目次
(借景資料集)
【速報!】 第2回 「青い鳥文庫小説賞」
(第4稿)
(第4稿)as(最終稿)
(添付挨拶状)
(あらすじ) (2018年9月23日)
序章 《 朝日ヶ森 》
第1章 リツコ、異世界へ行く。
第2章 リツコ、異世界で目覚める。
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、取材する。
第8章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第9章 リツコ、役に立つ。
終章 リツコ、地球に帰る。
(第3稿)
(第3稿)
(表紙)
(あらすじ) (2018年9月16日)
序章 朝日ヶ森 学園
第1章 リツコ、異世界へ行く。 (2018年9月16日)
第2章 リツコ、異世界で目覚める。 (2018年9月16日)
第3章 リツコ、皇女様にあう。
第4章 リツコ、仲良しができる。
第5章 リツコ、旅に出る。
第6章 リツコ、旅をする。
第7章 リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第8章 リツコ、戦う。
第9章 リツコ、地球に帰る。
(第2稿)
(第2稿)
(あらすじ) (2018年9月8日)
1-0-0.朝日ヶ森「学苑」(おもて)
1-0-1.朝日ヶ森(うら) (2018年9月8日)
1-1-0.リツコ、呼ばれる。 (2018年9月8日)
1-1-1. リツコ、出かける (2018年9月8日)
2-0-1.リツコ、異世界に着く。 (2018年9月9日)
2-0-2.リツコ、挨拶する。
2-1-1.リツコ、清峰鋭にあう。
2-1-2.リツコ、異世界の村へ行く (2018年9月9日)
2-1-3. リツコ、空を飛ぶ。 (2018年9月9日)
3-0-0. リツコ、悪夢をみる (2018年9月10日)(加筆)
3-0-1.リツコ、起こしてもらう。
3-0-2. リツコ、情報交換する
3-1-0.リツコ、朝寝坊する。
3-1-1.リツコ、右将軍にあう。
3-1-2.リツコ、皇女に会う
3-1-3.リツコ、マシカとあう。
3-1-4. リツコ、市場へ行く。
3-1-5. リツコ、天幕に泊まる。 (2018年9月11日)
4-0. リツコ、早起きする。
4-1. リツコ、パレードに参加する。
4-2. リツコ、誇大広告される。
5-1. リツコ、旅をする。
5-2. リツコ、記録する。 (2018年9月12日)
5-2. リツコ、話せるようになる。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。
第6章 リツコ、旅をする。
(第1稿)
(第1稿)
(あらすじ) (2018年8月17日)
( 目次 ) (2018年8月18日)
0-1.(おもて) (2018年8月18日)
0-2.(うら) (2018年8月18日)
1.リツコ、親善大使になる (2018年8月18日)
1-1. リツコ、出かける
2. リツコ、異世界へ行く。
2-1.リツコ、挨拶する。
2-2.リツコ、清峰鋭にあう。 (2018年8月19日)
2-3.リツコ、運ばれる。
3.リツコ、白王都へ着く。 (2018年8月22)
3-1-0.リツコ、寝坊する。 (2018年8月22日)
3-1-1.リツコ、皇女に会う (2018年8月22日)
3-1-2.リツコ、マシカにあう。 (2018年8月24日)
3-1-3. マシカ、市場へ行く。 (2018年8月24日)
3-1-4. マシカ、天幕に泊まる。 (2018年8月24日)
4-0. リツコ、目覚める。
4-1. リツコ、行列に参加する。
4-2. リツコ、センデンされる。
5-1. リツコ、記録する。
5-2. リツコ、観察する。
6-1. リツコ、囚われてはいないお姫様にあう。 (2018年8月26日)()
6-2. リツコ、小鬼を救う。 (2018年8月26日)
7. リツコ、まきこまれる。 (2018年8月26日)
8-1. リツコ、魘される。
8-2. リツコ、龍にのる。
9. リツコ、会議にでる
10-1. リツコ、よばれる。
10-2. リツコ、地球にかえる。 (2018年8月26日)
(草稿&没原稿)
(草稿&没原稿)
(1) 朝日ヶ森 (2018年6月3日)
『 リツコへ。 第一日 』 (@中学……1年か2年?) 
(あらすじ) (プロット&目次)
(あらすじ) (プロット&目次)
【投稿用】プロットメモ (2018年7月22日)
400字~800字程度のあらすじ。 (2018年8月17日)
(設定資料集)
(設定資料集)
このコだ! 「鍵になるキャラ」…っ!www (2018年6月30日)
(( ことばよ、つうじよ! ))  (2018年8月9日)
(サ行前の雑談など)
(サ行前の雑談など)
【ぐれてる理由】。(--;)。 (2018年5月13日)
『 リツコ 冒険記 』 ~ 夏休み ・異世界旅行 ~ (1) (2018年6月3日)
(案の定【天中殺中】で頓挫している) (2018年7月22日)
…ちっ! …やっぱり…『落ちた』か…★ (2018年8月12日)
次ぃ征くぞ! 次っ! (2018年8月12日)
★ 【講談社 『 青い鳥文庫 』 の呪い!?】の謎。 ★
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2. リツコ、異世界へ行く。

http://85358.diarynote.jp/201808191550129196/

 

2. リツコ、異世界へ行く。


2-0.リツコ、異世界に着く。


はじめ何も視えなかった。とにかく眩しかった。

(…太陽…? …は、…地球とおんなじ光? なのかな…??)

とりあえず薄目だけ開けて、手のひらで顔の上を遮ってみた。

反対側の手でからだとまわりを探ってみる。

…怪我はない。まわりは…もふもふ? もそもこ? …している…???

しばらくして、自分が何か柔らかくて細かいもの?のやまの中に埋もれこんでいる…? ということが判った。

薄目だけ開けながら、もっそもっそと手探り膝さぐりで、何かふかもこしたものが、上から落ちて来たリツコを受け止めた衝撃で弾け跳んだらしい綿埃?…らしきものが光の中を舞い踊っているなか、1mほどの斜面をのそのそよじ昇る。

ちょうどそのくらいから、まわりのあちこちから、声が聞こえ始めた。


「…ま~るめる! まるった! えら。えららう。まるる~ん…???」

「えるった!らう!」

「まるぇ? えら。あらぅ。…あろ、…あっかせっか!」

「か~ぃせ! えのっかあるっか、らぅらぅらぅ。あごん!」

「まれった!」


…そんな感じのまるまるした可愛い声の、可愛いコトバで…

…もちろん、ひとっことも、解らない…!

(………ほんっとに、異世界? 来ちゃった~???)

…そう思いながら、もこもこの白い山の上からようやく顔を出すと。

「えらっ! あまっあまままあまま、あそっ?」

可愛い仕種で、どうやら「だいじょうぶ~?」と心配してくれているらしい声が、かかった。

(…か、かわいい…っ ♡ ♡ ♡ )

語尾と目じりが思わずハート型になってしまうような生き物たちが、そこらじゅうにいた。

全体的に、白くてもこふわ。

うさぎのようなふわふわ毛並みの、見た目はむしろ猫? …二足歩行の…猫??

サイズはかなり小さそうだ。リツコの膝上までぐらい?

「あいにゃ! うにゃう?」

リツコはへろっと笑いながら、とりあえず手を振ってみた。

「ごめん! コトバわかんない! ケガはないよ~。だいじょぶ!」

それからちょっと心配になって体の下のもふもふを手にとってよく見てみた。

白猫?たちとよく似た色だから、下敷きにしたのかと思って。

(…違うみたい…これは…毛玉? …繭…???)

なんかカイコのような大きさの、毛玉…毛糸玉? のようなものが、いかにも「落ちて来くるもの受けとめ用クッション」という形に盛り上げられた…

そこは、大きなテント…ティピ? のような… 布だか皮だかでまわりをぐるっと囲まれた…

大樹の、下だった…


2-1.リツコ、挨拶する。

http://85358.diarynote.jp/201808191754076232/

 

2-1.リツコ、挨拶する。


古びて節くれだってぼこぼこと溝やウネができてところどころに緑の苔まで生えた大樹の根元、眩しい陽光が燦燦とさしこむあたり。

巨木の幹にできた大きな空洞(うろ)から「何かが落ちてきたら」受けとめられるように…と、高さ三~四メートルほどに積み上げられていた「もこもこ」の山の斜面をずるずると滑り降りてみて、そこでリツコはしばらく困り果てていた。

膝丈ほどの二足歩行の「喋る猫」…としか思えない白くてふわふわの生き物の群れにわらわらと取り囲まれて、

「まうまうまう」
「あうれ?」
「あっかのおっか?」
「おねぅおねぅ!」

などなど…ちっとも解らない言葉で、おそらく質問責めに?されたあげく、よじよじとリツコのからだに登り始めて頭の上に乗っかっちゃったりする、おちびさんまでいる…

(………えーとぉ。これは~………☆)

ふかふか可愛い生きものにまとわりつかれて思わず撫でてみたり、へろ笑いをしながらも困り果てていると、すこし離れたところから、すこし違う声が響いた。

「えっけれねん! あうら! かなりっこさる!」

とたんに、リツコをとりまいていたチビさんたちが慌てて動き始めた。

「あけーーーーーね!」

なんとなくリツコにも意味が分かった。

『あんたたち何やってるの、だめでしょ! 離れなさい!』
『はーい!』

くらいの話じゃないかな? たぶん…

ちびさん達がどいてくれた隙に慌てて立ち上がると、やってきた人?たちの姿がようやく見えた。

(…あれ…?)

膝丈ほどのちびさん達は、とにかく「仔」猫(?)だったらしい。

やってきたのは大人?で…そして。

横丸な顔で耳も短くて猫似の仔どもたちに比べると、やってきた数人?(匹?)は、おそらく育つにつれて顔も手足も縦長になり…

耳が長く立ち上がり…やがては垂れて…地球でいう「垂れ耳うさぎ」が二足歩行で、服着て荷物も持ってきた…としか見えない、人?たちだった…

(…えーと!)

リツコはとりあえずとにかくピシッと「気をつけ!」の姿勢をしてみた。

「こんにちは! はじめまして、高原リツコっていいます。よろしくお願いします!」

きちんとした大人たちがきちんとした時にきちんとやるみたいに、きちんと手をそろえてきちんと頭を下げて、きちんとした挨拶をしてみる。

おとな兎?たちは、ちょっとキョトンとした後、やおら長い耳を頭上に掲げて左右にぱたぱたとうちふり、片手で巻きスカート?の脇をちょっとつまみながら膝をかがめて、

「まうまうまう!」と声をそろえた。

(まうまうまう?)とリツコは考える。

(さっきから何度も聞いたコトバだな~、あいさつだったのか!)

まねっこをして両手を耳のかわりに頭の両脇にたてて左右にふってみて、スカートは履いてないのでそこは省略して、膝だけまねっこしてぴょこんとかがんで、

「まうまうまう?」と、首をかしげながら挨拶をしてみた。

おとな兎たちはリツコの発音の悪さにウケたらしくて笑いながら、「まうまう!」と返事をしてくれた…

リツコはえへへと笑った。

「えっけれねん、あうりっこさるれぅある?」
「あっかいおす、おっかいねん?」

再び意味が解らない…

困り笑いをしていると、おとな兎たちのうしろから、新たな声が響いた。

「ごめんごめん!遅れた!やっぱりちょっと時間計算に誤差があったね!」

(…………日本語だぁ~!!!!)

こんな短時間でことばの壁からホームシックになりかけていたリツコは、自分がものすごいほっとしていることに、むしろ驚いた…

 


2-2.リツコ、清峰鋭にあう。 (2018年8月19日)

http://85358.diarynote.jp/201808191830401117/

 

2-2.リツコ、清峰鋭にあう。


膝丈のおちびさん達よりはだいぶ大きいとはいえ、地球の日本の小学校高学年としては標準サイズのリツコと同じくらいの身長しかない、おとな兎たちの群れの後ろから、ひょひょいと胸半分ほど上に現われた青年は、ものすっごい美青年?だった。

(…うそっ? 少女漫画かアニメかなんかっ?)

リツコはちょっと呆然とする。

すらりと伸びた細身で、薄茶色のさらりとした髪は肩にかかるくらい長くて、優しそうな色白で、瞳も澄んだ明るい茶色で、きらきらしていて、とても優しそう…

ぽかんと口を開けて上を向いて見惚れているリツコにちょっと困った笑顔で、

「…リツコさんだよね? 遅れてすいません。迎えの者です。」

「はいっ! 高原リツコですっ! 高天原からテンを抜いたタカハラ! リツコはぜんぶカタカナっ!」

見惚れていたのが決まり悪くて、リツコは思わずフルサイズで自己紹介をしてしまった。

(…あ、恥ずかし~!)

「…どうぞよろしく? ぼくは、清峰鋭といいます。」

「……………嘘っ?!」

「え?」

「…だって! それ大叔母さんの初恋の人!…の名前! …ってことは、七十歳は過ぎてる筈でしょうっ?」

「…あ~、…聞いてないかな? 向うとこっち、時間の流れもトシのとりかたも違うんだよ…」

「聞いてないっ!」

…美青年なお兄さんは、困ったような笑顔で、にっこり笑った。

「じゃあ、解らないことは後で話すから、道中、何でも聞いて?」

(…つまり、今はその場合じゃない。ってことよね…?)

いちおう考えたリツコは、とりあえずハイと頷いた…

 


2-3.リツコ、運ばれる。

http://85358.diarynote.jp/201808191925435874/

 

2-3.リツコ、運ばれる。


わきゃわきゃとからみついてくる仔猫なこどもたちと垂れ耳ウサギなおとなの女性たちと一緒に歩いて村まで降りて行くと、そこにいたどうやら垂れ耳が広くて犬似の顔のひと?たちは、どうやら同族の男性らしかった。

案内された村一番の大きな家の庭先の木の下の居心地のいいテーブルで、出してくれた果汁や香草のお茶や飾り切りの果物や木の実を潰して焼いたお好み焼きみたいな見た目のお菓子をすべてたいらげた後、やおら大学ノートを取り出して、リツコは清峰鋭に尋ねた。

まずは日付を書こうと思ったけど、リュックから出してみた電子機器類はすべて圏外どころか教えられていた通り画面が真っ暗で、スイッチをいくら押してもうんともすんとも、電源すら入らない。

「…ほんとだ…」

「それは聞いてた? こっち電気を使うものは全部ダメなんだ。物理法則が根本から違うらしくて。」

「空とか木とか、見た目はおんなじなのにねー。」
「空と太陽と風だけが共通項、って言われてる。」
「ふーん…」

日付と時間はあきらめて、「訪問1日目。昼ご飯のあと。」とだけ書いて。

大叔母様から山のように渡された体験報告記入用の大学ノートの一冊目に、やはり1ダース入りの匣ごと渡された鉛筆の1本目をがりがり削って、ざっと報告のメモだけ書いて、仔猫とおとな兎とおとな犬?の見本を家族風に並べた落書きを手早く描いて、

「ねぇねぇ、このひとたちは、なんていう名前?」

「本人たちはマウレイレイって名乗ってる。うさぎひと族。みたいな意味かな。
 まわりからはもっぱら猫兎とか犬兎とか… リツコ、イラスト巧いね?」

「あ、ほんと?」

「うん。簡単な線なのに、特徴をよく捉えてる。」

「わーい褒められたー♪♪」

素直に喜ぶリツコの笑顔に、美青年もつられて笑った。

「適任者が行くわよ!って清瀬さんが手紙に書いてきた意味が分かったよ。」
「なんでー?」

「前に来たオトナは、電波が通じなくてもデジカメとパソコンで記録は撮って帰れるだろ。…って思ってたらしくて…機械全滅で、アイデンティティーが崩壊してた。」

「うーん…」

リツコは苦笑する。オトナって…ときどき、「使えない」よね…。

「ところでリツコ、きみは馬には乗れる?」
「…動物園とかの10分1000円のやつしか乗ったことない…」
「じゃあやっぱり、運んでもらったほうがいいねー。」
「はい?」

リツコがきょとんとしている間に、うさぎ人たちと普通にネイティブ言語で会話して、打ち合わせだの連絡だの会議だの?していた清峰鋭は…(うさぎ人たちからは何故だか「ミキーレ」と呼ばれていた)…何か指示をひとつ追加すると、しばらくしてその返事が返ってきたらしく。

「そろそろ、行くよ?」とリツコに声をかけて、どうやら「ごちそうさま」に相当するらしいお礼のコトバを言って、席を立った。

リツコも慌てて同じコトバで挨拶してみて、荷物をまとめて後を追う。

そこに待っていたのは…

背中に翼の生えた…鳥人間?…の一族の人たちで…

や、…槍刀? 剣かな? …で、武装?していて…

なにか運動会の球入れのカゴのようなでかい蔦網の籠を持ってて…

「リツコ、高所恐怖症じゃないよね?」

にっこり笑った清峰鋭に指示されて、リツコは恐る恐る、その籠に乗って…

翼人間たちが4人かかりでロープを持って舞い上がり…

(……………きゃーーーーーーーーーーーっ!)

必死で声を呑みこむリツコだけを乗せて、カゴはどんどん空高くに上がって行き…

恐る恐る見下ろしてみると…

清峰鋭は騎馬の一団とともにはるか下の草原を駆けているのが…

遠目に見えた…

(嘘つきーっ! 「道中、何でも聞いて?」って言ってたくせにーーーっ)

心中で絶叫すること数時間。

夕陽が赤く燃え上がる頃、空飛ぶ籠は、ようやく地面に着いた…。


3.リツコ、白王都へ着く。 (2018年8月22)

http://85358.diarynote.jp/201808221403234175/

 

3.リツコ、白王都へ着く。


3-0.リツコ、寝こける。


 リツコは、うなされていた。

「お母さん! お父さんっ! 早くっ! …早く! 逃げてっ!!!!」

 いつもの夢だ。怖い夢。もう、起こってしまったこと。そして、…

「…リツコ! リツコ! 起きて! …夢だよ、起きて!」

「…お母さんッ!」
 リツコは飛び起きて、声をかけてくれた人に必死でしがみついた。
「あぁ良かった…無事だったのねっ!」
「…リツコ…」
 …ん??
 ぎゅっと抱き着いてみたら…違う…?
 硬いし、細いし…
 これ、お母さんじゃないし…お父さんでもないし…大叔母様でもないし…
「…………あ!? 鋭? ………ごめんねっ? …あ、あたし…寝ぼけて…っ」 びっくりして飛びすさったら、「ううん。」と、美青年は優しく笑ってくれた。
 …やっぱり見惚れる。
 鋭はまた苦笑して、
「それにしても、度胸がいいねーぇ? 天運籠のなかで気がついたら爆睡してたって。鳥人のみんな、呆れてたよ?」
 うなされていたことは無視してくれて、にやにやからかってくる。
「え? …えぇ?」
 リツコは慌ててあたりを見回した。
 知らない部屋だ。
「…ここ…??」
「うん。日が暮れる寸前くらいに白王都に着いたんだけど。いくらゆすっても起きないからさ。…運んじゃった。」
「……うわーっっ?? ごめんねっ?」
「ううん~? 軽かったし。」
「え~? 軽くないよ~?? 重いよ~??」
 リツコはぱたぱたと顔とか髪とかに手をやって赤面した。いや~ん…っっ
「だってさっ!だって向う側の木の穴からえいっって出発したのは夕陽が沈んだ後だったのにっ! こっち着いたらまだお昼前で! お昼2回も食べたでしょっ? 飛んでるあいだあたしは暇だったしぃっ!」
 とりあえず必死で言い訳してみる。
「うん。きみが適応能力のとても高い大物の卵だってことは、よく解ったよ?」
「いや~んっ!」
「知らないところでさ。一人で目が覚めたら、いやでしょ? お腹もすいてるだろうと思って。」
 優しい口調ながらまじめな顔に戻って言うと、リツコが寝かされていたベッドを覗き込んでいた鋭はひょいと立って歩いて行き、部屋の中央の食卓と椅子らしいセットのほうへ戻った。
「ごはん用意しておいたから。…あ、手と顔が洗いたかったらそっちね。トイレもそっち。」
「ありがとっ!」
 リツコは清潔で気持ちのいい木の床の草編みらしい模様入りのゴザのようなものの上をぱたぱたと裸足でかけていって、教えられた場所でトイレと洗手洗顔を済ませて、ぱたぱたと走って戻った。
 置いてあった箱形のお盆?の蓋をとると、ふわりと優しい香りがする。
「わぁ、美味しい!」
「そぉ? 良かった。」
 何種類かの野菜と何かの肉と小魚…を、香草と一緒に蒸して和えたらしい簡単だけどすごく美味しいおかずが山盛りと、おせんべいと焼きおにぎりの中間のようなしっかりしっとりした噛みごたえの、何かの穀物の粉を練って平たくして焼いた、主食らしいもの。
 箸休め?的なちょっと摘まめるコリコリした歯ごたえの何か。浅漬けみたいな感じの新鮮な生野菜が数種類。それからデザートに、食べやすいように切ってあった汁けたっぷりの甘酸っぱい香り高い果物!
 それらをがっついている間に、鋭が卓上焜炉的なものの鉄瓶からお湯を注いで、温かい草のお茶を淹れてくれる。
「ふ~ぅ。おなかいっぱーい!」
「おなか落ち着いたらもう一度眠るといいよ。まだ朝まで時間あるから。」
「もしかしなくてもあたしのために起きててくれたの?」
「まぁやることも色々あったし。夜中に寝ぼけますからよろしくって、清瀬さんからの手紙にも書いてあったし。」
「えぇ!?」(…はっずかし~っ!)
 …と、身もだえしてみせると、鋭はまたふふっと笑った。
「まぁフツウ組のひとが朝日ヶ森に保護されてるからには、何か事情があるとは思ってたけど」

「…鋭は、地球のジジョウについては、どれぐらい知ってるの?」
 リツコは思い切って聞いてみた。なにしろ知らないことだらけだ。

「う~ん。清瀬さんからは何も聞いてないの?」
「そんな暇なかったもん。初恋の人だ~ってノロケ始めちゃったし。」
「えぇ? それ初耳!」
「え、うそ? しまった!」
 リツコは慌てて口をふさいだ。遅いけど…
「…言っちゃったこと、内緒ね…?」
「う~ん、まぁ時効だし…。なにしろそっち時間だと、五十年も経ってるし…。
 でも清瀬さんとはほんと喋ったこともあまり無かったんだよ? 数十年ぶりに地球側と連絡がとれて、当代の朝日ヶ森の学園長が清瀬律子サンって署名してあっても、最初は同じ人だと思わなかったくらいで。」
「そうなんだ?」
「うん。…そもそもなんで彼女が朝日ヶ森にいるのさー?」
「え? 同級生だったんじゃないの?」
「その前にいた全く普通の地元の学校でだよ。今のキミと同じ4年生の時にね。彼女転校生だったし。そのころ口がきけなくて筆談だったし」
「あ、それは聞いたことある。心因性とかのショックで喋れなかったって。」
「それで僕はIQ高かったんで《センター》に誘拐されて。」
「えぇ?」
「逃げ出して朝日ヶ森に保護されて…そしたら何故か清瀬さんも朝日ヶ森に保護されてて… まぁ色々あって僕その直後にこっち側に飛ばされちゃったから、以来五十年?お互い音信不通。」
「そうなんだー?」
 リツコはちょっと目を丸くして混乱した。話の全体像がよく解らない…けど。
「あたしはほんとにフツウなのー。お父さんお母さんがハンセイフって目ぇつけられちゃって。逮捕に来たから『逃げて!』って言って。走って逃げたらばらばらになっちゃって。それで山ん中で一人でサバイバルしてたら朝日ヶ森のひとが保護しに来てくれて。でもお母さんたちは先に亡命しちゃったんだって。次のルートが確保できるまで、朝日ヶ森で待ってなさいって。」
「…ほぼ僕と同じ状況らしいけど。…それを『普通』って言っていいのかなぁ…。」
 鋭が苦笑して遠い目をする。

「それでか。『こっちとそっちの行き来を兼ねて別の場所に出られないか』って質問」
「え?」
「聞いてない? リツコこっちに来たあと朝日ヶ森に戻すか、もし可能なら、地球上の別の場所に出してくれてもOKって。」
「そうなんだ…」

「でもキミの今回の時差の件もあるし、ルートがほんとかなり不確定なんだ…。
 ぜったい安全って確認できるかどうか、もうちょっと待っててね。」
「うん。わかった。」

 それからしばらくはリツコが地球と日本の最近の事件の話をして、うとうとしはじめたら布団に入れと言ってもらって。

 …最後にみた大きな満月が、地球より大きいな~と思ったところまでで、リツコの記憶は途切れた…。

 



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