目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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男の子は、わっと泣き出しました。

「やっぱりおじさんはいないんだ! 村に帰ったら、なんていおう!」

しかし、ジップはいいます。

「絶対、ここにいます。絶対! 絶対にです! においの元はここです。おじさんは絶対にここにいます。断言します! 船をもっと近づけて、ぼくを岩に飛び移らせてください」

先生は、できるだけ船を近づけて、イカリをおろしました。
ジップと一緒に船からでて、岩にあがります。

ジップは鼻を地面に近づけながら、岩の上をすべて走りまわります。

上がったり下りたり。
バックしたり前に行ったり。
ジグザグにくねったり、往復したり、ターンしたり。

ジップをおいかけて、先生もぜいぜいと息が切れてきました。

「ここだ!」

ついにジップが大きな吠え声をあげました。
先生がかけ上がってくると、ジップは、岩の真ん中にあいている大きな深い穴をのぞき込んでいました。

「あの子のおじさんは、この下です」

ジップは静かにいいました。

「あのバカなワシが見つけられないわけだ! これはイヌでないと無理だ!」

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先生とジップは穴の中にはいりました。
地下まで長く続く、洞窟かトンネルの一種のようです。

先生がマッチをすって暗い道を照らします。
ジップはそのうしろをついていきます。

マッチはすぐに消えてしまうので、先生は、何度も何度も何度もマッチをすりました。

ついに道が終わり、岩に囲まれた小さな部屋のようなところにでてきました。

その部屋の真ん中に、腕枕をした、真っ赤な髪の男が寝ころんでいました――なんと、ぐっすりと眠っています!

ジップはその男に近寄って、かたわらに置いてあるものをかぎました。

先生がつまみあげてみると、それは大量のかぎタバコでした。
『ブラックラピー』のかたまりだったのです!

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第20章 小さな漁村

そっと、そおっと、先生は男を起こしました。

ところが、そのときまたもやマッチの火が消えました。

「ベン・アリ! おまえか!」

男は海賊がもどってきたのだと勘違いして、暗闇のなかで先生になぐりかかりました。

「ちがう、ちがう。ワシはジョン・ドリトルというものだ。あんたのおいっ子と一緒に助けにきたんだ」

「ええ!」

この男は、やはり、あの男の子のおじさんでした。
おじさんは、助けに来てくれたことをとてもよろこび、殴りかかったことをあやまりました。

「……ほんとに、すみませんでした」

「大丈夫だ、パンチはたいしてくらってない。暗かったのが幸いしたようだな。わっはっは!」

「では、かわりにこれをひとピンチ、どうぞ」

おじさんは、先生にかぎタバコをひとピンチ(ひとつまみ)渡しました。

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それからは、マッチをすって、また道をもどりました。
おじさんがいいます。

「ベン・アリって、知ってますか? バーバリー・ドラゴンとして有名な」

「ああ、すこしはね」

「海賊になるのを断ったら、この岩に置き去りにされたんですよ」

「ひどい話だ! ところで、どうしてこんな穴の中に?」

「この岩はむきだしで、すごく冷えるんです。夜なんか凍えてしまうんで、ここを住みかにするしかなかったんです」

「そうだったのか。だから、見つけにくかったんだ」

「もう、4日間、飲まず食わずでした。かぎタバコだけで生きてきたんですよ」

おじさんがそういうと、ジップは大きくシッポをふりました。

「ほらね! いったとおりでしょ?」

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やっと、お日様の下まででてきました。
先生は、おじさんにスープを飲ませようと、急いで船へまで連れていきました。

船に残っていたみんなや男の子は、先生とジップが赤い髪のおじさんといっしょにもどってくるのを見て、声をあげてよろこび、船の上で踊りだしました。

高いところにいたツバメは出せる中で一番甲高い声で鳴きました。
ツバメも、勇気のあるおじさんがみつかったので、うれしくて仕方がないのです。
しかし、それが何千も何百万もいるのです。
その音があまりにうるさかったので、遠くの海にいた船乗りは、ひどい嵐が近づいてきたのかと思い……

「聞くがよい、大風が東の方でうなりをあげておるわ!」

……なーんていう風にいったほどでした。

ところで、心の中で、ジップは大いばりでした。
でも、なるべくそれがばれないように、すごく気をつかっていました。

ところが、アヒルのダブダブが、

「ジップ。あなた、すごいじゃない!」

といってくれたとき、思わず、

「いや、別に!」

頭をくいっとあげて、

「イヌっていうのはこういうもんなんだよ。ま、トリには向いてないってことさ!」


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