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  • 待ってるこっちの身にもなってくれ
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  •  ――――この結末は絶対に予測不可能。  「いつだか分からないくらいうんと昔、どこだか分からない場所、名前もない人達の話」……二人の男が旅の途中で立ち寄った村で、ある事件に巻き込まれるような、巻き込まれてはいないような。 【毎週水曜夜~木曜朝くらいに更新します】 【この本は2018年11月末日までの限定公開とします】 配信者のブログはこちら→ http://yamanashirei.blog86.fc2.com/ 配信者のTwitterはこちら→ twitter/yamanashirei
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一.白髪三千丈

 読んでいるみなさんからしてみれば、これは昔の話、うーんと昔の話っす。多分、何百年とか昔の話。

 ただ、具体的にこの話が西暦何年の出来事だとか断言しちゃうと、「この時代にこの服装はおかしい」とか「この道具が生まれたのはもっと後の時代のはずだ」みたいな歴史考証のツッコミが来るかも知れないから、いつだか分からない、うーーーーーんと昔の話ってことにしといてほしいっす。
 「西暦」って言葉もホントなら、あっしは知らないはずっすね。


 場所もどこだか分かんないっす。
 「この地域を舞台にしている作品だと、この言葉づかいには違和感がある」みたいに言われたくないんで、日本のどこかって思っといてくださいっす。
 ひょっとしたら「日本」じゃないのかも。「地球」でもない、どこか遠くの惑星の「なぜだか地球によく似た星」の「なぜだか日本によく似た国の話」かも知れないっす。あと、違和感くらいなら飲み込めって思うっす。

 そもそも、あっしからすれば「日本」とか「地球」みたいな言葉もピンと来ないっすね。生まれた村が世界のほとんどで、海の向こうに何があるかだなんて考えたこともない時代の話っす。





 そんな時代に、あっし達は男二人で旅をしていやした。
 大きな体にボサボサの髪、三度笠が目立つ男があっしのあにさんでやんす。あにさんと言っても血のつながった兄弟じゃなくて、あっしの方が荷物持ちとして連れて行ってもらおうと頼み込んだ関係なんで「あにさん」と呼んでるだけっす。

 本名は言えねっす。
 ここで「あにさん」の名前を明かすと「この名前が使われていたのは○○時代にちがいない」「なのにこの描写は矛盾している」みたいにツッコまれかねないんで、この小説に出てくる人物は一人を除いては名前が設定されてねーです。あっしのことも「小僧」とお呼びください。

 要は、みなさんから見れば、いつだか分からないくらいうんと昔、どこだか分からない場所、名前もない人達の話がこれから始まるってことっすね。

 ◇

「オイ、小僧。あれを見ろ」

 そろそろ日も傾いてきたころ、あっし達は今晩の寝床になる場所がないかと急ぎ足になっていたっす。野宿も慣れたもんすけど、村に着いたらありがたいなと思って急いでいたところでやした。



 道の真ん中に、うつ伏せで女の人が倒れていたでやんす。

「どうしやす、あにさん?」
「若い女だったらXXXXXXXXXXXXX

 あにさんの発言は仮に冗談だとしても「性犯罪を肯定的にとらえた作品」と解釈されて炎上しかねなかったので、自主規制が入りやした。



 TAKE2でやんす

「オイ、小僧。あれを見ろ」

 そろそろ日も傾いてきたころ、あっし達は今晩の寝床になる場所がないかと急ぎ足になっていたっす。野宿も慣れたもんすけど、村に着いたらありがたいなと思って急いでいたところでやした。



 道の真ん中に、うつ伏せで女の人が倒れていたでやんす。

「どうしやす、あにさん?」
「金目のものがあったらXXXXXXXXXXXXX

 あにさんの発言は「窃盗を助長させるかも知れない」「実際に窃盗の被害にあった人達の気持ちを考えたことがあるのか」と叩かれかねなかったので、自主規制が入りやした。



 TAKE3でやんす

「オイ、小僧。あれを見ろ」

 そろそろ日も傾いてきたころ、あっし達は今晩の寝床になる場所がないかと急ぎ足になっていたっす。野宿も慣れたもんすけど、村に着いたらありがたいなと思って急いでいたところでやした。



 道の真ん中に、うつ伏せで女の人が倒れていたでやんす。

「どうしやす、あにさん?」
「助けよう」
「それでこそ、あにさんっす」

 あっしが抱き起すと、女性は大体40歳くらいの方でした。

「ふむ、変な気は起こさなくて済みそうだな」

 これは別にあにさんが少女しか性の対象として見られない歪んだ欲望を抱えているとかそういうワケじゃないっす。この時代の庶民の大体の寿命は30歳代なので、40歳といえば結構な長寿なんす。


「どうやらその女性、病気みたいだな……」

 見れば、顔は真っ青でやつれてて、手足は細く、時折コホコホと咳きこんでいる様子っす。どうしてこんな状態で外を出歩いていたんすかね……?

「おばあさん!おばあさん!しっかりして下さい!」

 目を覚ましたおばあさんは、あっし達の姿を見るとこんなことを言ったっす。
「あぁ……旅の御方よ、お願いです。昨日から息子がいないのです。帰ってこないのです」

 聞けば、この家は年老いた病気の夫婦と息子さんの三人暮らしで、息子さんの稼ぎで何とか食いつないできたとのことっす。
 しかし、昨晩は息子さんが帰ってこず、食べるものも薬も用意できず、困り果て、仕方なく病気のお母さんが外を探してまわって、そこで倒れちゃったみたいっす。

 お母さんを村の自宅までおぶって連れてったあっし達は、息子さんを探してくれないかと必死に頼まれやした。
「分かった。だが、交換条件がある。息子さんを探している間、俺達をこの家に泊めてくれ」

 ◇

 日はもう暮れ始めていたっす。

「さて。どうしやす、あにさん?」
「今日はもう暗くなる。この状態で人を探すのはムリだな」
「じゃあ捜索は明日からで?」
「お主、泊まる場所が決まっても、メシはどうするつもりだ?」

 あー、あの家じゃ蓄えもなさそうっすもんねー。

「だから、これから隣家に恵んでもらいに行こう」
「……」

 これを読んでいるみなさんがどう思うかは分かりやせんが、この時代は村という共同体が強かった時代でやんす。だから、年老いた夫婦のために村全体で助け合うのはおかしいことじゃないっす。ま、あっし達は村の外から来た人間なんすけどね。




 隣の家は、老夫婦と若い夫婦とその子供の三世代の家でやんした。
 応対してくれた若い奥さんに事情を説明すると、イヤな顔をされたけど、汁物とイモを分けてもらえたっす。今晩はこれで過ごせそうっす。


「あー、それと。隣の息子さんの行方について、何でもいいから知っていることはないか?」

 後ろで黙って突っ立っていたあにさんが、若奥さんに尋ねやした。
 ん……? 今、ちょっと……?

「昼、村中を捜してまわっていたみたいなんだけどね。残念ながらウチらは何も知らねんだ」
「ふーん…? まぁ、イイや。最後に見かけた者は誰もいなかったのか?」
「朝早く出かけたらしいからね。誰も姿は見てねんだよ」
「ふむ。朝早く出かけたって、いなくなった息子さんは何をして生計を立ててたんだい?」
「漁師だよ。魚釣りの腕がすごくてね、たくさん釣って野菜と交換したり、ご両親の薬代にしたりしていたみたいだよ」

 なるほど、だから早朝に一人で出かけてたんすね。

「だからね。多分、漁の最中に海にでも落ちちまったんじゃないかと思うんだよ。あんな両親想いの御人が帰ってこないだなんておかしいもの」
「ふぅん……確かにね。分かった、ありがとう」

 あにさんはそれを聞いて帰ろうとしやしたが、最後に一つ振り返って尋ねやした。

「そうだ、いなくなった隣の息子さん。名前はなんて言うんです?
 聞き込みをしようにも、それを知らなくちゃ聞きづらくてね」

 そう言えば、それを聞くのを忘れてたっすね。

「名前ですか?」

 若奥さんは教えてくれたっす。
 この物語で唯一“名前”を付けられた人物―――

「浦島さんです、浦島太郎さんという名前です」



  to be continued...


この本の内容は以上です。


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