目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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第1章 パドルビー


昔々、何年も前。

おじいさんやおばあさんがまだ小さい子供だったころ、ジョン・ドリトル先生という医学博士がおりました。
医学博士というのは、りっぱなお医者さんで、いろんなことを知っているという意味です。

ドリトル先生は沼のほとりのパドルビーという小さな町に住んでいました。
町の人はだれもが先生のことをよく知っていて、先生の背高帽子(せいたかぼうし)を見かけると、「あ、ドリトル先生だ! すごく頭のいい先生なんだよ」と口々にほめました。

イヌや子供は、かけだしていって先生の後をつけて歩き、教会の塔のカラスまで「カア」と鳴いて首をふります。

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先生の家は町はずれにある、ちっぽけな家でした。
けれども庭はちがいます。
芝生がしかれ、石のベンチがおかれ、しだれ柳が何本もゆれている、とても大きな庭です。
家の中のことはサラ・ドリトルという先生の妹が切り盛りしていましたが、庭だけは先生が自分で手入れをしていました。

先生は動物が大好きで、ペットをいっぱい飼っていました。
池に金魚。
台所にウサギ。
ピアノの中に白ネズミ。
タンスにリス。
地下室にハリネズミ。
子持ちのウシに、よれよれの25歳のじいさんウマ。
たくさんのニワトリと、ハトと、2匹のヒツジと、他にも色々。

けれども先生のお気に入りは、『ダブダブ』というアヒルと『ジップ』というイヌ。
それから、『ブウブウ』という子ブタとオウムの『ポリネシア』。
そいでもって、『ホーホー』という名前のフクロウでした。

先生の妹のサラは、「動物のせいで家がぐちゃぐちゃになるわ」と、いつもブツクサいってました。

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そんなある日のこと。

「ひゃあ!」

リューマチ患者のおばあさんが、ハリネズミの寝ているイスに腰を下ろしてしまい、二度と来なくなってしまいました。
15キロ先のオクセンソープという町の別のお医者さんに毎週土曜日、車で通うようになったのです。

妹のサラはいいました。

「兄さん、こんなに動物だらけで患者さんが来るわけないでしょ。診察室にハリネズミやネズミがあふれてるなんて、ありえないわ! 動物のせいで来なくなった人はこれで4人目よ。地主のジェンキンスさんも牧師さんも『病気になってもこの家には近づきたくない』ってよ。もう、毎日、貧乏が止まらない! こんなことしてたら、金持ちは誰も来なくなるじゃない」

「金持ちより、動物のほうが好きなんだ」

「この、変人!」

妹は部屋から出て行きました。

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それからも、先生のペットはふえる一方で、患者さんはへる一方です。

とうとう最後には、動物のことを気にしないペット・ショップ『ネコマンマ』の主人以外、だれも来なくなりました。
そのネコマンマの主人にしても金持ちじゃありません。
年に一度、クリスマスの時だけ病気になり、薬をひとビン600円で買うだけです。

いくら昔のことといっても、1年に600円では生活できません。
もし先生が貯金箱に貯金していなかったら、どうなったことでしょう。

それでも、先生はペットをふやすのをやめませんでした。

えさ代が大変です。
貯金はどんどん減っていき、ピアノを売ったので、中に住んでいたネズミは机の引き出しに引っ越しました。
そのお金もなくなると、日曜日に着る用の茶色の服も売り、もっともっと貧乏になってしまいました。

今では、先生が背高帽子をかぶって歩いていると、村の人はこういいます。

「あ、ドリトル先生だ! 医学博士様だ。前は、ウエストカントリーで一番有名な先生だったのに、今は落ちぶれて、クツ下も穴だらけだって!」

だけど、イヌやネコや子供は今もかけより、先生の後について町を歩きます。
それだけは貧乏になっても変わりません。

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第2章 動物語

その日、先生は台所で、おなかが痛くなってやってきたペット・ショップ『ネコマンマ』の主人と話をしていました。
ネコマンマの主人がいいます。

「ねえ、先生。もう人間の医者はやめて、動物の医者になったらどうだい?」

そのとき、オウムのポリネシアは窓にとまって、外の雨を見ながら船乗りの歌をさえずっていました。
しかし、ネコマンマの主人のことばを聞くと、歌をやめて聞き耳を立てました。

「いいかい、先生。先生は、動物のことだったら何でもわかる。そこいらの獣医より、よっぽど何でも知っている。先生の書いたネコの本、あれは本当にすばらしい!」

「それほどでも……」

先生はけんそんしましたが、主人はきいていません。

「いや、オレは読み書きはダメなんだけどね。というか、それができたら、オレも本の一冊くらいは書いてるはずなんだけどね。しかし、女房のテオドシア。あいつは学があるからね。あいつに先生の本を読んでもらったんだ。いやあ、あれはすばらしい。すばらしいとしかいいようがない。」

「いやいや……」



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