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32.知識の根底に必要なもの

32.知識の根底に必要なもの

 

私は、自分の人生をどのように考えているのでしょうか。何気なく考えていたことですが、死ぬときにどのような人生のアルバムをもって死んで行けるかどうかを考えてきました。それは、自分の家にあったアルバムにある写真は、どれも楽しそうにしている写真ばかりでした。当然といえば当然ですが、写真を撮るときですからにこやかな笑い顏が自然にでる場面なのです。実は、自分の人生も写真の笑い顔のようにいつもにこやかな笑い顔を絶やさない人生でありたい。とりもなおず、心の中にどれだけ笑い顔の写真を数多く撮ることができるかどうかだと考えています。そのような人生をいかに築いていくか、ということが大きな課題だと感じています。

サラリーマンの前に、人間としてどう生きるべきか、と。

確かに企業組織に入れば、職制があり課長であれば課長のやるべき仕事、総務であれば総務の専門性が必要です。また、仕事をマネジメントすることも自分の部下をマネジメントすることも求められます。そのような仕事の中にあっても人間的な視点を忘れない、否人間性を大事にしながら生きていこうと努力しています。100%満足できる環境があるわけではありませんが、意識するかしないかは人生という長丁場にとっては重要な意味があるように感じています。さらにそのような考えていると自然と人間性が自分の行動を縛っていくことがあります。

例えば、特殊暴力関係で相手に向かう際に自分のスタンスを確立することができます。何が重要で何が本質なのか、人間的な視点で判断することができます。こうしていくつかの危機は乗り越えることができました。案外、このような気持をもって仕事に取り組むほうがより創造的でより自分の可能性を発見できるのかもわかりません。

企業活動では、企業活動に必要な多くの知識を学ばなければなりません。書物を読むことも必要ですが、なんといっても実戦的に実務を習得しなければなりません。さらに昇格することで、人や仕事そのもをマネジメントするという高度の役割を学ばなければなりません。しかも全社的な立場からは、リーダーシップを発揮して部門や課を企業目的に合致するように引っ張っていかなくてはなりません。企業で仕事をすることは、想像以上にハードな環境です。

しかし人間は、ロボットではありません。企業活動で知り得た知識や実戦で学んだ仕事だけで人生に向き合っているのではありません。

やはり自分が生きていく上で、自分の人生を決めている根本的な視点と向き合う必要性があると思います。

アサヒビール名誉会長樋口広太郎氏は、著作「知にして愚」の中で「組織のために個人は何ができるか、そして自分は自分のために何ができるかという自分主役型の思考こそ、実り多い人生につながるのではなかろうか。受けのバランスではなく、『攻めにまわった組織と個人のバランス』こそが、これからの組織と個人の新しい関係論でなければならないと思う。 中略 自分らしさを発揮できないまま、組織の論理・体制に身を委ねざるをえないというのは、組織にとっても個人にとっても有益とはならないのである。ここで断っておきたいのだが、『自分らしさ』とは、ビジネスマンとして会社という組織の中でどう『個』を発見するかということではなく、自分の人生をいかに生きるか、である」と言われています。

まさにこれが、人生観になるのだと思います。

企業社会で学ぶスキルやリーダーシップの根底に必要なものは、このような個人の人生観、哲学、理念、あるいは考え方ではないか、と考えています。

その上にこそ、すばらしい知識や経験、あるいは感性といったものが花開くのだと確信しています。優れたリーダーとは、個人の確固たる人生観や哲学をもった人のことをいうのだと思います。(図11)

 

 

 

 

 

 

 


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最終更新日 : 2010-10-18 08:20:28

33.ソニースピリッツを探す旅

33.ソニースピリッツを探す旅

 

ソニーシステムサービスでの約7年間の生活に終わりを告げようとしていました。会社を去ろうと決意した第一理由は、社長の小林さんが退職されてからソニーらしさを感じなくなったことでしょうか。小林さんが在職されておられる間は、そんなに強くソニーを意識したことはありませんでした。ただただ毎日が面白い、楽しい、時間の過ぎるのがあっという間でした。ソニーの上の人達は面白い人だなぁ、と思っているくらいでしたか。小林さんが退職されるとそんな雰囲気もなくなり、なんだか普通の企業に変っていくようでした。これは、どうも小林さんの存在がソニーシステムサービスの存在を作っていたなぁ。

小林さんから教わったソニーの雰囲気、当時ソニースピリッツという言葉は知らなかったような気がしますが、何故か自分の中で膨らんでいくのです。経理業務から総務業務へ戻りたいという気持が強くなり、しかも総務業務の中でも株式関係の仕事を経験したいという気持があり、平成8年12月31日付でソニーシステムサービスを退職することになりました。

同年11月22日には、小林さんにも退職の報告をさせていただきましたが、一方ならぬご心配をいただきました。また、今日に至るまで多くの応援と変らぬお付合いをいただき感謝の念に耐えません。

ソニーで学んだ人間として他社で通用するどうか、というチャレンジでした。ところが再就職どころか就職活動に苦労する日々でした。ソニーシステムサービスを退職して、みずから20数社の小さな企業を訪問してみました。過去の実績など真摯に聞いてくれる企業は、殆どありませんでした。毎日悔しい思いの連続です。何故、チャンスを与えてくれないのか?だめならば、自ら去るぐらいの決意は、十分もっているつもりです。我々の世代の転職に関して中小企業は、閉鎖的で、チャンスを与えることに臆病すぎるようでした。

むしろ大手企業の労働条件などを持ち込まれたら企業として迷惑千万な話だ、と考えている節があります。このへんのギャップは非常に大きいような気がします。なんだかんだで3ヶ月間も就職活動をやっていました。

このときの就職活動で決めていたことは、できる限り小さな企業に就職できないか、ということでした。何故かといえば、ソニーの前身東京通信工業の創業のときのように企業の骨格ができる前の企業発展を実感できるところで仕事をやってみたいということでした。やはりこの段階の企業を見てみないと企業の本当の発展過程を理解することなどできないと考えたからです。その上、井深さんや盛田さんの起業スピリッツに触れたいという大きな願望、否無謀な願望があったからですが。

いかんせん企業がそれを許してくれませんでした。結果は、社員数300名というある中堅ゲームソフト開発会社に就職することになりました。小企業入社の夢やぶれるでした。しかしこの企業は、店頭公開をおこなっていましたので、第二の目標である株式業務を経験することができました。また、この企業では、多くの転職者がはいってきた関係で今なおお付合いいただいています。まるで人材の宝庫でした。勿論、社長ともお付合いをさせていただいています。不思議な魅力がある社長です。まだ55才とお若いのでこれからのご活躍をお祈りいたしております。きっと何か新しいことに挑戦されるでょう。

さて、そんな企業も2年半で退職することになりました。理由は二つありました。一つは、自分自身でやってみたいことがあるということでした。もう一つは、この企業で総務を担当していましたが、このとき約2年半部下を育ててきました。ソニーシステムサービス時代社長の小林さんから受けた薫陶、上司を異動させて私に総務・人事の責任者として仕事をさせるという小林流マネジメントのお返しをする局面だと確信したからです。そうです、私の変わりに部下が責任者として総務をまとめていく時期だと決心したからです。これも小林さんから教えていただいた納得性が高い人材育成方法だと信じていたからです。

部下は、見事なチャレンジで私なき後の総務をマネジメントしています。この企業でもソニー小林流のマネジメントが真価を発揮しています。

さて、第一の退職理由は、ソニーシステムサービス時代に小林さんをとおして知ったソニースピリッツに関して、今般はやりのメールマガジンを活用することで書いてみたいという希望をもっていたからです。さらにメールマガジンから独自のセミナーを開催していきたいという思いがありました。セミナーの中心は、大学生ですが、企業実務の実態と企業入社時に感ずるギャップをどのように克服していくかをテーマにしています。また、大学の就職部をとおしてセミナーの開催ができないかと東京を中心に数十校の大学および短期大学の就職部を訪問させていただきました。残念ながらすべての就職部から評価をいただけませんでした。一方大学生のセミナーは、数回開催して一部の学生のみなさんとは、今日交流できるまでになりました。来年、彼らが企業に入社してからの楽しみができました。今後は、大学生をはじめとして新入社員から入社2~3年目までの社員を対象にしたセミナーを開催していきたいという希望を膨らませていますが、どうなることやらといったところです。

 

ソニースピリッツ(ベンチャースピリッツ)とは、人間の向上と組織価値の向上を目指し、既成概念にとらわれることなく将来にわたって常にチャレンジし、チャンスをつかみ、変化を尊ぶことができる自己能力を確立し、真の人間形成を目指す実戦なのだと信じています。

 

自分ひとりではじめた挑戦ですが、約10ヶ月になろうとしていました。残念ながら最初の挑戦は失敗でした。先ず持って時間が足りない、費用がたりない、大学生の仕事観と企業実務のギャップの大きさといい、多くのことがはじめて体験することでした。セミナーに対する根本的な見直しをしなければなりませんでしたが、時は自分の活動をさせてくれるほど甘くありませんでした。再就職活動をおこなわないと生活自体が成り立たないという状況になりつつありました。

 

今回の就職活動も前回に引き続き、3ヶ月あるいはそれ以上の期間が必要ではないかと考えていました。取急ぎデジタルビーイングをはじめとするWebの就職媒体から就職先を探すことにしました。先ず、ベンチャー企業の採用活動の活発さに驚きました。しかしどの企業も年齢40才まで、私のような47才では到底採用に達するのはむずかしいと思えました。事実、厚かましくも履歴書を送付した大半の企業からは早々にお断りのメールをいただく毎日でした。私の長所は、それでもめげずに出すところですが。そんなある日次のようなメールが渋谷のベンチャー企業、トライコーン株式会社から舞い込みました。

 

長野

トライコーン株式会社 人事部です。

この度は弊社求人にご応募いただき誠にありがとうございます。

これ以降は貴殿とトライコーン株式会社とのやり取りになります。

以下にここから先のプロセスをご説明致します。

 

1)まず、このメールへの返信として以下を記述したファイルを添付して、

    メールにてお送り下さい。書式は自由に作成していただいてかまいません。

    ファイル形式は、 Excel97Word97、テキスト形式のどれかで作成して下さい。

    この応募書類の返信を持ちまして正式な応募と認識させていただききます。

    なお、応募書類は返却できませんのでご了承ください。

 

    【すべての方】

     △ 履歴書

     △ 職務経歴書(新卒の方は不要です)

     △ 自己PR

       ・これまでのインターネットの利用方法

       ・自分がやっていきたいこと、将来のビジョン

       ・自分が関わったウェブサイトの紹介(URLを明記)

       ・その他セールスポイント

 

    【技術系職種のご希望の方】

     △ テクノロジーバックグラウンド

       ・使用OS、言語、DBMS、その他のサーバーアプリケーション

       ・システム構築経験、システムの概要とそのときの役割等、

          インターネット上で見られればURL

       ・今後、取り組んでいきたいテクノロジー

       ・その他

 

2)いただいた応募書類を元に、弊社にて簡単な書類審査をさせていただきます。

 

3)書類審査の結果は、書類受領後、1週間程度以内にご連絡いたします。

    書類審査合格の方は、面接の日時も同時にご連絡いたします。

 

4)弊社担当者と、弊社にて面接をしていただきます。

 

5)面接合格後、採用となります。

 

何か不明な点などございましたら、採用担当まで

メールにてご連絡頂ければ幸いです。

 

それでは、ご応募心よりお待ちしております。

今後ともよろしくお願いいたします。

 

トライコーン株式会社

採用担当

というようなメールです。

これは、自分のためのある企業だぁ、とひとりで叫んでいました。何故か。まさに

「△自己PR」に可能性を見つけたのでした。

これなら書ける。ひょっとするといけるかもわからないなぁ、と。

早速、次のような内容の自己PRを返信させてもらいました。

                                                                        

 平成12年5月17日

                          自 己 P R

                                                   長 野 修 二

1.インターネットの利用法

メールマガジンを利用した大学生、および新入社員向け実務講座を開設。

同メルマガを利用した無料セミナーの実施。

同メルマガから実務書出版の依頼がありウェブの有効性を発見。

 

2.将来のビジョン

これまでの実務経験を活かし、若い人達に仕事の面白さ&作り上げることの楽しさを教えていきたい。

さらにベンチャー企業の基盤整備にチャレンジしていきたいと考えている。

 

3.ウェブサイトの紹介

http://www.mag2.com/m/0000018150.htm

http://www.mag2.com/m/0000028869.htm

 

4.セールスポイント

    ソニーらしく、営業職から管理部門を担当することには意味がある、と異質性を買われ、総務、人事、経理職として複数部門において成果を出すことができた。

    特に経営と実務をつなぐマネジメントに秀でており、経営的視点を踏まえ納得性が高く付加価値がある業務遂行ができる。

    事業計画、管理会計、経理知識ならびに監査システムに関しては相応なレベルにある。モットーは『チャレンジスピリッツ』。

 

                                                        以 

 

 

 

すぐにこのトライコーン株式会社から面接の予定をいただき、管理部門担当役員、社長面接を含めて1週間で採用を決定していただきました。しかも37才以下の平均年齢29才の企業にたったひとり47才が入ったのです。入ったほうも入ったほうですが、採用したほうも採用したほうですね。(笑)またひとつ「人がやらいことをやる」というソニースピリッツの成果です。しかも前述のトライコーン応募メールは、社長のHさんが自分で作ったオリジナルメールです。他のベンチャー企業では、大手企業と変らない応募フォーム、大体、大手企業等から転職した担当者が採用業務を動かしているのだと思います。まったくオリジナルな部分を感じません。社長のHさんのモットーに「人の真似をしない」があります。ソニーとどこか相通ずる姿勢があるのです。だからこそ年齢に係わらず採用していただいたのだと思っています。

トライコーンは、メールマガジン発行機能とデータベース機能を有する「アウトバーン」というメールマガジン発行システムのASP事業をメインとしている企業です。ソニーマガジンをはじめ大手企業を中心に約200社に導入実績があります。設立1997年2月ですが、過去3期連続黒字を計上しています。

Hさんは、年齢35才です。立派の一言です。また、Hさんはプライスウォーターハウス時代の仲間4名でトライコーンをはじめられています。みなさん優秀です。最初の面接をしてくださった管理部門担当のSさんは、公認会計士の資格をもたれていますが豪放磊落でとても会計士にみえないユニークな人柄です。現在直属の上司です。社員数は役員3名を含む16名、まさに自分がチャレンジしたい企業規模なのです。本当に東京通信工業の創業期を彷彿させる企業活動だと思っています。やっと井深さんや盛田さんが起業されたころを想像できる企業規模の会社に入社させていただいたことは、感動そのものです。自分の思いが通ずる。人生の不思議な出会いの一こまです。まだまだ課題がありそうですが、ソニーの成長のように一歩一歩チャレンジしていかれることと思います。本当にソニースピリッツを証明できる場を与えていただいたと心から感謝しております。

一方で、メールマガジンの挑戦からこのような本の執筆依頼を受けるチャンスをいただきました。こちらもまたすばらしい感動であり心から感謝しております。セミナーそのものは失敗でしたが、チャレンジしたことで多くの新しい可能性を発見できました。人間のやることは、一見無駄なようですが挑戦する姿勢にこそチャンスが訪れるのだと、改めて人生の不思議さを噛み締めています。

 

ソニースピリッツを探す旅は、これからもずっとずっと続くことでしょう。ソニーシステムサービスで小林さんと巡り会え、まばゆいばかりの仕事に挑戦させていただいたあの日々の感動をいつまでも忘れることなく生きていくことこそが、ソニースピリッツを探す旅の原点だと信じて筆を置きたいと思います。

 


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最終更新日 : 2010-10-22 11:51:45

この本の内容は以上です。


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