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「今生きている男性が、全員インフルエンザで死ぬわけじゃないからね。それに、有性生殖には環境に適応し辛い方の対立遺伝子を、劣性遺伝として保存していく機能もあるし・・・。」

「―――男性って劣性遺伝なんですか?」

「SRY遺伝子そのものは対立遺伝子じゃないから、男性という性自体が劣性遺伝というわけじゃないんけど、性に伴う新生児の表現型質的形質量的形質も、分布の重心が女性の方向に移動するでしょうね。」

「スワイヤー何たらで、胎児が男になりきれないって云ってたじゃないですか。それで、男がいなくなるんじゃないんですか!」

ヒステリックに笑子が問い質します。

それを遮るように、「スワイヤー症候群の男児は、どう治療されるんですか?」

玲子が現実的な質問を投げかけます。

「前言を少し訂正するけど、スワイヤー症候群の男児というのは存在しないわ、SRY遺伝子が発現しないY染色体を持つ性腺未発達の女児のことよ。卵巣以外の内性器や、外性器は正常な女性と変わらないから、思春期になるまで解らない。判明して女性ホルモン療法を受ければ、正常な女性と同様の生活ができるわ。」

「―――何だか、男は女の特殊形のひとつような気がしてきました。」

真面目な顔で、玲子が呟きます。

「仰る通り!メスとオスの境界というのが、生物学的、脳科学的、生理学的に曖昧になりつつあるの、というかメスがオスを包括しているとも云える。唯一はっきりしているのが、SRY遺伝子が発現すればオスになって、発現しなければ全てメスになるってこと。―――ところで貴女たちにひとつ訊きたいんだけど、綺麗でポッチャリとした若い女の子見ると、ベッドに連れて行って全裸にして、抱いてみたいと思うことない?」

「―――私ありますよ。乳首と股間がムズムズしてきて、云うこときかなければ、こうやってロープで縛りあげて無理やりにって、思うことあります。」

笑子が動作を交えながら説明します。

「それは、極端に男性的な性欲ね・・・。」

「私は、この人以外は何だか気持ち悪くって・・・。」

「それは、正常な女性的性欲。私たちLGBTの性行為で、一番の障壁になるのが生理的嫌悪感なの。女性同士の場合、お互いの接触感が粘膜的で汚らしいって思うのね。その障壁を乗り越えて、この人みたいに全員が屁とも思わなくなるまでは、女性だけの世界はあり得ないわ。」

「当面は、普通の女性、あんたみたいな女性、極めて女性的な男性の3者で、社会が構成されるんでしょうね。だから女としては、物事の責任を尽く男のせいにしないことね。人類の未来の為に・・・。」

「何だ!男がいなくなりゃ、化粧もダイエットもしなくていいと思ったのに・・・。」

「化粧やダイエットは男の為にすることじゃないでしょ、人間社会の中での極めて主観的な行為よ。特にダイエットに関しては、異性の体形の好みに関して女性に大いなる誤解があるわ。」

「というと?」

「あんた、肥満であぶらギトギトの男大嫌いでしょ、同様に痩身で肌がカサカサの女は男から嫌われるわ。異性には同性とは違う表現型を求めるの。」

「人間の表現型が、女性の方向に偏れば、人の生殖はどうなるんでしょ?」

「だから、こんなのが産まれてくるんじゃない・・。」

そう云いながら、いきなり笑子の背後に廻って脇の下から両胸を鷲掴みにします、悲鳴を挙げて嫌がる娘にお構いなしに、「筋肉の塊のような弾力満点のオッパイ、浅黒い肌はきめ細やかな上に乾いて粉っぽくてスルスル、がっしりした骨格に強靭な腱、外部からステンレスの針を何本差し込まれても、びくともしない頑丈な体・・・。」

「おう!やるかやぶ医者!後ろ手に縛りあげて、けつの穴に―――。」

女医の両手を振り払いながら、髪を振り乱した笑子が穴見に掴み掛ります。

直ぐ上から見ていたインコが、「ケツノアナ!ケツノアナ!」

暫らく揉み合って汗びっしょりの二人を、玲子が呆れて眺めています。

ハアハア云いながら女医が、「ああ、いい汗かいた。久しぶりにストレス吹っ飛んだ!スッキリした!

「こんなんでよければ、レスリング相手に、毎週末派遣しますよ先生。」

そう云う玲子の顔を、笑子の白い眼が睨みつけます。

 

春の盛りの穏やかな風に、日暮れの冷気が 加わって、そろそろカップルの帰る時間です。

「今日は楽しかったわ、きっとまた来てね!」

「―――もう、二度と来ません!」と笑子、奥でインコが、「モウクルナ!モウクルナ!」

「今度会ったら、あいつ焼き鳥にして・・・。」

「ヤキトリクイタイ!ヤキトリクイタイ!」

 

帰りの車の中です。

「今度は、蚕の社にお呼びしていいわね?穴見先生。」

「―――嫌です!玲子さん今晩はお仕置きです、けつの穴に指突っ込んで穿りまわして・・・覚悟なさい!」

「そんなこと・・・嬉しい。」

―――おわり。

 

物語の内容は全てフィックションであり、実在する個人・団体等と一切の関係がありません。悪しからずご承諾ください。 


奥付



穴見性教育


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著者 : 南海部 覚悟
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/tumanaya/profile


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