目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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第17章 海の情報屋

オノはすぐに見つかりました。
先生は、すぐにドアに大きな穴をあけて、中へはいりこみました。

最初は真っ暗でなにも見えませんでした。
マッチをすります。

とても小さな部屋でした。
窓はなく、低い天井です。
家具といえば、小さな腰掛がひとつあるだけ。
壁にそって、大きなタルが並べられていて、船のゆれに転がらないよう、底が固定されています。
タルの上には、あらゆるサイズのジョッキが木のクギに引っかかっています。
ワインのにおいがムッとたちこめています。

そして、床の真ん中に、小さな男の子がひとりいました。
8歳くらいでしょうか。
ホトホトと泣いています。

「まちがいない。ここは海賊の酒蔵だ!」

ジップがつぶやきくと、ブウブウもいいました。

「酒くさっ! このにおい、ちょー、うざい!」

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男の子は、とても驚いてます。
無理もありません。
目の前に知らない男の人が立ち、たくさんの動物が、こわれたドアの穴から自分のことをジロジロ見ているのです。

でも、マッチの光に照らされたドリトル先生の顔をみると、すぐに泣きやんで、立ち上がりました。

「おじさんは海賊じゃないよね?」

男の子がそうたずねると、

「わしが海賊? はっ! わっ、はっ、はっ、はっ……!」

先生は頭をそらせて、笑いがとまりません。
その子にも笑顔がうつり、先生の手をとりました。

「おじさんの笑い方はやさしそうだね。海賊のとは全然ちがう。ねえ、おじさん、ぼくのおじさん、どこにいるか知ってる?」

「わるいが、それはしらんなあ。いつ別れたんだ?」

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「おととい。ぼくとおじさんが小さい船で釣りしてたら、そしたら、海賊が来てさらわれちゃったんだ」

男の子は、顔をしかめました。

「あいつら、ぼくらの船をしずめたんだ。それで、ふたりともこの船に連れてこられて……あいつら、おじさんに、『オレたちみたいに海賊になれ』っていったんだ」

「そんなことを……」

「おじさん、船の操縦がすごくうまいんだ。どんな天気でもバッチリなんだ。だから……。」

男の子は、おじさんのことを思い出して、少し得意そうな表情になりましたが、またすぐに顔がくもりました。

「でも、おじさんは『海賊なんかなりたくない』っていったんだ」

「えらいおじさんだ」

「そしたら、ボスのベン・アリが、無茶苦茶に怒って歯ぎしりして、『いうことをきかないなら、海にぶちこむぞ!』って。それから、ぼくだけ下につれてこられたんだ。上でケンカの音が聞こえて、次の日甲板に上がったら、もうおじさんはいなかった。海賊に、どこにいるかきいても教えてくれないし。もう、こわくてこわくて。あいつら、おじさんを海につきおとして、おじさん、おぼれて死んじゃったんだ!」

そういって、その子はまた泣き出しました。

「おいおい、ちょっと待ちなさい。泣くのはストップ。まずは食堂に行って、お茶でも飲もう。話はそれからだ」

ドリトル先生は、男の子の肩に、やさしく手をおきました。

「おじさんはなんの問題もないかもしれん。坊やは、おじさんがおぼれたところを見てないんだろう? なら、なんとかなるかもしれん。もしかしたら、わしらが見つけ出せるかもしれんしな。さあ、まずは行ってお茶を飲もう。イチゴのジャムもあるぞ。それからどうすればいいか考えようじゃないか」

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ほかのみんなは、二人のまわりに立ちつくして、興味しんしんで聞いていました。

二人が船の食堂に行ってお茶を飲み始めると、ダブダブが先生のうしろにまわって耳打ちしました。

「イルカに聞きましょう。あの子のおじさんがどうなったか。イルカだったらわかります」

「そりゃいい」

先生は、ジャムのついたパンをつまみました。

男の子がたずねます。

「おじさん、その、舌で何か変な音をならしてるのは、何なの?」

「ああ、これはアヒル語をすこしね。これはダブダブ、わしのペットだ」

「アヒル語がなんてあるんだ。知らなかったなあ。ほかのペットもみんなあるの?
 あの、頭が二つのヤツも?」

「シッ! あれは、オシヒッキーだ。しゃべりながらあれを見てはいけない。あれはすごいヒッキーでな……」

先生は男の子の顔を両手で包んで、自分の方へ向けました。

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「ところで、どうしてあんな小さな部屋に閉じ込められてたんだ?」

「海賊が船をでるとき、閉じ込めたんです。ほかの船に泥棒にいったんです。さっき、ドアがこわれる音がしたときも、だれかわかんなくて……。ああ、おじさんで本当によかったあ! おじさん、ぼくのおじさんをみつけてくれる? できると思う?」

「とにかく、必死でがんばってみよう。おじさんの見た目はどんな感じかね?」

「髪の色は赤なんだ。真っ赤だよ。うでにイカリのタトゥーをいれてる。体はすごくじょうぶで、やさしいおじさんなんだ。南太平洋では最高の船乗りだよ。おじさんの船の名前は『セクシー・サリー号』っていってカッター・リグド・スループなんだ」

「カッターリグ・スープってなに?」

ブウブウがジップを見てつぶやきました。

「シッ! 人間が作る船の種類だよ。だまってろ」

「あ、そう。なーんだ。おれ、スープかなんかだと思ったぜ」

「お前、なんでも、食い物の話にするよな。いいから、だまってろ」

やがて、先生は、動物と遊びだしたその子を食堂において、甲板にでてきました。
イルカが近くを通らないか、見に行ったのです。


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