目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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しかし、船のどこにも、カギは見つかりません。

みんなは、ドアまでもどってきました。

ジップがカギ穴を、じっとのぞきこみます。
しかし、何かが立てかけてあるのか、中はなにも見えません。

どうしたものかと困り果て、立ち尽くしていると、フクロウのホーホーが突然、口を開きました。

「シッ! 聞こえる! 絶対、ここには誰かおりますわ!」

一瞬、みんな、じっと固まります。

やがて先生がいいました。

「かんちがいじゃないか、ホーホー? わしには、なにもきこえんぞ」

「絶対にいますて。シッ! またや。聞こえまへんか?」

「聞こえんな。どんな音だ?」

「誰かがポケットに、手ぇつっこんだ音がします」

「そんなの、音なんかほとんどしないじゃろ。ここまで聞こえるはずがない」

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「それが、わしには聞こえますのや。ドアの向こうにだれかおって、ポケットに手ぇつっこんでます。モノ、ちゅうのは、たいてい音たてます。ええ耳してたら、聞こえるんですわ。こうもりには、モグラが地下のトンネルを歩く音が聞こえます。それが自慢ですわ。しかし、わしらフクロウは、かたいっぽうの耳で! 暗闇のなかででっせ! 子ネコがどんな風にウインクしたかで、そのネコの色までわかるんですわ」

「そりゃすごい! 驚いたな。いや、おもしろい。もういちどよく聞いて、中の男が今何をしているか教えてくれ」

「まだ、男やとは決まってまへん。女かもしれん。わしを持ち上げて、カギ穴から聞かせてください。そしたら、すぐわかります」

そこで、先生はホーホーを持ち上げると、ドアのカギに近づけました。

直後に、ホーホーがいいました。

「今、左手で顔をこすってます。小さい手で、顔も小さい。女かもしれへんな――いや、今、額の髪をうしろへ払いのけおった……まちがいなく男ですわ」

「女だって払いのけるだろう」

「もちろんそうです。そやけど、女の場合髪が長いんでまったく音がちがうんですわ……ああ、もう、うるさいッ! その落ち着きのないブタ、静かにさせとくなはれ。みなさん、しばらく息止めて。ほな、もっとよう聞こえるさかい。……うーん、これは厳しい。なんぎやなあ。ドアが厚すぎるんや。シッ! みんな、まだじっとしといてや――目ぇとじて、息もとめて」

ホーホーはうつむいて、またもや耳を傾けます。
長い間、深く集中します。

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ついに、ホーホーが顔をあげ、ドリトル先生を見ました。

「中におるヤツ、むっちゃ落ち込んでます。泣いてます。声あげたり、鼻ならしたりせんよう、気ぃつこてます。わしらに泣いていること、知られたないんでしょう。けど、わしにははっきりと聞こえました。服のそでに涙が落ちる音がしました」

「なんでわかるんだ? 天井から落ちた水がかかったんじゃないのか?」

ブウブウが聞きます。

「これやから! ――素人はこまるわ!」

ホーホーは鼻をならしまいた。

「天井から水が落ちてきたら、10倍はうるさいの!」

「わかった」

先生がいいました。

「その可哀想なお仲間が落ち込んでいるのなら、中へ入って、何があったのか聞こうじゃないか。オノはないか。ドアをこわそう」

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第17章 海の情報屋

オノはすぐに見つかりました。
先生は、すぐにドアに大きな穴をあけて、中へはいりこみました。

最初は真っ暗でなにも見えませんでした。
マッチをすります。

とても小さな部屋でした。
窓はなく、低い天井です。
家具といえば、小さな腰掛がひとつあるだけ。
壁にそって、大きなタルが並べられていて、船のゆれに転がらないよう、底が固定されています。
タルの上には、あらゆるサイズのジョッキが木のクギに引っかかっています。
ワインのにおいがムッとたちこめています。

そして、床の真ん中に、小さな男の子がひとりいました。
8歳くらいでしょうか。
ホトホトと泣いています。

「まちがいない。ここは海賊の酒蔵だ!」

ジップがつぶやきくと、ブウブウもいいました。

「酒くさっ! このにおい、ちょー、うざい!」

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男の子は、とても驚いてます。
無理もありません。
目の前に知らない男の人が立ち、たくさんの動物が、こわれたドアの穴から自分のことをジロジロ見ているのです。

でも、マッチの光に照らされたドリトル先生の顔をみると、すぐに泣きやんで、立ち上がりました。

「おじさんは海賊じゃないよね?」

男の子がそうたずねると、

「わしが海賊? はっ! わっ、はっ、はっ、はっ……!」

先生は頭をそらせて、笑いがとまりません。
その子にも笑顔がうつり、先生の手をとりました。

「おじさんの笑い方はやさしそうだね。海賊のとは全然ちがう。ねえ、おじさん、ぼくのおじさん、どこにいるか知ってる?」

「わるいが、それはしらんなあ。いつ別れたんだ?」


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