目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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「すぐには出発せず、せめて2、3日は、いてください」

おじさんとお母さんから、そう頼まれたので、先生は土曜日と日曜日、それから月曜の午前中までは、いることにしました。

村中のこどもたちが、浜辺に集まってきました。
停泊している大きな船を指さして、みんなでワーワーいっています。

「すげー! 海賊船だぜ! 7つの海で一番恐い、ベン・アリの船だぜ!」

「あのヘンな帽子のおっさん。あのトレブリヤンのおばちゃんちに泊まってるおっさんが、バーバリー・ドラゴンの船をとったんだって! 海賊に、百姓になれっていったんだって。それってやばくね?」

「ぜんぜん、そんな風に見えねーよなあ。あんなに、たるいオヤジなのに!」

「おい! あれ見ろよ、あのでけー赤い帆! すげー極悪って感じしねー? 赤いと速い感じしねー? すげー!」

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先生が村に滞在した2日半は、村人の訪問と、お茶とランチとディナーとパーティーで埋めつくされました。
村じゅうの女の人が、花とキャンディーの詰まった贈り物をもってきます。
村のバンドが毎晩、先生の部屋の窓の下で演奏をします。

そしてついに……。

「そろそろ帰らないといけません。みなさん、ほんとうによくしてくださった。このことは絶対に忘れません。でも、もう行かなければいけません。帰って、やることがあるんです」

先生とみんなは、出発の準備をはじめました。

そして、さあ出発しようかという、そのときに、市長とか立派な服をきた人が大勢、村への道をゾロゾロとやってきました。
市長は先生のいる家まで来ると、歩みをとめます。

村の人たちは、何が起こるのかと、全員集まってきました。
オシャレな6人の少年がキラキラしたトランペットを吹くと、村人のおしゃべりがやみました。

先生が家から出てくると、市長が述べました。

「ジョン・ドリトル博士。バーバリー・ドラゴンを海より追い払いし方へ。わが市民を代表して、このささやかな感謝の印を贈呈つかまつる。市長としてこれほどの栄誉があろうか!」

市長は、ポケットから柔らかい紙でくるんだ小さな包みを取り出しました。
包みをとき、先生に手渡されたのは、本物のダイヤモンドが散りばめられた、非のうちどころのない美しい時計でした。

次に市長は、ポケットからもっと大きい包みを引っ張り出しました。
そして……。

「あれ? イヌは?」

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それからです。
ジップの捜索に、その場にいた全員がとりかかることになりました。

やっとのことで、アヒルのダブダブが、村の裏側にある囲いの中にいるのを見つけました。
そこでは、そのへんの田舎のイヌがすべて集まってきて、ジップを取り囲み、コトバもなく、賞賛と尊敬のまなざしを送っている最中でした。

ジップが先生のとなりに連れてこられると、市長は、さきほどの大きな包みを解きました。
中にはいっていたのは純金の首輪です!

市長が身をかがめて、みずからの手でジップに首輪をはめると、村人のあいだから大きな驚きのざわめきが起きました。

なぜなら、首輪には、大きく、こう書かれていたのです。

「世界でもっとも賢いイヌ。ジップ」


それから、そこにいた全員が浜辺へ見送りに行くために、一団となって移動をはじめました。

男の子とおじさんとお母さんは、先生とジップに、何度も何度も何度も、くり返しお礼をいいました。

♪ ぶんか! ぶんか! ぶんちゃっちゃ! ♪

浜辺で村のバンドが演奏をする中、赤い帆をつけた大きな高速船はパドルビーへと向きを変え、またもや海へと、くり出したのです。

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最終章 ふたたび、わが家へ

3月の風が来ては去っていきました。
4月の春雨が終わり、5月のつぼみが花開きました。
6月の太陽が心地よい大地にふりそそぎ、ジョン・ドリトル先生は、ついに、ふるさとに帰ってきたのです。

しかし、まだパドルビーの家には帰りません。
まずは、ワゴン車にオシヒッキーをのせて、国中を旅してまわるのです。
行く先々で、お祭りがあると車をとめます。
そこでやっているアクロバットや人形劇のすきまにわりこんで、大きな看板をかかげます。

「よってらっしゃい、みてらっしゃい。世にも珍しい、アフリカのジャングルからやってきた、頭の2つある動物。お代はたったの600円」

オシヒッキーがワゴンの中にいるあいだ、ほかのみんなはワゴンの下にもぐりこんでいます。
先生は、ワゴン車の前のイスにすわって、600円を受け取り、お客さんに愛想をふりまきます。
アヒルのダブダブは、先生をしょっちゅう、しかってばかりです。
というのは、見張ってないと、すぐに子どもはタダにしてしまうからです。

動物園やサーカスの関係者が、「その奇妙な動物を売ってくれないか」と頼みに来ます。
とてつもない金額を提示してくることもあります。

しかし、先生はいつも手をふっていうのです。

「断る。オシヒッキーはオリには決していれさせない。わしやあんたたちと同様、いつでも自由であるべきなのだ」

この旅めぐりの生活でも、色々と珍しい景色を見たり、おもしろい事もありました。
でも、アフリカ冒険の、あのすごい経験に比べると、なんだか色あせて見えます。
最初は、サーカスの仲間入りのようで、それなりにおもしろかったのですが、何週間かするとあきてきて、家が恋しくなってきました。

さいわい、たくさんのお客さんがワゴン車に殺到し、オシヒッキー目当てに600円払ってくれたので、かなり早くに店じまいすることができました。

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ある晴れた日、朝顔の咲き乱れる中、先生はパドルビーにもどってきました。
それも、大きな庭の小さな家に住む「大金持ち」となってです。

馬小屋にいた、よれよれのじいさんウマも、笑顔でむかえました。
屋根のひさしに巣を作り、ヒナを育てていたツバメも、先生の顔を見て大よろこびです。

アヒルのダブダブも、住み慣れたわが家に帰れて、大満足です。
けれども、やっかいな大そうじが待ちかまえています。
あちこちクモの巣だらけなのです。

ジップはとなりの家の、えらそうななコリーに金の首輪を見せに行きました。
帰ってくると、狂ったように庭じゅうを走りまわり、前に埋めた骨をさがし、物置小屋のネズミを追い掛けて遊びました。

ブタのブウブウは、庭の生垣のすみで1メートルの高さまで伸びたホース・ラディッシュ(西洋ワサビ)を掘り返します。

先生は、船を貸してくれた船乗りに会いに行き、船乗りに新しい船を2つと、赤ちゃんにゴムの人形を買ってやりました。
雑貨屋に後払いにしていた食料代を払いました。

白ネズミに、新しいピアノを買って、住むところを作ってあげました。
机の引き出しだと、すきま風がはいるらしいのです。

タンスの上の古い貯金箱には、お金が入りきりません。
大きな貯金箱をさらに3つも買いました。

「お金というのは、ほんとうに面倒だ。しかし、心配ごとがなくなるのはたすかるな」

先生がそういうと、アヒルのダブダブが、ティータイムのマフィンを焼きながら答えます。

「はい。本当にそのとおりです」


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