目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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しばらくすると、ブラジル行きのイルカの一団が、水の中を踊ったりはねたりしながらやってきました。

「オ・ラー! ドリトル先生ー」

イルカは船の手すりにもたれている先生をみると、あいさつに近づいてきました。

先生はイルカにたずねました。

「赤い髪で、腕にイカリのタトゥーをいれた男をみたことがないか?」

「あっらぁ? それって『セクシー・サリー』号の船長のことかしら?」

「そうだ。その男だ。どうなったか知らんかね?」

「船は沈んだみたいね。海の底に転がってるのを見たもの。でも、中にはだれもいなかったわねえ……ええ、ちゃんとこの目で確かめたわ」

「今、その男のおいっ子が、この船にのってるんだよ。海賊が、その子のおじさんを海に沈めたんじゃないかと、とても心配しておる。よかったら、調べてはもらえんか。その子のおじさんが、おぼれて死んでしまったかどうか」

「ああ、それなら大丈夫。もし、おぼれて死んだたとしたら、足のうじゃうじゃした連中から連絡がはいることになってるの。カニとか、エビとか、イカとか、タコとか、あの連中ね。海のことなら、ぜんっぶ、私たちの耳にはいるの。……貝なんて、私たちのこと『海の情報屋』なーんて、呼んでるのよ。というわけで、その子には、『おじさんは海にはいない』って、いってあげてくださいな。ごめんなさーい! どこにいるかまではわからないけど。でも、海でおぼれてないことは確実よ。じゃあねえ。アディオース!」

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「おーい! わかったぞー」

先生は階段をかけ下りると、今の話を伝えました。

「やったー!」

男の子は、手をたたいてよろこびました。

オシヒッキーはその子を背中にのせて、食堂のテーブルのまわりをグルグルまわりはじめました。
ほかのみんなは、スプーンで皿をたたきながら、そのあとをついて歩いて、まるでパレードみたいになりました。

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第18章 におい

「海に投げ込まれてないことはわかった。こんどは、おじさんを見つけださんといかん。それが次の仕事だ」

アヒルのダブダブは先生に近寄ると、また耳打ちしました。

「ワシにきいてみましょう。ワシほど目のいい生き物はいません。何キロも離れた高い空から、アリが地面をはってるのが見えるんです。ワシにきいてみましょう」

そこで、先生はツバメをワシまで使いに出しました。

1時間後、ツバメは、6種類のワシを連れてきました。

黒ワシ、ハクトウワシ、ウミワシ、イヌワシ、ハゲワシ、オジロワシです。
どれもこれも、男の子の倍の大きさはあります。
船の手すりに、いかめしく、微動だにしないで一列にならんでいる姿は、まるでなで肩の軍人といった風情です。
大きくギラギラとした黒い目が、あちこちに射るような視線をなげかけます。

ブウブウは怖くなって、タルの後ろに隠れました。

「あの目、チョーこええ! 昼の盗み食いまでバレちまいそうだ。とりあえず、逃げとこーっと!」

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先生がワシにいいました。

「行方不明の男がいるんだ。赤い髪をした漁師で、腕にイカリのタトゥーをいれておる。もし見つけて出してくれたら、ほんとうに助かる。この子がその漁師のおいっ子なんじゃ」

ワシは無口な鳥です。
そのうえ、全員がハスキーボイスでした。

「我々は最善をつくすと約束する……ジョン・ドリトルのためならば」

ワシはバッと、飛び立ちました。

ブウブウもタルの後ろから出てきました。

どんどんどんどん、どこまでも高く高く上がっていきます。
先生の視力の限界まできたところで、ワシはバッと四方八方に散りました。
黒い砂粒が広い青空を横切って行くようです。

「すげー!」

ブウブウがおどろきの声をあげます。

「高っけー。あんなにお日様にちかづいて、羽根とか燃えないのかあ!?」

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長い時がすぎました。ワシがもどってきたのは、もうほとんど夜でした。

「我々は、北半球のすべての海とすべての国、すべての島とすべての都市、すべての村を探した。しかし、いなかった。ジブラルタルのメイン・ストリートに、三本の赤い髪の毛がおちていた。パン屋のドアの前にある手押し車の上だ。しかし、それは人毛ではなかった。毛皮のコートから抜けたものだ。どこにも……陸も海も川も湖にも、その子のおじさんを示すものはなにもなかった。このわれわれに見えないということは、その男は見つからないということだ。我々は最善をつくした……ジョン・ドリトルのために」

6羽の威厳あふれる鳥は、大きな羽根を羽ばたかせると、自分たちのなわばりである山や岩場へと飛び去って行きました。

ワシが見えなくなってから、アヒルのダブダブがいいました。

「これからどうしましょう。この子のおじさん見つけるの。……イルカもワシもダメで。この子はまだ世界中ひとりで探してまわれる年じゃないし……。人間の子は、アヒルとちがって、大きくなるまで手がかかるしなあ。あーあ、チーチーがここにいたらなあ。チーチーならすぐに見つけてくれるのに。なんだか、会いたくなってきた! 今、なにしてるんだろ!」

「ポリネシアだけでもいてくれたら!」

これはシロネズミです。

「あのオウムなら、すぐにいろんな解決方法を考えてくれるのにね。牢屋から抜けだしたときのこと、覚えてる? 2回目のとき、すっげー頭よかったよね!」


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