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花といっしょにくらしていました。

 

 

 

「おはよう」

 

「空がきれいだね」

 

「夕陽があかねいろだよ」

 

「星がぴかぴかひかっているね」

 

 

 

花とは、まいにちおはなしをしました。

 

いっしょに、空や夕陽や星をながめました。

 

空もようや、けしきを見ながら、花は水を、わたしはお茶を、のんだりしました。

 

 

 

「おいしいね」

 

「うん、おいしいね」

 

 

 

水をのむとき、花は、花びらや葉っぱを、ひらひらとゆらしました。

 

とてもうれしそうでした。

 

 

 

けれども、ある日、花とわかれなければならないときがやってきました。

 

それはとつぜんでした。

 

花は、わたしのそばからいなくなりました。

 

花といっしょにはなしたり、お茶をのんだり、空や星をながめたりする日々を、

 

ずっとつづけたいとねがっていたのに。

 

 

 

わたしはうずくまりました。

 

うずくまったまま泣きました。

 

もどらない花を思っては、何年も何年も、泣きくらしました。

 

 

 

 

 

涙もかれたころ、おそるおそる顔をあげてみました。

 

 

 

そこには

 

花の種をまいているおばあさんがいました。

 

花の苗を植えているおじいさんがいました。

 

花畑に水と肥料をまいている青年がいました。

 

花束をかかえて、いそいそと歩く娘さんがいました。

 

 

 

わたしは、何年かぶりに、口をひらいて、この人たちにきいてみよう、と思いました

 

 

 

「わたしの花がなくなりました。

 

どこにいったのでしょう。

 

だれかしりませんか」

 

 

 

土になったのよ

 

星になったんだよ

 

あなたの心になったんだよ

 

あなたのそばにずっといるよ

 

 

 

こたえはいろいろでした。

 

 

 

おばあさんは、わたしに種をくれました。

 

おじいさんは、苗をわけてくれました。

 

青年は、花のつぼみを見せてくれました。

 

娘さんは、花束をわたしに、もたせてくれました。

 

 

 

いなくなった花は、もうずっといないままです。

 

花が、土や星や心になったり、わたしのそばにいるということが、

 

ほんとうなのか、たしかめようはありません。

 

このかなしみがきえることは、ないでしょうけれど、

 

わたしは、この場所に、種をまくことにしました。

 

 

 

こころのどこかに咲く花には、会えるような、そんな気がしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             「花」〈fin.〉

 

                          

 


奥付



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著者 : mio
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