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27.事業計画と管理会計

27.事業計画と管理会計

 

事業計画とは、企業が各事業年度(日本企業の場合4月~翌年3月までの1年間が多い)において売上、費用、投資等の予定金額を算出し、予定利益を計画するといった一連の企業予算計画をいいます。

ソニーシステムサービス株式会社では、前述しましたが部門担当者がこのような予算計画を策定する運営形態でした。社長の小林さんは、大所高所からのアドバイスや意見をいうことはありましたが、できる限り部門の独自性を尊重するやり方を採用していました。

さて、管理会計とは何でしょうか。

前述した事業計画、いわゆる予算計画と実際の売上、費用、投資等との差異を比較することによって進捗状況を把握して修正計画等を速やかに実施する目的でおこなう会計上の手法です。

事業計画の実務は、第一に各部門ごとに売上、費用、投資などの予定数字と各部門の基本方針、重点項目、行動実施計画を策定していきます。

また当然ですが、管理部門では売上予算はありません。費用および投資になります。

第二には、全社で各部門ごとの事業計画のすりあわせをおこない各部門間の調整事項や全社的投資項目の選択などをおこない最終案を作成していきます。この最終案は、企画部門が取りまとめていくことになります。

最後に取締役会で承認されて実施されます。

管理会計とのつながりは、どのようになっているのでしょうか。

各事業年度計画がまとまると、経理部門あるいは企画部門で運用している管理会計システムに予算データを取り込みます。大体、エクセルなどの表計算データをCSV形式で取込むことが可能です。経理システムに取込むと月次の予算一覧が作成されます。後は、毎月の経理データが実績欄にはんえいされ、予算と実績を一覧表で比較することが可能です。   各部門では、予算実績比較表から差異分析をおこない適宜部門運営の問題点の把握、部門活動の将来予測、投資の修正や追加、なかには部門予算計画の抜本的な修正変更もあります。企業活動の中で会計情報は客観性が高く、しかも経理処理システムの進化で非常に早いスピードで実績を見ることができます。数字だけが企業活動ではありませんが、企業活動を支える重要な情報のひとつであることは間違いありません。これらの情報を企業はいかにオープンにできるか、社員はいかに有効利用できるかが問われようとしています。その相互作用によって企業活動の発展と進化があるのだと思います。


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最終更新日 : 2010-11-11 08:37:49

28.目標設定の実務

28.目標設定の実務

 

事業計画を策定する際には、数々の目標設定が必要になります。では、目標はどのように見つけるのでしょうか。

なんといっても日常業務の中から発見するのが一番です。おそらく業務をおこなっていれば、改善、改革したほうがよいと思われる業務、仕組みや項目がありますし、またそのような課題や問題点を発見することを習慣づけておくことが必要です。常に現状の方法がベストかという問題意識をもつこと。さらに課内や他部門との意見交換を日常的におこなうことで課題を発見しておくことが大切です。

特に実際の事業計画の目標に落とし込む場合には、前述した課題や問題点を出発点にして半期別(上・下期)の部門目標にすることで課内の全員で共有しチャレンジしていく姿勢が重要になります。また、全社的視点から部門の真の課題を発見して、部門業務を発展させていくことが求められます。あくまで部門のための業務ではなく、全社的な仕事のなかで部門にどのような役割があるかを理解しながら部門目標を推進することが大切です。

部門あるいは課内の社員全員と目標の共有ができれば、次は重点項目別に行動計画を決定して実施スケジュールを作成します。担当者別、グループ別に具体的なスケジュールを作成します。毎月課の責任者(通常、課長)が予算および行動計画の進捗状況の把握して、さらに問題点の抽出をおこないます。もし課題や問題があれば適宜修正しながら最終目標に向かって計画との整合性を見つけていきます。

  ソニーシステムサービスでは、各部門や課で事業計画の策定をおこなったり、あるいは部門間の異動を積極的に推進していました。ソニーグループでは、カンパニー制の導入など制度変更の場合、単に制度の変更にとどまらず経営活動にかかわる基本的な知識や運用を日常業務として訓練されています。常に、いろいろな制度を柔軟に実施できるバックグランドがあります。むしろ変化することが当たり前だという企業文化があり、常に実戦的な変化を起こしていきます。

  今後、企業では経営的視点を有する人材が、各ポジションで必要になってくると思われます。特に、ミドルマネジメントの早期育成、企業活動全般を把握できる経営者的な発想、行動力、マネジメント能力が、不可欠になると考えています。ミドルマネジメントは、自部門の利益を第一とするか、企業全般の利益を第一とするか、これからは厳しい選択を迫られる局面が数多く発生するでしょう。

  この際、部門をリードしていくにあたり人間的な能力が求められ、部門の利害関係を調整しながら企業全般の利益との整合性をとっていくことが要求されるでしょう。また、個人のスキル、いわゆる専門的能力と管理職としての仕事および人のマネジメント能力が問われることは当然なことです。

  こように管理職として部門経営をおこなう上では、早い時期から専門的能力、マネジメント能力と人間的能力を磨いておかなければなりません。

*前記能力論は新将命氏の能力論を参考にしています。

*新将命著「一流の指導者」より

 


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最終更新日 : 2010-11-11 08:29:08

29.経理知識の必要性

29.経理知識の必要性

 

企業活動の中でもっとも理解し難い知識の一つが経理の知識ではないでしょうか。なんと言っても例の「貸方・借方」という複式簿記を理解することが大変です。その上、営業部門などでは優れた販売管理システムが導入されているため、難しい経理知識の必要性がまったくないといってもよいでしょう。

現在では、パッケージソフトでも多くの業務を短時間で処理してくれます。例えば、見積書の作成、売上票の作成、請求書の発行、売掛金等の回収状況の把握、在庫照会などに対応しています。さらに毎日の販売実績、月次実績、期間実績資料の作成や得意先別、エリア別、担当者別のこれらのデータを簡単に出力してくれます。特に経理知識を必要としなくとも販売に関する多くの作業とデータ作成をおこなってくれます。

それでも経理知識が必要でしょうか、と質問されそうです。

私は、それでも必要だと考えています。

何故かといえば、企業活動の全体としての結果、いわば経営活動としての結果に関しては、最終的に数字に置換えられます。いわゆる財務諸表になります。

企業活動の総括として表す財務諸表を読む力が必要になると考えていますし、部門活動においてもたとえ販売部門に所属していても、開発部門や生産部門におけるコスト構造を理解しておく、あるいは物流部門のコストを理解しておくといった全社的な活動における経営数字の理解は、全体最適と部門最適というバランス感覚を育てる上では非常に有効な方法だと思われます。

  一般には、経営数字をそこまでオープンにした経営をおこなう企業が少ないのでしょうが、今後の企業成長の原動力は、このような経営数字を認識した各部門や各課の担当者の自主的な判断、あるいは独自性を発揮する企業活動に光りがあたってくると思われます。その意味でも部門経営をおこなうという認識にたって経理、あるいは財務の知識習得にチャレンジしてください。

では一体どのくらいの経理知識が必要なのでしょうか。

私見で言わせていただければ、先ず(1)簿記の3級~2級程度、仕訳の基本が理解でき原価計算の基本的な部分が理解できる。(2)財務諸表の基本的な仕組みが理解できる。いわゆる貸借対照表と損益計算書が理解できる。(3)販売や購入(仕入)業務における経理的な流れが理解できる。売掛金・買掛金の流れが理解できる。(4)費用計上における発生主義の理解ができる。(5)予算管理と管理会計が理解できる。

前記の内容程度が理解できると企業活動を数的側面から眺めることができ各個人の仕事の幅ができてきます。また、経営的側面から自らの仕事を捉えることができますので、自分のやっている仕事をより客観的、相対的に見ることが可能になります。


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最終更新日 : 2010-11-11 08:38:32

30.仕事とリスク

30.仕事とリスク

 

  経理を担当しているときに、ファームバンキングを利用した仕入取引に関する支払業務や給与支払、あるいは地方税納付を省力化するために新規システムの導入を検討していました。

  当初、メーンバンクのA銀行のファームバンキングシステムを採用して実施しようかということで検討をはじめました。

  そんなある日、B都市銀行の営業担当者が飛び込みで会社を訪問してきました。当然、ソニーシステムサービスの主力銀行を理解しており、新規取引開始が非常にむずかしいということも担当者は十分理解していました。それでも、なお、「なんとか口座の開設ができないか」と積極的に訪問していました。

  偶然にもファームバンキングを利用する支払業務の効率化計画を進めている状況でしたから、私は「それならB銀行のファームバンキングのサンプルバージョンをテストしよう」と担当者に報告しました。複数銀行のファームバンキングシステムの機能テストの意味あもあり、テストを実施することにしました。

 ファームバンキングシステムのテスト結果は、B銀行のシステムについて、次の点で高い評価を下しました。

 

(1)DOS版でありながら非常に操作性がよく機能的な設計になっている。

(2)ソニーシステムサービス経理システムと連動のためにシステム開発をおこなう際

      B銀行関連のシステム開発会社のシステム開発能力が高いこと。

(3)導入に対するトータルコストがA銀行に比べて低い。さらに導入後の支払業務

  に関 する運用コストがA銀行よりも低くなる。

 

この結果、B銀行と取引を開始することは、システム開発や開発コストの優位性だけではなく、将来的にも安定した運用が可能であり、システム拡張の場合も効果的である。さらに運用コストを下げることができるので、B銀行との新規取引を開始する判断を下しました。

  早速、私はB銀行のファームバンキングシステム導入の企画書を作りあげ承認をもらうことができました。

  その後、ソニー関連会社を訪問したB銀行担当者の口から、他の関連会社で新規取引ができました、という報告を聞くことはできませんでした。

  確かに、既存の枠組みや仕組みを変更するということは、今まで普通に運営できていたものを変更するわけですから少なからず担当者として不安が生じるものです。リスクが高いと考えるのももっともな理由だと思います。しかも長い年月と諸先輩たちが築き上げた制度の変更ともなれば躊躇することが普通なのかもしれません。

  しかし、そのような状況にあっても、企業活動の次の展開に向けて新しい仕組みをつくる感性と自らリスクをとって実行する勇気が必要です。

たとえ、長い間継続的に、しかも問題なく日常業務がおこなわれていても、新たな仕組みやシステムと比較検討することは、いつの時代でも、どのような場合でも必要なことです。比較検討することで相対的に現在の内容を判断することが可能になります。自社の現状を客観的に理解することができます。その上で、新たな仕組みや新規システムの検討をおこなったり、あるいはこれまでの仕組みを見直すことで、企業活動にとってよりよい選択を求めることに意味があると思います。常に仕事の中身を見直し、その時々のベストの選択をおこなうことが担当者としての努めであると、私は考えています。

  実際、比較した内容の優劣までわかっている人達が企業の中には多数います。最終的に過去のしがらみなどにとらわれることなく、大胆に実行できる人達が少ないといえます。

  私の転職経験から見ると、どのような企業の担当者も新規にリスクをとって、従来からの仕組みを変えていくことに消極的でした。私がこれまでつくった仕組みなど、そのときどきで選択した結果に他なりません。新しい人達によって、また、そのときどきに優れた選択により変更され、より充実した内容にしていけばよいと考えています。

  また、新しい視点で主体的に仕事をすることが個々人の個性を存分に発揮させ、自己責任にもとづく自由で創造的な仕事を可能にする方法であると確信しています。

  企業のトップは、必ずしも組織のなかでノーリスクを望んでいるわけではありません。むしろ人間がリスクをとりながら事業展開していくことに、どのようなトップも寛容であると思います。但し、適法性にもとづくことは言うまでもありません。

  むしろ、企業のなかにいる我々世代の人間が前例主義の呪縛にとらわれ、組織的硬直を招いていることのほうが多いのではないでしょうか。

  最後に、必ず実施した結果はすべて自分が負うという責務がともなうことも忘れずに胸に刻んでおいてください。その上で、新たなものを作り上げたときの喜びはひとしおなのです。

  どちらを選択していくかは、みなさん次第です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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最終更新日 : 2010-10-18 08:19:46

31.企業活動を眺めて

31.企業活動を眺めて

 

現在、私は、あるベンチャー企業の総務人事マネージャーとして勤務しています。社員数は、役員3名を入れて16名です。驚くほど小さな企業です。スタートは、社長と同じ企業で働いていた仲間4名です。自分達のアイデアが商売になるというシンプルなもののようです。まさにソニーがスタートしたときのように井深さんや盛田さんを中心にみなんが夢を描いているように見えます。

現在の課題は、なんといっても売上を上げて利益を出すことですか。ほとんど何もない、就業規則も福利厚生もなにもない状況です。まるで銀河が生まれるときの小さな超新星の輝きのようなものでしょうか。ほんとうに企業の進化過程を見ているようです。

  ここで企業規模別に企業を除いて見たいと思います。小企業、私は、大体、社員数50名程度を想像しています。良くも悪くも企業活動の全体が見えてしまいます。社長も社長業というよりは、営業をやったり開発をおこなったり、経理をやったり、採用活動をやったりとあれもこれもがんばっています。企業の成長を自らの手でおこなっています。そこへ総務や人事担当の人間が入り、そのようなサポート的な仕事が分化していきます。社長自身も本業、あるいは収益に関する部門にウェイトをかけていくといった状況です。まさに機能化の最初のはじまりですね。

  どこかにまだ、同好会的な雰囲気を残しています。企業というよりは、クラブ活動的な同志意識が先行する企業形態です。

特にベンチャー企業では、早期の上場を検討していますから、売上高の拡大と内部管理体制の確立が求められています。この辺は、小企業ながら大手企業並みの企業運営が必要になってきます。また、内部管理体制の確立のためにベンチャータイプの企業活動が一部制約される場合もあります。企業のバランスある発展をいかにおこなっていけるかが課題になります。さらに自社の製品やサービスにおける収益構造の在り方、特に事業規模を拡大する増員時における収益構造の転換等に大きな課題がありそうです。またサービス内容の高付加価値化、あるいは単純化を選択するのか、といった事業内容のむずかしい選択があります。毎日の仕事が冒険の連続といってもいいでしょう。

次に中堅クラス、社員数でいえば、500名程度までの企業では、企業基盤が確立しています。組織も部門別に機能化が進み、それぞれの部門の役割もかなり明確になっています。このクラスの企業では、大手企業の子会社の場合、ソニーシステムサービスのような企業と社長がオーナーで一代で築いたような企業では、企業規模以上に企業運営が異なっていることです。

大手企業の子会社の場合には、良くも悪くも親会社の影響を受けながら企業活動をおこなっています。就業規則、福利厚生、経理業務といった企業活動の骨格といったところは、ほとんど共通した制度を有しています。その意味では、グループ一体となって経営をおこなっていると言えます。

一方、単独の中堅企業では、まさに企業発展のプロセスを垣間見ることもあります。特に社員層における創業期からの社員とかなり大きくなってから入社してきた社員との企業文化や企業活動における認識の違いなどがあります。企業運営の仕組みにも小企業だったころの面影、例えば、全ての経営判断が社長に集中しているといったことがあります。また、社長を中心に企業活動のすべてがまわっていくというような部分も散見されます。企業の基本的システムはできあがっていますので、前述した小企業とは異なり、規定関係や福利厚生といった機能も完全ではありませんができあがっています。組織機能もマネージャーを中心とした部門責任体制が確立しています。この規模の最大の課題は、大企業へと変身できるかどうかだと思います。売上規模は、100億円以上になっていますし、次のステップとしては、300億円、500億円といったところが目標になるのでしょうが、100億円規模から突破できない企業では、企業内部になんらかの課題や問題点を抱えていると思われます。むしろ拡大できずに縮少していく実態があります。売上の好循環を維持できない、なにかが存在しています。私が在籍したこの企業も外国企業の買収を受け入れています。公開企業でしたから数度の自己資金調達をおこなっていますが、有効な開発に結びつかず収益を悪化させました。

ソニーに比べると明らかに自由度がないと感じました。ソニーの場合は、企業活動の主体は若い人達であり、常にいろいろなものにチャレンジさせます。若い人達の成果の集積が企業活動の成果になっているように感じます。主役は、自分だといわんばかりです。若い人がもつエネルギー上手く引き出しているようです。とにかく動きながら考えます。考えながら動きます。この企業では、ソニーに比べて組織運営が硬直しているように感じたものです。創造性や人のやるきがでにくい、と言えますか。

企業文化や組織価値をどのように築いていくか、ということはこれからの企業活動にとって生命線になるような気がします。

それとともに企業活動を支えるマネジメントの集中選別による経営的思考の確立が必要だと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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最終更新日 : 2010-10-18 08:20:07


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