマウレイレイって名乗ってる。うさぎひと族。みたいな意味かな。
 まわりからはもっぱら猫兎とか犬兎とか… リツコ、イラスト巧いね?」

「あ、ほんと?」

「うん。簡単な線なのに、特徴をよく捉えてる。」

「わーい褒められたー♪♪」

素直に喜ぶリツコの笑顔に、美青年もつられて笑った。

「適任者が行くわよ!って清瀬さんが手紙に書いてきた意味が分かったよ。」
「なんでー?」

「前に来たオトナは、電波が通じなくてもデジカメとパソコンで記録は撮って帰れるだろ。…って思ってたらしくて…機械全滅で、アイデンティティーが崩壊してた。」

「うーん…」

リツコは苦笑する。オトナって…ときどき、「使えない」よね…。

「ところでリツコ、きみは馬には乗れる?」
「…動物園とかの10分1000円のやつしか乗ったことない…」
「じゃあやっぱり、運んでもらったほうがいいねー。」
「はい?」

リツコがきょとんとしている間に、うさぎ人たちと普通にネイティブ言語で会話して、打ち合わせだの連絡だの会議だの?していた清峰鋭は…(うさぎ人たちからは何故だか「ミキーレ」と呼ばれていた)…何か指示をひとつ追加すると、しばらくしてその返事が返ってきたらしく。

「そろそろ、行くよ?」とリツコに声をかけて、どうやら「ごちそうさま」に相当するらしいお礼のコトバを言って、席を立った。

リツコも慌てて同じコトバで挨拶してみて、荷物をまとめて後を追う。

そこに待っていたのは…

背中に翼の生えた…鳥人間?…の一族の人たちで…

や、…槍刀? 剣かな? …で、武装?していて…

なにか運動会の球入れのカゴのようなでかい蔦網の籠を持ってて…

「リツコ、高所恐怖症じゃないよね?」

にっこり笑った清峰鋭に指示されて、リツコは恐る恐る、その籠に乗って…

翼人間たちが4人かかりでロープを持って舞い上がり…

(……………きゃーーーーーーーーーーーっ!)

必死で声を呑みこむリツコだけを乗せて、カゴはどんどん空高くに上がって行き…

恐る恐る見下ろしてみると…

清峰鋭は騎馬の一団とともにはるか下の草原を駆けているのが…

遠目に見えた…

(嘘つきーっ! 「道中、何でも聞いて?」って言ってたくせにーーーっ)

心中で絶叫すること数時間。

夕陽が赤く燃え上がる頃、空飛ぶ籠は、ようやく地面に着いた…。


3.リツコ、白王都へ着く。 (2018年8月22)

http://85358.diarynote.jp/201808221403234175/

 

3.リツコ、白王都へ着く。


3-0.リツコ、寝こける。


 リツコは、うなされていた。

「お母さん! お父さんっ! 早くっ! …早く! 逃げてっ!!!!」

 いつもの夢だ。怖い夢。もう、起こってしまったこと。そして、…

「…リツコ! リツコ! 起きて! …夢だよ、起きて!」

「…お母さんッ!」
 リツコは飛び起きて、声をかけてくれた人に必死でしがみついた。
「あぁ良かった…無事だったのねっ!」
「…リツコ…」
 …ん??
 ぎゅっと抱き着いてみたら…違う…?
 硬いし、細いし…
 これ、お母さんじゃないし…お父さんでもないし…大叔母様でもないし…
「…………あ!? 鋭? ………ごめんねっ? …あ、あたし…寝ぼけて…っ」 びっくりして飛びすさったら、「ううん。」と、美青年は優しく笑ってくれた。
 …やっぱり見惚れる。
 鋭はまた苦笑して、
「それにしても、度胸がいいねーぇ? 天運籠のなかで気がついたら爆睡してたって。鳥人のみんな、呆れてたよ?」
 うなされていたことは無視してくれて、にやにやからかってくる。
「え? …えぇ?」
 リツコは慌ててあたりを見回した。
 知らない部屋だ。
「…ここ…??」
「うん。日が暮れる寸前くらいに白王都に着いたんだけど。いくらゆすっても起きないからさ。…運んじゃった。」
「……うわーっっ?? ごめんねっ?」
「ううん~? 軽かったし。」
「え~? 軽くないよ~?? 重いよ~??」
 リツコはぱたぱたと顔とか髪とかに手をやって赤面した。いや~ん…っっ
「だってさっ!だって向う側の木の穴からえいっって出発したのは夕陽が沈んだ後だったのにっ! こっち着いたらまだお昼前で! お昼2回も食べたでしょっ? 飛んでるあいだあたしは暇だったしぃっ!」
 とりあえず必死で言い訳してみる。
「うん。きみが適応能力のとても高い大物の卵だってことは、よく解ったよ?」
「いや~んっ!」
「知らないところでさ。一人で目が覚めたら、いやでしょ? お腹もすいてるだろうと思って。」
 優しい口調ながらまじめな顔に戻って言うと、リツコが寝かされていたベッドを覗き込んでいた鋭はひょいと立って歩いて行き、部屋の中央の食卓と椅子らしいセットのほうへ戻った。
「ごはん用意しておいたから。…あ、手と顔が洗いたかったらそっちね。トイレもそっち。」
「ありがとっ!」
 リツコは清潔で気持ちのいい木の床の草編みらしい模様入りのゴザのようなものの上をぱたぱたと裸足でかけていって、教えられた場所でトイレと洗手洗顔を済ませて、ぱたぱたと走って戻った。
 置いてあった箱形のお盆?の蓋をとると、ふわりと優しい香りがする。
「わぁ、美味しい!」
「そぉ? 良かった。」
 何種類かの野菜と何かの肉と小魚…を、香草と一緒に蒸して和えたらしい簡単だけどすごく美味しいおかずが山盛りと、おせんべいと焼きおにぎりの中間のようなしっかりしっとりした噛みごたえの、何かの穀物の粉を練って平たくして焼いた、主食らしいもの。
 箸休め?的なちょっと摘まめるコリコリした歯ごたえの何か。浅漬けみたいな感じの新鮮な生野菜が数種類。それからデザートに、食べやすいように切ってあった汁けたっぷりの甘酸っぱい香り高い果物!
 それらをがっついている間に、鋭が卓上焜炉的なものの鉄瓶からお湯を注いで、温かい草のお茶を淹れてくれる。
「ふ~ぅ。おなかいっぱーい!」
「おなか落ち着いたらもう一度眠るといいよ。まだ朝まで時間あるから。」
「もしかしなくてもあたしのために起きててくれたの?」
「まぁやることも色々あったし。夜中に寝ぼけますからよろしくって、清瀬さんからの手紙にも書いてあったし。」
「えぇ!?」(…はっずかし~っ!)
 …と、身もだえしてみせると、鋭はまたふふっと笑った。
「まぁフツウ組のひとが朝日ヶ森に保護されてるからには、何か事情があるとは思ってたけど」

「…鋭は、地球のジジョウについては、どれぐらい知ってるの?」
 リツコは思い切って聞いてみた。なにしろ知らないことだらけだ。

「う~ん。清瀬さんからは何も聞いてないの?」
「そんな暇なかったもん。初恋の人だ~ってノロケ始めちゃったし。」
「えぇ? それ初耳!」
「え、うそ? しまった!」
 リツコは慌てて口をふさいだ。遅いけど…
「…言っちゃったこと、内緒ね…?」
「う~ん、まぁ時効だし…。なにしろそっち時間だと、五十年も経ってるし…。
 でも清瀬さんとはほんと喋ったこともあまり無かったんだよ? 数十年ぶりに地球側と連絡がとれて、当代の朝日ヶ森の学園長が清瀬律子サンって署名してあっても、最初は同じ人だと思わなかったくらいで。」
「そうなんだ?」
「うん。…そもそもなんで彼女が朝日ヶ森にいるのさー?」
「え? 同級生だったんじゃないの?」
「その前にいた全く普通の地元の学校でだよ。今のキミと同じ4年生の時にね。彼女転校生だったし。そのころ口がきけなくて筆談だったし」
「あ、それは聞いたことある。心因性とかのショックで喋れなかったって。」
「それで僕はIQ高かったんで《センター》に誘拐されて。」
「えぇ?」
「逃げ出して朝日ヶ森に保護されて…そしたら何故か清瀬さんも朝日ヶ森に保護されてて… まぁ色々あって僕その直後にこっち側に飛ばされちゃったから、以来五十年?お互い音信不通。」
「そうなんだー?」
 リツコはちょっと目を丸くして混乱した。話の全体像がよく解らない…けど。
「あたしはほんとにフツウなのー。お父さんお母さんがハンセイフって目ぇつけられちゃって。逮捕に来たから『逃げて!』って言って。走って逃げたらばらばらになっちゃって。それで山ん中で一人でサバイバルしてたら朝日ヶ森のひとが保護しに来てくれて。でもお母さんたちは先に亡命しちゃったんだって。次のルートが確保できるまで、朝日ヶ森で待ってなさいって。」
「…ほぼ僕と同じ状況らしいけど。…それを『普通』って言っていいのかなぁ…。」
 鋭が苦笑して遠い目をする。

「それでか。『こっちとそっちの行き来を兼ねて別の場所に出られないか』って質問」
「え?」
「聞いてない? リツコこっちに来たあと朝日ヶ森に戻すか、もし可能なら、地球上の別の場所に出してくれてもOKって。」
「そうなんだ…」

「でもキミの今回の時差の件もあるし、ルートがほんとかなり不確定なんだ…。
 ぜったい安全って確認できるかどうか、もうちょっと待っててね。」
「うん。わかった。」

 それからしばらくはリツコが地球と日本の最近の事件の話をして、うとうとしはじめたら布団に入れと言ってもらって。

 …最後にみた大きな満月が、地球より大きいな~と思ったところまでで、リツコの記憶は途切れた…。

 


3-1-0.リツコ、寝坊する。 (2018年8月22日)

http://85358.diarynote.jp/201808222012536184/

 

3-1.リツコ、謁見する。

3-1-0.リツコ、寝坊する。

 再び目が覚めると、どうやらもうすっかり朝も遅い、という時間帯のような雰囲気だった。大小色々いるらしい鳥の声が賑やかで、人の声や馬?のいななきとかのざわめきも遠くから聴こえる。
「…んんん……よっく寝た…?…あれ…???」
 あたりを見渡して知らない部屋だということを再確認して、昨日なぜか異世界とやらに来てしまったんだった…ということをぼんやり思い出し、
「…夢じゃなかった!」…と、正気にかえって、慌てて起き出した。
 着ていたのは持参した寝間着で、自分で着替えたのは覚えてる。
 木と竹?と紙と布でできたシンプルな…何というか和モダン?…風なしつらえの部屋のなかで慌てて昼の服に着替える。…そうだ。脱いだ服の洗濯は、どうしたらいいのかな…?
 昨日おしえてもらった場所でトイレと洗面を済ませて、水はたっぷりあったし天気も良かったので、ついでだから大きな盥でじゃぶじゃぶ洗濯もしてしまって、邪魔にならないかなー?と思いながら土間のすみっこの植え込みの枝に紐をかけて勝手に干す。
 昨日と同じように卓の上に用意されていた朝食らしいものを勝手にたいらげる。
「いただきます!………ごちそうさまでした!」
 3分でがつがつ平らげると…物音を聴きつけてやってきたのか、旅館の中居さんのような感じの動きやすそうな服装をした知らない女のひとがにっこり笑って立っていた。
「あにょんまるにえん、えなら?」
「あっ!おはようございますっ!ごあん勝手にいただきましたッ!」
 おもわず噛んじゃいながら慌てて挨拶すると、にっこり笑って「えんえん。」と返事をしてくれた。
「まによ?」
 リツコの食べ終えた食器を手早くまとめて持って、「ついて来て?」という風に首をかしげるので、リツコは急いでリュックをひっかけて、あわててついていった。

 行った先には鋭がいた。
 大きな部屋で、同じような服装と髪型をした同じような雰囲気の人たち沢山と、地図だの一覧表だのを広げて、慌ただしく何かの打ち合わせをしている感じ。
「まるにえん。えーらんてーい。」
 女のひとが声をかける。鋭が降り向いた。
「あるっくあい。…あ、リツコ起きた?」
「おはようございますっ。寝過ごしてごめんなさいっ!」
「い~よ~?」
 それから鋭は周りの人に声をかけ、自分の見ていた書類は簡単に片づけて、上衣を手にとった。
「じゃ、行こうか。」
「どこへ?」
「皇女サマにご挨拶~。」
「えぇ!?」
「あれ、ゆうべ言わなかったっけ?ここの皇女サマって朝日ヶ森に居たんだよ。
『霧の校庭・運動会行方不明伝説』って、学園七不思議になってるって聞いたけど。」
「え~っ? 何十年か前の、障害物競走の途中で生徒3人がイキナリ消えた謎?
 …あれ実話だったんだ…」
「そうそう。そん時に巻き込まれた僕がここに居るからねぇ。」
 …つくづくあの学校はフシギだらけだ…とリツコがあきれながら鋭と一緒に歩いて行くと、玄関らしき場所に出て、
「あっあたし靴っ」
「だいじょうぶ、昨日ここで脱がせたから、ここにある。」
「あっそうなんだ~。」
 ほんとに鋭って気配りというか、用意がいい人だなぁ…と感心する。

 玄関先の気持ちの良い小径を歩いていくと、すぐに大きな道に出た。
「うわ…」
 市場だった。いや…大きな町? 商店街…?
「とりあえず質問と観光は後にしてー。皇女サマは怒らせると怖いからー」
 きょろきょろしながら呆然と立ち止まってしまったリツコの肩を押して鋭が苦笑する。
「それでなくてもキミきのう寝ちゃったからさ? 歓迎パーティーすっぽかしたんだよー」
「…きゃーーーーーっ! ごめんなさいっ!」
 リツコは恥ずかしくて悲鳴をあげた。

 さらに歩いて行くと開放的な感じの大きな門があって…
 特に検問とか見張りとかは何もなくて、ひょいとくぐると、入ってすぐのところに、大きな男の人が立っていた。
「おう鋭! 来たか! そのコか?」
「うん雄輝。この子だよ~、高原リツコ嬢。」
「あっこんにちわっ! タカハラですっ! よろしくお願いしますっ!」
「リツコ、これが『校庭行方不明事件』のもう一人。翼雄輝。」
「おう、よろしくな。タカハラって何県のタカハラ家?」
「…………翼…………!」
 リツコは質問されてることに返事ができなかった。紹介された人の背中に大きな翼があったから。
「ん?珍しいか? 朝日ヶ森にも居るだろう?」
「居るけど… 怖くて殆ど話せなかったし…」
「あ~、天狗系のやつらは、気難しいからな~…」
 そういう問題だっけ…
「おれは善野の鷹羽ヶ峰の一族の、元主家の翼の最後の一人。…って解る?」
「ごめんなさい。わかんないです。うちは一族って滅んじゃて残ってないので。
あたしたちは、分家の分家で。…大叔母様か、お父さんなら知ってるかもだけど…」
「あ~気にすんな、そんなもんそんなもん。」
 からからと笑って男の人はリツコの肩をぽんと叩いた。
「マダロ・シャサ!」
 ちょっと離れたところから呼ばれたのは、その翼のある人のこっちでの名前らしい。
「じゃな。マーシャ怒ってるからな~。せいぜい庇ってやれよ?」
「…うへぇ…」
 鋭が、すっごい嫌そうな声を出した… (リツコはびっくりした。)

 


3-1-1.リツコ、皇女に会う (2018年8月22日)

http://85358.diarynote.jp/201808222150112690/

 

3-1-1.リツコ、皇女に会う

 少し足早になって歩いて行く。そこはかなり大きな広場で、馬車?や荷車らしきものや、きのう乗せてもらったような飛び籠と同じようなものが大量に並べられ、そこへひっきりなしに人や馬が荷物を運び込んできて、移し替えたり、積み上げたり…何か同じような風景を観たことがある…とリツコが思い出してみると、前にテレビで見たシルクロードのキャラバンの準備に似ていた。
 どうやら大勢で旅に出る?仕度をしているらしかった。
 その前庭を抜けると綺麗に手入れされた植え込みに飾られた広い道に出て、そこを少し歩くと正面に宮殿?らしいものがあった。
 リツコの記憶でいうと一番似ているのが奈良とか日光とかにある寺院建築で…鮮やかな朱紅と緑の飾り彫りで覆われた木造建築。ってところなんかそっくりだと思う。
 案内も請わずに鋭はすたすたと宮殿の小道の奥まで入っていくのでリツコも遅れないように後を追う。
 通りすがりの役人らしい人たちが鋭を見るとみな頭を下げる。
「マウレィディア!」
「マウレィディア、リレク、エイセス!」
「マウレィディア。」
 鋭はうなずくだけで軽く返して、どんどん歩いて行く。

「アウレクセス、マルニエン、エネ?」
 広間の入り口の椅子に並んで腰かけている人たちの先頭には頭を下げ手刀で拝むようなしぐさをしながら声をかけると、
「マウレニエン、エネ、エネ!」
(どうぞお先に!)と言っているのだろう仕草で、相手の人は喜んで順番を譲った。

 広間で謁見の最中だった人がそのやりとりにふりむいて、急いで自分の席を譲ろうとする。
「アウネ、ソノ!」
 若い女性の声が鋭く響いて、その人はまたちょっと困った顔で、前に向かいなおした。
(構わない、続けて!…って言った?)
 リツコは推測する。
 どうやらそこが謁見の間…正面に座っているのが、これから挨拶する「皇女サマ」らしかった。
 若い女の人だ。さっきの男の人…翼雄輝…と同じくらいの年齢に見える。つまい鋭よりは何歳か年上? まぁ地球人の時間の感覚で、だけど。
 碧色の豪華な巻き毛を肩のまわりに広げて、朱色と金色のすっきりと美しい衣装を身にまとい、美人だけどかなり性格キツそうな顔で、ちょっと苛苛した感じで眉をしかめながら、前に座った人の報告を聴き、いくつか指示を出して確認を得てから、仕種と声とで退出を命じる。

「遅いわよ、あなた!」次にいきなり日本語で怒られてリツコは飛びあがった。
「昨夜は歓迎の宴を用意したのにすっぽかすし! 今日は私もう出なくちゃいけないのにいつまでも待たせるし! それになに? チビな上にタダビト組なの?
 なんで清瀬律子が自分で来なかったのかしら!」

 これはもう挨拶とか自己紹介とかさせてもらえるどころじゃない。
 リツコはふるえあがった。
「あのぅ…ゆうべはスイマセンでした。あたし時差ボケで、寝ちゃって…それに大叔母様たちは今すごく忙しいんです。最近大掛かりなテキハツがあって、大勢タイホされちゃったんで…」
「…あら、そう…」美人皇女は、素早く眉をしかめた。

「鋭、その報告は後で聞くわ。今日はとにかく忙しいのよ。その御チビさんで大体揃ったし。明日はもう出発するわよ! あなたも準備急いで!」
「らじゃ。」
 鋭はちょっとふざけた感じで地球式の挙手の礼をすると、あわあわしているリツコの肩をさっきと反対側に押して、とっとと逃げ出した…。

 



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