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21.文書管理

21.文書管理

 

  企業活動では、多くの文書や書類、あるいは請求書といった証憑類が作成されたり、他の企業から受けとったりしています。しかも法律に定められ法定年数の保管を義務づけられた文書などもあり総務などの担当部門では、この対応だでけでも結構な作業量になります。

法定文書には、商法、労働法、税法、社会保険関係の文書などがあります。

ここでは基本的な文書を書いてみたいと思います。

最初に、企業の基盤であり、活動の基本を定める書類として「定款」があります。これは商法263条1項で会社が存続する限り無期限に保存することが義務づけられています。実際、みなさんがおこなっている企業活動は、この「定款」の定めによっているのです。

株主総会に関する「株主総会議事録」は、10年の保管が商法244条3項に定められています。

次に、労働基準法関係では、社員のみなさんにとって最も重要な「就業規則」があります。常時10名以上の労働者を使用する事業場に備え付ける、あるいは労働者各人に書面を交付することが必要です。

また、安全衛生法に基く「健康診断の結果報告」を労働者へ書面交付することが必要です。

次に、労働基準法に基く、「労働者名簿」、「賃金台帳」、「雇用、退職に関する書類」、「災害補償に関する書類」等々は、3年の保管が必要です。

税法関係では、帳簿類「仕訳帳」、「総勘定元帳」、「仕入元帳」、「売上・仕入帳」、「固定資産台帳」等などがあります。

さらに証憑類「領収書」、「預金通帳」、「小切手帳」、「納品書」、「送り状」、「受領書」、「検収書」、「見積書」、「注文書」、「契約書」やこれらの控えなどは5年・7年の保管が必要です。

日常業務で頻繁に見ることができる領収書や請求書などかなり長い期間保存しておくことが求められます。

企業にこのような保管が義務づけられるのは、企業活動は、常に適法性が求められます。後年なにかあった場合、特に違法性を問われた場合などには、このような書類に基き適法性を証明していくことになります。このような背景をよく理解した上で、日常業務を遂行していくことも重要な要素になります。

文書管理は、前述のように法で定められた文書のほか、企業内で必要に応じて出される文書があります。企業規模や業種による違いはありますが、企業活動には企業独自の情報の流れが必ず存在します。具体的は、各部門でおこなう業務情報の収集や情報の発信、企業業務の企画や計画立案のため情報収集や発信、業務遂行のための指示文書の発信、あるいは生産・販売業務活動のための発信文書などがあります。

情報収集や発信のための手段は、電子化、例えばイントラネットを利用したり、グループウェアを利用したり、あるいはベンチャー企業ではEメールを利用したりしながらこのような情報のやり取りをおこなっています。あくまでも自社に適した仕組みを採用していくことが重要です。特に、ベンチャー企業などでは、ペーパーレスで文書管理を考えていますので、コンピュータを利用しながら適法な企業活動を推進することが重要です。

文書の中でも業務指示文書は、各部門からいろいろな文書が発信されます。例えば、総務部門では、(図7)ような業務指示文書の発信をおこないます。各企業とも各部門で相当量の発信文書がありますので、よく理解しておくことが必要です。

 

 

また、平成10年1月1日より民事訴訟法の改正で文書提出義務の一般義務化(民訴220条)に伴い各企業における文書管理の在り方がさらに厳しく問われることになりました。このような点からも文書管理の重要性を認識しておく必要性があります。どのような部門においても、業務遂行に伴う決裁申請書や業務指示文書に関する管理・保管体制の見直しが求められるでしょう。

この他に文書管理の周辺業務として印鑑管理に関する業務があります。こちらは、企業活動、特に営業活動の最終プロセスにおける契約の締結に関する代表取締役の捺印等、法人活動としての代表者印や社印の押印は、非常に厳格におこなうことになります。

この場合も決裁と同様、業務上の捺印権限の委譲範囲ならびに押印手続きを明確にして、捺印業務の的確化、迅速化、効率化を実現しようとしています。

実務的には捺印依頼書、あるいは捺印申請書などといった形式の申請書を利用して申請をおこないます。

このような手続きをとおして捺印を取得するのも、企業活動における内部統制の必要性からです。誰にでも自由に取得できると使途や責任の所在が不明確になるからです。あくまで適法な企業活動を遂行するための仕組みなのです。

捺印関係の他、会社登記簿謄本の申請や代表取締役の印鑑証明の申請、さらに代表取締役の委任状申請などがあります。特に商業登記簿謄本は、会社の戸籍にあたるもので内容は(1)商業欄(2)目的欄(3)役員欄(4)その他の欄の4部構成になっています。例えば、売掛代金が滞り代金の回収ができなくなった場合など裁判に訴えることで代金に回収をおこなうのですが、その際相手方を特定しなければなりません。個人であれば相手の住民票を添付するのですが、法人の場合は商業登記簿謄本を添付しなければなりません。この他にも新規取引開始時に添付書類の一つとして提出を依頼されるケースなどがあります。いずれも企業活動を進めていく上で比較的頻繁に必要になる書類です。これらの実務知識を知らない社員が意外と多いものです。このような実務知識の習得は、企業活動の常識ですから是非基本的な知識の理解をしてください。

尚、会社登記簿謄本は、現在「現在事項全部証明書」という名称で法務局で取得できます。

 

 

 

 

 

 


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最終更新日 : 2010-10-18 08:16:35

22.受取請求書と債務計上

22.受取請求書と債務計上

 

  営業活動をおこなっている社員のみなさんにとって請求なんて常識中の常識でしょう。製品の販売やサービスをおこなえば、当然当月の売上に応じた請求をお客様におこないます。その際、必ず請求書を発行してお客様のところへ発送あるいは持参していると思います。

実は、ここでいう請求書は、製品の販売の際に自社で発行する請求書ではなくて、物品の購入やサービスを受けたことで自社が受取る請求書、実際は、受取請求書といわれるものです。

このように請求書という場合には、二つの請求書が存在することを理解してください。このことを経理的には、取引の二面性といいます。例えば、メーカーでは、資材を購入して製品を製造して、製品を販売することで収益を上げます。IT関連のベンチャー企業の場合は、資材の購入といった製造活動に伴うような購買活動は少ないのですが、サービスの内容を掲載したパンフレットの作成や什器、備品の購入あるいは家賃の支払といった取引が発生します。どのような企業でも企業活動をおこなうということは、このような仕入取引が必ず発生します。

企業の中においては、日常的に発生していることですからあまり意識していないといってもいいでしょうか。特に総務部門をはじめその他営業管理などの管理部門においては、かなり頻繁にこの受取請求書をもらっているはずです。毎月、請求書がくればそのまま経理部門へまわしているだけなんてことかも知れませんね。

ところがここにも実務の重要な要素が隠れています。その前に、物品購入の簡単な流れ(図8)を見てください。

 


(図8)の1.に書いているように企業活動における物品購入は、原則掛けでおこないます。これは、経理用語では買掛と未払費用となります。現金取引もありますが、企業活動では非常に少ないといってもいいでしょう。

物品購入から支払までの流れは、先ず物品の発注があり次に(図8)の2.にあるように物品の納品がおこなわれます。そこでは、物品が発注したものと間違いがないかということを確認します。これを「検品」といいますが、物品を確認します。その際納品書記載の品物と同じかどうかの確認も必要です。間違いなければ、納品してくれた業者の方へ物品受領書に確認印を押印、あるいはサインをして返却します。物品は、この後発注部門などのへ運ばれていき活用されることになります。ここまでは、物の流れになります。

次は、お金の流れになります。物品を販売してくれたメーカーや商社などは、物品受領書を返却し、確かに注文主が受領しましたということを確認にして、今度は請求書を発行することになります。その際、1回限りの注文であれば、すぐに請求書を発行すれば済むでしょう。しかし現実には、企業では多くの物品やサービスを毎月購入しています。このような場合、一回一回請求書を作成していたのでは、非常に手間がかかることになります。そこで期間を決めて、その期間内に購入した物品やサービスの販売に対しては、その期間まとめて請求をおこなうことが普通です。販売先と購入先の請求処理の効率化を図っています。この期間のことを「請求の締めの期間」といいます。通常、毎月1日~末日までの1ヶ月間をいいます。また、「締め日」とは、請求書を締める日ですから前記の期間でいえば、末日です。この末日を「末締め」といっています。具体的には、9月であれば9月30日ということになります。但し、2000年9月30日は土曜日ですから実務上は、29日までに納品したものに関して9月1日から29日までの期間内の販売額をまとめて請求することになります。

今日、コンピュータシステムの充実でこのような請求処理に関する業務は、非常に簡単に対応することができます。早い企業では、翌月2日あついは3日頃に請求書が到着します。遅いところでも15日頃までには到着するようです。

実は、これからが非常に重要です。社員の方達が理解していない、あるいは理解しがたい部分、さらに企業側も十分なシステムを構築していなかったために社員の理解度が極端に低いものになっています。やや経理的側面が強いので理解しがたかった、とも言えそうです。

それはなにか。

これこそが「債務計上」なのです。

何が重要なのか。

大体、大手企業では、月次決算制度を導入しています。簡単に言えば、毎月決算をおこなっています。毎月売上と企業活動にかかった費用を計算して、その月の利益を算出しています。この場合、売上は、自社の販売システムによって比較的簡単に計算できます。一方、費用の部分にあたる受取請求書に関しては、各企業がバラバラに送付してきますし、送付日もバラバラといった状態です。

実は、経理部門で一番工数がかかる仕事が、この受取請求書の経理計上です。毎月固定的に支払われるもの、契約などで支払額が毎月決まっているもの、例えば家賃などは、経理システムに登録すれば自動的に債務を計上することが可能です。しかしこのような固定金額で支払われるものは、そう多くはありません。大半は手作業で債務の計上をおこなうことになります。月末から月初にかけて経理部門が超多忙というのはこのような事情によるところも大きいのです。

さらにソニーグループでは、情報開示の観点から月次決算確定日に関して、私が在籍していた時でも実動5日で確定させていました。ということは、この受取請求書をもらう期間は実動4日目までになります。その4日間の間に請求書を受取って債務計上をおこなうことになります。これは、取りも直さず各部門の協力がなければ、月次決算の早期化はなかなか達成できません。

ところが一般的に経理部門以外の社員の方達は、この債務計上の意義、あるいは意味をなかなか理解していません。

経理的には、発生主義会計といいます。その月に使用した費用は、その月に計上しなさいということです。税務的には、費用と収益の対応といいます。正しい売上からその月に使用した費用を引いたものが、適正な利益だと考えています。

この原則があるので、経理部門における受取請求書に関する処理基準は厳しいのです。ソニーでは、今後実動1~2日で月次決算をおこなう予定があるそうですから債務計上の意味は相当重くなります。また、抜本的に受取請求書に関するシステムを変更しなければならいと考えられます。と共に月次決算処理から日次決算処理に変更されるのでしょうか。興味があるところです。

どのような企業においてもこのような原則で経理処理をおこなっています。経理部門以外の人達でもこの原則はしっかりと理解しておいてください。

このテーマの最後になりますが、支払は締め日の翌月、9月30日締めの9月分請求書の支払は、原則10月31日に支払われます。これを「末締めの翌月末払い」といいます。その他銀行振込み、小切手、手形での支払があります。それぞれの企業によって支払に関する条件が違いますので、自分の会社の支払条件は確実に理解してください。実務の基本中の基本です。企業によっては、マネージャークラスでも知らない人がいます。問題外の話です。

 

 

 

 

 

 

 

 


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最終更新日 : 2010-10-18 08:16:58

23.リース資産と固定資産

23.リース資産と固定資産

 

営業部門、技術部門、生産部門、総務・人事部門、あるいは経理部門といった企業の中にあるあらゆる部門では、必ず何か新規導入することで部門業務の革新性や効率化、あるいは生産性の向上を目指しています。その際、企業の運営方針に従って投資をおこなうことになります。

大体、リース資産で投資をおこなうか、固定資産で投資をおこなうかの選択になります。また、リース資産と固定資産は兄弟のような関係ですから一度に両者の基本知識を習得しておくほうが効果的であると思います。

先ずリース資産に関する基本的な知識からはじめます。リースの意味ですが広義には、リース物件の所有者、大方所有者とはリース会社になりますが、賃貸料受けることを条件として、他人にその物件の使用を一定期間認める契約です。例えば、○○○リース株式会社が、コンピュータシステム一式を購入して、それらを△△△株式会社が借り受けて、毎月リース料金を支払うことを約束する契約です。

リース形態には、企業活動の中でもっともよく利用する形態として次のようなものがあります。

 

(1)ファイナンスリースがあります。これは、物件本体を賃貸するだけで、前述したように人事給与システム一式を導入(借り受けて)して、毎月リース料を支払うという金融だけを目的にしています。尚、導入した物件の維持管理は、お客様側でおこない、リース期間は3年~7年程度になります。原則、中途解約ができません。

(2)オペレーティングリースは、保守管理サービスが含まれていて、比較的短期契約で中途解約ができます。いわゆるレンタル契約であり、自動車、一般建設機械等で利用されています。

(3)サービスリースは、前述ファイナンス・オペレーティングリースにいろいろな機能を付加したものです。サービス機能の内リース物件の修繕維持、保守管理のメンテナンスサービスを提供するものをメインテナンスリースと呼びます。例は、カーリースなどです。

 

リース契約の長所は、特別な資金調達をしなくとも毎月のリース料の支払で設備の導入がおこなえます。財務部門では、資金の効率的な運用が可能であり、経理部門では、リース料が経費処理できる点にあります。また、管理部門では、事務の合理化を推進できます。但し、この点は、固定資産の資産管理に準じて物件管理および棚卸しをおこなう必要性があります。現在、このように固定資産に準じて物件管理をしているところは少ないと思いますが、資産という前提でリースを見れば、収益を上げるために有効に活用されていなければ、違約金を払って契約解除する必要性がありそうです。また、リース物件そのものの存在がなければ収益を上げることもできません。企業運営の立場からは、固定資産と同様の資産管理が必要なのです。使用部門では、技術革新へ対応が比較的早く実施できるという利点があります。

一方、固定資産は、企業で使用される建物、製造装置、各種機械、OA機器、什器・備品などの比較的長期にわたって利用することで収益を上げることができる財産価値を有するものです。

固定資産の種類としては、(1)建物およびその附属設備①冷暖房設備②照明器具③通風設備④昇降機⑤その他建物の附属設備があり、(2)構築物には①橋②軌道③煙突などがあります。

さらに(3)機械および装置(4)船舶・航空機(5)車両および運搬具(6)工具・器具および備品(7)無形減価償却資産があります。

(7)の無形減価償却資産には、①工業権②漁業権③特許権④実用新案⑤意匠権⑥商標権⑦営業権があります。

固定資産は、税法上購入したときに全額経費処理できません。簡単に言えば、企業が現金で100万円の車を購入しても、その全額100万円を費用にすることはできません。

このような資産はある期間使用することで、企業の利益を獲得するために使用されます。使用して効果を発揮している期間に応じて、一部づつ費用に計上していきます。この費用に計上する計算手続きを「減価償却」といいます。また、このような資産を「減価償却資産」といいます。

単純化して、イメージで示すと(図9)のようになります。あくまでイメージです。詳しくは、経理書などを参考に勉強をしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


また、リースと固定資産の簡単な比較表(図10)を参考にしてください。

固定資産には、前述(1)~(7)までの償却資産と①土地・借地権②書画・骨董③事業用に供していない資産という非償却資産があります。

  実務上は、会社方針によってリースあるいは固定資産として必要な設備や備品を導入していくことになります。両方ともに部門損益制を導入している企業では、リース料あるいは減価償却費として毎月費用として計上されています。投資に関する企画をおこなう場合などには、このような視点から導入を検討することが求められます。リース資産、あるいは固定資産に限らずB/S、P/Lの基礎的知識を理解することが必要です。

また、決算時には、現物チェックをおこなう資産の実地棚卸しをおこないます。現物には、連番で資産番号、あるいはリース資産番号が貼り付けてあります。資産管理システムで一括して管理していますので、確実に実施することが重要です。棚卸しの意味や棚卸しそのものを正確におこなうことが、企業会計を適正なものにします。この点でもソニーグループの姿勢は厳格です。あくまで適正、適法な会計処理をおこなうことで正しい財務諸表が作成されるのです。

経理部門以外に配属されても、このような視点で企業活動を勉強することが、自己の実務能力の向上とマネジメント能力、ひいては経営能力をつけていくのです。

 

 

 

 

 

 

 

 


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最終更新日 : 2010-10-18 08:17:16

24.契約と企業活動

24.契約と企業活動

 

企業活動では、様々な取引が発生します。各種取引に関して口頭で約束することは特に問題はありませんが、一旦、契約内容を破るような事態が発生した場合、日本の裁判制度では、ドキュメント主義の原則から必ず証拠となる書面が必要になります。また、必ずしも裁判だけの問題ではなく、お互いの契約内容を後日確認することができるように書面(契約書)として残す必要性があります。

企業活動の中で必要になる契約は多数ありますが、基本的な契約書としては次のようなものがあります。

先ず(1)商品売買契約書あるいは売買基本契約書などですが、契約書に定める事項は、売主、買主いずれの立場に立つかで契約事項に差違が生じてきます。売主側からは、売掛金の効率的で早期回収できるように、また買主側からは、品質が保証された製品を指定日までに購入できるかどうか、といったことが重要になります。

売主側は、代金支払に関する条件、現金なのか、小切手なのか、あるいは手形なのかといった支払条件、さらに支払日に関する条件が重要になります。買主側では、納入価格、納品日、品質などです。しかも製品に瑕疵があった場合の瑕疵担保責任の条項などが重要になります。大手企業では、法務部がありますので、このような確認を厳格におこなうことができるでしょうが、すべての人達がそのような環境で仕事をおこなっているわけではありません。業務上必要な契約に関する基礎知識は自分で学んでいくことが必要です。その上で、理解できない点や問題を惹起させるような交渉内容は事前に顧問弁護士等に相談することが必要です。顧問弁護士がいない場合は、東京弁護士会が主催する法律相談にいって確認するくらいの実行力が必要なのです。契約に関しては、今後益々シビアになることはあっても緩くなることはないと考えられます。

 その他(2)不動産売買契約書(3)賃貸借契約書(4)特許使用許諾契約書(5)工事請負契約書(6)保守契約書(7)リース契約書などは比較的間近に見ることがあると思います。

特に総務部門では、借上社宅の契約で賃貸借契約書を自ら判断することが必要になります。あるいはリース契約書や導入した機器の保守契約書などは、直接目をとおして判断する必要性があります。この程度の契約書に関する基本的知識の習得は極あたり前です。一々弁護士に相談することではありません。実務では、それぞれの知識を勉強して自分で交渉をおこなっていきます。

  さらに就業規則などの労働法関係の規程の作成は、自ら学んで各企業の実態にあった制度を策定していきます。労働基準法や労働安全衛生法、労働者災害補償法といった労働関係を取り巻く法制度の勉強は、日常茶飯事に必要になります。総務・人事の実務的側面では、非常に重要な要素です。特に就業規則は、第一に労働関係組織づけの法規範性があると判示されており、社内の秩序維持は就業規則によるとされています。また、第二には、労働条件決定の法規範性があるとされており、就業規則は雇用契約にかわる契約だと判例で労働契約書としての効力が認められています。総務・人事では、このような点でより専門的な知識と実務対応能力が要求されます。

  自分が配属された部門で、どのような法律知識が必要なのか、仕事とともに自己研鑚しておくことが、いざという場合に仕事の窮地を救う手段になります。また、法律的知識があることで、その後の訴訟対応なども的確に進めていくことが可能になります。実際、某企業ではこの面でまったくといっていいほど基本的契約を締結していなかったために莫大な損失を出してしまいました。販売や製品の製造委託をおこなう場合などには、それぞれの権利義務関係をできるか限り明確にしておくことが自社のリスクを最少にする手立てなのです。営業社員個々のレベルが高い企業では、より確実な営業活動を展開できます。企業が教えなくとも自分の仕事のレベルアップを考えれば、法的知識の習得は必須です。

 

25.企業活動と保険

 

企業活動では、資本や借入金を得て生産設備や物流センター、研究所、本社社屋をはじめ各支店社屋など多くの資産を所有したり、あるいは社屋や設備などを借りて企業活動を展開しています。

また、人も人的資産になりますね。

このように資産を沢山もっているということは、資産を失うリスクも非常に大きいということです。そこで企業活動を取り巻くリスクに関して、企業活動を中心とした保険が存在します。基本的には、個人で入っている火災保険や傷害保険と同種のものもありますが、企業活動特有の保険も存在しています。この章では、企業活動に付随する問題点とそれをカバーする保険の関係を書いてみます。

先ず、保険の種類ですが、(1)物的損害を補償する保険①火災保険②動産総合保険、(2)費用損害を補償する保険①利益総合保険②リコール保険③取引信用保険などがあります。次に(3)賠償責任損害を補償する保険①施設賠償責任保険②生産物賠償責任保険(PL保険)③会社役員賠償責任保険、(4)損害を総合的に補償する保険①自動車保険②船舶・航空機保険③労災総合保険(法定外補償)といったものがあります。

保険実務の難しさは、各企業とも保険の専門知識を有する人材がいないことです。身近で頻繁に利用するのは、なんといっても会社車両に関する物損事故や人身事故ではないでしょうか。自動車事故の場合には、保険会社の示談サービスを利用できるので、安心して事故時の対応をお願できます。

ところが前述の自動車保険の示談サービスは、保険実務の中では例外中の例外です。結論から言えば、その他の保険に関しては、保険会社が示談をおこないません。企業が主体となって賠償に関する交渉を実施しなければなりません。その意味では、素人担当者が担当している企業がほとんどではないでしょうか。特にPL保険では、自社製品のクレームに関して、先ず企業が実施するのは、製品クレームの再現試験をおこないます。できる限りお客様が使用していた環境に近づけて、再現テストをおこないます。そのテストでお客様が指摘する症状が出現すれば、メーカー側に有責性があるわけです。いわゆる責任があるということです。しかる後に保険会社との間で責任範囲を確定していきます。企業側の有責性にかかわらず必ずしも100%保険対応してくれるわけではありません。保険会社では、補償範囲の査定をおこない賠償範囲を確定します。お客様との見解の相違があれば、賠償額の再交渉や説得、場合によっては訴訟になることもあります。

営業行為におけるクレームは、先ず営業担当者がお客様のところへいくことが一番なのです。その時点でクレーム内容を十分に聞いてさしあげることができれば、状況はかなり好転してきます。この第一歩の対応能力に欠けると初期損害以上に損害を拡大させてしまうようです。さらにクレーム対応と保険対応が明確化されておらず、お客様に対する不信感を増幅させているようです。PL事故に対応するには、保険知識を有する専門担当者を専任して、組織的に対応することが望まれます。私が、お世話になったある企業では、大手外資系損害保険会社から早期退職された方を雇用することで非常に効果的な対応をおこなうことができました。後述しますが、クレームには、その他特殊暴力等の対応が含まれることがあります。この場合には総務が積極的に関与していきます。製品クレームといえども、販売を担当する営業担当者、また保険担当者、さらに開発部門、生産部門、場合によっては総務担当者と広範囲なメンバーで対応するのです。このような関係式を理解しながら自分が担う役割を認識しておくことがポイントになります。

  保険に甘えることなく自分で客観的に判断できる製品知識やクレーム対応能力をつけてクレームからさらに次の販売活動に展開できるだけの自己革新性が必要です。

 

 

 

 

 

 

 

 


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最終更新日 : 2010-10-18 08:17:32

25.企業活動と保険

25.企業活動と保険

 

企業活動では、資本や借入金を得て生産設備や物流センター、研究所、本社社屋をはじめ各支店社屋など多くの資産を所有したり、あるいは社屋や設備などを借りて企業活動を展開しています。

また、人も人的資産になりますね。

このように資産を沢山もっているということは、資産を失うリスクも非常に大きいということです。そこで企業活動を取り巻くリスクに関して、企業活動を中心とした保険が存在します。基本的には、個人で入っている火災保険や傷害保険と同種のものもありますが、企業活動特有の保険も存在しています。この章では、企業活動に付随する問題点とそれをカバーする保険の関係を書いてみます。

先ず、保険の種類ですが、(1)物的損害を補償する保険①火災保険②動産総合保険、(2)費用損害を補償する保険①利益総合保険②リコール保険③取引信用保険などがあります。次に(3)賠償責任損害を補償する保険①施設賠償責任保険②生産物賠償責任保険(PL保険)③会社役員賠償責任保険、(4)損害を総合的に補償する保険①自動車保険②船舶・航空機保険③労災総合保険(法定外補償)といったものがあります。

保険実務の難しさは、各企業とも保険の専門知識を有する人材がいないことです。身近で頻繁に利用するのは、なんといっても会社車両に関する物損事故や人身事故ではないでしょうか。自動車事故の場合には、保険会社の示談サービスを利用できるので、安心して事故時の対応をお願できます。

ところが前述の自動車保険の示談サービスは、保険実務の中では例外中の例外です。結論から言えば、その他の保険に関しては、保険会社が示談をおこないません。企業が主体となって賠償に関する交渉を実施しなければなりません。その意味では、素人担当者が担当している企業がほとんどではないでしょうか。特にPL保険では、自社製品のクレームに関して、先ず企業が実施するのは、製品クレームの再現試験をおこないます。できる限りお客様が使用していた環境に近づけて、再現テストをおこないます。そのテストでお客様が指摘する症状が出現すれば、メーカー側に有責性があるわけです。いわゆる責任があるということです。しかる後に保険会社との間で責任範囲を確定していきます。企業側の有責性にかかわらず必ずしも100%保険対応してくれるわけではありません。保険会社では、補償範囲の査定をおこない賠償範囲を確定します。お客様との見解の相違があれば、賠償額の再交渉や説得、場合によっては訴訟になることもあります。

営業行為におけるクレームは、先ず営業担当者がお客様のところへいくことが一番なのです。その時点でクレーム内容を十分に聞いてさしあげることができれば、状況はかなり好転してきます。この第一歩の対応能力に欠けると初期損害以上に損害を拡大させてしまうようです。さらにクレーム対応と保険対応が明確化されておらず、お客様に対する不信感を増幅させているようです。PL事故に対応するには、保険知識を有する専門担当者を専任して、組織的に対応することが望まれます。私が、お世話になったある企業では、大手外資系損害保険会社から早期退職された方を雇用することで非常に効果的な対応をおこなうことができました。後述しますが、クレームには、その他特殊暴力等の対応が含まれることがあります。この場合には総務が積極的に関与していきます。製品クレームといえども、販売を担当する営業担当者、また保険担当者、さらに開発部門、生産部門、場合によっては総務担当者と広範囲なメンバーで対応するのです。このような関係式を理解しながら自分が担う役割を認識しておくことがポイントになります。

  保険に甘えることなく自分で客観的に判断できる製品知識やクレーム対応能力をつけてクレームからさらに次の販売活動に展開できるだけの自己革新性が必要です。

 

 

 

 

 

 

 


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最終更新日 : 2010-10-18 08:17:48


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