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なんとか全員無事に岸までたどりつきました。
あるものは泳いで。
ある者は空を飛んで。
ある者はロープを伝って。
先生のトランクとカバンも持って行きました。
しかし、船の底には大きな穴が開いて、もう使い物になりません。
見る見るうちに、荒波にもまれ、船は岩に叩きつけられ、砕け散った木片が海の藻屑と消え去りました。
崖を少しあがったところに、雨のあたらない居心地のいい洞窟を見つけました。
嵐が去るまでの避難場所にしました。
翌朝、太陽が昇ると、砂浜に出て体を乾かします。
ポリネシアがため息をつきました。
「おお、わがふるさと、アフリカ! もどってきたよ! 思えば、ここを去って、あしたで169年だわ。なんにも変わってない! ヤシの木も、赤い大地も、黒い蟻も昔のまんま。アフリカこそ、わがふるさと!」
みんなは、ポリネシアが泣いているのに気がつきました。
ふるさとに帰ったのが、それほどうれしかったのです。
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ふと、ドリトル先生は帽子がないことに気づきました。
嵐のとき、海に吹き飛ばされたのです。
アヒルのダブダブが探しに行くことになりました。
空を飛んでいると、やがて遠くに見えてきた先生の帽子は、まるで水面に浮かぶおもちゃの船みたいでした。
帽子をくわえようとして近づくと、なんと、その中で、白ネズミがふるえています。
「なんで? あなたパドルビーにいるはずでしょ?」
「ボク、残りたくなかったんだ。アフリカがどんなところか見たかったんだよ。親戚もいるし。だから、ボク、荷物の中にかくれて、乾パンもって船にのりこんだんだ。でも、船が沈んで、ボク、すごく怖くなって。だって、ボクあんまり泳げないから。でも、とにかく泳げるだけ泳いで。でも、くたくたになって。もうだめだ、沈む、と思ったら、そしたらそのとき、先生の帽子が流れてきたから、乗ったの。だって、ボク、おぼれたくなかったから」
ダブダブは、ネズミごと帽子をくわえると、海岸にいるドリトル先生のところへまで連れて行きました。
みんながネズミを取り囲みました。
「いわゆる、『密航者』ってヤツね」
ポリネシアがいいました。
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それからしばらく、白ネズミがトランクのどこにはいれば、快適に移動できるか、みんなであれこれ検討していました……が、突然、サルのチーチーが叫びました。
「シッ! ジャングルで足音がする」
みんな、いっせいにしゃべるのをやめ、聞き耳を立てます。
すぐに、ひとりの男が森から姿を現しました。
「おまえ、そこで何をしている?」
「私の名はジョン・ドリトル。医学博士だ。病気のサルを助けるために、呼ばれたのだ」
「おまえたち全員、王様のところへ来い」
「王様?」
時間がもったいないのに、と思いつつ、先生は聞きました。
「ジョリギンキの王だ。土地はすべて王のもの。よそ者はすべて王のもとへ。ついて来い」
仕方ありません。
みんなは荷物をまとめると、男についてジャングルにはいりました。
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第6章 ポリネシアと王様
深い森の中を行くと、広場に出ました。
そこには、土でできた王の宮殿がありました。
この宮殿には、王と女王のアーミントルードと息子のバンポ王子が住んでいます。
王子は、川へサケを釣りに行っていて留守でした。
しかし王と女王は宮殿の前にある日傘のかげで座っていました。
女王は眠っています。
宮殿に着くと、王は、先生に職業とアフリカへやってきた理由を聞いた上で、こういいました。
「わしの土地を通ることは、まかりならん。何年も前、外人がこの海岸へやってきた。わしはたいそうもてなしたもんじゃ。にもかかわらず、そやつらは、金が欲しくて地面を掘りまくり、象牙が欲しくて象を殺しまくり、あげくのはて、こっそり船で逃げていきおった。一言のお礼もなしにじゃ。だから、もう二度と、外人はジョリギンキの土地は通らせないと決めたのじゃ」
王は、そばに立っている家来にいいました。
「この医学……なんとかという者と動物を連れて行け。一番頑丈な牢屋にいれるのじゃ」
みんなは、6人の家来に石牢へ連れていかれ、閉じ込められました。
窓は、高いところに柵のはまった小さいのがたったひとつあるだけです。
牢の扉は、頑丈で分厚いものでした。
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みんな、ガックリと落ち込みました。
「うえーん……ブヒブヒブヒブヒ」
ブウブウが泣きはじめましたが、
「変な声出すな。なぐるぞ!」
と、チーチーにいわれて、だまりました
薄暗い光に慣れてきたころ、先生がいいました。
「全員そろってるか?」
「はい。たぶん」
アヒルのダブダブが仲間の数を数えはじめます。
そのとき、ワニが声をあげました。
「ポリネシアは? いないぞ」
「なんだと? よくさがすんだ。ポリネシア! ポリネシア! どこいった?」
先生が呼びかけると、ワニがぶつくさいいました。
「逃げんたんだ……ま、あのオウムらしいよ。仲間が困っているときに、ジャングルに逃げるなんて」

麻野一哉