目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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先生がワシにいいました。

「行方不明の男がいるんだ。赤い髪をした漁師で、腕にイカリのタトゥーをいれておる。もし見つけて出してくれたら、ほんとうに助かる。この子がその漁師のおいっ子なんじゃ」

ワシは無口な鳥です。
そのうえ、全員がハスキーボイスでした。

「我々は最善をつくすと約束する……ジョン・ドリトルのためならば」

ワシはバッと、飛び立ちました。

ブウブウもタルの後ろから出てきました。

どんどんどんどん、どこまでも高く高く上がっていきます。
先生の視力の限界まできたところで、ワシはバッと四方八方に散りました。
黒い砂粒が広い青空を横切って行くようです。

「すげー!」

ブウブウがおどろきの声をあげます。

「高っけー。あんなにお日様にちかづいて、羽根とか燃えないのかあ!?」

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長い時がすぎました。ワシがもどってきたのは、もうほとんど夜でした。

「我々は、北半球のすべての海とすべての国、すべての島とすべての都市、すべての村を探した。しかし、いなかった。ジブラルタルのメイン・ストリートに、三本の赤い髪の毛がおちていた。パン屋のドアの前にある手押し車の上だ。しかし、それは人毛ではなかった。毛皮のコートから抜けたものだ。どこにも……陸も海も川も湖にも、その子のおじさんを示すものはなにもなかった。このわれわれに見えないということは、その男は見つからないということだ。我々は最善をつくした……ジョン・ドリトルのために」

6羽の威厳あふれる鳥は、大きな羽根を羽ばたかせると、自分たちのなわばりである山や岩場へと飛び去って行きました。

ワシが見えなくなってから、アヒルのダブダブがいいました。

「これからどうしましょう。この子のおじさん見つけるの。……イルカもワシもダメで。この子はまだ世界中ひとりで探してまわれる年じゃないし……。人間の子は、アヒルとちがって、大きくなるまで手がかかるしなあ。あーあ、チーチーがここにいたらなあ。チーチーならすぐに見つけてくれるのに。なんだか、会いたくなってきた! 今、なにしてるんだろ!」

「ポリネシアだけでもいてくれたら!」

これはシロネズミです。

「あのオウムなら、すぐにいろんな解決方法を考えてくれるのにね。牢屋から抜けだしたときのこと、覚えてる? 2回目のとき、すっげー頭よかったよね!」

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「あのワシのやつら、そんなにすごいかあ?」

イヌのジップがブツブツいってます。

「あいつら、めっちゃ、えらそうだったよな。たしかに、目はいいかもしれないぜ。でも、結局、先生の頼み、果たせられなかったじゃない。えらそうに帰ってきて、『しかし、いなかった』って。なんだ、あの態度。パドルビーのとなりのコリーそっくりだ。あと、あのうわさ好きなイルカのネエちゃんもどうよ? あいつがいったことって、『海にはいない』だけだよな。『おじさんがここにはいない』話なんてどうでもいいんだ。知りたいのは、『どこにいるか』なのにさ!」

ブウブウが反論します。

「おいおい、そりゃいいすぎだろ。口でいうのは楽だけど、世界中からたったひとりの男をさがしだすのって大変だぜ。きっと、おじさんの髪の毛、白髪になったんだよ。その子のこと心配してさ。そしたら、ワシにはわかんないじゃん。ジップは何にもわかってねえよな。だいたい、口ばっかで何もしてねえし。ま、ジップにはできないか。ワシならまだしも、ジップにはムリムリ!」

「なんだよ、オメー! なめてんのか? ざけんじゃねーよ。この、常温ベーコン! オレは今からやるんだよ! だまって見てろ!」

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ジップは先生にいいました。

「その子のポケットに、なにかおじさんのものがないか聞いてください」

先生が聞くと、その子は、金の指輪を出してきました。
ブカブカで指にあわないため、おじさんはこの指輪をヒモで首にかけてたそうです。
海賊を見たしゅんかん、おじさんはその指輪を男のこにわたしたのです。

ジップはその指輪のにおいをかぎました。

「これはダメだな。ほかにはありませんか?」

「これもおじさんのです」

今度は、大きな立派な赤いハンカチを出してきました。

「こりゃいい!」

ジップはそのハンカチのにおいをかぎました。

「やった! かぎタバコのにおいだ。それも銘柄は『ブラック・ラピー』だ。おじさんは、かぎタバコが好きなんだな――この子に聞いてください、先生」

「おじさんは、かぎタバコをやるかい?」

「はい、大好きです」

男の子がそう返事をすると、ジップはよろこびました。

「よし! もう見つかったようなもんだ。台所からミルクを盗むくらい簡単だぜ。この子に、一週間でみつけてやるっていってください。よし! 甲板にでて、風向きをしらべてこよう」

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「もう夜だ。こんなに暗くては見つからないだろう」

「かぎタバコ『ブラック・ラピー』をやる人をさがすのに、光なんかいりません。」

ジップは階段を登りながらいいました。

「糸とか、お湯とか、そういうむつかしいにおいだったら別ですけどね。でも、かぎタバコだ! 楽勝です!」

「お湯にもにおいがあるのかい?」

「もちろんありますよ。お湯は、水と全然ちがいます。お湯、それから氷は、かぐのが本当にむつかしいんです」

「へえ」

「一度、真っ暗な夜に10キロ以上、ある男を尾けたことがあるんです。そのときは、その男がひげそりにつかったお湯のにおいがたよりでした。貧乏で、セッケンなんかつかってなかったんでね」


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