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はじめに

Pubooブクログ e-hon『ひょうたん鯰』 
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毎日かみさん①

讃岐発。『毎日かみさん』の頓珍漢な日常を切り取る、不連続Twitter Novel

毎日かみさん


その1_女中編
 *孕(はら)んでいる

朝のかみさん。洗面所の小窓から、表をうろつくノラ猫を眺めて、

「うわ、また腹ボテ*になっとんちゃうん?」

「え、なんやて !?」と、ベッドに腰かけて自分のお腹を見下ろす夫。

ようやく起きだした夫、ダイニングで朝のひととき。

「コーヒーもう一杯」「花粉かいな、くしゃみや、ティ~ッシュ!」

「耳かきどこや、靴下穴あいてるわ!」「新聞!なに休刊日てか」

立て続けにかみさんに用事を言いつけていると、

「まるで私って女中やんか!他の用事がでけへんわ!」と大声で不満を。

で、『女中』ってどういう言葉なんだろう、『女の中の女』じゃないよね。

名前が菊だと女中の菊、端折って除虫菊・・・といえば蚊取り線香か、

ふむふむと、コーヒーを啜りながら独りごちる夫。



その2_お使い編


午後、かみさんが買い物に。

こんやの酒の肴(さかな)に『うるめいわし』を頼まれた。

「えっ?いわし、うるめ、それって干物なん?あそ、目刺しなんや」

「よりめ、たれめ、やにめ、とりめ・・・」などと呟きながら出かけた。

「ちゃんと覚えたんかいな、落語の『平林(ひらばやし)』とちゃうんやで」



その3_モテキ編


で、スーパーまでやってきたかみさん、

近所の仲よしおばさんとバッタリ会って立ち話。

「まあ奥さん、いつ見ても若いなあ、昔とちっとも変わってへんわ」

「なんかしてるん、エステとか」「そんなもん、なんもしてへんがな」

「ほんまに昔はお肌ぷるんぷるん、そりゃあもてたわで!」と、

財布から色あせた写真を出して、

 

「これがそん時の写真や、懐かしいなあこの若さ」

「・・・あ、あかちゃん !?」

「そう、この頃がモテ期ピークやったんやなあ!」



その4_北まくら編


長話の末に、ようやく干物コーナーにたどりついたかみさん。

『うるめいわし』を探していてふと、

となりの鮮魚ケースに並べられているお魚に目がいった。

「あのアジ、駄目や!北まくらで寝とるで、縁起悪いなあ!」

とその時、お店の壁の“大鏡”に映った自分の姿を見て、

「うわっいかん、ワタシ“左前”にきもの着てたわ!」と、あわてて家に帰った。

・・・ダンナさんの酒の肴(さかな)はどうなったの。



その5_テレビニュース編


昼3時のワイドショー、

関東の某公園で『セアカゴケグモ』が目撃されたというニュース。

それを見たかみさん

「えっチュランタラかいな、かなわんで毒蜘蛛やろ!」と第一声、

それちょっとスペルが違うんやないか・・・ですぐさま夫、辞書を引いた。

漢字にすると『背垢後家蜘蛛』だった。

 

「なんや汚い後家さんみたいやな」って、ちょっと違うか。

事故にはならなかったが、排水溝とか公園の草むらとか、

隠れるところはいっぱいあるからそのうち、

 

かさかさと這い出てきて・・・うわっ!


その6_一尾買い


かみさん、向かいのおばさんといつもの立ち話。

「きのう、スーパーで『鯛のアラと切り身』を買ってな、

吸い物と刺身盛りを食卓にだしたんや」

「そしたらな、『おいっ!一匹買いしたんか!』いうて、

ダンナがびっくりしとったわ」



その7_卵の特売


洗い物の途中、かみさんに買い物を頼まれた夫、

エプロンしたまま出かけて、スーパーの売り場をうろうろ。

お客さんに店の人に間違えられて

「店員さん、卵売り場はどこかしら?」と訊ねられた。

「はい、卵でしたら向かいのスーパーで特売してますよ」って。



その8_道路工事


家の前で道路工事が始まった。

 

作業員が頭を下げて謝っている、お決まりのイラスト看板が立てられた。

それを見たかみさん、近所のおばさんたちと寄り合って井戸端会議。

「イヤやわあ!最初から頭下げてて・・・また何かやらかす気やで」

「先だっては水道管ぶち破ったなあ」「ガス管やったら怖いやんか」

道の向こうで、ミニシャベルが今掘った穴に落ちてあえいでいた。


その9_ばばばか篇


夕食後の団らん、テレビから歌謡番組が流れていた。

メロディに合わせて両手を器用に振る一歳の孫娘を見てかみさん。

「音感がええやなあこの娘、天才やろか!

大きくなったらピアニストにしよか?それとも作曲家、歌手もええなあ」

「そうなったら歌舞伎座でリサイタルやで、うわっどないしよ!」

「かあさん、そういうの、おしめが取れてから考えよっか」と娘。

「そ、そやな」

 


Photoはネットから無断転載。不可の場合はご一報を。


毎日かみさん②

讃岐発。『毎日かみさん』の頓珍漢な日常と会話を切り取る、Twitter Novel。

毎日かみさん


その10_ズンドウ編


たまの休日、趣味でクッキングを愉しむ夫が、

かみさんの腰を抱き寄せて歌っている。

~ずん、ずん、ずんどこ~(小林旭のずんどこ節)〜♪♬

「そうだこの感じやんか」「なにがな」

「いやなに、こんぐらいの大きさの寸胴(ずんどう)鍋が欲しいんや」

「・・・!?」



その11_ヘアカット編


夕ご飯のテーブルで向かい合うかみさん。

ヘアサロンで髪をカットして来たのに、夫は何も言ってくれない。

シビレを切らせてかみさんの方から口を開いた。

「鈍感ちゃう、気づかへんの?思い切ってショートにしたんやで」

「いや、気付いてたけど言うの気が引けてなあ」

「・・・!」

かみさん、あれから何日も夫と口を聞いていない。

夫の気遣いが仇になったのか、そこんとこどうなのかなあ。



その12_ナイトメア編


かみさん、ナイトキャップを聞こし召して頬ほんのりと上気。

こんやは月齢十五日、

窓辺から差し込む月明かりが尚更に胸騒ぎをかきたてる。

ベッドサイドの滋養強精『養命酒』は、ほぼカラッポ。

口からは紅い吐息をもらして

 

「ねえ、ぐふふっ♥♡」「うっわあああ〜!」

 

突然、がばっと目覚めた夫、胸にびっしょりと汗をかいていた

 

木の芽どきに見がちな、ナイトメアにうなされていた。

 

「夢やったあ、ほんまに恐かったやないか、この阿呆たれめ!」

 

「こんな時間になんやの、突然起きだして、眠いがな」とかみさん。


その13_和洋折衷編


夕ご飯は外食。

 

「今夜は『和洋折衷』の店がええな」と、かみさん。

瞬間、往年の国際俳優『早川雪舟』の名前を脳裏に過ぎらせる夫。

さらに、せっしゅう、せっちゅうと云うと、八甲田山『死の雪中行軍』、

涙でネズミを描いたという禅僧『雪舟』伝説が思い浮かべる。

それはさておき『和洋折衷』だと割烹もしくは居酒屋、

いやバイキングも候補にあげられる!などと、夫と娘はウキウキ。

結局、かみさんの鶴の一声で『お好み焼き』と相成った・・・ !?

「お好み焼きのどこが『和洋折衷』やねん!」と夫。

「何言うとるの、これ和食ちゃうやろがな!」負けずにかみさん。

「けど洋食でもないで、なあ、さあどっちやねんて!」と娘。



その14_鼾と嬶編


リビングでソファに仰向けに寝そべってかみさん。

両鼻を詰まらせて執拗なピストン鼾(いびき)をかいている。

ポカンとひらいた口を眺めていてふと

 

「鼾と嬶(かかあ)、よく似た漢字やなあ」と。

「あ、いや、それだけのことやから他意はないからね、決して」

誰に言うとはなく謝っている夫、

悲しい習性だね、怯(おび)え性とでもいうのか。



その15_挫折編


お昼のニュースを観ていたかみさん

「うわっ、イタリアの客船が“挫折”したんやて!」

「ちゃうやろ、それ。挫折してどうするんや、“座礁”やろ」と夫。

ちょうどそこへ近所に嫁いでいる長女から電話

「もうすぐ“ぎょうらく”のシーズンや。どっか日帰り温泉でも行かへん?」

「なんやこの娘は、それ言うなら“こうらく”やろ、行楽」

母娘の会話を聞いていた夫、飲んでいたコーヒーを吹きだした。



その16_もち肌編


5歳になったばかりの孫娘はかみさん好き、いつもくっついている。

その日もリビングで昼メロを観ているかみさんに

「もち肌やね」「嬉しいこと言うてくれるわ、この娘」

「けど、もち肌ってどこで覚えたん?」

「テレビでや。ほんまにぷよんぷよんや、ほらここ」

「どこ突っついてんの、そこお腹やんか」

と、とつぜん餅が食べたくなったかみさん、

正月に搗(つ)いたばかりの餅をオーブントースターへ。



その17_鬼の霍乱編


連日の猛暑で体調をくずして、

ソファで横になっているかみさんを心配して、5歳の孫娘。

「じいちゃんが、怖そうな病気の名前言うとったけど大丈夫な?」

「なあばあちゃん、『オニのカクラン』ってどんな病気なん?」

それを聞いたかみさん、のっそりと起き上がってパソコン検索、

画面の文字をぶつぶつと読んでいるかと思ったら、

突然、大声を張り上げて夫を呼んだ。

「あんたなに考えてんの、ほんまにあたしシンドイやで!(怒)」



その18_フカ(鮫)ヒレ編


かみさん、近所のおばさん連中といつもの立ち話。

「うちの旦那いうたら、“フカヒレ”みたいな大酒飲みやから」

「フカヒレ・・・ !?」

「フカヒレって、中華料理のあれかいな?」

「あんた、それやったら“フカ”みたいに飲むって言うんやで」

「フカってごっつい大ぐちやから、大酒飲みに喩えられたんや」

「ほんまかいな大口かいな、あっははは〜♪♬」と、


高らかに大ぐちを開けて笑うかみさん。

Photoはネットから無断転載。不可の場合はご一報を。


この本の内容は以上です。


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